紀藤正樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
著者も言うように、相手を言いくるめた者勝ち、強く言った者勝ちという風潮には常々疑問を感じています。
議論とは、意見の異なる人を攻撃することではなく、意見を交わし対話を進めることで相互理解を深め、合意形成に向かうプロセスです。
私は議論はあまり得意ではありませんが、人格攻撃ではない正当な議論の術を身に付けておくことは、処世の上でとても大事なことだと思ってます。
著者は本書で三段論法の重要性を説きます。
演繹法ってやつですね。
その基本的な仕組みは、「大前提」に「小前提」を入れると「結論」が出る、というもの。
全ての人間は死ぬ→ソクラテスは人間である→ゆえにソクラテスは死ぬ、っていう有名なアレです。
だから、そもそもの大前提がおかしかったり食い違ってたりしたら、結論がおかしくなったり食い違ったりする、ということになります。
大前提は「価値観」とも表現出来るもので、そこが異なる人との議論には念入りな戦略が必要になるわけです。
ちなみに、「それはあなたの主観ですよね」というセリフは、論理の希釈であり議論からの逃避ということになります。
そもそも各人の意見とは個人の主観や価値観に基づくものなので、そのセリフを吐いた時点で歩み寄りが出来なくなり、議論にならなくなってしまうので要注意です。
あとは、小前提となる事実について、特殊事例をあたかも一般的な事例のように拡大解釈するのも間違いのもとなので、気をつけたいものです。
陰謀論やデマや詐欺から身を守るためにも、相手の言うことを鵜呑みにするのではなく、正しく議論をするスキルは必要です。
いい勉強になりました。 -
Posted by ブクログ
昨今の裏金問題やら、兵庫県知事選のPR会社のSNS運用問題などのニュースには
興味をもって接していたのだが、うわっつらしかわかっていない、ということが
この新書を読んでよくわかった。
PR会社の活動の何がいけないか、根本的にはわかっていなかった。
この新書では、
公職選挙法、政治資金規正法、政党助成法、刑法、国会法、地方自治法)と、これらの法律の大前提となる日本国憲法を「政治六法」と呼んでいる。
著者の造語だ。
しかしこれらを読み込むと、選挙の何たるものかがよくわかる。
政治活動との違いのグレーさもわかる。
前述のPR会社は、SNSでの運動を、当初は有償で請け負ったように
Noteに書いていた。これは公職選挙法に触れるのだ。
でもなんで?政治には金がかかる、だから裏金も作る、政治献金も受ける、
政党助成金ももらう、そんな金まみれが当たり前の政治で、
なんでPR会社が選挙を有償でてつだってはいけないのか、ぴんと来てなかった。
それは、公職選挙法は、金持ちが勝つ選挙を許さない、という建前で成り立っている
からなのだ。
使っていい金を極端に制限し、平等に、政策論争だけで選挙戦を戦う、
そういう建前なのだ。
だから、PR会社にお金を出して手伝ってもらってはいけないのだ。
・・・裁判では結局払ったのはポスター代であって、SNS活動費ではない、
ということになって無罪になりそうだが、そんなわけはない。
そもそも選挙活動期間中だけを平等にしたって、
日ごろの活動の資金の有無で数年に一度の選挙にはえらい差が出る。
そもそも無所属には政党助成金なんてないのだから。
なんだか建前が先行しているのが法律。
しかし著者はそれは民主主義の宿命といっている。
ことが起こって矛盾が生じてしばらくしてやっと法が変わる。
すぐ変わるのは独裁国家。かえって危ないと。
しかしそれにしても日本は変わらなさすぎ。
今回疑問に思ったのも、SNSが、ネットが選挙に使われなさすぎるから。
相変わらずべニア版に候補者のポスター、街宣車での選挙活動、はがき、ちらし、、
古すぎ。
でも変わらない。
そんな中でサイバーゼネコンによってマイナンバーカードのような仕組みだけが
先行する。あの使い勝手の悪さ。おそろしいほど。
保険証はマイナ化するが、なんとか手当は相変わらず紐づかない。
アー歯がゆい。
法律を理解したうえで、法律を作り直さなくてはいけない。
私は憲法も作り直すべきだと思っている。
それは9条がどうのじゃなくて、80年たって現代とそぐわない点が増えているから。
解釈できない日本語が増えているから。
無理だよそんなふるいことば。
ルールの精神は守りつつ、ルールは変えていかないと。
第1章 法律以前の「超基本」まずこれだけは!―ルールが多いのには、ちゃんと理由がある
(法律って、なんのためにあるんですか?「あれもダメこれもダメ」って人間を縛るためですか?;どうして選挙のルールってこんなに厳しいんですか? ほか)
第2章 まさか私が!?もし立候補するとしたら―選挙がはじまる前の準備、これだけは
(「もし立候補したら、と想像してみて」と言いますが、一般人が立候補なんて無理ゲーでは?;18歳で投票できるのに立候補はできないって、おかしくないですか? ほか)
第3章 選挙中にやっていいこと・ダメなこと―宣伝・スタッフ・お金のルール、これだけは
(いよいよ告示日。候補者は日付が変わった0時から「投票して!」と宣伝を始めていいんですか?;1万か所以上もの掲示板に初日でポスターを貼り終えちゃう候補者って、どうやっているんですか? ほか)
第4章 ついに当選!議員バッジをつけるとき―議員活動とお金のルール、これだけは
