【感想・ネタバレ】性犯罪者の頭の中のレビュー

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Posted by ブクログ

性犯罪者の犯行動機や性犯罪の実態、再犯防止の可能性やその手段について、実際の加害者の声を交えながら記した1冊。性犯罪というと加害者の場当たり的な(突然ムラムラして、とか)性的欲求に根差していると思われがちだけれども実際は全く違う。性犯罪はゲームのような感覚だったとある受刑者は言う。「あらゆる手掛かりを探し、様々なケースを推察・想定したり、環境を十分に把握してシュミレーションしたりして、自分の能力を使って犯行の絵を描いていく」「犯行がエスカレートしていくにつれて経験値が増え、自分がレベルアップしていく感覚があった」そして性犯罪は過度のストレスが引き金となって行われることが殆どで「性犯罪の被害に遭うのは女性が露出の高い服を着ていたせいだ」というは見当違いも甚だしい誤った理論だ。当然「女性は嫌がりながらも本心では喜んでいる」といった論も加害者側の認知の歪みで間違っている。受刑者らによると性犯罪を重ねるうちに自分で辞めようと思っても辞められず、かえって逮捕されてほっとしたという声もあって、性犯罪は行為依存という病気の側面もあるように見受けられる。刑期を終えて出所した後、彼等は「また性犯罪をしてしまうのではないか?」と怯えて暮らす人も少なくないようで不安のあまり自殺してしまった元受刑者もいるとのこと。一番の課題はやはりいかに再犯を防ぐか?だ。刑務所の管轄で更生プログラムは実施されているが欧米と比べて質と量において不十分ではないかと受刑者自身が危惧している。アメリカでは薬物を使って男性ホルモンを抑制させる「化学的去勢」や性犯罪者についての情報公開を定めた「ミーガン法」、韓国ではGPSの装着を義務付けるなど対策は行われている。それぞれのやり方に一定の効果はあるだろうけれど、本書の最後にまとめてあるように性犯罪者を孤独にしないことが一番の再犯防止だと私も思う。

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2019年09月25日

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■日本の刑務所では性犯罪者が再犯をしないように「指導」が行われている。プログラムはオリエンテーションの後,5つの項目について行われる。
①自己統制:事件につながった要因について検討,特定する。
②「認知のゆがみ」と変容:偏った考え方を修正させる。
③対人関係:対人関係における問題点を改善させる。
感情統制
⑤共感と被害者理解:被害者の苦しみを考え他者への共感性を高めさせる。
■性犯罪者が軽々と乗り越える「4つの壁」
・第1の壁「謙譲な性的はけ口」:パートナーとの交際などによって満たされている対人関係
・第2の壁「内的なバリアとしての良心」:合意のない相手に性的な関係は強要しないなどの通常の良心
・第3の壁「機械の欠如」:加害対象となる子供や女性と接触する機会がないという状況
・第4の壁「被害者の抵抗」:目の前の相手が嫌がる行為をしないという判断

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2019年04月14日

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性犯罪→性欲のみ というバイアスに異を唱える書。複数の事例を取り上げ、浅く広く多角的に性犯罪者を分析していて勉強になった。

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2015年08月23日

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罪を犯してしまった者たちと罪を犯さないでいる者たちの差とは何なのか。
様々な事が数値化され、徹底的に分析されている。誤解を恐れずに言うと実に興味深く、また恐ろしくもあった。意外と普通の男が性犯罪を犯しているという……。
心の闇に迫る良書である。

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2024年01月24日

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ネタバレ

性犯罪=男性から女性への犯罪 と考えがちであるし、事実、法律もそのようになっている。しかし、性の多様性が叫ばれる今、法律を見直す必要を考えさせられる。
性犯罪は性的欲求の表れというのも安易な考えである。窃盗を犯すものが皆、金に困っているわけでは無いと考えられるのになぜ、性犯罪は性的欲求が爆発したものだと考えるのか。
報道される事件についてもその背景にまで考えを深めたい。

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2022年09月25日

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性犯罪者との交流から知った、彼らの独特の考え方や物事の捉え方を書いている。被害に合うか合わないかは、こういう人たちと出会うか出会わないかの違いでしかないのだなとぞっとした。

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2022年09月13日

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性犯罪とは性欲から生まれるものばかりでない。
異性に対する支配欲や自己顕示欲、また社会的ストレスを多く抱える人ほど性暴行に及ぶのだ。

