【感想・ネタバレ】サブリミナル・マインド 潜在的人間観のゆくえのレビュー

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Posted by ブクログ 2022年02月13日

神本。心理学科を選ぶに至った理由がこの本。読み切ったのは入学後だけど,学問としての心理学を知れた。面白い。

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Posted by ブクログ 2013年04月29日

下條先生がCalTechに言ってしまう前に、最終講義がわりにこの本の読書会を開いたって覚えがある。なにか一生懸命質問したはずだが、覚えてない。当時、下條先生がディスカッションするときの「3つ質問があります」というスタイルを真似ることに夢中でした。

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Posted by ブクログ 2012年01月22日

面白い。

人の行動が潜在的な、本人にとって無意識の認知過程に大きな影響を受けていることを、心理学史上の様々な実験を紹介しながら解き明かしていく。

密閉したビルの中でネズミを飼うと、ある程度まで増えた後、性的不能な個体や子殺し、同性愛などが多発し、場合によっては個体数が減少することもある。
言うま...続きを読むでもなく、大都市に住む人間も似た徴候を示すわけだが、個々の人間にインタビューすれば、例えば「私は自由意思で同性を愛してるだけだ」となる。
環境から受ける潜在的な影響には無自覚だからだという。自由に選んでるつもりで、実は大きな流れの中で踊らされてるだけ。

なんだか寒気がする話だ。

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Posted by ブクログ 2011年03月02日

<目次>
 0.私の中の見知らぬ私―講義に先立って
 1.自分はもうひとりの他人である―自己と他者の社会認知心理学
 2.悲しいのはどうしてか?―情動と帰属理論
 3.もうひとりの私―分割脳と「自己」
 4.否認する患者たち―脳損傷の症例から
 5.忘れたが覚えている―記憶障害と潜在記憶
 6.見え...続きを読むないのに見えている―域下知覚と前注意過程
 7.操られる「好み」と「自由」―サブリミナル・コマーシャリズム
 8.無自覚の「意志」―運動制御の生理学と哲学
 9.私の中の悪魔―自由意志と「罪」をめぐって

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Posted by ブクログ 2010年10月21日

大学で心理学部に入ってすぐ読み、心理学に興味を持たせてくれた一冊。

実験・生理心理学の入門には最適。読み終わった後は、抽象的な人間のこころとは何なのかが少し理解できるようになるはず。

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Posted by ブクログ 2010年05月07日

人は自分のことをよく知っているようで知っていない。
自由とは何なのか、前提となっている自由意思とはなんなのかというアンチテーゼが非常におもしろかった。
認知過程の潜在性・自働性がテーマ。

序 私の中の見知らぬ私-講議に先立って
この本では心的過程の潜在性というドグマの根拠と妥当性を検討する。
科学...続きを読む哲学者マイケルポランニ「われわれは語ることができるより多くのことを知ることができる」 顔などの全体的知覚(ゲシュタルト的)「明示的な統合は暗黙的な統合にとってかわることはできない」
プラトン「未解決な問題について解答を探し求めるのは不合理だ。探し求めている答えを知っているのなら初めから問題などそんざいしなかったことになる。」これは暗黙知を前提として初めて解消する。
意識的経験がなくても記憶の効果が表れることはしばしばある。

第一講 自分はもうひとりの他人である-自己と他者の社会認知心理学
自分も他人と同じように何かの客観的な事実より認識する。
その意味で他人と同じである。
認知的不協和 個人の心の中に互いに矛盾するようなふたつの「認知」があるとき、認知的不協和と呼ばれる不快な緊張状態が起こる。それを低減しようとする動機づけが生じる。外的な要因は変えようがないので、内的な要因が変わる、態度の変容が生じる。これが無意識的な自己合理化。
コマーシャルで見たという認識があるときより、むしろ想起できない場合に、その商品を買いたくなる。これも自己正当化が生じるため。覚えている場合はコマーシャルのせいにできるが、覚えていない場合コマーシャルのせいにできないため自分が好きだからと思いこむ。
高い商品ほど購入した時の満足感も高まる。これも認知的不協和。
自己知覚理論 本人にしかわからない私的な刺激に左右される部分も実は他者が知ることのできる顕在的・公共的な事象に起源を発している。

