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Posted by ブクログ
(上巻より)
そもそも本作のテーマは、「怪獣退治」ではないだろう。ここがミソだ。怪獣から発生する有毒物質や寄生虫、突然発生してくる二次怪獣など、種々の危険があるのだ。芹沢博士は右目と右腕を喰われている。それでも「恐怖心」より「好奇心」を選択する研究者、解体作業を担う派遣労働者、不測の事態に備える特科機動隊員等が自身の仕事に向き合っている。
また、女性の存在を想定していない「男ばかり」の現場のセクハラも描かれる。怪獣という「災害」によ被災地の問題、住民の心情や風評被害、そして遅々として進まぬ復興などが描かれる。そう福島の原発事故、あるいは能登の地震・豪雨災害を彷彿させられる。
その他、怪獣を環境問題やエネルギーとの関係を探る試みなど、単なるエンターテイメントにはなっていない。
Posted by ブクログ
友人に勧められて読んだ漫画。
怪獣が自然災害的に起きる世界。怪獣の解剖から生態をつかみ、対策に役立てるお仕事をする人たちのお話。
架空のお仕事ではあるけれど、設定がぎっちり練り込まれていて、お仕事漫画としてとても深く楽しめる。
怪獣、として描かれているものはそれこそ、病気だったり地震だったり、実際に存在する人類の脅威と置き換えてもいいもので、最前線で戦う科学者の生き様は共通のものがあるのだろうなと思いを馳せる。
印象的なセリフで
「たくさんの人がたくさんの時間をかけて
未知を既知に変えていくんです」
というのがあるが、まさに、科学の一歩一歩の足跡を感じられる言葉だなとえぐられる。その道があったからこその今なのだなと。
怪獣、となるとどうしても「それと戦うヒーロー」のようなイメージになるけれど、そうじゃない戦いがある、という事に目を向けさせてくれる作品。
同じテーマだと『大怪獣のあとしまつ』なんかが思い浮かぶが、あちらがコメディに話を振っていたのに対して、この作品はしっかりドキュメンタリー的な視点で描かれていて、全く違う味付けになっている。
ストーリーの中ではかなりシビアな描写・展開や、女性現場監督に対するおじさんの態度の悪さ、などなど、現実を捉えた物語がリアリティを高めていた。
上下巻と読みやすく、ドラマ化とかもされそうな濃厚さで大満足だった。
Posted by ブクログ
科学漫画に属する作品なので、科学が苦手な自分には理解が難しいこともあった。
でも、怪獣という未知の生物を通して、科学への好奇心、科学の功罪、そして環境問題など、どちらかと言うとそこに携わる人間を描こうとしている作品だと思った。
地方に負担を押し付ける都会の人々の図とか…。
研究とか、探究とか、言葉だけだと前向きに感じるのだけど、それを進めるためにたくさんの人々が関わることになる。
怪獣という大きな、架空の存在を通して、知るということの面白さ、罪深さ、恐怖心を伝えてくれる漫画である。
進んでいくのは常に葛藤があるけれど、それで正しいのだと思った。科学は人の営みだからこそ、探究の中にはさまざまな思いが交錯する。
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