クレアキーガンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界の中に、このようなものの感じ方をする人間がいて、それを小説として世に出してくれて、極東の国で翻訳され、噛み締めることができる、という奇跡。
さらに映画化もされ、来年公開されるという。
昨年見た映画「コット、はじまりの夏」の原作者だと知って、膝を打った。いい映画だった。親からの愛を感じられない少女が過ごす一夏の叔母夫婦での思い出。机のビスケットが繋ぐ叔父との心の交流。
あの静謐な作品と確かにテイストは似ている。
予告編を見たけど、映画を見るのが今から楽しみだ。
こういう小説を読むと世界は繋がっているなと思う。アイルランドの「マグダレン洗濯所」の歴史を知ることもでき、クレア・キーガンの見つ -
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「知ること」の大切さ。
こんな話を聞いたことがある。
関心のない国や土地については、地名は知っていても、地図で書いたり場所を指し示したりすることができない。つまり、自分の世界ではその土地がなかったことになっている。
これは見事に自分に当てはまっていて、知っているつもりでいたこと恥ずかしく、また恐ろしくも感じた。関心がないということは、無視しているのと同じことなのだと。
この本は、訳者・鴻巣友季子さんのX投稿で知った。
1985年のアイルランド話。それは1996年まで続いていた。中世の出来事でない。
だからこそ驚いた。
この知らなかったことを知る驚きは、
韓国の映画「タクシー運転手」でも -
Posted by ブクログ
著者はアイルランドの代表的な現代作家さんらしい。
舞台はアイルランドのとある都市、1985年のクリスマス。
ファーロングは父を知らぬ私生児として育ったものの、今は燃料店を切り盛りし、
妻と五人の娘に恵まれている。
ところが、クリスマスの直前、女子修道会に付属する施設で
その実態を目の当たりにしてしまい・・・
自らの生い立ちと重ねつつ、葛藤する・・・
アイルランドには、1996年まで各地に「マグダレン洗濯所」という
施設があった。
母子収容所を併設し、政府の財政援助を受けながら運営されていたものの
実態は女性への虐待と労働力の搾取・・・名ばかりの職業訓練所だったとか。
ファーロングは、その実 -
Posted by ブクログ
ちょっと、西の魔女が死んだを思い出した。
子供にとってひと夏という短い時間が、一生の中でどれだけ大切なものになりうるかが、さらっと描かれた文章の中に詰まっている。
楽しいときを留めておけないくらいなら、いっそ素っ気なく振る舞う感じ。
願望や喜びの感情をあえてセーブすることで、避け難い現実からのダメージを大したことではないかのように、やり過ごす感じ。
そんな子どもならではの心の防衛反応が、あぁ分かるなーと思う。いろいろと思い出す。
だからラストの一言が、ぐっとくるね。
ここは、クレア・キーガンがうまい。実に鮮やか。
映像やセリフでは、この一言に込められた想いの半分も伝えられないのではないだろう -
Posted by ブクログ
1985年、アイルランドの小さな町。
クリスマスが迫り、寒さが厳しくなるなか、
石炭と木材の商人であるビル・ファーロングは
ある日、石炭の配達のために女子修道院を訪れる。
そこでファーロングは「ここから出してほしい」と願う娘たちに出くわす。
修道院には未婚で妊娠した娘たちが送り込まれているという噂が立っていた。
隠された町の秘密に触れ、決断を迫られたファーロングは
己の過去と向き合い始める。
そんなあらすじ。この物語を読むまで存在すら知らなかった。
1996年まで存在したマグダレン洗濯所。
婚外交渉により身ごもった女性ばかりでなく、
堕落する可能性があると恣意的に判断された女性、
身寄りのな