月岡ツキのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ30代向けの本を探していたところ、キャッチーなタイトルに思わずクスッとして手に取った。
"子供を産む"か"産まないか"
私は著者と同い年。30代前半の私たちにとってこれほどセンシティブでゴールのない問いはない。
そこに真っ向から向かっていく姿に、同い年の女性としてまず尊敬の眼差し。
批判を恐れていたらこのトピックについては語れない。理想論や綺麗事で片付けるには責任が重すぎる。
そして、これは決して、SNSでよく見るDINKsと子持ちの対決を煽るものではない。どちらが良いとか有利とかそういう話でもない。
著者は"かっこかり(=(仮))"としながら、現時点では産まない側の考え。一つずつ丁寧に言語化されてゆくその理由には、共感と気付きの連続。
著者の(現時点での)予定とその気持ちが、真っ直ぐに嘘偽りなく書かれていることが文章からひしひしと伝わるからこそ、こんなにも惹きつけられたのだと思う。
あくまで"現時点で"というのもポイント。
予定は未定。
「私は産みません!(ピシャリッ)」ではなくて、人の意見を聞いたり、自身の過去を振り返る中で、「やっぱり産んだ方がいいのか…?」と迷いながら日々を生きているというところにすごくリアルさを感じた。30代女性特有の苦悩だと思う。
ファイナルアンサーは出せない。でもとにかく今、これだけ考えて産まないことを選択していること。その事実は絶対的なもの。その記録を残しておくことは必ず意義がある。
私が今後の人生で何かを選択するとき、もう一度この本を読み返そうと思う。すぐに決められなくたって、一度決めたことが揺らいでしまったって良い。
選択することの責任を背負いすぎなくても良いんだ、と肩の力を抜いてくれた一冊。
※男性にも本書を読んで、女性の苦悩を知ってほしいと思ったけど、人によっては「フェミニズム」で一蹴して男女のさらなる分断を煽ってしまうかもしれない。
本書を読んで、「知らなかった。こんなに大変な思いをしているんだね。」と言ってくれるような男性と結婚したいところ。私の夫はどうかしら…。(何の話)
本書のアンサー本、男性バージョンを月岡さんの視点で書いてほしい。私はその本を読んだとき、どう思うのかな。
ついでに本書のようなタイトルを男性版で考えたら、どれも下品なものしか浮かばなくて自分のセンスの無さに絶望する。
「産む気もないのに生理かよ!」
改めて絶妙だ。
《印象に残ったところ》
・クイズミリオネアの表現が最高すぎる!
自分は子供を持たないつもりであるということについて、言い切るのではなく、「今のところは」、「かっこかり」という守りの言葉を何度も念押ししている著者。
-『ずっとミリオネアの回答者の席に座ったまま、概念みのもんたと向かい合って「ダラララララ・・・・・・」という緊張感MAXのあのドラムロールを聞いているような気分だ。
いったんCMを挟んでほしいが、妊娠・出産のための動物としての時間的猶子は有限である。そんなに悠長に悩んでいる余裕はない。』
懐かしい、懐かしすぎる。
みのもんたに「ファイナルアンサー?」と聞かれたら、誰もが揺らぐに決まっているもの。
バチバチに分かりやすい表現だけど、私より下の世代はこれが分からないのか。自分の重ねてきた年を思わずにはいられない。ちょっと悲しいのでいったんCMで。
・既婚子なしは所在がない?
-『近年は「おひとり様」のほうが市民権を得ているのではないかとさえ思う。既婚子ありの世界にも、おひとり様の世界にも、既婚子なしは微妙に馴染めず所在がない。』
既婚子なしだと、思想が強そうとか、不妊治療をしているかもしれないなどの想像をされ、腫れ物な存在にされている気がする、と。
子なしって200色あんねん。
センシティブな話題だけにそうなってしまうのも当然だけど、誰も悪くないのにそうやって勝手に少し距離を取ったり取られたり、話題を選ばなければならないのは悲しいね。
私には二人の子供がいるけど、著者と違う立場にいる私にとっても、この部分は共感もしたし、違う立場にいる側の友達の苦悩なども想像して苦しくなった。30代女性、みんな複雑な思いを抱えながら生きているよね。
・月岡さん、私の親友説
夫と二人暮らしの著者は、習い事の行き帰りで近所のマダムに会う度に「子供ができたらなかなか自分の時間楽しめないもんね!今だけよね!」的なことを言われる、と。また実母にもそのようなことを言われる。
-『近所のマダムは適当にあしらっておけばいいとして、身内は会釈でやり過ごすには近すぎて、嫌いになるには相手を知りすぎている。』
-『私の生き方は、母にとっては自分の生き方の否定のように映るのかもしれない。』
あ、この言葉、初めてじゃない。
私の親友も私が育児で苦しい時に同じようなことを言ってくれた。
母乳育児で4人の子供を育てた実母は完全に母乳育児推進派。私は1人目のときも2人目のときも理由あって途中でミルクに変えた。その時に母に色々言われて参ってしまっていたとき、友達からこう言ってもらったことがあった。当時スマホの画面を見ながら大号泣したのを覚えてる。
「気にしなくていいとか言わせておけとか周りは言うかもしれないけど、すごい無責任だと思う。
だってやっぱり自分の母親から母乳母乳言われたら気にする。顔も知らないネットの人が言ってるのと違うもん。気にするなって方が無理だよ。」
「お母さんは何十年も母乳育児に信念を持ってるから、こっちが理由を言ったとしても理解してくれないかもしれないね。それだけ子供達を大切に育てたからこその信念だと思うけど、それが娘を苦しませてるってことに気づけないのは悲しいよね。」
あぁ、もう打ちながら泣きそう。
この言葉には何度も救われた。今も日記に書いて時々読み返してる。
表現の仕方に多少違いはあれど、ほとんど同じ考え方だ。
親友、月岡さん説が浮上してきた。あのとき私を救ってくれてありがとう。
身内からの一言って結構ボディブローなのよ。悪気がなくても、言われた側には一生残ったりするから気をつけたい。だいぶ脱線しました。
・ライフステージが違う立場の女友達との関係性
-『登る山が違っても私たちは同志になれる。
そんな綺麗事を信じたくて、今日も自分の山から向こうの山を眺めてみる。向こうもなんだかんだ楽しそうだけど、こっちも自由で気楽で楽しいんだよなあと思う。』
かつては仲良しだったけど、ライフステージが変わるにつれて話題を選ぶようになった友達。
お互いに気を遣うのならば、いっそ距離を置いた方がいいのかな、と思うこともある。実際にそれで会わなくなった友達もいる。
無理して乗り越える必要はない。でも、登る山が違うのなら、お互いの山の様子を教えてあげる、興味を持って聞き合うことは、今のこの関係だからこそできることなんだ。
難しく考えずに、少し肩の力を抜いて関わっていけばいいのかもしれないね。
私もこの綺麗事に賭けてみたい。
・母は逃げ道?
