ヨハン・テオリンのレビュー一覧

  • 赤く微笑む春
    エールランド島4部作もいよいよ3作目。長い冬を終え、春に突入…とはいえ、あったかポカポカ気持ち良い弛緩といかないところが、ヨハン・テオリンの作品。

    本作の主人公は2人、元ポルノ映画製作者、現在認知症を患う父と重篤なガン患者の娘を持つ、若干冴えない男ペール。
    もう一人は、元エールランド島の住人で、強...続きを読む
  • 冬の灯台が語るとき
    なんとも、地っ味ぃ~な話(笑)
    もちろん誉め言葉。それも最大限!

    北欧ミステリーは前に何冊か読んだけど、どれもイマイチで。
    読んでる時はそこそこ面白いんだけど、読み終わった途端「あぁー、つまんなかった」と、なぜか口から出ちゃう昨今のハリウッド映画みたいだなーと、すっかり敬遠していたのだが、これは逆...続きを読む
  • 黄昏に眠る秋
    スウェーデンの新鋭のデビュー作。
    哀切という言葉が似合う傑作です。

    20数年前、霧深いエーランド島の平原で、イェンスという5歳の男の子が行方不明になった。
    母のユリアは立ち直れないまま。
    少年の祖父イェルロフは元船長だが80歳を過ぎ、老人ホームに入っている。
    その父からユリアに電話があり、イェンス...続きを読む
  • 赤く微笑む春
    エーランド島シリーズ第3弾。『冬の灯台が語るとき』の存在を忘れていて飛ばして読んでしまったけど、独立したストーリーなので問題なし。

    病気の娘と、放蕩を尽した末、年老いた父親というふたつの悩みを抱えた男と、横暴な夫を持つ女という二つのストーリーが絡む展開。

    事件そのものは少々とっちらかった印象だが...続きを読む
  • 黄昏に眠る秋
    北欧ミステリの、これは傑作と呼んでいいのではなかろうか。派手なアクションもないし、大いなる陰謀もなく、かっこいい刑事も美人助手も出て来ない。事件にかかわった人びとの人生を丁寧に、哀切に描いて行く。ミステリのくくりで終わってしまうのはちょっと勿体ないくらい。おじいちゃんのイェロフがかっこよすぎです。
  • 黄昏に眠る秋
    ・あらすじ
    スウェーデン エーランド島が舞台
    約20年前の少年失踪事件を解決しようとする母親と祖父
    事件を調査する内に30年程前に死んだ男が実は生きていた…?
    調査パートと死んだ男の過去パートが交互に書かれ真相が判明するタイプのミステリー。

    ・感想
    息子が行方不明になってから立ち直れないままのユリ...続きを読む
  • 冬の灯台が語るとき
    ・あらすじ
    エーランド島シリーズ2作目。
    エーランド島東北部、ウナギ岬にある19世紀に建てられた灯台守の屋敷が舞台。
    屋敷に越してきたヴェスティン一家に起こった事件とそこで暮らしてきた人々の歴史、幽霊話と追悼と思い出話が本筋。
    そこに空き巣三人組とエーランド島に赴任してきた新人女性警官の3組のエピソ...続きを読む
  • 赤く微笑む春
    エーランド島4部作の3作目。

    高齢者施設で過ごす元船長でシリーズ主人公のイェルロフが、友人の死をきっかけに自身の死期も遠くないことを正面から受け止め、施設を退所し、かつての自分のコテージで余生を過ごす決意をするところに始まる。
    コテージの周辺は、いまや春、夏の暖かい季節だけ都会から人が訪れる別荘村...続きを読む
  • 黄昏に眠る秋
    スウェーデンの作家「ヨハン・テオリン」の長篇ミステリ作品『黄昏に眠る秋(原題:Skumtimmen、英題:Echoes from the Dead (The Oland Quartet))』を読みました。

    「ヨナス・ヨナソン」、「ミカエル・ヨート」と「ハンス・ローセンフェルト」の共著に続き、スウェ...続きを読む
  • 夏に凍える舟
    エ-ランド島に行って見たくなります。
    情景描写が緻密で、作品の中に入り込んでしまいました。

