下條信輔のレビュー一覧

  • サブリミナル・マインド 潜在的人間観のゆくえ

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    「色即是空空即是色すべてこの世は夢幻よ!」という某映画のセリフを思い出す。ヒトの認知ほど不確かなものはないということを思い知らされる。生きづらさと戦っている人はこの仕組みを理解することは、それを乗り越えるために重要であると考える。
    全くもって、科学者というものはその知的好奇心を満たすためには酷い実験をする。しかし、そのお陰で私たちは、脳や認知について知識を得ているとはいえやはり酷いものは酷い。とは言えありがたい知識であることも否めない。
    一般的に無意識と呼ばれるもの、大乗仏教で言うところの「末那識」「阿頼耶識」がありきで我々が「意識」と言っているものはとても脆弱な存在であるということが本書が一

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    2014年12月30日
  • 〈意識〉とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤

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    意識とは何かについて、「錯誤」をキーワードに考察する。錯誤が起こっているときに脳は正しく働いており状況の方が普通でない。すなわち、「錯誤は正常な認知機能の反映である」と言える。

    脳が環境に適合するように自らを変え、その結果、知覚系と行動系が環境に対して完璧に適応的なものとなる。環境が突然激変したときには、過去に根ざしたこの知覚と行動の記憶の総体が「錯誤」をもたらす。

    脳は孤立した存在では無く、身体を支配し、逆に身体に支配される。
    身体は一方で脳の出先機関であるとともに、その基礎でもあり、脳にとっての環境の重要な一部を構成するのである。

    従って、脳だけを身体や環境と切り離して考えることは、

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    2014年11月03日
  • 〈意識〉とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤

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    だまし絵について私たちがだまされるのは、
    本当は正しい判断をしているからではないだろうか?
    という点をいろんな研究の内容から考えている本だった。
    後半は、意識と心と体は、それぞれにつながっているので、
    分離して考えるよりも統合して考えるべきもの、
    という話になっていた。
    このあたりの内容というのは、特に目新しい、という
    内容でもないので、この本を読んでも
    「結局、意識とか心とか、そういうものの存在は推測の
    範囲を現代でも脱していない」
    ということになっているようでもある。

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    2014年10月28日
  • 〈意識〉とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤

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    文章は難しいが、内容はなかなか面白かった。脳というのは実は実体がなく、自分の置かれている環境とセットで成立しているものであるという考え方は新しい気づきを与えてくれた。

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    2014年09月21日
  • 〈意識〉とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤

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    脳と身体、環境はどのように関係しているのか。
    無意識と意識の違いは何か。
    薬物等を利用して身体の一部を変えることは良いことか、それとも悪いことか。

    これらの疑問に対して本書は、脳の「来歴」の観点から論じている。
    非常に考えさせられる内容で、最後まで興味を持って読むことができた。

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    2012年12月07日
  • 〈意識〉とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤

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    とても面白い。意識とは何かを、認知心理学の研究成果を元に考えている(99年刊なので最新ではないが)。それは、世界をいかにして認知するかという問題であり、自由意志と決定論とのせめぎ合いであり、自己と他者との参照の在り方。この一冊を読んでも題名の問いに答えることはできず、かえって疑問は増すばかりで、いかに意識の問題が曖昧で不確かで根の深いものかがわかる。
    世界の認識を扱った作品・著作は数多く出ているだけに傑作も多い(例えば北野勇作の「かめくん」はいかにして世界を認識しうるかという点を思考実験として描いていた掛け値なしの傑作だし、佐藤幹夫「自閉症裁判」は現実に世界の認識の相違がもたらした不条理を描写

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    2012年07月26日
  • サブリミナル・マインド 潜在的人間観のゆくえ

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    『自分のことは一番自分が知っている』っていう言葉を耳にするが、本当にそうなのか?
    この本では、記憶や目にしたものを中心に認知的観点でかかれている。
    もちろん、社会心理などいろんな分野からかかれてはいるが、認知より。かっこがきが授業の突っ込みのようで面白い。

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    2012年05月02日
  • サブリミナル・マインド 潜在的人間観のゆくえ

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    実験の話が中心で途中で飽きそうになりますが、最後まで読むと意外に収獲が多かったと。無意識のうちに...なんて表現も何気なく使っているけど、その境界は曖昧で、そもそも神経反応を指しているだけという考え方も出来るのだということが新しかった。

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    2012年03月22日
  • 〈意識〉とは何だろうか 脳の来歴、知覚の錯誤

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    友人に薦められたので読みました。

    心や精神といったものは存在しないのだ…というようなラディカルな主張を展開しているのかと思って読んでいたのですが、もっと素朴に、しかも丁寧に説明されていたのでとても共感がもてました。

    こころとからだ、あるいは内部と外部の境界線がうすれていく…というあたりは大森荘蔵を思い出しました。もう一度大森荘蔵の本も読みなおしてみようかと思います(ちなみに、この本の著者がどの程度大森さんのことを知っていて影響を受けたかはっきりとは書いていなかったのでわかりません)。

    著者が本文でもたびたび挙げている『サブリミナル・マインド』も時間があればぜひ目を通してみようかと思います

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    2011年04月10日