著者の友達。
ー『「仕事や自分の才能で自己実現をしなきゃいけないというプレッシャーが、子供を産んで母親になったことで軽くなった。母になって救われた」』
これもすごく分かる。大人になるにつれ、何者でもない自分が年齢を重ねていくことがとにかく怖くなる。
Instagramに溢れている「お母さんにしてくれてありがとう」という文言、これからはそんな意味を感じながら読んでしまいそう。きっと、誰もそんなことを考えながら書いてないけど。
《メモ》
同い年の女性が、子なし側の考えも、子持ち側の考えもこんなに解像度高く言語化しているなんて凄い。
考えても答えが出ない、出たとしてもすぐに揺らいでしまう。友達にはなかなか言えないし、夫と話しても出産に対する男女の責任の重さが違うからかどうもしっくりこない。
考えるだけで億劫になるようなこのテーマに対して、本気で向き合ったからこそ、色々な立場の女性の苦悩を代弁する内容になったのだと思う。
現代を生きる30代女性のバイブルになりうる一冊。
読んで共感したり気付きを得た人はみんなトモダチ。 -
Posted by ブクログ
すごく共感する点が多かった。
・この世は生きるに値するのか?
いじめられたり、病気や障がいを持って生まれてきたら?自分(親)や、子にコントロールできない要素を乗り越えて、幸せに生きていけるのか?自分はきっと先に死ぬから、子をひとりでも生きていけるように育てないといけないし。
・母親という「家庭の総監督」になりたくない
名もなき家事をやるのはだいたい女性で、それを夫と分担するには女性が細かく指示を出さないといけない。大人2人なら気にならなかった床のほこりが、赤ちゃんがいるならすぐ掃除しないといけない。
・それでも「産んだほうがいいのかな」の波が押し寄せる
ものすごくよくわかる。産むのを躊躇う理由はたくさんあるのに、絶対産まない!とファイナルアンサーができない。
著者は産まないことに対してかなり負い目を感じているようだけど、それはあまり共感しなかった。
心配事が多すぎるこんな世の中で気楽に産めるかよと私は開き直ってしまってる…
(産んだ人たちみんなが気楽に産んだとはもちろん思っていない)
あと著者の母親の話はあったけど、父親の話はなかったな。あんまり家庭に参加しないタイプなんかな? -
Posted by ブクログ
ネタバレ「子どもを持たない」はアイデンティティでもなんでもない。自分の核が変わるわけではない。たしかに。救われる言葉だ。
もやもや~っとすることが多かったため、買ってみた。
筆者が友人から言われているように、「考え過ぎでは?!」と思うところもたしかにあった。
でも、産まない選択をしている人の考えを知ることで、視野が広がって心が楽になった。
大人になると、子どものころには気づかなかった(気付なかった?)社会問題のことを気にするようになり、なんだか自分が子どもだったときよりもこの世界には問題が山積みになっているかのような気持ちになってくる。
でも、実は自分が子どものときもその山積みの社会問題はあって、自分が子どもだったから理解できてなかっただけでは?とも思う。 -
Posted by ブクログ
共感しながら読めたエッセイだった。
唯一私と違うところは浪費化であるところくらいだった。(むしろコンビニやマツキヨの爆買い、新しいものに変えることは私はやりたくてもできないタイプだから羨ましい)
はじめにで著者が書いていた
私たちは毎日この世界で息をするだけで少しずつ傷ついていく。それでも生まれたからには、泳いでいくしかない。
という言葉と
エッセイが著者が感じた葛藤、悩み、ままならないこと、白黒つけられないことなどあまりすっきりした結論がでなかったりぐるぐる煮え切らなかったりするものも多い
という言葉が読み進めながらしっくりきた。
著者のきれいごとでない、素直な気持ちの表現はときにくすっと笑えたり、分かる私だけじゃないんだと思えて、私も傷つきながら泳いでいこうと思えた。