上坂冬子のレビュー一覧
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作家上坂冬子さんが、がんでなくなられたのは2009年4月14日。
本書は「緩和ケア」にふれた筆者が自身の体験として、そしてジャーナリストの視点から緩和ケアを綴った遺作となる。
2009年6月に刊行されたものの文庫版で、編集者からの追記が加えられている。
上坂冬子さんの希望が綴られているとともに、当時(ほんの数年前)のがん医療、緩和ケア、終末期医療の課題が浮き彫りにされている。
上坂冬子さんらしい語り口と、それに対する慈恵医大病院の医師、理事長の率直な意見がお茶を濁すことなく記されている。
ユーモアあり、ストレートな問題提起ありと満足できる内容となっている。
がん患者の立場から、また、 -
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ちょうど出たばかりのこの本を、さていつ読もうかな、などと思っている時に、残念なことに、上坂冬子の訃報が入りました。
思えば彼女は、筋金入りの保守派でした。どちらかというと、まぎれもなく、真剣に対峙するとしたら、とんでもない許し難い保守反動でした。
悪しき改憲論者で、韓国従軍慰安婦への無理解や、夫婦別姓反対で、戦中派に相応しく皇国史観を残存した前世紀の遺物=シーラーカンスに似た化石に近い存在でした。(けなしているように見えますが、私流にちょっとお茶目に、面白可笑しく装って、誉めそやそうとしているのですが、あまり成功していません・・・)
そういう、どちらかというと敵なのに、でも何故か、彼女の -
- カート
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試し読み
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ネタバレ太平洋戦争が終る3ヶ月前、九州に墜落したB29爆撃機の飛行士が九州大学医学部の解剖室へ運ばれた。そこで生きたまま医学実験や解剖の犠牲となった。終戦間際の混乱の中、いったい誰が指示をしたのか、軍の命令に九州大学の医師たちはNOと言えなかったのか。それとも、医師たちも自分の研究の成果を上げるためにすすんで協力したのか。
この事件に関しては、遠藤周作の『海と毒薬』を以前読んだことがある。映画化されたものも観ている。しかし、その当時はどちらかというと“フィクション”という感覚のほうが強かった。その後いろいろな本を読み、太平洋戦争中の日本軍のしてきたことを知るようになった今、あらためてこの本を読むと“ -
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靖国問題について知りたくて読書。
平成に入るくらいまで臭いものには蓋ように避けてきた問題、憲法改正もそうだし、先の大戦での分析や反省も避け、自虐史観を貫き通してきた印象がある。
日本が岐路に経つ今、日本人自身が主体的に総括して、中国や韓国へ発信ししていくことは大切なような氣がする。
靖国神社の問題は、私も含め日本人が知らなすぎる。A級戦犯とB級、C級の違いを知っている人がどれほどいるのか。恥ずかしながら私は、教壇に立っていた時代も正しく認識していなかった。日本のことですら知らないことが多すぎる。もっと謙虚に歴史を学ぶべきだと思う。
一貫して感じるのは、戦争が人の運命を変え、不幸にするこ -
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ネタバレ[ 内容 ]
雑誌『思想の科学』への投稿がきっかけで交流が始まった二人。
半世紀ぶりに再会し、語り合った昭和の記憶とは?
「戦時体制にも爽やかさがあった」と吐露する上坂氏に対して、「私もそう感じた」と応える鶴見氏。
一方で、「米国から帰国したのは愛国心かしら?」と問う上坂氏に、「断じて違う!」と烈火のごとく否定する鶴見氏。
やがて議論は、六〇年安保、べ平連、三島事件、靖国問題へ。
護憲派、改憲派という立場の違いを超えて、今だからこそ訊ける、話せる逸話の数々。
「あの時代」が鮮明によみがえる異色対論本。
[ 目次 ]
第1章 戦時下の思い出(戦時体制の爽やかさ 張作霖爆殺事件の号外 ほか)
第 -
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・読み応えあり。こういうのを丹念に掘り起こすのがカミサカさんの真骨頂だよなあ。時間の降り積もりに埋もれていく一方の歴史を掘り返してくれる。
・サンフランシスコ講和条約以降にプリズンの制約がかなり緩んだあたりは、以前読んだ「プリズンの満月」に詳しかったので一助となった。
・何にしろ戦犯なんてのは戦勝国の一方的な報復行為に過ぎないんだよ。敗戦国としてはそれは受け入れるしかないんだけど、それは敗戦後の栄華に引き換えて生贄を供出した行為に他ならない。それだけは忘れちゃいけないと強く思う。
・そして家族。戦犯とされた人達の家族を思うとき、この文明の名を借りた理不尽についてとことん思い知らされる。 -
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一本筋の通った女性論客。本書では、日本だけを不当に貶める従軍慰安婦問題、日本降伏と同時に中国に残された子女がソ連兵に凌辱されて泣き寝入りしている点(占領下の米兵の乱暴狼藉も同様)、東京裁判という勝者の論理だけで推し進められた戦争犯罪裁判(石油を止められ自衛のために戦争をした日本人が悪いのなら、植民地主義を推進していた欧米諸国や原爆や東京大空襲などの無差別殺戮は問題なかったのか)、今なお「戦争犯罪人」というレッテルを貼られて不当な差別を受けている戦犯家族たちの名誉回復など戦後日本が声を上げなかった問題を提起しています。また、本書では上坂との対談内容が収録されていますが、瀬島龍三、山本卓眞、中曾根
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昭和史の対論という表題に惹かれて読んでみたが、鶴見俊輔という巨大な知性が光った本であると感じた。
鶴見俊輔は、ベ平連で有名なリベラリストであるとは知っていたが、本書でその生まれや過去、考え方がよくわかった。鶴見俊輔は、後藤新平の孫にあたり、戦争前の1938年(昭和18年)16歳時にアメリカに単身留学し、1942年(昭和22年)日米開戦後に交換船で帰国するなど、いいとこのぼっちゃんである一方で冒険的な人生を謳歌した過去を持つ。リベラルといっても、様々な過程があることを伺えさせ、多種多様の多くの知人を持ち、幅の広い人間であることが対談の内容からもよくわかる。それにしても、この知識の広さ・深さは -
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リベラルと戦後の市民運動を代表する哲学者・鶴見俊輔氏と保守を代表するノンフィクション作家・故上坂冬子女史の「異色対談」
肩書きだけ見るならば、左右対決、核心と保守の対峙とイメージしがちですが、早計することなかれ。
市民「である」ことを立ち上げる鶴見氏と、日本「なるもの」に固執するふたりには共通することも多く、初期の『思想の科学』での幅広い交流、物事に対する二人の異なる視座と同じ心情を垣間見ることができる一冊で、単純な思想的対立構造でものごとをスパッと理解することなんて不可能であるということを丁寧に浮き彫りにしてくれる一冊。
であると同時に、戦後日本の追悼史ともなっている。
リベラル、