安岡正篤のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
子どもの教育や人としての生き方として大切なことについての叙述が多く、子を持つ親としてひらめきの多い書となりました。
また本書の後半で述べられている陰陽相待性理論、いわゆる酸とアルカリについての話はとても面白く、読めば確かにその通りなのですが、そこまで明確にして意識をすることがなかったので、なるほどと膝を打つほどでした。
中村哲さんの書を以前に読み、本書で安岡正篤氏が語っていることと近しいことが幾つも出てきました。
生きた時代も専門とすることも違う二人が同じようなことを語っている。無論、中村哲さんが安岡さんの書を読んでいた可能性はありますが…。本書から幾つか引用してみます。
つまらない人間 -
Posted by ブクログ
本書は、孟子が性善説であるとか、孟子の構成はこうだとかはいわない
言っているのは、2つ、必要であるのは、「敬」と「恥」であると
また、あとがきにある言葉もいい
孟子で学ぶべきところといえば、あの信念に向かって何も恐れないという気力、迫力でしょう。
人間として一番大切なものは、気迫である。気迫がなければ人間もその国も危ういと言われましたが孟子にはそれがある。
冒頭にある、父と子の内容を見るに本書を手にとった価値があると思います。
父子の間は善を責めず
父というものは、子に対して、あまり道義的要求をやかましくするものではない
りっぱな人はなぜ自分の子どもに教えず、他人のもとに師事させるのか -
Posted by ブクログ
第1部は、肥前平戸藩主松浦静山が収集した文献集「甲子夜話」に収録されている「水雲問答」、第2部は江戸初期の陽明学者である熊沢蕃山の語録「集義和書」の解説
2つの書が語る、指導者の条件、が本書です。
江戸時代は文化の爛熟期にあたり、儒教、仏教、国学の普及が支配体制維持の理由になっていて、これが、明治維新の原動力となったという
また、多くの家臣を擁し、幕府の監視を受けながら、その藩を維持していくさまざまな苦労が、ずいぶん殿様を練達の士たらしめた。また、学問風流にただならぬ造詣があった人々もすくなくありません。
松浦静山の他、真田幸貫、白河楽翁の三名君、学者としては、「言志四録」をあらわした佐藤一 -
Posted by ブクログ
安岡正篤の「十八史略」の解説本で、本書はその下巻 始皇帝の中国統一から宋代まで
秦の始皇帝の中国統一、楚漢の戦い、三国志、五胡十六国、南北朝、隋唐帝国、そして、宋へ。
諸方から、侵入を繰り返す異民族との戦い、時を超えてリーダーの行動規範を示す、ビジネスリーダー必読書の1冊とある。
十八史略はおろか、正史でまともに読んだことがあるものは、司馬遷の史記ぐらいなものだろう。
気になったのは次のです
始皇帝の行った事業、文字の統一、あたらしい小篆書へ。度量衡の統一。
始皇帝は、合理的・科学的な頭脳をもった人間であったが、一面において、妙に神秘的な占いや予言といったものも好みました。
焚書坑 -
Posted by ブクログ
論語を講釈ではなく、生きた学問である「活学」として捉えた書
論語読みの論語知らずとは、人を中傷するための言葉ではなく、自分自身に向けて学問をちゃんと身につけていないことだと指摘をしています。
安岡正篤という方は、儒学古典の人かとおもっていましたが、欧米からも仏教からも引用があり、現代人という印象を受けました。
3部にわかれていて、論語の概要、中庸の概要、論語の人物像になっています。
得てして、知らず知らずの論語の言葉をなんとなく知っているというものが結構でてきます。
気になったのは、以下です。
・人間というものは自分ではわかったような心算でも、なかなか本当の事がわからぬものである。 -
Posted by ブクログ
●「現代文明の危機は真我の喪失にあり」
今日の世の中に忘れられ、なおざりにされておる最も大切なもの、それを回復しようということで、それはなにかと言えば、結局真実の自己であります。・・・現代は知識階級ほど雑学・俗学・曲学に覆われている。真実の自己というものは、こういうものを払い落としてしまって、はじめて発見する事ができるのであります。
●経済こそ我が国民の将来を決定する要素だと考えるのは、枝葉の繁茂を見て根幹を見ぬからであります。すべての物質的生活問題も、これを有効円満に解決してゆくためには、必ず美しい精神的、感情的要素がなければなりません。 -
Posted by ブクログ
安岡正篤氏が、昭和36年から昭和59年の間に「師と友」に連載した記事をまとめ、1985年に刊行されたものの新装版。
言葉使いをみなければ、ごく最近書かれたものではないかと間違うくらい、現代の問題と重なるところがある。
一番最初の「肉眼と心眼」のところにある「顕在エネルギーと潜在エネルギー」は、野村監督のいうところの「有形、無形の力」に通じるところがあるなぁと思った。
これからじっくり読み進めていきたい。
(3.31追記)
運命、天命、知名、立命
先天的に賦与された「天命」と、いかようにも変えることのできる「運命」、これを知る「知名」、知ってそれを完全に発揮していく「立命」。
-
Posted by ブクログ
陽明学の内容を良くあらわす「伝習録」その中でも「抜本塞源論」は傑作といわれる。
●頽廃・混乱の世では、枝葉末節にこだわった議論ではなく、病弊の根本を抜いてその源を塞ぐことを考え、自ら奮発し、身をもって事に当たるべし。
●平生において学問修養し、心を練っておくこと。いかなる問題も結局は心の問題に帰する。
●時代・人心というものは自ずから霊妙なものがあって、混乱と暗黒の時代がやってくると、人々は無意識の内に何か真剣で真実なものを求めるようになる。これが良知。人間誰もが本具するところ。
●私利私欲がなかったならば、精神のもっとも本質的な直観が顕われる。 -
Posted by ブクログ
あいまいな認識を詰めてくれるような含蓄の深い言葉にじわじわ来ます。
●民族、国家のために全てを捧げようという幕末・明治のような気分にある「個人の滅却・献究」と、機械文明・都市生活のために個人の主体性がなくなり、群集心理が横行する「人間が無内容」になる事は全く異なる。
●真のインターナショナリストになるには、最も洗練されたナショナリストでなければならない。(内が充実していないと外とも関係できない)
●機械的・享楽的文化の中であまりに情報に振り回されると自分の思考力・判断力・批判力など内面的自己がなくなってしまう。
●「知識」は大脳皮質の作用で得られ薄っぺら。「見識」は人格、体験、悟りなどが -
- カート
-
試し読み
Posted by ブクログ
危機に瀕した日本と日本人を再生するには、東洋の叡智と伝統に学ばねばならない。透徹した人間観・文明観に根ざした珠玉の講話集。
今日の日本国家や政治家、そして国民のあり方に満足する者は何人いるであろうか。まさに日本の進むべき道は暗中模索の状態にある。
本書は、東洋学の泰斗が、戦後、高度成長期の物質文化先行のもとに置き去りにされた精神文化を今一度喚起させるべく、日本の伝統精神が如実にあらわれていた時代・思想・理念をあげ、日本の進むべき道を説き明かす。幕末明治の志士たちを筆頭に、道徳教育が庶民にまで行き渡り、大業がなされた『明治維新』や「和を以て貴しと為す」といった聖徳太子の『十七条の憲法』など、自