ブライアン・クラースのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読書録「「偶然」はどのように
あなたをつくるのか」5
著者 ブライアン・クラース
訳 柴田裕之
出版 東洋経済
P309より引用
“ もしあなたの代わりに誰か他の人が存在
していたら、世界は違ったものになるだろう。
あなたが存在するからこそ、あなたは世界に
影響を与える。良い影響もあれば悪い影響も
あるが、そのいっさいが、このタペストリー
の一部となる。あなたは重要だ。あなたがこ
れまでに下し、またこれから下す、ごくささ
やかで取るに足りない決定に至るまでが大切
なのだ。”
目次より抜粋引用
“何を変えてもすべてが変わる
万事が理由があって起こるわけではない
私達の脳はなぜ現実を歪めるのか?
制御も予測も不可能な人間の大群
ヘラクレイトスの不確実性の世界”
国際政治学者である著者による、世界にお
ける人の存在のあり方や関わりについて記し
た一冊。
人生の決定についてから人一人の大切さに
ついてまで、歴史上起こった偶然の結果など
を元に書かれています。
上記の引用は、一人の存在と世界への影響、
世界からの影響について書かれた項での一節。
自分という人物が取るに足らなくて、何をし
ていても世の中は変わりはしない。などとい
う皮肉で悲観的な考え方を、蹴り飛ばすよう
な言葉ではないでしょうか。
ほんの少しずつでも、良くなるように行動し
て、いつか事態が好転したらいいなぁ。位の
気持ちで過ごしたくなる一節です。
この、「世界においてあなたは重要」とい
う考えは、本書では何回も書かれていて、
著者は世界と人を大切に思う人物であると
思われます。
ほんの少しのことで、状況も結果も大きく
変化するということが、歴史上何度も起こっ
ているようです。
どんなに苦しい状況でも、決して自身の事を
責めるばかりでなく、どうしようもない悪い
偶然の巡りであるという事もあるということ
を、忘れないようにしたいものです。
こういう事を言うと、上手く行っている人や
上手く行った人は、努力不足とかいうのかも
しれませんが。
世界に対する見方が、変化してしまうかも
知れない一冊。
気持ちが落ち込んだときなど、読み返したい
ような、そんな作品です。
若いうちに出会いたかったけど、出版がま
だ去年のことなので、まあ早めに出会えて
読むことが出来たのは幸いでした。
とてもいい偶然に出会えたと思います。
ーーーーー -
Posted by ブクログ
文章はとても読みやすい、がしかし、とても長かった。
偶発性と収束性、収束的に見えるが偶発的なのが現実。
ヘンリー・ルイス・スティムソン陸軍長官が京都都ホテルに泊まっていなければ今の京都は存在しない。
一方で悲劇的な長崎の例もある。
これは偶然以外の何者でもない。
映画『スライディング・ドア』を例に、偶然の巡り合わせの重要性に触れている。
カオス理論の様にわずかな調整、違いだけでも予測不可能になりうる。天気予報ですら2週間先は予測不可能。決定論とは食べ合わせが普通に考えても悪い。
大腸菌の例では、人間は神のようにポーズボタンや、巻き戻しもできる。そんな中でも偶発的に新たな長期進化実験はとても刺激的で興味深い。
偶発的収束性とでも呼べる人生・世界に我々は住んでいる。
どの瞬間も大切なのだと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ社会に出てから、XだからYであると行った一次関数的な要因と結果の関係性が過度に強調されすぎていることに違和感を感じていた。
単純明快で理解しやすい構図が好きではない。そこまで世の中は単純化できないのに人間が理解しやすいように整理されすぎている自己啓発本に対する嫌悪感もこの違和感に起因していたと思う
だからといってあまりにも決定論すぎる考えもいかがなものかと思い自分が抱いているこのモヤモヤの解決に一歩近づけたらと思って手に取った。
冒頭はあらゆる事象から「ランダム性」をとき、私たちがコントロールできると信じている事柄が本来はどれだけコントロールができないことであるかということを論じていた。
ここまで読んで決定論的な考えに着地さられるのかと思いきや、そうではない着地で驚いた。私自身冒頭を読んでやはり決定論的な考えの方が正しいのではないかという気持ちになりかけた。しかし決定論的な考えが行き着く先には人種差別や性差別などもともと持っている能力やポテンシャルを過度に評価する思考に近づくという点で危険な思考だというリスクが述べられていたし、決定論的な面は少なくともあるがここで自分のランダム性というものへの過小評価について気付かされた
そもそもの決定論的なものの中にあるランダム性、そして未来に起こりうる外部のランダム性によりいくらでも世界は変化する。この点において世界は決定論的ではないのだ
この着地が本著のよかった点であると思っている
ネガティブな運への捉え方ではなくポジティブ無方への捉え方で着地した
世の中はコントロールできないという点ではネガティブに思えるが、ランダムだから面白い、ランダム性に対して価値が高いのが探索であり、探索をすることこそ人生の面白みであるという着地
意外な結論ではあったものの納得もしたし、読後感はすごくよかった
長かったけど是非読んでみてほしい -
Posted by ブクログ
予約本がどっかんどっかん来てる時に限って難しい本を読んでたりするよね(あるいは大長編)
予約本がいつ回ってくるかを正確に予測するのは困難なので、もしこの状況を避けたいのであれば、予約本があるときは難しい本や大長編は読み始めないというのがよろしい
だけどこっちはこっちで読みたいの!
