サイトウマドのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『怪獣を解剖する』から入りました。元となった短編も面白かったのだけど、幽霊と部屋をあつかった二編が面白かった。
怪異現象を扱うホラーでありつつ、その正体をさぐるミステリーっぽさもある。
どちらもSNSがキーになっていることも面白い。
文字だけで繋がる不思議をこういうふうに料理してきたかと驚いた。
ネットが発達したからこそ、見えない世界をすぐそこに感じられるようになったのだなぁ。
霊の存在、あちら側の世界、目の前のこの端末は意外にも広大な世界に繋がっているのかもしれない。
『怪獣を解剖する』の面白さとはまた別のアイデアを感じ、次回作もますます読みたくなった。 -
Posted by ブクログ
(上巻より)
そもそも本作のテーマは、「怪獣退治」ではないだろう。ここがミソだ。怪獣から発生する有毒物質や寄生虫、突然発生してくる二次怪獣など、種々の危険があるのだ。芹沢博士は右目と右腕を喰われている。それでも「恐怖心」より「好奇心」を選択する研究者、解体作業を担う派遣労働者、不測の事態に備える特科機動隊員等が自身の仕事に向き合っている。
また、女性の存在を想定していない「男ばかり」の現場のセクハラも描かれる。怪獣という「災害」によ被災地の問題、住民の心情や風評被害、そして遅々として進まぬ復興などが描かれる。そう福島の原発事故、あるいは能登の地震・豪雨災害を彷彿させられる。
その他、 -
Posted by ブクログ
科学漫画に属する作品なので、科学が苦手な自分には理解が難しいこともあった。
でも、怪獣という未知の生物を通して、科学への好奇心、科学の功罪、そして環境問題など、どちらかと言うとそこに携わる人間を描こうとしている作品だと思った。
地方に負担を押し付ける都会の人々の図とか…。
研究とか、探究とか、言葉だけだと前向きに感じるのだけど、それを進めるためにたくさんの人々が関わることになる。
怪獣という大きな、架空の存在を通して、知るということの面白さ、罪深さ、恐怖心を伝えてくれる漫画である。
進んでいくのは常に葛藤があるけれど、それで正しいのだと思った。科学は人の営みだからこそ、探究の中にはさまざまな思 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上下巻まとめて読んだ感想です。
元々こういうジャンル(怪獣やSF的なもの)を読まない者としての感想です。
説明やセリフが多すぎる…。
怪獣のいるリアリティを感じたい人にとっては大事な要素かもしれないけど。
絵があまり上手ではないのでキャラクターの荒れや背景の狂いが気になってしまう。
キャラデザもやや古臭さを感じる。
セリフ疲れを起こしてる中で、下巻の緊急速報が鳴るあたりはグッと引き込まれる。
3.11の時代を経験した者に発動する仕掛けみたいなものがあるんだなぁ、としみじみ感じた。おそらく10代の人には掴めないだろうと思う。
怪獣の生々しさも感じたかったな。