特に興味を惹かれたのは、性犯罪を犯した者は皆、自分の犯した罪に対して「なんであんなことしてしまったんだろう」と後悔の気持ちを抱えていること。
ストレス社会に疲れ切っているオモテの自我と、その腹癒せとして計画的に性犯罪をこなしていくウラの自我。ストレスや支配欲が強い程、ウラの自我はあっという間にレベルアップしていき、オモテの自我ではコントロールしきれない存在になっていた。
彼らは逮捕されてやっと気づくのだ。

さらに凄いなと感じたのは、逮捕された後刑務所で過ごす内に、性犯罪者達はかなり緻密に自己分析ができるようになっているケースが多いことだ。その点に関して、性犯罪者に一つの憧憬を覚えた。自分はこういう人間だと、自己分析をしっかりとできる人が、この世界にどれほどいるだろうか。

著書では主に性犯罪者の心理について語られている。被害者についても少しは触れているが、あくまで立っているポジションは性犯罪者側である。よって我々一般人には少々理解できない感情や精神状態も表現されており、個人的にはそれがまた面白かった。

最後に一つ言うならば、海外の性犯罪事情も詳しく知りたい。著書にはそれに関することは述べられていない。日本と海外では性認識にどれほどの差異があるのか、性犯罪に至るまでの経緯など、興味深いことだらけである。

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2017年05月30日

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私も世間同様の思い込みがあったので
なかなか新しい観点と面白く読んだ。
でも、せっかく実際の加害者と話したなら
逆にどういう対応を被害者側がとれば
未遂で終わらせられる可能性があるか、
という役に立つ視点の問いが欲しかった。
多分取材担当が男性だからだろうけど、
自分でもやめたいと思う人たちが多いならば
万が一襲われた際にそのやめたいスイッチを
そこで入れられるきっかけが知りたい。
ないのかもしれないが、あるかもしれないし。

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2016年08月06日

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報道の情報は性犯罪=性的衝動というイメージを与えてくるが、それは「神話」に過ぎない。加害者本人はもちろんだが、私達も性犯罪に至るプロセスを分析・理解する必要がある。それが性犯罪者の更生や再発防止に繋がるのではないか。
しかし、性犯罪には未だに解明されていない部分が多く、たくさんの課題があるのだということを思い知らされた。

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2016年06月22日

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過去にこの手の事件を担当したことがあり,なぜこの犯罪を犯したのかと山ほど話し合ったが,結局最後まで理解できなかった。もう少し早くこの本と出合いたかった。

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2014年10月16日

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(簡潔)
○犯罪者の更正やその心理等についての著作の多い鈴木氏の作品。
○性犯罪者へのインタビュー等を踏まえ、その犯罪に至る経緯や動機、更正手法の提言などを行っている。
○なぜ「フツー」の人が犯罪に手を染めるのか、生々しく伝わってくる。

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2014年08月29日

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男の人は性欲でなくて可能性で勃起することがあると宇多さんがゆうてたけど、なるほどなあ。
日本でも外科的去勢、化学的去勢を導入すべきと思うけど。女性の政治屋がもっと増えないと無理?
赤線復活したらええんか。うーん…

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2014年08月18日

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帯に「性欲じゃない。これはゲームだ!」とあるように、性欲由来と思われがちな諸問題をあぶり出した一冊。累犯の多さや認知の歪みについても、成る程と深く納得。
となると、再犯防止策について是非とも知りたいところではあるが、その辺はなかなか難易度が高そうではあるが、それは性は実存と切り離しては考えられないから故なのだなぁ。

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2014年06月14日

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★★★
今月6冊目
思ってるキモオタみたいな奴が犯人より高学歴、会話も普通で人当たり良い奴が犯人て事が多いらしい。これは病気みたいなもんで再犯率は高く、教育が大切だそうで。

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2023年04月15日

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ネットの記事で紹介されていて読もうと思って読んだ本です。

