鈴木伸元のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西欧では「個人」が集まって「市民社会」を作ってるのに対して、日本は個々人があいまいな「世間」によって成り立っている。
「世間」においては人権や権利はない。あるのは「お互い様」という関わりだけ。
たしかに、「世間」て日本特有の意味を持った世界観かもしれない。
こんな世界だと、加害者個人だけではなくその家族が叩かれ生きづらい思いをする。自分が今まで通り生活してはいけないんだと思ってしまう。
少年犯罪の親とか加害者が犯罪を起こすにあたって責任がある立場の家族もいるとは思う。でも、関係ない家族まで生きづらくなるのはつらいな。
被害者家族とか、別の事件で被害にあった方の関係者であれば加害者家族に対し -
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■日本の刑務所では性犯罪者が再犯をしないように「指導」が行われている。プログラムはオリエンテーションの後,5つの項目について行われる。
①自己統制:事件につながった要因について検討,特定する。
②「認知のゆがみ」と変容:偏った考え方を修正させる。
③対人関係:対人関係における問題点を改善させる。
④感情統制
⑤共感と被害者理解:被害者の苦しみを考え他者への共感性を高めさせる。
■性犯罪者が軽々と乗り越える「4つの壁」
・第1の壁「謙譲な性的はけ口」:パートナーとの交際などによって満たされている対人関係
・第2の壁「内的なバリアとしての良心」:合意のない相手に性的な関係は強要しないなどの通常の良 -
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犯罪者を抱える家族がそのあとどのような結末を送るのかが克明に描かれた一冊。
はっきりいって、犯罪者家族の末路はどん底そのもの。
もう死ぬしかないぐらい、生きる場所も希望もない。
”家族に犯罪者がいる”というステータスがつくことで、周囲の人は離れていき、頼みの綱である親友や知人にすら見放される。
極め付け恐ろしいのが、ネットやマスコミからの猛バッシング。
毎日カメラを持ったマスコミ関係の人らが押しかけ、騒がしくて落ち着かない毎日。
ネットやSNSで犯罪者を知った他人らからの嫌がらせや批判が絶えない。
もはや、地獄そのもの。
もし自分が犯罪を犯したらと思うと、ゾッとする。
果たし -
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犯罪による被害者とその家族は報道などによって二次被害を受ける。それは加害者家族も同じだ。とはいえ、被害者側を保護するのは当然という世論に比べ、加害者側を保護すべきかと言うことに対して、賛否ある。
著者は殺人事件を犯した者の妻へ取材する。妻は「夫の犯した罪なのだから、私や子どもには関係がない」という気持ちを持ち続け、被害者へ謝罪をしていない。しかし、事件のことを考える日々で自分が夫の気持ちに気づかなかったことに反省するようになる。果たして、こうした形で加害者家族が責任を感じるのが被害者にとって、良いことなんだろうか。
また、宮崎勤の父親は自殺し、仕事を辞めた家族もいれば、婚約を破棄した家族も -
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今までこの視点から書かれた本は少なかったと思う。
仕事柄、加害者側の家族と出会うことが多い。加害者家族にも責任があると感じた事件は少ないように思う。
今でも昔担当した加害者の家族と付き合いがある。親がいない加害者の兄弟とは今でもご飯に行くし、加害者自身とも友達のような付き合いをしている。
罪を犯した以上、それなりの罰は受けるべきだとは思うけれど、社会復帰ができる環境には置かせてあげたい。それが加害者家族ならなおさらそう思う。
加害者家族に対する攻撃は、想像力の欠如だとしか言いようがない。
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#2017年21冊目 -
Posted by ブクログ
ネタバレ排他的で偏見に満ちた思想、鬱屈した社会のストレスの捌け口、日本人の心の余裕のなさを感じた。
アメリカでは高校で銃乱射事件をおこした犯人の母親の元に電話やダンボール2箱分の手紙が届き、その内容はどれも加害者遺族を激励するものだったそうである。
日本も見習うべき、とまでは言わないが、国民性でここまで違うと言うのは非常に興味深い。
殺人事件で旦那が逮捕され、小学校低学年の息子を守るため、転校を繰り返させなければならない妻。友達にさよならを言わせることすらできない。
最後に学校を見たいと言った息子を真夜中の小学校の校庭で遊ばせる描写に心が痛んだ。
また、家族間で殺人が起こった場合には加害者、被害者両方