「学生は社会人になる前にまず労働基準法を勉強しておくように」
などと言われることがあります。
起業などしない多くの人の場合、
お金を稼ぐために労働者になりますから、
そんな自分自身を守るためにこの法律を知っておきなさい、というのです。
また、それだけ会社側は労働者を、
法律すれすれだったり、違法だったりする環境で使おうとしがち。
「うちの社員やパートさんたちは労働基準法を知らないから、
こういうところまで仕事してもらおう」みたいなブラック会社も多いようです。
そのための労働基準法と、それを盾に取り締まる労働基準監督署なのでした。
そんなことをのたまう僕であっても、
労働基準法をちらっとしか知らなかったようなタイプでしたから、
恥ずかしながら本書に書いてある法律の知識が新知識である場合が多く、
かなり勉強になりました。
たとえば、労働時間が一日に8時間を超えた場合や、
週に40時間(接客業などの場合は44時間)を超えた場合に、
時間外労働として残業代がつくとなっていますが、
僕はこのあたりは、
会社が各々で取り決めるものなんだろうとお気楽に考えていたんです。
そうじゃなくて法律できちんと決まっていたんですねー。
僕の今の仕事ではこのあいだ週に44時間を超えたときがありましたから、
どのくらい割増で残業代が発生するか、
そして、きちんと残業代として計算してくれるのかを会社の担当者に訊こうと
文書を作成したところなのでした。
また、労使トラブル、つまり、
セクハラやパワハラ、一方的な労働条件の引き下げなどのトラブルについては、
「個別労働紛争解決システム」という、
各都道府県労働局に設置されているシステムを利用するものなのだそうですが、
なんと、年間のこのシステムの利用件数は100万件以上なんだそうです。
(ちなみに無料で利用できます)
それだけ、そういった、
不当だったり、人間性を問われたりする問題が多いということです。
どこまで人の自由をというか気楽さを縛るかという問題もありますが、
世の中全体がブラック体質なんだなあ、
という印象を持ってしまうのも仕方がないですよね。
本書は法律の解説書でありながら、非常にわかりやすく、かつ読みやすく、
労働者の味方として役立ってくれる本です。
そろそろ労働基準法を勉強しなきゃならないのか、と身構えたりする人にとっても、
すうっと頭にはいっていくだろう文章なので、
きっとストレスなく労働基準法を知ることができると思います。
おすすめですね。