田中克彦のレビュー一覧

  • 差別語からはいる言語学入門

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    本来、差別語と普通の単語の境目はなく、ある人が意図的に一つの言葉を用いた時に、それが差別的な意味を持つ。田中克彦先生の体当たりのような取り組みが文章でも表現されているのではないでしょうか。

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    2022年02月08日
  • 差別語からはいる言語学入門

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    差別語ができた経緯や、それが差別となった背景などを通して、人間の生活や文化の推移やモノの見方を分析する。

    単にモノを指す言葉だったのが差別用語となったのには、人の観点の問題ということで、言葉は人間が作ったのだから、人間により徐々に変わってゆく。その経緯で人の争いや差別化が生まれてゆく。

    著者の主張は「言葉の由来は音で分かる」ということで、漢字より平仮名や片仮名表記が多い。
    例えば「男・女」と書くより、音で「オトコ・オンナ」とすると、古い段階の「ヲトコ・ヲトメ」が浮かび上がり、「ヲト」をついとして、オス・メスを表す「コ・メ」が付いたと言葉だと分かる、という感じ。

    昔人が自分で動物を食用にし

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    2020年07月28日
  • 漢字が日本語をほろぼす

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    日本語は漢字で考えるということは面白いしてきである。中国語と日本語の共通点を漢字で考えることでわかりやすいと考えていたがそうではなかった。英語の学習を文字で考えるから会話ができないということはあたっていると思われる。

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    2018年12月22日
  • 差別語からはいる言語学入門

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    タイトルと装丁に惹かれて読んでみたけど、なかなかおもしろかった。著者の熱さが素敵!
    最近は言葉狩りじゃないけども、SNSなどですぐに「炎上」→削除、謝罪みたいになって、無難な表現を〜みたいになってる気がする。
    ので、改めて自分の発する言葉にしても、自覚と責任を持たなくちゃだなあ。

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    2018年07月31日
  • ことばと国家

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    情熱的社会言語学入門書。概して入門書といえば基本事項をわかりやすく満遍なく抑えたものというイメージがあり、またそのようなものが求められがちだ。本書では時折、感情的な意見が客観性を欠いたかのように映る。しかし読み進めていけば言語の本質を真剣に追求した人間の息遣いに他ならないことに気づく。社会言語学のエッセンスもしっかり抑えられる。

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    2018年03月12日
  • 言語学者が語る漢字文明論

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    この言語学者さん、昔〜しから、気になってましたが、読んだのは、はじめて、、なんかワザと極論いってて、そこまで言わなくても、と思うところはあるけど、最近、漢文やんなくちゃ、とか、、こつこつサンスクリットかじってる自分には、相当ショッキングな、考え方だけど、よ〜く考えてみると、そんなに違った方向ではなく、例えばお経の扱いとか、日本語として考えてみると、とても変で、文字・オト・意味の関係がおかしい、、でも消え去ることがないって、どういうことなんだろうとか、、

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    2017年09月11日
  • ことばと国家

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    社会言語学者の著者が、言葉と国家をめぐる複雑な問題を分かりやすく解説している本です。

    言葉はダイナミックな政治の文脈に置かれており、そのことに早くから気づいていた言葉の研究者たちは、国家や民族といった言語外的な要因を慎重に取り除いていくことに注意を払ってきたと著者は言います。そして、まさにこのことが、微細な権力構造が言葉に投げかけている影についての精妙な眼差しを社会言語学が獲得することを可能にしたと言ってよいでしょう。本書で取り上げられている諸問題は、そうした言葉と政治の絡み合いを垣間見せてくれます。

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    2015年12月24日
  • ことばと国家

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    丸谷某をはじめとした所謂日本の知識人への痛烈な批判の小気味良さは初めて読んだ時と今もって変わらない。
    でも今回の再読で一番感じたことは、現在の否応なく巻き込まれているグローバルな環境、つまりは英語優先主義の現状をどのように見ているのだろうか?ということ。
    アイデンティティーと深く結びつく言語の行く末を考えると、SF的世界を簡単に想像してしまう当方は完全に底の浅い輩と言うしかないかもね。

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    2013年08月24日
  • 漢字が日本語をほろぼす

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    良書。漢字のよくない面を取り上げており、漢字大好きの自分にとってはおもしろくない内容のはずだが、これがかなりおもしろかった。この著者のほんをもっと読んでみたくなった。

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    2013年08月15日
  • 漢字が日本語をほろぼす

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    日本語は漢字に毒されている。廃止すべきだ、という議論である。
    言語の本質は音であり、表意文字である漢字と表音文字であるひらがな、カタカナが並存することで、言語のリニアな構造が断ち切られる。
    それは、言語として不自然なことだと、筆者は言う。
    これに加え、筆者が熱心に漢字を廃止せよと主張するのには、世代的なものもあるのかもしれない。
    専門家が権威付けのためだけに、難解な漢語を使うのが、非民主的だという感覚があるようだ。

    どちらかというと、漢字制限をなし崩し的に撤廃しようとしている現在、非常に「過激」に見える議論だと思った。
    だが、貴重な意見なのかもしれない、とも思う。

    水谷静夫の『曲がり角の日

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    2012年09月28日
  • 差別語からはいる言語学入門

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    ・田中克彦「差別語からはいる言語学入門」(ちくま学芸文庫)はおもしろい。実を言へば、まだ半分も読んでゐない。それでも本当におもしろいと思ふ。ただし、これが言語学の書として、特に入門書としておもしろいかどうか、よく書けてゐるのかどうか、この点は分からない。私だとて言語学的な内容に関心はある。差別語に関する諸々を知りたいとも思ふ。実際、さういふことが書いてある。ただ、本書を読んでゐると、どうしてもこの著者田中克彦といふ人が、そんな内容より先に私に迫つてくるのである。文は人なりといふ。本書は、いや田中克彦の著作はなべて正にそれである。文体や内容、そこに含まれる思考方法等等、さういふものが見事に田中克

