伊達宗行のレビュー一覧

  • 数の日本史

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    この本を知ったきっかけは、新聞の読書案内であるが、実際に本屋さんに行って、この本の帯に「日本人は、本当に昔から数学が苦手だったのか?」と記されていたのが買うきっかけとなった。「アレッおかしくないかな。変だな。」昔から算額が神社に奉納されていたとか、関孝和とか、塵劫記など、日本史で昔、習っていたからである。朧げな記憶では、地動説はコペルニクスより早く日本人が記していたとかいう書物もあったような気がするけど。と言うわけで読んでみた。
    読んでびっくり。古代からの数に関する記述から、世界史の中での数に関する歴史に焦点を当てて現代まで俯瞰して記してある。こう言う見方もあったのかと目から鱗であった。
    数学とは余り縁のないまま歳を重ねてしまったが、知的好奇心を揺さぶられた一冊であった。
    歴史は色々な視点から見ないといけないと、改めて思った。

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    2026年08月30日
  • 「理科」で歴史を読みなおす

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    久しぶりに理科系の本を読みました。
    この本、めちゃくちゃ面白いです。

    理系の高校生で、「歴史(日本史や世界史)を選択したものの、その学習に苦労している」という人には、是非、読んでもらいたい本です。
    きっと、歴史に対する見方が変わると同時に、成績が伸びると思います。

    そして、高校の歴史の先生にも、是非、読んでもらいたい本です。
    理系の生徒に歴史を教えるヒントがたくさん詰まっていますし、先生自身の勉強にもなると思うので、教え方の幅が広がると思います。

    実は、恥ずかしながら、伊達先生の本業である、物性物理学の研究者としての著書は、読んだことがないのですが、この本を読む限りでは、本業の本も面白そうですので、そちらも、是非、読んでみたいと思います。

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    2026年06月02日
  • 新しい物性物理 物質の起源からナノ・極限物性まで

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    講談社ブルーバックスの1冊。
    但し、狭いテーマを取り上げて解説したものではありませんし、けっして軽い読み物ではありません。

     総302頁に書かれている内容は簡潔にして高度で充分に網羅的です。
    基礎的な内容、物性物理の成果、研究の最前線のテーマいづれも盛り込まれてます。

    これは入門する人用の書。
    これ読んで簡単に薀蓄が語れるといった類の本ではないです。ザ・「最初の1冊目(総論)」。

    「物性物理学」「固体物理学」「材料学」「固体化学」...など、この世界に興味を持った、或いはこの世界(学部?製造業界?)に
    足を突っ込む覚悟の決まった若者(+もちろん年配も!)が最初に自分でお金を出して購入することをお勧めする素晴らしい入門書です。

    これから自分の前に広がってくる世界を見渡せる最初の高台。

    これでお値段1040円(税別)!

    コストパフォーマンスも最高です。ブルーバックス侮りがたし!

    選択されている各章のテーマ(下記目次参照)はオーソドックスな固体物理学入門と同様の構成になっている。

    目次
    第1章 物性物理学の誕生
    第2章 物質の起源
    第3章 物性の出発点
        3-1 電子の素顔
        3-2 原子の構造
    第4章 物質の構造
        4-1 原子の結合
        4-2 構造を決める
    第5章 電気伝導の世界
        5-1 半導体
        5-2 超伝導
    第6章 磁気の世界
        6-1 磁気学序説
        6-2 磁性体
        6-3 磁気の応用
    第7章 物性の新局面
        7-1 ナノ科学の世界
        7-2 カーボン科学の台頭
        7-3 物質からみた生物
    第8章 極限科学
        序説 自然科学の定石
        8-1 温度の世界
        8-2 圧力の世界
        8-3 磁場の世界 

     第1章にて物性物理の歴史と本分野における我が国の強さの文化的必然性に軽く触れた後、
    第2章で本書の最初の特徴である、電子からではなく、物質の起源としての素粒子(クォークとレプトン、ゲージ粒子)
    に関する記述から始まる。研究の最前線の紹介も盛り込む本書の意図を反映している。