第二講 悲しいのはどうしてか?-情動と帰属理論
実は感情は行動から起因しているという話。
ジェームズ「興奮するようなできごとを自覚すると、ただちに身体に変化が生じる。この変化に対するわれわれの感じ方(feeling)が情動(emotion)である。」
顔や表情を認知する神経機構が脳内で情動に関連する領野のすぐ近くにある。
意識的な経験は無自覚的プロセスに対する後付けの解釈にすぎない
「身体的過程→潜在的認知過程→自覚的情動経験」
情動二要因論・まとめ
①生理的興奮は情動の種類にかかわらず案外類似している。
極端な状態は生理的興奮としては類似性・一般性・曖昧性をもつ。そこでその生理的興奮を異なる状況要因に帰する過程である
②感情でさえ無意識的な認知過程。
③行動に表れる無自覚の認知過程と言語報告に表れる意識的な過程とは別物。

第三講 もうひとりの私-分割脳と「自己」
分割脳とはてんかんなどで脳梁を切断された患者。
腕をおさえて手の自由が利かない状態でボクサーといれても何も見えないと意識する。腕を自由にするとボクサーのポーズをとり、さっきのはボクサーだったと認識できる。
自分のまわり行動から自己の行為の起源を認知する。
自らの脳内でさえ、神経コミュニケーションの他に自らの行動を通して認識している。
人は自分の認知過程について、自分の行動から無自覚的に推測する存在である。

第四講 否認する患者たち-脳損傷の症例から
人は事実を正当化して回答する。認識しているのにしていないと認識している場合あとからその理由づけをする。

第五講 忘れたが覚えている-記憶障害と潜在記憶
プライミング効果(呼び水効果)一度でもちらりと見たものは二度目には見やすくなるあるいは反応が早まったり強まったりする効果のこと。
同じ単語が提示されると処理反応が促進される「直接プライミング」と意味的連関のある単語を提示すると処理反応が促進される「間接プライミング」がある.
思いだせなくても効果があるので、潜在的プライミングといわれる。
持続期間も驚異的で、数週間、数か月経っても促進効果がみられる。
記憶には宣言的記憶と手続き的記憶があり
宣言的記憶にはエピソード記憶と意味記憶がある。

第六講 見えないのに見えている-域下近くと前注意過程
カクテルパーティー効果など意識していなくても見えていたり、することがある。
それに対して我々はやはり後付けで理由を合理化している。
閾下知覚

第七講 操られる「好み」と「自由」-サブリミナル・コマーシャリズム
宣伝・コマーシャルには二つの原理が働いていると思われる。
説得性原理 商品の存在と魅力をアピールし、納得させる。
親近性原理 見知っている、聞きおぼえがある、なじみがあるという状態にするだけで消費者の欲望
は高まり、選択をおこなうようになる。
単に同席するだけでも、より交換を持つようになる。
また、情動効果が大きいほど記憶に強くのこる。
また何かのシンボルに気付いた人より気付かない人の方が先述の無意識による
親近性の正当化により効果が大きくなる。
サブリミナルコマーシャリズムにより、欲望の受動化・画一化が起こっている。
遊びや芸術や科学技術にまで、このような制御と画一化の傾向が浸透し、
政治的な世論操作や思想統制にまで使われうる。
潜在的な認知過程と自立し意志をもった自立する心。この二つの相互作用が今後の課題。

第八講 無自覚の「意思」-運動制御の生理学と哲学
オペラント条件付け(道具的条件付け) ハトがキーをつつくと餌がでるなどを繰り返すと、その作業を学習すること
古典的条件付け   何かをしながらの刺激を続けると、その刺激だけで反応してしまうようになる。
頭を切り落としたゴキブリから条件づけメカニズムは頭部神経にあるが、条件を貯蔵する
機能は他の神経節に分散している。脊髄など。