わいはこれを「予約本のジレンマ」と呼ぶことにした
うーん哲学者っぽい
さて本書は題名の通り『「偶然」はどのようにあなたをつくるのか』をありとあらゆるアプローチで解き明かしてくれる
もうあらゆる分野から引っ張ってくるので、ほとんどただの雑学本となっている
そしてもう全部が面白い
やんなっちゃうくらい面白い
そして導き出された結論がすんばらしいのよ
予約本を後回しにして読んで良かった一冊でした -
Posted by ブクログ
世界がいかに複雑で、偶然に富むものなのかを、歴史上の出来事や生物学・物理学などの科学的視点で、これでもかと掘り下げられている。「世界は偶然でできている」というのは分かっているつもりであるけれど、一人の将校が偶然京都に立ち寄ったことで原爆の空爆地が変わったり、ダーウィンの鼻があと少しでも特徴的だったら今の進化論の価値観は根本から異なっていたりする可能性がある。それどころか、生きとし生けるもの一つ一つの言動が変わるだけで、世界はすっかり変わるというのを実感できる。
人間は進化の過程で「パターンを見出す」ことで生存競争を勝ち抜いたこと、そのため、因果関係を見出したり物語をつくったりするバイアスがあることも面白かった。
変化に富む世界で、そのようなバイアスに惑わされずに、色々なことを試して、変化を楽しむことが大事。世の中をより俯瞰的に見る視座・視点を得られた。 -
Posted by ブクログ
【感想】
トランプやプーチンのような人間がリーダーになってしまう理由を進化論や人類学、心理学などを使って検証し、エピソードも豊富で面白く読める。納得感はあるが、そもそも権力者が「ダークトライアド(マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシー)なので対策を実行するのは難しい(著者も十分認識していると思うが)。
【目次】
第1章 序--権力はなぜ腐敗するのか?
第2章 権力の進化史
第3章 権力に引き寄せられる人たち
第4章 権力を与えられがちな人たち
第5章 なぜサイコパスが権力を握るのか?
第6章 悪いのは制度か、それとも人か?
