志村ふくみのレビュー一覧

  • 一色一生

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    志村ふくみさんが織物を始めたころのお話、その後の経緯、出会った陶芸家や芸術家、母や兄のことなどがつづられ、人となりがとてもよくわかる。
    深い思索に裏付けられた文章もエッセイとして読み応え十分。見事。
    バーナード・リーチの文章の引用や、柳宗悦さんのことなども出て来る。興味深い。

    お母さんは素人ながらもともと織物をやりたかったという芸術家肌の方。2歳で養女に出したふくみさんが30歳を過ぎて一緒に織物をすることになるなど考えもしなかったという。
    お兄さんは絵描きで若くして亡くなった。
    芸術を志向する家系なのだなと感じた。

    印象に残った箇所。
    P31、32
    一つの色には別個の、その色にしかない確固

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    2016年10月28日
  • 一色一生

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    草木で染めて織る。志村さんはそのことを続けてこられた方です。
    本格的に染めと織りを始めたのは、三十歳を過ぎてから。結婚に失
    敗してからの再出発でした。我が子を養父母に預けてまで修業に打
    ち込み、染織に身を捧げ、ついには前人未到の境地を切り開いてゆ
    くまでになる。本書は、そんな志村さんの人生の過程を辿りつつ、
    染めること、織ること、つくること、生きることについて、彼女が
    折々で考えてきたことを綴ってゆきます。

    久々に再読したのですが、染め、織る中で紡がれてきた言葉の数々
    は、何度読んでも、読むたびに発見があるなと改めてその奥深さに
    感じ入りました。

    この3年間、福島県南相馬市の人々と共に蚕を

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    2015年12月26日
  • 一色一生

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    著者志村ふくみさんは、日本の染織家で、紬織の重要無形文化財保持者(人間国宝)である。
    『一色一生』はその彼女が染織について静かに丁寧に語る随筆。本書は穏やかで優しい雰囲気に包まれているが、仕事にかけるひたむきな情熱が心に響いてくる。

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    2013年09月19日
  • 一色一生

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    四半世紀前、本当の恩師に頂いた本がこの1冊でした。草木染め作家の志村さんの誠実にそのモノの生を染めようとする姿勢に打たれました。いちめんのさくらの花びら広がります❤

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    2011年05月24日
  • 一色一生

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    たおやかで苛烈な文章。自然を人間の手で色として染め上げる、その格闘をわずかながら垣間見ることができる。素晴らしい本。

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    2011年05月21日
  • 一色一生

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    染織家・志村ふくみさんによるエッセイ。

    ・一番始めに載っている書簡から、草木による自然染色へのこだわり、
     色に対する細やかな感覚が伝わってきました。
     かつての日本人はどれだけの色を区別する感性を持っていたのでしょうか。
     四十八茶百鼠。

    ・「豊かに貧乏してきた」弓ヶ浜(鳥取)の人々と、「心貧しく富んだ生活を
     している」私たち現代人という対比が鮮やかです。

    ・染織の道に飛び込んだのが32歳だと書かれていて驚きました。
     私もまだまだ頑張るぞ。

    最後に若き日の著者に与えられた木工家・黒田辰秋氏の言葉を書かせてください。

    ただあなたがこの道しかないと思うならおやりなさい。
    まず自分の

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    2009年10月04日
  • 遺言 ――対談と往復書簡

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    小学校の教科書に載っていた大岡信さんの「言葉の力」というエッセイで志村ふくみさんの名前を知って、そのまま忘れていたのに大人になって志村ふくみさんのお名前を見た瞬間に桜を染める話が鮮やかによみがえって以来、志村さんのファンです。書評でこの本を見かけて手に取って糸の美しさにどきどきしました。石牟礼さんといえば「苦海浄土」があまりに有名で重たい印象があり敬遠していましたが、「沖宮」観たくなりました。
    対談の内容については、わからないところもあり、納得するところもあり、色々ですがお二人の真剣に打たれました。

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    2019年04月30日
  • 一色一生

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    著者の活躍していた時代は、民芸運動の最盛期。
    着物の織物は衰退を示す一方で、伝統文化を残し、さらに発展させるために尽くしてきた有名な人たちが出てきます。
    貧乏でも仕事一筋で生きてきた人たちの様子を垣間見て、仕事とは何か、人生とは何か、と自問自答させられました。

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    2013年09月24日
  • 一色一生

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    櫻色に布を染める為には、
    花びらではなく 花が咲く直前の桜の樹皮を使うそうです。

    自然への畏敬と、芸術への真摯な姿勢が描かれた
    エッセイ。

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    2009年10月04日
  • 一色一生

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    染織家、志村ふくみさんの本。
    ちょうどカラーの勉強をしている時に出逢い、手に取ったエッセイ本です。
    草花に対する、慈しみのこころが綴られている文章から滲み出ています。
    こころに余裕が無くなりそうになった時、ふと手にとりたくなる1冊。

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    2009年10月04日
  • 遺言 ――対談と往復書簡

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    上演の情報をぼんやりと見送ってしまって、後になって気になっていた、石牟礼道子の新作能「沖宮」。それが生み出されるにいたった石牟礼道子と志村ふくみの往復書簡と対談。解説が適切に解説として機能している。お二人がそういう危機感を持つことはわかるのだけど、残念ながら私は世界の捉え方が違っているので共感できない。でも収録されている「沖宮」の詞章には深く感じるものがあったので、もし再演があればと思った。

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    2019年01月13日
  • 一色一生

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    ネタバレ

    草木染めと言うのだろうか?藍染や草や木の命をもらって布に再び命を与える。色を生み出す工程は、人生を切り開くにも等しい。苦しみさえも喜びに変えて、試行錯誤の重なり。
    色の鮮やかさと同じくらいに文章に貫かれた言葉の色も艶やか。

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    2016年12月06日