第九講 私の中の悪魔-自由意思と「罪」をめぐって
私たちの知覚や判断や行動は自身により直接経験されるもの。
しかし、その経験が何に由来し、起因したかを検討するのは本当はわからない。
自分の判断に確信を持ちすぎてしまっている。
ウイルソン「私たちの感情の実際の起源と、私たちが起源だと思うことは違っている」
「実際に私たちの経験をもたらした認知過程と、それに対して働く自覚的で言語的な解釈システムとはちがう。」
直接経験は本人の特権を認めつつ、前後の因果関係には第三者の特権を認めている。
・整理
私たちは意図がどうであったかが重視される
しかし、責任の検討から明らかになったように、行動由来・理由・動機・原因などの最終的な
特定化を行う際は第三者の観察に特権を与える
責任は自覚化された意図と第三者による因果関係との間で重みづけされて斟酌される
これは時によって変化される体系という意味で時代の人間観と呼べる。
これを理解するため人間観の本質的な複合性を自覚し、根拠を洗い直すべき。

近年同性愛や性の乱れが生じている。これは高密度のラットでも同様の現象が生じている。
そのような環境により生じていたとしても、合理化され、自分の意志でそうしていると
認識する。本人にとっては「密度効果」であることを意識しないし、ある意味でそれは正しい。
これは自分のことは自分が一番よく知っているという人間観と
そうとはいえない人間観との違いからきている。

裁判も意図を重視しているがそれははたして正しいのだろうか。人間観が違うとそれさえもわからない。

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Posted by ブクログ 2018年10月20日

人間の意思決定の自由というものは、近年の心理学、脳科学等の研究により、だんだんと怪しくなってきているようである。潜在的に、自動的に外界の情報を処理しており、自分が決断したということも、無意識が決断した結果を追認しているだけのような場合があるようだ。閾値下の自分(無意識)と閾値上の自分(意識)。この比...続きを読む率は閾値下の自分の方が大きいようだ。

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Posted by ブクログ 2018年08月05日

「人は自分で思っているほど、自分の心の動きをわかってはいない」というテーマ通り、まだ人間の心と行動についてはわかってないことが多いんだなというのが正直な感想。「〜と言われている」など断定しない表現が多かったのが印象的。

最近からくりサーカスを読んだばかりだったので、人間の意思決定が環境や遺伝子によ...続きを読むって決定される場合そこに自由意思はあるのか?って哲学的な議論になる最後の章が好きだった。

・記憶は深い浅いだけではなく多元的な構成要素に分かれている
・カクテルパーティとかサブリミナルに表れるように自覚する前に周囲の情報について前処理が行われているのでは
・無意識化で五感が働いていてもそれに自覚的じゃないから印象の原因を見誤ることがある
・消費とは商品によってシンボライズされた欲望の代償行為、だから隠喩的な広告は効果を発揮する
・潜在化での繰り返し訴求は顕在よりも効果を発揮することすらあるんだとか
・故意と過失と偶然の線引きの難しさ。潜在的に考えてたことを過失と言いきれるのか?自分の意志か環境のせいかなんて線引きできないもんな
・からくりサーカスみたいだな、過去の遺伝子の影響を否定できるのかとか。そう考えると自由ってなんなんだ?

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Posted by ブクログ 2015年09月24日

読者の興味を引く実験を多数紹介しながら、無意識のうちに生じている認知過程についての研究を、分かりやすく解説している本です。また最終章では、著者の考える「潜在的人間観」が、現代の「自由」と「責任」の概念に投げかけている、哲学的な問いについても考察が展開されています。

とにかくおもしろく読める本です。...続きを読むまた、人間観のゆくえという、大きな問題にまで議論がつながっていることにも、興味を引かれます。

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Posted by ブクログ 2015年02月23日

名著再読。容易に他者がコントロールしうる「自由意志」のあやふやさ、危うさを指摘したこの本の内容も、新しい常識として広まりつつある。しかし操作する側の手法もどんどん巧妙化している。「人をどう操作するか」という視点で読んでも面白いと感じた。

