あらすじ
“トウキョウ”と呼ばれる超巨大怪獣の死骸の、解剖調査現場で働いている怪獣学者の本多昭(ほんだあきら)。
香山県本土から大豆島(おおどしま)へのフェリーを乗り逃してしまい、
困っていたところ魚行商人の雨宮(あめみや)に話しかけられ、雨宮の小型船で帰ることに。
「怪獣って鳴きよん?」
怪獣の音が聴こえるという雨宮に、興味を持ち……!?
未知を既知に変え、昭の目指す未来とは?超厚【240p】で描かれる、空想研究エンターテインメント!
◎同時発売
BEAM COMIX『解剖、幽霊、密室』
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
上巻が入手できず、下巻から読み始めた時はこのすごさに十分に気付けませんでしたが、上巻を入手し、あらためて最初から読み直したところ、いろいろと理解がつながり、この作品の面白さに驚きました。
Posted by ブクログ
(上巻より)
そもそも本作のテーマは、「怪獣退治」ではないだろう。ここがミソだ。怪獣から発生する有毒物質や寄生虫、突然発生してくる二次怪獣など、種々の危険があるのだ。芹沢博士は右目と右腕を喰われている。それでも「恐怖心」より「好奇心」を選択する研究者、解体作業を担う派遣労働者、不測の事態に備える特科機動隊員等が自身の仕事に向き合っている。
また、女性の存在を想定していない「男ばかり」の現場のセクハラも描かれる。怪獣という「災害」によ被災地の問題、住民の心情や風評被害、そして遅々として進まぬ復興などが描かれる。そう福島の原発事故、あるいは能登の地震・豪雨災害を彷彿させられる。
その他、怪獣を環境問題やエネルギーとの関係を探る試みなど、単なるエンターテイメントにはなっていない。
Posted by ブクログ
漂着した怪獣を解剖するというアイデアだけだった感のある読切り版にくらべて、物語のテーマ、世界観の提示、登場人物のドラマなど漫画として格段にレベルが上がっている。
過剰にドラマチックにしない地に足がついた感のあるラストも良い。
とても良かったです。
まとめサイトでお勧めされていたので、読んでみました。
科学漫画でもあり、環境漫画でもあり、ジェンダー、恋愛漫画でもあります。
不可思議な災害である怪獣の調査を行う科学者が主人公です。
知的好奇心は恐怖を凌駕するのか、科学者の探究心や研究成果は地元の人間の生活と両立しないのか、怪獣とはなにか。
怪獣は汚染された環境の救い主なのか、しかしそれはゴジラのように人々を踏み潰す災害でもあります。
自然や人間へのリスペクトが感じられる、よい作品でした。
Posted by ブクログ
科学漫画に属する作品なので、科学が苦手な自分には理解が難しいこともあった。
でも、怪獣という未知の生物を通して、科学への好奇心、科学の功罪、そして環境問題など、どちらかと言うとそこに携わる人間を描こうとしている作品だと思った。
地方に負担を押し付ける都会の人々の図とか…。
研究とか、探究とか、言葉だけだと前向きに感じるのだけど、それを進めるためにたくさんの人々が関わることになる。
怪獣という大きな、架空の存在を通して、知るということの面白さ、罪深さ、恐怖心を伝えてくれる漫画である。
進んでいくのは常に葛藤があるけれど、それで正しいのだと思った。科学は人の営みだからこそ、探究の中にはさまざまな思いが交錯する。