    話は独立しているけれど、1作目から読むのをお勧めしますよ。
  • 夏に凍える舟
    エーランド島最終章。
    犯人は20世紀初頭、義父と真天地を求めてソビエトに発った老人だ。極寒のシベリアや暗いKGB時代と、夏の賑わいをみせるリゾート地での出来事が交互に語られる。イエルロフの鋭くも愛のある眼差しが、事件を少しずつ紐解いてゆく。
  • 黄昏に眠る秋
    スウェーデン、エーランド島で霧の深いある日、少年が行方不明となる。祖父である元船長のイェルロフが事件の謎を解く。高齢の祖父のゆったりとした時間の流れとエーランド島の自然がマッチし、物語が丁寧に進められて行く。終盤は悲しい結末へと向かうが、イェルロフの覚悟と落ち着きと共に、静かに受容できる境地となる。
  • 夏に凍える舟
    何か読んだことがあると思ったら、シリーズ作で2作品を読んでいた。ミステリー度もあるが、かつての北欧が関わった歴史をよくしることが出来たし、年老いた人間の心情にも深く触れた。スターリンの恐怖政治、知ることが出来た。
  • 夏に凍える舟
    エーランド島ミステリー四部作の最終話「夏」

    シリーズ中最も賑やかなエーランド島で、舞台となるリゾート地もにぎやか。

    対照的に描かれるのは、20世紀に出現した「ソビエト連邦」という国の内情。
    希望と絶望の果てにひたすら「帰る」ことを夢見てきた一人の男の物語は、シリーズ中最も重い。
    あんなに強大だっ...続きを読む
  • 赤く微笑む春
    エーランド島四部作「春」を読む。

    「春」は「過去に残したもの」

    石切場の小屋を相続したペール。彼が「過去から確執のあった父親の周りで起こる事件」を追うのが、今回の主要線。その他に「現在抱えるペールの家族の問題」「新たな隣人ヴェンデルの過去」「イェスロフの妻の残した日記」の四つの物語が程よい章分け...続きを読む
  • 夏に凍える舟
    エーランド島四部作完結編(うっかり三作目を飛ばしてしまった。。)。

    老齢探偵イェルロフの遠い昔、少年時代の恐怖体験に始まり、現代の少年の幽霊船との遭遇、意味深な男のきなくさい帰郷。
    序盤は物語がどこへ向かっているのかわからず、遅々とした展開。

    次第に動き出す物語にいつしか引き込まれている自分に気...続きを読む
  • 赤く微笑む春
    エーランド島シリーズの3作目。
    季節は春になりつつあるが、北欧の寒くて寂しい雰囲気は健在。
    この舞台設定とトロールやエルフの言い伝えが非常に合っていて良い!本を読んだだけでその国の空気感を味わえるのは楽しい。
    イェルロフおじいちゃんが強い。
  • 赤く微笑む春
    厳しい気候と荒涼とした海岸、さびれた村を思わせるエーランド島を舞台に、人生の冬を迎える元船長イェルロフが謎を解くシリーズ。

    過去と現在を交合に織り交ぜて、伏線をたくさん張り巡らし見事に回収。エルフやトロルなど 北欧ならではの土着的な香りがして、どこの外国でもない
    北欧のミステリーを読んでいるのだと...続きを読む
  • 赤く微笑む春
    再読
    内容をほとんど覚えていないというていたらく…。
    でも前作の「冬の灯台が語るとき」の再読からあまりと時を置かずに読んだら、、イェルロフの体の衰えぶりが顕著でびっくりした。老体に鞭打って頑張る姿がハラハラさせられる。四部作の中ではこれが一番印象が薄いんだよなー。
  • 夏に凍える舟
    ヘニング・マンケルやトム・ロブ・スミスを連想した。どんな不可思議な現象にも合理的な説明を見出すイェルロフは根っからの探偵気質だな。長生きしてよ。