     第3章にて量子論(3-1 電子、3-2 水素原子→軌道→原子の構造→元素)、
    第4章にてイオン結合、共有結合、金属結合等と結晶構造の記述、続いて、構造決定(観測)手法の紹介と
    標準的なテーマの進み方をする。手堅く本格的である。

     第5章、第6章でそれぞれ物性物理学が20-21世紀に多大な成功を収めた「半導体物理」と「磁性体物理」の成果
    を章の前半に記述し、後半において、現代の課題である超伝導(5章)、磁気の応用、スピントロ二クスへの展望(6章)を描く。

     基礎(1-3章)、現在までの成果(5-6章)を入門書の体裁の中で記述して、第7章 物性の新局面と題して、最新のテーマとして、ナノ科学、カーボン科学、生化学ならぬ生物理のトピックスを取り上げている。

     最期の第8章は、極低温(ヘリウム3、希釈冷凍、断熱消磁など)、超高圧、強磁場(パルス、超伝導磁石、磁場濃縮法)
    と3つの基本的な物理変数である温度、圧力、磁場の制御範囲の拡大と極限物性を描き、
    同著者の手になるブルーバックス「極限の科学」へも繋がる。

    ~前著「物性物理学の世界」と私の思い出~
     私(管理人)は、1980年代に大学(工学部)に入学しました。
     既に材料物性工学科へ進むことが決まっておりましたが、
    「はて?物性って何だろう??電子工学科や建築学科、化学科ならなんとかイメージが湧くが...。」というお粗末なものでした。
    そこで出会ったのが、同著者の手になるブルーバックス「改訂新版 物性物理学の世界」でした。
     
    「新しい物性物理」はこの旧著の単なる改訂版では無く、ほぼ新構成の本でありますが、入門書(もしくはプレ入門書)としての影響力を今でも持っているかと思う。
    どちらかというと旧著の方がブルーパックスっぽい感じ。新著の方がより本格的(やや硬めになった)かな。

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    2013年04月28日
  • 極限の科学 低温・高圧・強磁場の物理

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     物性物理の魅力がひしひし伝わってくる。扱う三分野(温度・圧力・磁場)は,20世紀初頭から極限条件が追及されて特に大きな成功を収めてきた。それが物質の本性の解明に結びついてきた。
     低温・高圧・強磁場を突き詰めてゆくと,量子力学が不可欠になってくる。超電導を含めた超流動,ボース・アインシュタイン凝縮。白色矮星や中性子性の成り立ち。最終章で宇宙に見られる超高圧・超強磁場が語られるけど,人間が作り出す低温・高圧・強磁場も結構すごい。
     温度だとマイクロケルビンまで達成できるらしい。He3-He4希釈冷却法,断熱消磁やレーザー冷却など,超低温を得る技術というのも随分トリッキーで興味深い。圧力は百万気圧くらいは地上で得られるようだ(ダイヤモンドアンビル)。このような高圧では絶縁体も金属になる。
     強磁場では,数字だと大したことないが数百テスラくらい。電磁石でいくらでも強い磁場ができるわけではなくて,50テスラ程度のカピッツァ限界というのがある。コイルをどんな材料で作ろうが,これより多く電流を流すと破断して飛び散ってしまう。一瞬であれば電磁石でつくった磁場を絞る磁場濃縮法でパルス的に500テスラが得られる。
     それにしても宇宙は壮大だ。中性子性など,圧力は10^15気圧,磁場は一億テスラになるという。そこでは中性子が超流動状態になっている。想像を絶する世界だが,さらに上にはブラックホールが。宇宙の果てのそんなところまでこんなに知ることができるなんて,科学ってすごい。

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    2012年07月03日
  • 極限の科学 低温・高圧・強磁場の物理

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    「すべての科学はなんらかの意味で極限を目指している。」
    認識量と到達量。
    ナノメートル以下は制御可能ではない。
    オングストロームは、制御できないが、認識量として観測できる。
    低温物理学、高圧物理学、強磁場物理学を統合。
    時間の極限
    電場の極限。
    強電場を作ると、物質がブレークダウンという現象を起こし、強電場をつぶしてしまう。
    そのため、温度、圧力、磁場、宇宙へと話は展開する。