(そもそもの疑問ですけど、当選後は何をしてるんですか?国会で寝てる人もいて信じられないんですが!;政治資金規正法って、どんなお金を、どのように「規正」しているんですか? ほか) -
Posted by ブクログ
日本の3大カルト集団 オウム真理教、統一教会、SPGF(旧ライフスペース)に対峙する救済組織の代表の一人である弁護士が書いた、マインドコントールとは何か、そこからどうやったら抜け出すことができるのかを記した書です。XJAPANのToshlさんの救済にあたった方です。
おすすめにも、ありましたが、チャルディーニ著書の「影響力の武器」を合わせてお読みになられるのをお勧めします。
気になったのは以下です。
・カルトとは、熱狂的な宗教集団という意味です。
・マインド・コントロールではなく、共依存であるとの言い訳をしてくる。上下関係性の中で、依存する心と、それを利用する者との関係が、共依存、そもそも共依存になること自体が問題。
・脱会は、「心の問題」なので、司法手続きや警察に頼ることはほとんど効果がない。⇒公権力にたよれない。この時期から、脱会カウンセラーの意見を聞くことを平行して進める。
⇒人身保護請求はカルトの解決手段として使われることはなくなった。
・親が中途半端な方法をとればとるほど、かえって親に対する憎悪心が膨らみ、親との断絶がすすんでしまう。⇒慎重なアプローチが必要⇒マインド・コントロールを解くためには、引き離しこそがはじめの一歩になる。
・脱会カウンセリングの基本は、被害者の心を、教祖なり、教団なり、霊能者なりと引き離すこと。とりあえず、場所を離れたからといって安心するのは早計で、場所の次に心を引き離すプロセスが重要。
・どちらの言い分が現実に近いのはわからなくなる。⇒ 「動かない事実は何か」をつねに調査して確定する地道な努力が必要。
・カルトは、先進国に多くみられる、「先進国病」というべき現象。
・マインド・コントロールか、そうでないかの基準。⇒目的、方法、程度、結果をみて、法規範や、社会規範から大きく逸脱している場合は、マインド・コントロール
・マインド・コントロールされた信者の行為は、性格のよい素直な子供が心底「よいことだ」と信じてやっている悪。
・マインド・コントロールの類似語
マインド・アビューズ 心の虐待
マインド・レイプ 日本のみで使用されている。
破壊的マインド・コントロール 海外で使用されている。
・マインド・コントロールの領域
①広義のマインド・コントロール 違法ではない
②民事訴訟の対象となるもの マインド・コントロール
③犯罪と認められるもの マインド・コントロール
・洗脳とマインド・コントロール
洗脳:隔離、拘束、監禁、暴力、薬物使用を伴う外形的行為、監禁状態でなければ解けやすい
マインド・コントロール:魅力的、好ましいアプローチから始まる心惹かれるもの
・マインド・コントロールのテクニック
セールス、広告でも使われている、心理的テクニックを使ってくる
・6つの原理:チャルディーニ 影響力の武器より
①返報性 恩義をうけたら返さなければならないという原理
②コミットメントと一貫性 自分が何かしたら、その後も以前にしたことと一貫しつづけたい。
③社会的証明 人は他人が何を正しいと考えるかに基づいて、物事が正しいかどうかを判断する
④好意 自分に好意を抱いている人からの頼みを受け入れやすい
⑤権威 権威にはよわく、命令や指示を深く考えずに実行してしまう
⑥希少性 手に入りにくいものであるほど、それを得る機会が貴重と思える。
・拒否したら譲歩 拒否前提で大きな要求をだし、拒否されたときに譲歩して小さな要求をだせば受け入れやすい
・知覚のコントラスト 高価なものを見せた直後に安価なものを見せると実際以上により安いと感じてしまう。
・マインド・コントロールは、対人カウンセリング的な要素があり、人によって方法が異なる。マインド・コントロールのプロは人をみて手口を変えてくる。
・マインド・コントロールを駆使されたときに受ける感情は、強迫観念と依存心。不安にさせておいて、依存心を生じさせて、自分でものを考えられなくさせる。
・ダブルバインド ①教祖の指示が反することの恐怖+②反した行為をしたときの心を抑える働きかけ、これを解くには二段階に分けて対応しなければならない。
・統一教会は女性1人を落とすため、10人のチーム「サミット」でやってくる。資産を調査する人、資産を評価する人、女性に最初に話しかける女、声掛けを補佐する女、霊媒師のの人、霊媒師を補佐する人、教義を教え込む教師など。
・霊媒師の4つのプロセス ①訪問、②該当、③FF(ファミリー&フレンド)、④広告
・悪徳商法 催眠商法 さくらが次々に商品をかってゆくので、気分が高揚してしまい、つられて買ってしまう。⇒クリーンオフ期間に返品可能なので必ずしも、詐欺とはいえない。
・脱マインド・コントロール ①本人が気持ちよく戻れる環境を整えて、そのことを伝える。②手紙などで、連絡を絶やさず、こちらの様子を伝え、いつでも待っていると伝える。
・脱会カウンセリングの3段階 ①親や家族に対する家族カウンセリング ②子供に対する脱会カウンセリング、③子供に対する脱会後のカウンセリング
もくじは以下です。
まえがき
プロローグ 「マイルド・コントロール」は決して他人事ではない
第1章 「マインド・コントロール」とは何か?