第7章 権力が腐敗するように見える理由
第8章 権力は現に腐敗す、
第9章 権力や地位は健康や寿命に影響を与える
第10章 腐敗しない人を権力者にする
第11章 権力に伴う責任の重みを自覚させる
第12章 権力者に監視の目を意識させる
第13章 模範的な指導者を権力の座に就けるために
【内容】
権力に関する4つの仮説
1.権力を握ると人は悪質になる(権力は腐敗する)
2.権力は腐敗しやすい人を引き付ける
3.不適当な理由から不適切なリーダーに権力を与える
4.制度の問題であり適切な状況を生み出せば権力は腐敗しない
→すべて
腐敗しやすい人が権力を追い求め、権力を手に入れるのが得意で、善人のうちには権力をふるうことで腐敗する人もいる
→
腐敗しない人を権力者にする
1.腐敗しない人を積極的に勧誘し、腐敗しやすい人を篩い落とす
2.籤引き制と影の統治を利用して監督する
3.人事異動をして権力の濫用を減らす
4.結果だけでなく、意思決定のプロセスも監査する
権力に伴う責任の重みを自覚させる
5.責任を頻繁にしっかりと思い出させる仕組みを作る
6.権力を握っている人に、人々を抽象的なもののように考えさせない
権力者に監視の目を意識させる
7.人は監視されると善良になる
8.支配される側ではなく支配する側に焦点を合わせて監視する
9.ランダム性を利用して抑止力を最大化しつつ、プライバシーの侵害を最小化する
模範的な指導者を権力の座に就けるために
10.高潔な救済者の出現を待つのをやめる。代わりに、彼らを生み出す -
Posted by ブクログ
読み応えのある書籍だった。
世界は極めて複雑な相互作用から成り立っており、それを予測することは(理論上は可能かも知れないが)まず不可能だということが良くわかった。
自然科学の予測(数百年後の皆既日食)は当たるのに、半年後の経済情勢は当たらない。複雑系だからだ。
にも拘らず、人間は世界にストーリーと法則を当て嵌めて捉えたがる。そのせいで、全く愚かな方程式が社会に満ち溢れ、おお外ししながらも、同じような説明でまた人々が惑わされる。
この世界は究極的には決定論的でありつつ、量子力学における非決定論的要素は存在する。しかし、自由意思などというものはない。
我々は、過去の宇宙のあり方の必然的な結果として今存在しているのであって、その思考も意思も判断も感情すらも全て決定論的である。そこに自由意思などというものはない。著者は気持ち良くそう言いきってくれる。
そして、我々は何もコントロールできないがあらゆるものに影響を及ぼせる。
私たちは、そのような偶発性と複雑性の世界の中で、コントロール欲求を取り払って、ありのままの世界を感じながら、探索を繰り返して人生を楽しんでいけば良い、ということか。 -
Posted by ブクログ
私たちは物事には単純明快な原因があると本能的に信じている。でも、実際は小さな偶然の連続でできているんだ、ということが書かれた本。
どちらかというと、自分は世界は?人生は?複雑でコントロールなんてできない、と思っているタイプ。なので、この本を読んで新しい視点だ!とはならなかった。
でも、本の中に出てくるいろいろな「偶然」の事例が面白くて、やっぱり事実は小説より奇なりだなぁと思ったり。
以下メモ(結構長い)
・社会科学者である著者の曾祖父の前妻は、子ども4人とともに自死したという。その後再婚した女性との間に著者の祖父が生まれた。
前妻の凶行がなければ自分は生まれていなかったという事実から「自分が時に素晴らしく時に大いに問題のある過去の派生物」であることに気付く。
・この世界のカオスを受け入れれば、より幸せな人生を送れるのか
・収束性:万事は理由があって起こる
小さな点は問題なく、起こるべきものは起こる
ニュートンの運動法則・神の見えざる手
・偶発性:物事は単に起こる
ほんのささいな違いがその後の結果を大いに左右する
バタフライエフェクト
自分だけでなく周囲との関係の中でも変わる
・カモノハシは偶発性の好例、収束性の好例は甲殻類。
・カーシニゼーション :タラバガニもやヤドカリなど、本物の蟹ではない甲殻類が、進化の過程でカニに似た姿形へと独自に変化する収斂進化の一例。
・12個のフラスコの実験(大腸菌の長期進化実験)
たった1匹の共通の祖先から分けた大腸菌を12個のフラスコで35年以上(8万世代以上)にわたり別々に育て続けることで、生物の進化をリアルタイムで観察している世界最長の実験。
実験開始から約3万1500世代目に、12個のうちのたった1つのフラスコの大腸菌だけが、本来は食べられないはずの「クエン酸」を栄養として利用できる新しい能力を突然変異によって獲得し、進化には偶然の積み重ねや歴史的なめぐり合わせが深く関わっていることを科学的に証明した。
・ラプラスの悪魔