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    2012年03月02日
  • 極限の科学 低温・高圧・強磁場の物理

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    低温、高圧、強磁場の極限の実現の歴史、方法から、そこで現れる驚きの物理現象まで、非常に高度な話しが平易に書かれている。何箇所か前著「新しい物性物理」を参照と出てくるのが残念だが、枚数制限があるので仕方ないか。

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    2010年04月20日
  • 数の日本史

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    ネタバレ

    縄文時代から現代までの数の歴史。明快かつ面白い。
    ・縄文遺跡から縄文尺(35cm)が三内丸山や高麗を含め環日本海で一般的。長野では40cmも。
    ・古代日本語の10は「とお(そ)」。みそ日、やそ等。10進法だが「はた」に一部20進法。
    ・班田収授等により役人の数学能力が向上。算博士は下級官僚。
    ・算博士が家学になると衰退。
    ・室町時代に土倉の金融業の発展等により実用数学。
    ・吉田光由1927「塵劫記」は中国の数学の教科書を吸収・日本に適用させ、初学者にもわかりやすく算盤計算方法も懇切に示したベストセラー。昭和になっても使われた。小学校の頃使った参考書に塵劫記の数の命名が複写されていたのを思い出す。
    ・関孝和 立体の区分求積法を考案したが積分とまでは言えない。多元高次方程式の算木と筆算による表記方法と解法を考案。
    ・菊池 大麓 箕作 秋坪の子にして9歳で蕃書調所の教授助。英国留学し数学と物理の学位、数学はケンブリッジ首席。明治の数学の確立者、和算史編纂。

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    2026年04月03日
  • 新しい物性物理 物質の起源からナノ・極限物性まで

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    電子は粒子であり波であるということは知っているはずなのに、頭の中に思い浮かべるのは粒子の姿であることがほとんどだ。
    だが、電子が原子核を周回するとき。電子が波であることを改めて意識してからK殻、M殻、s軌道、p軌道を考えてみると、その意味がようやく理解できる。

    本書は陽子数、中性子数などの基本的なところからアップクォーク、ストレンジクォークなどの複雑なところまで。電子の世界から改めて物理の世界を学ぶための教科書。
    入門書と言うには説明不足で難易度の高い局面も見受けられるが、ガラス・カーボンナノチューブ・ATPなどの具体的な事例も豊富でとっつきやすい。

    日常世界と地続きである電子の世界のスケールは、量子力学の入門として最適だ。新書サイズで読み切りやすく、深く悩まずに手に取って良い一冊だろう。

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    2019年03月10日
  • 「理科」で歴史を読みなおす

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    歴史に興味はあるけれど、教科書を読んでも頭になかなか入ってこなかった中高生の時に出会いたかった本。「数字」「鉄」といった具体的で普遍的な事象から歴史を眺めることは、歴史をイメージする手助けとなる。

    「理科で歴史を読み直す」には、以下の二つの意味があると私は解釈した。
    1.人々が数字や科学をどのように身につけ、利用してきたかをひもとくこと。(自然科学の歴史に焦点を当てる)
    2.歴史を自然科学の知識から読み解くこと。(歴史を自然科学を用いて解明する)
    もちろん両者は切っても切り離せないものだが、とくに後者のアプローチがこの本のユニークな点だと思った。

    歴史研究の中心は文献史料の分析だが、当時のことを完全に理解しようと思えば「書かれていないこと」も知らなくてはならない。それを読み取るために、「理科」の知識はとても役に立つ。
    たとえば、鉄が世界史に与えた影響は銅よりもはるかに大きく、火の発見に次ぐほどのものだという(p.77)。そのことを知るためには、鉄の特質を考えることが助けとなる(筆者によると鉄は「知的複合体」)。

