早尾貴紀のレビュー一覧

  • イスラエル・パレスチナ紛争をゼロから理解する

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    ネタバレ

    入植者植民地主義は、古典的な植民地主義とは決定的に異なる。古典的な植民地主義者は、未開の人びとに近代化をもたらすと考えたのに対し、入植者植民地主義者は、近代化するのは土地であり、人ではないと考えた。土地を手に入れるためには、そこに住む人びとは脇に追いやるべき不都合な存在になった。ユダヤ人は大規模に土地を買い、パレスチナの先住民は農場から追い出され町への移住を余儀なくされた。酪農や農作業から締め出され、貧困街が作られた。多くの村がなくなった。同じ所に住むことはそこの文化が続けられていくということ、村の歴史本のページが増えていくということ。資産の多寡でその歴史の正当性を持つ国が変わるのだろうか。強制に人を移住させるのは痛ましい。

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    2026年03月17日
  • イスラエルについて知っておきたい30のこと

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    ・2023年10月7日のガザ蜂起及びそれに続くイスラエルによるパレスチナ攻撃の激化と長期化の中で書かれた本。
    常軌を逸したガザ地区の破壊については、「先に攻撃を仕掛けたハマースが悪い」という思い込みが今も流通している。そのような日本の言論状況に対して、最低でも共有すべき基本認識を示しつつ、批判的視点へと踏み出すことを意図して書かれた。

    ・パレスチナ問題は今まで宗教問題、ユダヤ人差別の話だと思っていたが、この本を読んで、植民地問題、ヨーロッパ中心主義の問題なのだと理解できた。

    ・シオニストは「古代に 離散したユダヤ民族がイスラエルに帰還するのだ」と主張するが、ユダヤ人の離散は起きていない。ユダヤ教徒のままあるいは改宗して、その地にい続けた。つまり古代イスラエルの民の末裔は今のパレスチナ人だと言える。
    各地に暮らしているユダヤ教徒たちは、交易によってユダヤ教徒が移動することもあったし、伝道によって広まっていくこともあった。
    自分たちは離散した人たちだから帰還する権利があると主張するのは歴史に照らして間違っている。

    ・第一次世界大戦でオスマン帝国が破れた後、ヨーロッパ列強がオスマン帝国のアラブ地域を意図的にバラバラにした。本来であれば「アラブは一つ」というアラブ ナショナリズムによって独立国家になるところ、分断 (クウェート、サウジアラビア、アラブ 首長国連邦、ヨルダン、レバノン、シリア )イギリスやフランスのサポートなしでは成り立たない政治体制と軍事体制を持つアラブ諸国を人為的に作った。自分たちの政権を維持するために。

    ・オスロ合意 イスラエルのラビン首相と PLO(パレスチナ解放機構) のアラファート議長がアメリカのクリントン大統領の仲介で合意。
    パレスチナ解放運動はイスラエル国家を既成事実として認め、西岸地区とガザ地区からの撤退だけを求め、西岸、 ガザだけの「ミニパレスチナ国家」を目指す団体。
    オスロ合意は、PLO はイスラエルを国家として認め、イスラエルは PLO をパレスチナを代表する自治政府として認めるというもの。
    合意は和平と言われているが不当なものだった。PLO はイスラエルを国家承認する(=抵抗はしない)にもかかわらず、イスラエルは入植活動をやめるとは言っていない。パレスチナがどの程度自治を行えるかも定められていない。
    実際オスロ合意後もイスラエルは西岸地区、ガザ地区へと入植活動をやめていない。そして PLOはイスラエル 占領下の下請け行政をさせられるというイスラエルに都合のいい体制が確立されてしまった。

    ・西岸、ガザ地区の人々はハマースを支持しているのに、国際的にはパレスチナを代表するのは PLO の自治政府(イスラエルの傀儡政府)になってしまっている。

    ・パレスチナ人を殺してもいいという思想の背後には、長い文脈で見れば、ヨーロッパ中心主義がある。アラブ人 =パレスチナ人がアジア、アフリカの野蛮の一部とみなされて、いろいろな意味で劣った人種であるがゆえに、自分たちと同等の人権を認めない、自決権を認めないことが正当化される。そういった 近代の植民地主義やオリエンタリズムが基底にはあります。

    ・パレスチナ問題はイギリスが植民地支配をし、その後 、本来ならそこからパレスチナが独立すべきところが、今度はシオニズムによる入植者植民地主義に売り渡されて、乗っ取られてしまった という問題。本当は植民地問題。

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    2025年10月17日
  • イスラエルについて知っておきたい30のこと

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    パレスチナとイスラエルについてわかりやすく解説している。今の状態は植民地主義が各国の思惑や利権、人々の優生意識が呼び起こした事態であると繰り返し説明される。

    この本を読む前までは軽々しい気持ちで「虐殺反対!」「パレスチナの国家承認を!」と思っていたが問題はそんなに軽々としたものではないと気付かされた。
    虐殺はもちろん当たり前に人間として反対だが、虐殺だけを止めればいいのか。自決権がない状態での国家承認がどういうことになり得るのか。

    多分著者はこの本を読む前の私のような自覚なく軽々しく「意見」を言う人間に怒りを感じているのではないか、などと思った。
    植民地主義、国家承認するとはどういうことか、国家の自決権について勉強してみたい。

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    2025年10月09日
  • イスラエルについて知っておきたい30のこと

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    イスラエル建国の歴史、すなわち、パレスチナ問題の輪郭がかなりよくわかった。
    後半は著者の主張が多く(強く)、事実と想像(解釈)との境が曖昧でわかりにくかったが、全体像を理解する目的は十二分に達成できる書である。

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    2025年07月22日
  • ガザの光――炎の中から届く声

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    無意識のうちにガザに暮らす人々に単一の被害者というテンプレートを当てはめ、苦しむ被害者、救うべき弱者であることを求めていた部分が自分自身のうちにあったと、そう気付かされた。

    人が生き暮らすということは、単純では無い。それはここ日本においても、遠い海の彼方の国であっても。
    正義と悪に分類しなければ乗り越えられない局面は確かに存在する。様々なものを切り捨て一つの答えを選ぶしか無いこともある。
    けれど、そこに多様な人がいて多様な考え方があり、社会は複層的に幾つもの分断を抱えているのだという事を忘れないようにしたい。

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    2025年04月13日