伊達宗行のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者の専門は物性物理なんだけど,歴史や文化にも造詣が深いらしく,「理科力」で日本史を見てみようという本。科学受容史といったところかな。でも網羅的でなく,話題は断片的。
天文,鉱物史,魔法陣などいろいろだが,著者は特に言語に興味があるらしい。中でも数詞について詳しい。縄文時代など,文字の記録が残っていないから推測になってしまうのだけど,想像をたくましくして当時の数のありかたを描いている。
著者の『極限の科学』が滅法おもしろかったので読んだのだが,さすが年長者だけあって博学。やはり門外漢なわけで,信憑性はいまひとつ。人生の総仕上げとしてざっくばらんに書いてみたという感じだろうか。戦国大名の伊 -
Posted by ブクログ
本書は過去の歴史のなかの個別課題を「理科」的視点から取り上げた論考であるが、興味深くおもしろいと感じた。
著者はどれの専門家ではないという。そういう場合、内容がしぼりきれずに拡散してしまう場合が多いのだが、本書では、おもしろくまとめていると感じた。著者の「伊達宗行氏」は仙台生まれで東北大学理学部卒というから、あの「伊達」の眷属なのだろうか。
「縄文の空の下で」の原人前後の内容は、すでに最新の知見ではないと感じたが、縄文や弥生時代についての論考はいろいろと多面的で興味深かった。その道の専門家でない著者の幅広い知識が伺えて、おもしろいと感じた。
「いち、に、さんではじまる現代数詞」について -
Posted by ブクログ
科学と歴史というのは以外に相性が良い。気候の変動や病原菌の突然変異、穀物類の植生等は、それだけで人類の歴史を大いに左右しうるわけで、そういった観点から歴史を読み直すのが、最近はやっているらしい。「銃・病原菌・鉄」など世界的な名著もある。
本書もその流れを汲んでおり、日本の歴史を「理科」的な視点から再構成してみようという試みは非常に立派。実際、それを本職の先生がやれば面白い本ができるのは間違いないと思うのだけれども、本書の場合は著者が物性物理学の先生なので、いわゆる「余技」に過ぎない。余技でも一級品に昇華できていれば良いのだが、いささか消化不良気味でした。