    昔の人々は、近代科学を持たなかった分、自然の法則を敏感に感じ取り、知識を得ていたはずである。「理科」的思考によって、史料には現れない、当時の人々の見えない行動基準について想いを馳せることも歴史の醍醐味なのだと思った。

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    2017年02月11日
  • 「理科」で歴史を読みなおす

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    歴史を動かしてきたのは、政治や経済だけではない。
    数学的知識、暦の作り方、冶金技術など広い意味での「理科力」こそ、人間を人間として進歩させてきたものだ、という著者の主張です。
    特に縄文時代の天文学の記述を知りたくてこの本を読みました。
    結果として、世界最高水準の技術で作られた奈良の大仏のことなど、また、新しい情報を得ることができました。
    途中、あまり興味がないところは飛ばし読みしてしまいました(笑)。

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    2016年04月26日
  • 新しい物性物理 物質の起源からナノ・極限物性まで

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    他の方のレビューとはだいぶ違う感想を持った。この本は特に網羅的でもなければ厳密でもない。例えば本書で1章が充てられている超伝導と並ぶ,物性物理学上の潮流である電子構造の大域的な性質に基づく物性(量子ホール効果等)について書かれていないし,モット絶縁体についても然りである。要するにこれは,筆者の興味の赴くままに書いたという事だろう。
    ついでにケチをつけるならば,物理学上の非常に基礎的な概念の解説が始めに書かれているものの,後半部に行くにしたがって高度な応用について述べられており,残念ながらそうした知識はあまり役に立たない。
    しかしまあ,多少物理学を知っているならば,間違いなく読んでいて非常に楽しい本である。

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    2013年05月10日
  • 極限の科学 低温・高圧・強磁場の物理

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    物理量の計測に関してフルスケールの両端に注目して概説した本。特に圧力の項が参考になった。会話?調文体で、リズムをつかむのに若干とまどったが、2回目を読みはじめたら急にすんなりと頭に入ってきた。結構癖がある。新しい物性物理とペアで読むとよりよいみたい(宣伝が多かった)。
     究極の両端の話の次には、ミッドレンジ、圧力で言えば100MPa前後、の計測はどうなのかといった話題の本も是非期待したいところ。

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    2012年06月22日
  • 極限の科学 低温・高圧・強磁場の物理

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    低温・高圧・強磁場の話。
    いろんな世界が見えておもしろいです!

    新書にしてはなかなか内容が濃くていいと思います。
    さすがブルーバックス!

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    2012年05月26日
  • 新しい物性物理 物質の起源からナノ・極限物性まで

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    正直に言って、決してわかりやすくない。
    が、非常に多岐にわたる物性物理の内容それぞれについて、原理原則に終始せず、それがどのように実用に生かされているかが述べられており、その結果非常に広範囲にわたってさまざまな話題が扱われている。
    これを読めば物性物理がわかるという本ではないが、いろいろなことに興味をもつきっかけを与えてくれるつくりになっている。

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    2012年01月27日
  • 極限の科学 低温・高圧・強磁場の物理

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    科学のすばらしいところは、極限の追及を目的化できることであるとおもう。
    本書は温度、圧力、磁場の極限をブルーバックス読者に通じるように解説していく。
    私にとってここでの最大の発見は現代の物性物理学の応用範囲として「ホット」なのは「高温」ではなく「低温」であるということ。人類は高温は数千年前から使用していたが、「低温」をつくることを覚えたのはここ200年ほどであるということ。そもそも、-100度のものを作るには-100度以下の触媒を用意しないといけない。「どうやってそんなものを作るのか」ということが理解できる。
    絶対零度には到達できないということは証明されているとしても、そこに限りなく近づけ、そこでの物性が超伝導や超流動状態になり、その応用やそもそもそれが実現できたとき「世界」や「宇宙」がどう変わるのか。
    極限の先に何があるかを知りたいというのは人間の性であろう。
    おもしろい。

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    2011年07月23日
  • 「理科」で歴史を読みなおす

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    読後の感想は、「久々に読み応えのあるちゃんとした新書を読んだなぁ~」というもの。

