南房秀久のレビュー一覧
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“やがて、いいにおいがキッチンの方からしてくると、セルマが大きな皿を持って現れました。
テーブルにドスンと置かれたのは、ハチミツであまく味付けした卵たっぷり、ベリーと木の実入りのふかふかパンケーキ。もちろん、かくし味は月光草の朝露です。
朝露は月の光をすいこんでいるので表面がキツネ色にきらきら光っています。
「三人なら、ちょうどいい量だね。」
レンガナイフでパンケーキを切り分けます。
最初に口に運んだのは、やっぱりトリシア。
パンケーキは口の中でとけ、ハチミツのかおりが広がります。
セルマの料理は、街一番なのです。”
美味しそう…。
“「わたしが中に入って、二人を守る。」
「お前まで危険に -
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“「うう、わかってるわよ。でも、せっかく覚えた魔法だもん、使いたいじゃない?」
トリシアはくちびるをとがらせました。
「ともかく、あなたはお仕事以外で魔法を使うのは禁止です!」
キャットが宣言します。
「まったく、どうしてあなたが診療所のお仕事だけはちゃんとできてるのか、不思議でなりませんわ。」
「た、確かに。」
レンはぷっとふき出しました。
ふつうの魔法は苦手なトリシアですが、治療に使う魔法だけはなぜか失敗しないのです。
「あのね!その言い方だと、わたしは毎回魔法を失敗してるみたいに聞こえるでしょ!」”
さらに子供向けになったなぁと思いつつ。
“「ベルにだきつかれた時、にげなかったじゃな -
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“泣き笑いの表情になる少女。
「みんな、みんな大好きです!」
「記憶を取りもどす方法、絶対見つけるからね。」
トリシアは少女にちかう。
「これでも医者としちゃあマシなほうだから、期待して待ってていいよ。」
トリシアの肩に手を置くおしゃべりフクロウ。”
ようやくにしてまさかの最終巻。
といっても、続編が出てもおかしくない普通の終わり方だけどね。
“トリシアは舌を出す。
「緊張して、何かしゃべってないと気を失いそうなんだってば。」
「大丈夫、ダンスならちゃんとリードするよ。」
前にセルマから特訓を受けたことのあるレンは、頭の中で必死にステップを思いだそうとする。
「足ふまないでよ。」
「君こそ -
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“「双方の主張は聞きました。王立医学会は、トリシアが医学会の医師の方がたと同じか、それを上回る技術と知識があることを証明できれば、医学会に加入させ、トリシアの診療を認めること。これが王国裁判所の決定です。よいですね?」
「さすがは殿下。公平な判決です。」
医学会代表はニヤリとする。
「では。トリシアは医師としての腕を証明するため、王立医学会の審査を受けるように。審査が終わるまで、トリシアは人間の患者に対しての一切の医療行為を停止。その身がらは白天馬騎士団に預け、監視するものとする」”
てっきり最終巻かと思いきや、そうでもないらしい。
“革ぶくろの中身は、宝石にいろどられた小さな銀の鍵だった -
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“「わたしの診療カバン!」
トリシアはカバンをだきしめた。
「さし当たって必要なものは、そこに入っておるはずじゃよ。」
と、レプラコーン。
「これ、どうしたんです?」
トリシアがカバンにほおずりしている間に、レンがたずねた。
「もしやと思って、診療所に住むネズミたちに、屋根裏まで運んでもらっておいたのじゃよ。正解だったのう。」
「ふふふ、これで完ぺき!レン、キャット!始めるわよ!」
診療カバンと白衣を手にし、元気になったトリシアは宣言する。
「診療所を立て直すために、患者さん倍増計画を!」
「……わ、私たち、いつの間にか手伝うことになって……。」
「いる……みたいだね。」
と、顔を見合わせるキ -
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“「ほう、自分のほうがかしこいと?」
ショーンは、魔神と同じように腕組みをする。
「あ、当たり前だ!」
と、魔神。
「謎かけに強いと?」
「もちろん!」
「どんな難しい謎でも、お前は答えられると言うのだな!」
「無論だ!我こそは謎かけ魔神!あらゆる謎と、その答えを知る者だ!」
「では、こっちの出す謎に答えることを、おそれることもないだろう?」
「いいだろう!どんな謎でも答えてやる!」
「じゃあ、ぼくらの出す謎に答えられなかったら、ここを通してもらうぞ!」
「面白い!勝負だ!問題を出すがいい。」
「では、たずねよう!」
ショーンは魔神の鼻先に、人差し指をつきつけた。
「魔神よ!次にお前が出す謎に -