クレアキーガンのレビュー一覧
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冒頭に「アイルランド母子収容施設で苦難を経験した人々へ捧げる」という献辞と、全国民に自由と平等を謳う「アイルランド共和国宣言」が引用されている。
この部分で「こんな宣言しておいて、実態はこんなことをやっていたではないか」という問題提起小説で、登場人物にはきっと不幸が訪れるんだろうなあ、と気持ちを引き締めながら読み始める。
時代は1980年代のクリスマス前の数日間で、主人公はアイルランドの南東部のニューロス町で石炭と木材を商う中年男ウィリアム(ビル)・ファーロング。ファーロングは自分の父を、というより当時16歳だった母を妊娠させた男を知らない。町では母のような女はふしだらな女と見られるが、母 -
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北海道恵庭市で元市会議員が経営する牧場で3人の知的障害者が、長い人では40年近く食事もまともに与えられない劣悪な環境で奴隷のように無給で働かされていた。恵庭市はことを荒立てないために虐待事案としての申し立てを無視し続けた。この人たちが解放されたのはなんと2022年のことだ。全く同じ話だし、昔の話ではない。この短い小説は社会の問題を外側から糾弾しているのではない。そんな社会のなかで生きていく中で、どうやって己の倫理を守り通せるのかということだ。そのための行動は確かに未来において大きな難題を産むかもしれない。でも、少なくともいまその倫理や徳を守るための行動はささやかなことなのだ。
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かつてアイルランドにあった「ふしだらな娘」の収容所に閉じ込められた少女をみた主人公が……の話。
アトウッドの「侍女の物語」とは違って、これは100%真実。
最近も、この種の施設から乳幼児数百人の遺体が見つかったらしい。
1996年まで実在していたそうで、私が最初の妊娠をした時にもあったんだと思うと恐ろしい。
自分の家族が不利益を被るとしたら、私はどう行動するだろうか……と思う。
ファーロングは、自分自身が「助けられた」ことを理解していたからこんな行動ができた。
「ウィルソンさんがいなければ、うちの母さんは十中八九、あの施設に入れられていただろう。自分がもっと昔に生まれていたら、いま助けよ -
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妖精や魔女の国、アイルランドのクリスマス。
カトリックの絶対支配の階級社会。
その中で誠実に生きる労働者の男性。
寒くて暗い中の仄明るいアイルランドのクリスマス。幻想的にも見えるクリスマスの様子が実態として浮かんでくる筆致がよい。
精一杯労働し、家族との生活を守る1人の男性の虐げられた女性の救済への葛藤が読んでいて苦しい。(これまで必死で守ってきたものが絶対的な権力に抗うことで失ってしまうかもしれない、これは普遍的なテーマだろう。)
キリスト教の暗部と共同体としての機能を明示しており、辺境の文学としての面白さもあった。アイルランドの空気感がよい。(イギリス児童文学への系譜を感じる。) -
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1985年、不景気で閉塞感漂うアイルランドの小さな町が舞台です。政治・宗教的な背景があるものの、簡潔な文章で分かりやすく、本編が130ページほどの中編小説です。その割に奥深く、当時の時代の空気感が上手く表現されていると感じました。
当時のアイルランドには、カトリック教会が運営する母子収容施設と洗濯所があり、洗濯場では恵まれない少女や女性が監禁、労働、虐待を受けていた史実(「マグダレン洗濯所」の闇)があったようです。
主人公は、40手前の石炭商を営むビル・ファーロング。妻と5人の娘がいて、家族思いで真面目に慎ましく暮らしています。ただ、彼の母親が未婚の母で、父親を知らないという出自があ -
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1996年までアイルランドに存在していた「マグダレン洗濯所」。ここは政府からの財政支援を受け、教会が運営していた。未婚や婚外関係で妊娠した女性が無償労働を強いられ、虐待が行われていたという。
本作には、この洗濯所をモデルとした施設が登場する。主人公ビルは、女子修道院に石炭を配達しにいった時に、この施設で少女と出会う。そして彼女がひどい扱いを受けているのを目にするのだ。
彼自身、母親は未婚で彼を産み、父親を知らない。しかし運よく母が女中をしていた屋敷で育てられ、キリスト教徒として真面目に生きて来た。生活は決して豊かではないが、妻や娘たちに誠実なビルのセリフはいちいち心温まる。
ラストはこれから起 -
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著者はアイルランドの代表的な現代作家さんらしい。
舞台はアイルランドのとある都市、1985年のクリスマス。
ファーロングは父を知らぬ私生児として育ったものの、今は燃料店を切り盛りし、
妻と五人の娘に恵まれている。
ところが、クリスマスの直前、
女子修道会に付属する施設で
その実態を目の当たりにしてしまい・・・
自らの生い立ちと重ねつつ、葛藤する・・・
アイルランドには、1996年まで各地に
「マグダレン洗濯所」という施設があった。
母子収容所を併設し、政府の財政援助を受けながら
運営されていたものの、
実態は女性への虐待と労働力の搾取・・・
名ばかりの職業訓練所だったとか。
ファーロングは