すべての結果には原因があるという考え方に基づき、「もし現在の全粒子の位置や運動量を完璧に知る知性がいたら、過去から未来までの全運動を完全に計算できる」という
・自己組織化臨界性
砂山の例え
砂粒は1粒ずつ安定したパターンで積み重なる。
臨界状態に達するとあと一粒加えただけで大規模な崩壊が起こる。
たった1粒の砂がその崩壊を引き起こす。
それぞれの砂粒は何もコントロールしていないが、ほぼすべてに影響を与える。
・ブラックスワン
事前にほとんど予測できず、起こったときの衝撃が非常に大きい、極めてまれな事象や出来事
由来:昔のヨーロッパでは「白鳥は白いもの」が常識。だがオーストラリアで黒い白鳥(コクチョウ)が発見され、それまでの常識が覆されたことから
・現代世界はバッタの大群(トビバッタ) と同じで制御も予測も不可能である。
私たちは自信過剰で目が曇っている。
・なぜ現代の世界はこうも複雑になったのか
インターネットの普及:広く拡散する情報を生み出す人の数を増やした
最適化、効率性を追い求める結果、社会のシステムにゆとりがない
・数学の発展、数値化、確率
それに対してヒュームは、確率は確実性とはかけ離れている、と。未来が過去と同じであるという保証はない
・ヨーロッパでアラビア数字が普及しなかった理由は、簡単に改ざんできるから。時代が進み、印刷機が普及することで手書きで改ざんができなくなり、アラビア数字が安心して使われるようになった。結果数学が発展した。
・単純なものは偽り、複雑なものは使い物にならない
1/1縮尺の地図を欲しがる人などどこにもいない
・偉人説
主要な人物が歴史を決める。偉人に注目して変化が起こった理由を解釈しようとする
・アナ―ル学派
個々の人物は現れては消えるもの。歴史の最終目標は決まっている
・出来事が起こる「時」の重要性
仮にコロナが1990年に拡散していたら、リモートワークはできなかった。
1950年に武漢で発生していたら、こんなにも早く世界に拡散しなかった。
・社会を理解するための「社会調査の問題」
再現性の問題
P値ハッキング:P値は0.05未満が統計的に優位である可能性が高い。0.051の時にデータを操作する
お蔵入り問題:同じ実験を行い、20人中1人、何か「発見」をするとそれは「発表」される。残り19人はなにも発見がない場合、それは公表されない。
ある理論は、「その時」正しかったとしても、時代が進むとあわなくなる。
・不確実性の利点
意外な結末、思いがけない発見
現在のあなたの行動が最適化した未来をどのように生み出しうるかには重きをおかず、あなたのために生み出された現在を享受するのにもう少し重きを置く。
・自由意志はあるのか
私たちはなんでも自分が欲するものを自由に欲することはできるが、自分が欲するものを自分で選択できるわけではない。
私たちが自由なのはたとえ自らの好みを自主的に選べなくても、好みを追求できるからだ。
・決定論の悪用
環境決定論(地理的決定論)は人間の文化や社会、文明の発展が気候や地形といった自然環境によって決定されるとする考え方であり、歴史的に人種差別や植民地支配を正当化する道具として利用された。
・自由意志と倫理
私たちは自分の遺伝子や親、子ども時代の経験、自分の脳の物理的組成を選べないが、それらの要因は明らかに私たちの未来の振る舞いを決定する。人々のその行動を非難することは理にかなっているのだろうか。犯罪者にその理由がないなら、彼らを罰することがどうして正当化できるのだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった!
でも読むのに2ヶ月くらいかかった!!
おもしろいのに!!
でもおもしろいから途中で読むのやめたくなくて根気強く読んだ。
メモ
心理的距離の4つの尺度
①社会的距離(人が、自分の行動によって影響を受けることになる相手にどれだけ自分を重ね合わせるか)(面識のない相手をクビにするより、娘の一番の友達の父親をクビにする方が難しい)
➁時間的距離(決定を下す瞬間から、その決定の結果がもたらされるまで、とれだけ時間差があるか?)
③空間的距離(物理的に遠く離れた所にいる人のほうが、自分と同じ部屋にいる人よりも気安く害することができる)
④経験的距離(ただ頭で考えるだけで済むときのほうが、腹の底から感じたり、経験したり、目の当たりにしたりしなければならないときよりも、気安く他者を害したり、虐待したりできる)
頭の中で相手を、遠慮なく処分できる人間未満の抽象的な存在に変えてしまえばいい。(ここでは害虫などを挙げていた)
そしたら殺すのに罪悪感や躊躇を感じにくくなるみたい。
怖すぎ。怖い話だった。
あと私たちは少々ビーバーに似すぎていた。(声がでかくて自信満々なやつにみんなついていくから)