第2章 「霊感商法」のマイルド・コントロールの手口
第3章 「カルト」のマインド・コントロールの手口
第4章 「脱マインドコントロール」の手法
第5章 「マインド・コントロール被害」を減らすための提言
あとがき
巻末資料1 ぜひお読みいただきたい主な文献リスト
巻末資料2 トラブルに巻き込まれたときの相談窓口
(記載されている19の窓口のうち、連絡先が携帯以外で、全国組織と思われるものを独断で4つ転記しました)
日本霊感商法対策弁護士連絡会 03-3358-6179
日本弁護士連合会 03-3580-9841
国民生活センター 0570-064-370
カルト問題キリスト教連絡会 日本キリスト教団 事務局 03-3202-0544 他多数 -
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政治家の皆さんにこの本を1人1冊ずつ買ってもらって、勉強会を開いて欲しい。
特に「何が問題なのか分からない」などという政治家には、カルト宗教の「広告塔」として芸能人や政治家が利用されることでカルト宗教への入口が広くなっていることを学んで欲しい。
統一教会からの被害者を「自己責任」と嘲笑う人もいるが、「マインドコントロール」とは自己責任でどうにかなるほど簡単なものではない。
悪意を持って相手を食い物しようとする団体が、チームを組んでターゲット(被害者)から金を巻き上げるために事前に情報を集め、多人数で分担して計画的に巻き上げていく。偶然を装って近づいてきた時にはもう全て計画が進んでいる。そして人間の心理の弱点を突いていく。
政治家や芸能人がそれの広告塔になることで、「政治家が褒めるなら安心だ」と、なってしまう(権威)など、今回の政治絡みの問題点もはっきり分かる。
なお、この本は1000円。利益はほぼないらしい。弁護士は被害者を減らすために、尽力している。 -
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■こんな人は要注意
・大学に進学した
・新入社員である
・最近環境が変わった
・新しいことにチャレンジしたい
・何か社会に役に立つことがしたい
・素直な性格だといわれる
・完璧主義だといわれる
・孤独を感じる時がある
・健康に不安がある
・マインドコントロールに絶対かからないと思っている
■マインド・コントロールが始まるときは人が「好ましい」「利益になる」「大きなプラスだ」と感じるやり方が駆使され,とても魅力的で心惹かれる場合がほとんど。
・別に怪しげな霊能者やカルト的な集団だけが使う方法ではない
・セールスマン,オピニオンリーダー,政治家などもその方法を駆使する
■思い通りに人を動かす「6つの原理」とは
①返報性:人から何らかの恩恵を受けたらお返しをしなければならないという原理
②コミットメントと一貫性:自分が何かしたらその後も以前にしたことと一貫し続けたい
③社会的証明:人は他人が何を正しいと考えるかに基づいて物事が正しいかどうかを判断する
④好意:人は自分が好意を抱いている人からの頼みを受け入れやすい
⑤権威:人は権威に弱く権威者の命令や指示には深く考えずに従いがちである
⑥希少性:あるものが手に入りにくくなればなるほどそれを得る機会が貴重と思えてくる
■霊感商法の勧誘の4つのルート
①訪問
②街頭
③FF(ファミリー&フレンド)
④広告
■カルトが日本社会で起こしてきた問題
①対社会妨害攻撃型
②資金獲得型
③家族破壊型
④信者・構成員収奪型 -
Posted by ブクログ
ネタバレカルト宗教について、かなり以前から問題点が上がってきたのに日本ではずっと放置されてきていました。ようやく表面化してきて今この手の本が結構出ていると感じます。
本書はその中でも当事者にかなり近い立場である弁護士が書いた本ということで、カルト宗教ってそもそも何だ?というところから実態や問題点などが大変わかりやすく書かれていて内容は軽くはないけれども大変読みやすい。
そして行間からはカルトと以前から闘っておられる著者の怒りと決意を端々に感じました。
数々あるカルトの中でも本書は統一教会に焦点を当てています。カルト宗教全般について知りたければ本書は足りないでしょうが、問題を考える入り口としては良い一冊と思います。
巻末に相談先や提言があるのも良いと思います。