自分で読むと決めて手に入れ読んだのはいいのですが、読んでいる間「訳が分からん
」と頭が沸騰しそうになりました。

様々な受刑者の例が出てきて、実際どう思い、どう行動し、どう性犯罪へと向かって行ったかがわかる本でした。しかし、その心理は私には分からず、何度も頭の上にクエスチョンマークを浮かべたのです。
これは共感できるかなぁ。と思ったのは「やめられない自分」を止めるために自殺という点です。やめようとしている意思の強さがまだ理解できます。
抵抗されても「喜んでいる」と思いこんだり、性犯罪を「スキルアップ」の道具とみなしたり。その能力をもっとほかの所に生かせればいいのに…と読んでいて何度も思いました。それだけ性犯罪をされる方の多くが事前の下調べが充分にされていて、いかに捕まらないように気を配っているか。その緻密さ、仕事に生かしたら、いいんじゃないかなぁ?!と本当に何度も思いました。でも、仕事じゃ満たされないのでしょうね。彼らは。また、生きるか死ぬかと言う状況の時「死ぬ位なら性犯罪を。」と思うのが闇が深いなと思いました。生きるか死ぬかのメンタルの時に「性犯罪」が選択肢に出てくるあたり本当に闇が深いです。
性犯罪なのだから性欲のコントロールで話が済むかと思ったら、全然そうじゃなかった辺りもため息が出ました。
性犯罪、被害者には非は全くありません。加害者が100%悪いです。
彼らが校正プログラムにつながり、再加害がない事を祈ります。

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2020年09月25日

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通常理解の及ばない性犯罪者の考えへの取っ掛かりが得られた。性犯罪は衝動的ではなく計画的な場合が太宗というのも新たな知識だった。犯行が徐々にエスカレートしていく事や、再犯への陥り易さ、そして一部で言われている被害者の人の責任論は何ら無根であること等を、理由にも触れながら論理的に説明されている。
結局考えていることは分かっても何ら理解は出来ないが、対策を考えるべきではあるだろう。

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2020年02月16日

Posted by ブクログ

NHKスペシャルの担当者が、性犯罪累犯に取材した内容を軸に、性犯罪者の心理を解き明かそうとしている。
分析的なところは、多くが大阪大学・藤岡淳子教授の著作と取材結果に依っているので、そり深く掘り下げたければそちらを読んだほうが良いかもしれない。
『性犯罪者の動機は、性欲だと思うと見誤る…』という話は耳目を引くし、そういう部分もあるということは納得したけれども、やはり性欲、動物的な獣のような欲求に支配されての犯罪であるパターンも多く登場した。
「アダルトビデオの模倣」が動機になっているのは、強姦を犯した少年では50%にのぼるらしい。
身分制社会が性犯罪の素地になっていたのではないかという著者の見方は賛成。

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2020年01月22日

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性犯罪者は、見た目気持ちの悪い変な人というイメージがあるが、多くは普通に働いている社会人であり既婚者も多く、会話もきわめて普通。ムラムラより計画的が殆ど。

許せない! 厳罰を! が先に立ちますが、冷静に、そうならないような仕組みをどう作るか、なのでしょう。

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2017年07月16日

Posted by ブクログ

タイトルはキャッチー。内容は広く浅い。もっとつっこんだ取材で「頭の中」の深みが読みたかった。そもそも無いのか。

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2015年06月30日

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性犯罪は性欲と暴力を以って成されると思っていたが、緻密な計画性、鋭い観察力、強い達成欲が必要で、知的と言ったら「知」に失礼だけれど、頭脳的な能力も必要なのだと知りました。
問題はその頭脳の働きが、卑怯な、まさしく卑怯な方向で行使されること。
魂の殺人を許す気はさらさらないけれど、性犯罪は本能の暴走であり、基本は衝動だと思っていたら、逃れることも減らすこともできないと思います。

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2014年09月19日

Posted by ブクログ

性犯罪=「性欲からくるもの」ではないことが分かった。社会の中で起こる鬱屈とした感情の吐き出し口として半社会的な行動をしたい、また誰かを服従させたい。そういった性欲だけではない動機があることを理解することが、加害者の抑止、更正に繋がる。性犯罪に限らず出来事の本質を考えなければ、根本の解決にはならない。そういったことに気づかせてもらえた。
最も心に残る言葉が記されていた。「人間の行為の動機は犯罪であれ、恋愛であれ、職業選択であれ、根底の根底でまでゆけば言葉にならないものであろう…(中略)語り得ぬものを語ろうと試みることに、何がしかの価値がある」。性犯罪は加害者にしろ、被害者にしろ、またその家族にしろこう言った思いを抱えているのではないかと感じた。彼らの言葉にならなかった思いを読者に伝えようとしたことにこの本の意義が感じられた。

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2014年06月07日

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