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Posted by ブクログ 2013年09月28日

自分が見えていないつもりでも、自分はしっかりと見ている。自分のことは本当に自分が一番よく知っているのかどうか。

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Posted by ブクログ 2013年05月26日

心理学初心者にはちょっと辛かった。「大学の講義を本にした」と著者。その通りとおもった。読み返して実験、目的、得られる教訓・考え方などをまとめておきたいと思う。

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Posted by ブクログ 2012年04月24日

自分の事を決めるのは自分だし、認知の過程も自覚できると思っていたが、本書を読むうちに自信がなくなってきた。

元々は、「自分で自分の気持ちをより適確に把握したい」との思いで読み始めたのだが、結局それは無理じゃないかという結論に至ってしまいそうである。(そして、ラストの第9講でハッとさせられる。)

...続きを読むこれを読んで面白かったか?と聞かれたらもちろんYesだが、役に立つか?と聞かれてもはっきりした答えは言えなさそうだ。

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Posted by ブクログ 2012年03月08日

今や心理学にも文化系・工科系・社会学系・医学系と幅広くに行きわっている。
言葉の意味するところや表現とか集うとか伝達するとか意思疎通するとか・・・
意識無意識にかかわらずに、意志の決定はあらゆる方面につながっている。

哲学や神学や物理学が垣根を越えてお互いの分野に通じて行かないと理解不能にな...続きを読むってきた現在、心理学もあらゆることと関係を持てるようになって、社会一般に需要が増えて発展している。
しかしご多分に漏れず、学問の宿命とも言える詳細な部分に呑めり込んでいるのも事実である。
私がここ数年席を置いている知的障害や身体障害における環境問題でも、コミュニケーションをとるための言語・意識・表情の問題とか個性・自律・共生・の問題とか信頼・喜び・恐怖・安心・変化などを理解するために、心理学や社会学を必要としていると思う。
距離的に近すぎる専門書よりも、少し距離を置いた分野や立場に立って深く咀嚼する方が余裕を持って理解と納得を得られることが多い。
枝葉の現象面の処理に追われている内に根幹を見失うことにならないためにも、全体観を意識していることが大事だろう。
このことは人間が生きる上で、どんな場合に遭遇しても忘れてはならないことだろう。

できれば硬い漢字を減らして、日曜用語で書いて欲しいと思う。

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Posted by ブクログ 2011年09月26日

いろいろ興味深い話ばっかりだったけど、一番気になったのは、「人口が増えすぎると、人口抑制する要因が自然に増えていく。同性愛、子殺し、・・・」

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Posted by ブクログ 2011年02月20日

いやぁ完全に面白すぎる(笑)最近、興味のあったこと全てにつながる。広報、デザイン、哲学、演出、速読、記憶、質問力、人生観…いやぁ一読する価値ありの根底から覆される視点を持てるそんな本。

自由とは何か。無意識とは何か。人間の可能性と意識の限界と無意識の可能性を説明した潜在意識に関する本。

様々な実...続きを読む験内容も書かれてあったので読みやすく面白かったなぁ。

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Posted by ブクログ 2010年09月11日

所謂、サブリミナル効果と言われる広告効果の研究についてのみならず、社会心理、神経心理、そして生物学的、その他広い観点から深く考察されていた。

今はまだ完全に理解できたとは言えないため、又いずれ読み返して理解を深めたい。

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Posted by ブクログ 2010年06月29日

[ 内容 ]
人は自分で考えているほど、自分の心の動きをわかっていない。
人はしばしば自覚がないままに意志決定をし、自分のとった行動の本当の理由には気づかないでいるのだ。
人間科学の研究が進むにつれ、「認知過程の潜在性・自働性」というドグマはますます明確になり、人間の意志決定の自由と責任に関する社会...続きを読むの約束ごとさえくつがえしかねない。
潜在的精神を探求する認知・行動・神経科学の進展からうかびあがった新しい人間観とは。

