早尾貴紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物語ではない、現実。
パレスチナの地でまさに行われている暴力の原理。
そこには、テロと報復だとか、人道的支援の必要性などの図式だけで単純化できない、長きに渡る根深い歴史が絡んでいる…。
この一冊を通して、「世界で最も解決が難しい」と言われるイスラエル・パレスチナ問題について、基礎的な知識を学び、現代に至るまでの視点を与えてもらった気持ちだ。
平和というのは、武器を納めることだけでは実現できない。人間が人間である以上、利害や欺瞞はどこまでもしつこくついて回る。
正直に言えば、今回の一読だけで内容の全てを理解できたわけでも、ましてや暗記できたわけでもない。
私は配信者として活動しているが、 -
Posted by ブクログ
これは⭐️10個でもあげたい本だ。
帯に「いま私たちがパレスチナ問題を考えるための基本書」とあるがイスラエルについて、そしてパレスチナについてこれほどわかりやすい本は読んだことがなかった。この人の授業を受けられる学生はしっかり学び取れることだろう。
知ったことはたくさんあったが一つだけ書いておこうと思う。それは「セトラー・コロニアリズム」。「入植者植民地主義」のことだ。
なぜイスラエルがパレスチナの国土に入植地を広げ続けているのか、盗人猛々しいとは思っていたが、他国を簒奪する「帝国」の常套手段であった。
入植し先住民を虐殺、奴隷化して国家をつくったアメリカや南アフリカ共和国。アイヌの土地を北 -
Posted by ブクログ
今まで読んだ本の中でも特に、ページを捲りたくないと思った本。
自分が何も知らなかったこと、知った上で知りたくなかったこと、知らなければならないことがたくさん書いてあり、何も知らなかった自分を責めながらも自分はこれから何をしなければならないか、考え続けないといけないと思った。
同時に、本当の情報を取らなければならないと思った。
ガザの侵攻でイスラエルは武器の実証をして、それを他国に販売していること、若者をただ殺すわけではなく一生苦しめるために足を狙うこと、知った。
苦しかった。自分は何も知らずに遠くにいる人を考えることしかできない。これからどうしなければならないか、考え続けたい -
4.5 (2)
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Posted by ブクログ
・2023年10月7日のガザ蜂起及びそれに続くイスラエルによるパレスチナ攻撃の激化と長期化の中で書かれた本。
常軌を逸したガザ地区の破壊については、「先に攻撃を仕掛けたハマースが悪い」という思い込みが今も流通している。そのような日本の言論状況に対して、最低でも共有すべき基本認識を示しつつ、批判的視点へと踏み出すことを意図して書かれた。
・パレスチナ問題は今まで宗教問題、ユダヤ人差別の話だと思っていたが、この本を読んで、植民地問題、ヨーロッパ中心主義の問題なのだと理解できた。
・シオニストは「古代に 離散したユダヤ民族がイスラエルに帰還するのだ」と主張するが、ユダヤ人の離散は起きていない。ユ -
Posted by ブクログ
パレスチナとイスラエルについてわかりやすく解説している。今の状態は植民地主義が各国の思惑や利権、人々の優生意識が呼び起こした事態であると繰り返し説明される。
この本を読む前までは軽々しい気持ちで「虐殺反対!」「パレスチナの国家承認を!」と思っていたが問題はそんなに軽々としたものではないと気付かされた。
虐殺はもちろん当たり前に人間として反対だが、虐殺だけを止めればいいのか。自決権がない状態での国家承認がどういうことになり得るのか。
多分著者はこの本を読む前の私のような自覚なく軽々しく「意見」を言う人間に怒りを感じているのではないか、などと思った。
植民地主義、国家承認するとはどういうことか -
4.5 (2)