     私が大学生の頃、新書と言えば岩波新書、中公新書、講談社現代新書が御三家で、卒業する頃に集英社などからも出るようになったと思います。当時は今のように各出版社から多数の新書が出ている状況ではなく、一冊一冊がかなり重みのある作品が多く、一般教養書としてとても重宝しておりました。しかし今は粗製乱造というのか、本当に読んで良かったなぁと思う、かつてのような重みのある新書は少なくなった印象を持ちます。そんな印象が多い中、この『「理科」で歴史を読みなおす (ちくま新書)』は私の知的好奇心を心地よくくすぐり、そしてタイトル通り歴史の読み方に別の視点、「理科(=理系的な分析)」を与えてくれます。

     縄文人が見ていた夜空の星と、現在の我々が見ている星空が異なるというお話しや、弥生文化との入れ替えなど、興味深いお話から始まり、現在のレア・アース問題もびっくりするような日本の金銀産出とその流出の歴史(全く今考えるともったいない話です・・・)、そして数の話など、とても興味深い話がたくさん出てきます。そしてまた文章も簡潔でわかりやすく、飽きのこない書き方で魅了してくれます。

     中でも最終章の「アルスの世界-科学と芸術の接点」は、科学が如何に発展してきたか、そして芸術と科学がどのように分化していったかというところが、科学者としての著者の深い考察の中で示されています。

     現在は様々な方面の分野に専門的に分化した時代。しかしかつてはそういった分化したものではなく、“アルス”という知的好奇心を満たす大きな未知の世界の探求があり、芸術的な分野と科学の間を行き来する知の巨人が数多くした時代。それゆえに芸術的とも、科学的ともいえる大きな発展や発明を担うことができたのでしょう。
     ネット時代になって、情報が錯綜し、正負入り乱れる情報の海で難破する方も多く見うけられると思います。情報の海に溺れないためにも、ぶれない一つの視座がほしいところです。本当の“知”とはどんなものか、お時間のない方は最終章だけでも読むことを強くお薦めいたします。

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    2010年12月02日
  • 新しい物性物理 物質の起源からナノ・極限物性まで

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    [ 内容 ]
    量子論、相対論の融合から始まった物性物理学によって、身の回りに存在するあらゆる物質の本質が明らかにされてきた。
    半導体、液晶、超伝導などの新物質を創り出し、ナノテクノロジー、極限の世界を切り開く物性物理学の最前線に迫る。

    [ 目次 ]
    第1章 物性物理学の誕生
    第2章 物質の起源
    第3章 物性の出発点
    第4章 物質の構造
    第5章 電気伝導の世界
    第6章 磁気の世界
    第7章 物性の新局面
    第8章 極限科学

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2010年05月23日
  • 極限の科学 低温・高圧・強磁場の物理

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    温度、圧力、磁力の極限の物理現象について説明
    人間はどこまで到達しているのか
    究極には宇宙、存在そのものへの問いにつながる営み。

    認識限界と到達限界の概念。

    低温については、認識可能な限界と到達した限界が一致している。
    (ボーズアインシュタイン凝縮状態)

    圧力については、ブラックホールを最大と考えるとまだまだ遠い
    磁力も同様。ただし、磁力は物理的に見るべきところは大体おわっている。ただ、あと2桁限界を伸ばせば、物質を壊せる?

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    2010年05月13日
  • 「理科」で歴史を読みなおす

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    日本語の数表現は多彩。「ひ」「ふ」「み」の和数詞と中国期限の現代数詞が混在する。その現代数詞もよく見ると呉音と漢音が混在する。数の歴史は日本の歴史でもあることに気づいて実に興味深い。

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    2012年01月22日
  • 極限の科学 低温・高圧・強磁場の物理

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    ちょっと難しいけど、めっちゃ面白い。
    高圧によって、すべてが金属に・・・。
    教養として、目からうろこの科学。
    そうかぁ・・・、自分の興味は「極限」だったんだなぁ・・・と改めて知りました。

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    2010年03月30日