[ 目次 ]
序 私の中の見知らぬ私―講義に先立って
第1講 自分はもうひとりの他人である―自己と他者の社会認知心理学
第2講 悲しいのはどうしてか?―情動と帰属理論
第3講 もうひとりの私―分割脳と「自己」
第4講 否認する患者たち―脳損傷の症例から
第5講 忘れたが覚えている―記憶障害と潜在記憶
第6講 見えないのに見えている―いき下知覚と前注意過程
第7講 操られる「好み」と「自由」―サブリミナル・コマーシャリズム
第8講 無自覚の「意志」―運動制御の生理学と哲学
第9講 私の中の悪魔―自由意志と「罪」をめぐって

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

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☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2010年06月12日

人は自分が思っているほど自分のことをよくわかっていない、というのが主テーマ。これを様々な実験事実から突き詰めていく。

 これに関してはもっともだと思います。自分が一日何を考えているか、自分でコントロールしているとは思えない。ふらふらっとどこからか思考が湧き上がって来て、あれこれ考えている。朝起きて...続きを読む、自分がまず何を考えるかなんて予測不可能。仕事などで論理的な事を考えるときは集中して論理的な思考をしているが、それ以外はあっちこっち、思考がふらふらしている。これは決して自分でコントロールしているわけではない。自分は自分が思っているほど自分のことをよくわかっていない。

 特に印象に残っている点は、MITのロボット工学者、ブルックスが主張している、昆虫並みの運動制御と、ヒトのような高等な認知- 行動系のふるまいは、実は連続的であり、同じ単純なメカニズムの階層的な集積で構築されうるということ。それを実際に模型で表現しているということ。

 人間って高級なイメージがありますが、実はそんなもんなのかもしれませんね。ヒトが何故神や死後の世界を考えるかというと、死や未知の世界が怖いからで、それは本能的な恐怖に基づいている。昆虫との違いは単にその複雑度の圧倒的な違いだけなのかもしれないですね。哲学・宗教などで人間の探求がされてきましたが、こうした生理学的な研究が一番人間の本質に迫っていくように思います。

 朝会社でまず何を考えるかというと、目の前の課題をどう乗り切るかということ。これも結局、このままだと不快なことになるからその回避策を考えているのでしょう。思考の背後には快・不快が潜んでいるのだと思います。

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Posted by ブクログ 2013年01月17日

ずいぶんとこの本には衝撃を受けさせられた。
今手元に本が無いので詳細を書くことはできないけれど。
「人間は何度も見せられたものを自然に選択してしまう」という事実は、何気なく見ているTVCMをとたんに得体の知れないものに見せてしまう。

人間の意志、意識というものは脳の一つのシステムに過ぎず、その枠を...続きを読む逃れることはできないと思い知らされた。
近代社会の基盤となる自由意志の概念をも揺るがしかねない最新の心理学論をわかりやすく読ませてくれる一冊。

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Posted by ブクログ 2010年06月15日

1520年、世界周航をめざすマゼランとその一行が、南米最南端のフエゴ島に 到達 したときのこと。マゼラン一行は上陸のために、自分たちの大型船四隻を島 の湾内 一時停泊させた。何世紀もカヌーだけで生活してきた島民たちは驚きの目で 上陸してきた彼らを見た。  

しかし、マゼラン一行がどのようにしてやっ...続きを読むて来たのか、島民たちはまったくわ からなかった。なぜなら、フエゴ島の人々の目には湾に錨をおろしている大型のス ペイン帆船の船団が映らなかったからだ。島民の目には、大型船団に視界を遮られ ることなく、いつもと同じように、湾の向こうにのびる水平線が見えていた。 これはその後、何度目かのフエゴ島再訪の際、島民たちがマゼラン一行に語ったことか らわかったという。彼らの頭のなかの枠組に大型帆船のイメージがなかったため、 目には映っていても、その映像を脳が拒否し、見れども見えなかったのである。 (濱野恵一著 『インナー・ブレイン』)