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    2012年08月12日
  • ことばと国家

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    言語学は客観的な学問であり、あることばを徹底的に記述研究すればよいとする立場とは全く異なる、「国家がことばをつくる」、話しことばこそが言語の基本であることを前提とした言語学の観点からの本。特に琉球語に関する考察は自分にとって身近な例であり、全体主義・言語純粋主義のもとに少数言語を抑圧する国家的体制の歴史の中にそれらの置かれてきた境遇の悲しみを感じる一著でした。

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    2011年12月06日
  • 漢字が日本語をほろぼす

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    少し年老いてきたが、著者田中克彦さんが相変わらず元気に言語における民主主義のために発言されている。学問的厳密さはないのかもしれないが、ユーラシアからの歴史観による漢字文化圏を相対的に見る視点、漢字という表意文字の持つ魔力などなど、刺激されることの多い本です。

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    2011年05月21日
  • ことばと国家

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    だれしも母を選ぶことができないように、生まれてくる子どもにはことばを選ぶ権利はない。
    その母語が、あるものは野卑な方言とされ、あるいは権威ある国家語とされるのはなぜか。
    国家語成立の過程で作り出されることばの差別の諸相を明らかにし、ユダヤ人や植民地住民など、無国籍の雑種言語を母語とする人びとのたたかいを描き出す。

    [ 目次 ]
    1 「一つのことば」とは何か
    2 母語の発見
    3 俗語が文法を所有する
    4 フランス革命と言語
    5 母語から国家語へ
    6 国語愛と外来語
    7 純粋言語と雑種言語
    8 国家をこえるイディシュ語
    9 ピジン語・クレオール語の挑戦

    [ POP ]


    [ お

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    2011年04月24日
  • ことばと国家

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     ○○語、ということばを想定した時点で、もうすでに国家という政治的な概念が含まれてしまっており、純粋な言語を取り出すためにはどのような困難が伴うかという言語学の基本的な問題について、母語と母国語、純粋言語と雑種言語、ピジン・クレオール、といった観点から分析している。ドーデの『最後の授業』の舞台となったアルザス地方の言語状況、フランスにおけるオック語とオイル語、世界に離散したユダヤ人のイディッシュ語とヘブライ語の復興などの具体的な事例が挙げられている。
     琉球語が「琉球方言」にならざるを得ない状況、ラテン語やギリシャ語にしか文法はないと思われていた状況と同じことがピジン・クレオールの問題にも起き

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    2013年09月15日
  • ことばと国家

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    言葉と言うものは、外国語という名称にもあるように、
    国家が成立するとそれにあわせて分類されることが多いが、
    実はそうではないという主張から始まり、
    早くから国家が成立し、言葉の整備が始まったフランス語の
    ラテン語からの脱却などが説明されている。
    それとは対照的に、国家の整備が遅れ、
    フランス語からの借用語が入るだけ入ってしまっていたドイツ語も説明されている。
    言葉は純粋に学問的に見たい場合でも、
    政治的要素を多分に含んでいるものだと思った。

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    2009年10月04日
  • ことばと国家

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     今の目で見るとそんなにショッキングには感じない。

    ・母国語と母語の違い
    ・アルザス/エルザス地方で使われている言葉

    とか基本的なこと。
     高校の世界史レベルで分かることよりは少し知識が進むけど。

     しかし「言語的支配の独善をさらけ出した、文学などとは関係のない、植民者の政治的扇情の一篇でしかない。」というのはいかがなものか?

     「言語的支配の独善をさらけ出した」というのはそのとおりだと思います。
     しかし、小説というのは、必ずテーマがないといけないと習ったのだけど、「フランス語の世界征服は素晴らしい」というテーマだといけないのかなあ? 

     『西部戦線異常なし』は反戦小説だからいい小

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    2009年10月04日
  • 差別語からはいる言語学入門

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    本書に収録されている文章は「小説トリッパー」で連載がスタートしたもののわずか2回で終了、その後「部落解放なら」で継続されたものだそうだ。後者は目を通したことがないが、かなり落差の大きい移動である。BUBKAからVogueくらいの落差があるんじゃないか。なお、その経緯は本書内で書かれている。トリッパーの編集長はなかなかひどいと思う。

    そのような経緯があったせいか、まとまりはない。言語学の入門書としても危うく、ところどころおもしろい点はあるものの、全体はエッセイ的な要素が強い。たとえば犬殺しということばの話をしているかと思えば、急に著者の学生時代の話にさかのぼる。(内容は保健所職員に対する同情の

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    2025年07月17日
  • ことばは国家を超える ――日本語、ウラル・アルタイ語、ツラン主義

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    言語学についてまったく無知な自分からすると、知らないことばかりなのでトリビアルなおもしろさはあるが、新書の語り下ろしということもあり、雑多な内容ではある。田中本人の学生時代の思い出話や学会でのいざこざなど、それはそれでおもしろいけれども、不要に思うひとには不要だろう。いずれにせよ入門書のようなものなので気軽に読める。

    ロシアにはクマを表す単語が実証されていないという話(メドヴェーチと呼ばれるが、これはメド=はちみつ、ヴェーチ=食べる者、を足したものである)、フンボルトの言語類型論(特に屈折系について多く語られる)、田中がモンゴルの学会でクルマースというドイツの言語学者に「外国語の悪口を言って

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    2025年07月10日
  • ことばと国家

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    #2024年に読んだ本 30冊目
    #5月に読んだ本 1冊目

    随分前に買ったのだけど
    ずっと寝かせておいた本…

    たいへん興味深い内容

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    2024年05月07日