この話は、サイト「臨死体験・気功・瞑想」の中の小論(「覚醒・至高体験とは」) でも紹介した。『サブリミナル・マインド』には、こうしたエピソードを裏付ける ような実験例が載っている。 知覚心理学では、タブー語を瞬間呈示すると、無意識裡に抑制されて、主観的に は「見えない」という実験が報告されているのだ。タブー語とは、観察者本人にと って強い不快感や羞恥心をもたらすことば、たとえば性的なスラングとか、ユダヤ人にとってのハーケンクロイツなどである。無意識的な認知プロセスが働いてタブ ー的な語をあらかじめ選別し、知覚意識に昇るのを抑える「知覚的防衛」が働くら しい。フエゴ島の人々には、まさに同様の「知覚的防衛」が働いたのであろう。  

この本は、こうした様々な「潜在的な認知過程」を豊富なデータに基づいて論じ る。「潜在的な認知過程」というと精神分析学や深層心理学でいう「無意識」を連想するかも知れないが、この本で扱う「潜在的過程」は、それよりもはるかに広い射程をもち、行動・認知・神経科学的な過程を含む。それらの各分野において、フ ロイトの時代よりどれほど多様で豊富で説得力のあるデータが蓄積されているかが、 読み進むにつれていやというほど分かる本だ。  

人は自分で思っているほど自分の行動の動機を分かっていない。自覚がないまま に意志決定をし、自分の行動の本当の理由には気づかない。「認知過程の潜在性・ 自働性」がデータの上でますます強力に実証される。そうした事実は、確かに人間 の意志決定の自由と責任に関する社会の約束ごとさえ脅かす。

しかし、だからから こそ瞑想に関心をもつものは、瞑想的によって深まる「自己覚知」によって、そう した「潜在的認知過程」からどれほど解放されるのか、自ら実践的に問い続けるべ きだと思った。

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Posted by ブクログ 2019年11月30日

『サブリミナルマインド』

「心理学に興味がある人は必読!!」

①人は自分が思っているほど、自分の心の動きをわかっていない。自分でも気づかない無意識的な心の働きに強く依存している。

②暗黙知が常に先立ち、明証的な知の基礎になっている。

③人は不十分な正当化を自分の態度の変化で補う。

④情動二...続きを読む要因理論がある。特徴は①生理的興奮は情動の種類に関わらず類似しており、生理的興奮を状況要因によってラベル付けすることで情動が生まれる。また無意識にこの行為が行わなれる。

⑤人の心とは完全には統合されていない多元的なシステムである

⑥人の言動の原因について、当人よりも第三者の判断に特権を与えるということを私たちはよくしている。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年06月01日

心理学で有名な先生らしい。
読んで行くとわかるが、大学での講義をまとめたような構成になっている。
「ヒトは自分で思っているほど、自分の意志で行動しているわけではない」という最近の経済心理学とも関わる話が多彩な方向から検討・証明されて行く。

様々な過去の実験や検証が詳細に述べられているので、きっとす...続きを読むごく面白いのだろうが、残念ながらこちらの基礎知識が足りず今一つ話にのめれなかった。

きっと心理学を専攻している学生とかだったら知識も十分にあって楽しめたのかもしれない。

この下条先生の広範囲な知識、博学ぶりは伝わってくる。

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Posted by ブクログ 2017年10月09日

無意識とか不随意運動とか、生物機械論にどんどん寄って行く感じが不気味で面白い。
最後の方の刑法持ち出したりの問題提起はちょっと期待してないかな

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Posted by ブクログ 2017年08月05日

一行一行に込められた重いパンチが痛い。
ちょっと読みにくいところがあったが、読んで良かった。

43p
情動と主観的要因についての記述が良かった。

情動をあからさまに表情に出す人は内面では情動は弱く、
抑制する人は内面の情動は強い。
で、本人的には表情に出れば出るほど情動が強く、
その逆はその逆。

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Posted by ブクログ 2016年09月22日

人間は自分のことをじつはわからない。
自分のことを言語でわかる領域はすくなくその後ろに広大な無意識の野があり、そこから一部が言語化されていて、それによって自分をわかった気になってしまう。
ということを心理学実験の古典的なものをまじえて紹介。
目標、評価といったものについて今後は心理学の知見は必須科目...続きを読むになるんじゃないかな。

以下ポイント
人間の行動は潜在的認知過程に左右される。人はおもっているほど知覚・情動・行動の「本当」の理由をしってはいない。人のこころは意識と無意識の両方に強く影響されている。
顕在的(言語で語れるほど)に自分のことを自分でわかってる人はすくなく、暗黙知的に言葉にできない無意識領域で知ってる、できるケースがおおい。
で潜在記憶と顕在記憶(記憶したと自覚のある記憶)の二つが記憶にはあるが、潜在記憶は顕在記憶のごく一部にすぎない。

認知的不協和
心のなかに二つの矛盾する認知がうまれる。緊張状態になる。どちらかを解消しに行く。たいていは外的要因による認知は変えにくいので、内的要因の認知をかえにいく(津波くるかも・・とやばく認知してるけど、逃げると目立って恥ずかしいから、津波はこないだろう、、というふうに認知をかきかえる)。

自分の心ほど気づきにくいものはな。

行為者は外的要因にきする傾向がある(うまれとか)。行為者は自分についての内的てがかりよりも外的要因のほうがよりてがかりがおおいので。

帰属理論

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Posted by ブクログ 2015年05月22日

時間がなかったので、興味があるところを部分的にさらっと読み。「人は自分で思っているほど、自分の心の動きをわかってはいない」ことのいろんな事例が紹介されている本。こういったことを自覚の上で、この体を乗りこなす必要があるってことだね。
「不十分な正当化の効果」(わずかな報酬の方が仕事の魅力を増す)という...続きを読むのは、実際の生活で利用できそうだから覚えておこう。

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Posted by ブクログ 2014年12月30日

「色即是空空即是色すべてこの世は夢幻よ!」という某映画のセリフを思い出す。ヒトの認知ほど不確かなものはないということを思い知らされる。生きづらさと戦っている人はこの仕組みを理解することは、それを乗り越えるために重要であると考える。
全くもって、科学者というものはその知的好奇心を満たすためには酷い実験...続きを読むをする。しかし、そのお陰で私たちは、脳や認知について知識を得ているとはいえやはり酷いものは酷い。とは言えありがたい知識であることも否めない。
一般的に無意識と呼ばれるもの、大乗仏教で言うところの「末那識」「阿頼耶識」がありきで我々が「意識」と言っているものはとても脆弱な存在であるということが本書が一貫して述べているところだと理解する。我々は意識をしてから体を動かしていると考えているが、それは大きな誤りであり、無意識、阿頼耶識に突き動かされていると言っても過言ではない。多くの実験がその次自分を物語っている。コンピュータの世界で言うところの分散システムである。つまるところ、進化の結果獲得したからこうなっているのだろう。
目の前の不快を単純に避けることが、全体最適になっているとは限らない。また、目の前に快楽にとビクつくとも同様である。過去のトラウマ故に踏み出せないことがあったとしても、そこに踏み出さなければもっと将来的には不利益が起こることはよくある。結局のところ、「無意識」「末那識」が邪魔しているだが、これと上手につきあうことが、より良い行動につながるのは言うまでもないことである。そのためには、「無意識」「末那識」のことを知るためには本書のような実験についての知識が必要なのである。
この本から得られる教訓としては、仕組みとしての「サブリミナル・マインド」を知ることと、道具としての「瞑想」を実践することなのだろう。

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Posted by ブクログ 2012年05月02日

『自分のことは一番自分が知っている』っていう言葉を耳にするが、本当にそうなのか?
この本では、記憶や目にしたものを中心に認知的観点でかかれている。
もちろん、社会心理などいろんな分野からかかれてはいるが、認知より。かっこがきが授業の突っ込みのようで面白い。

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Posted by ブクログ 2012年03月22日

実験の話が中心で途中で飽きそうになりますが、最後まで読むと意外に収獲が多かったと。無意識のうちに...なんて表現も何気なく使っているけど、その境界は曖昧で、そもそも神経反応を指しているだけという考え方も出来るのだということが新しかった。

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