ブライアン・クラースのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
帯にあるように「私たちは何もコントロールしていないが、あらゆることに影響を与えている」ということを、カオス理論をベースに、進化生物学や歴史から様々なエピソードを挙げて論じている。脳科学、行動科学の知見から、因果関係や物語を作り上げてしまう脳の仕組みを解説し、最終的には自由意志はないと結論している。記述は論理的で科学的な成果に基づいており、わかりやすく整理されている。それを踏まえて最終章では、偶発性や不確実性にゆだねて現在を享受することに重きを置くことを提案している。
最新の科学の知見が、仏教の縁起や「今を生きる」ということにつながるものと感じた。
また、著者の引用する書籍に、ニコラス・タレブ、 -
Posted by ブクログ
人は、その感情さえも所詮は脳内化学物質のやり取りでしかないのだから、つまるところアルゴリズムなのだ…テクノロジーの進歩とともに人もアルゴリズムの1つになってきている…という主張をどこかで見て引っ掛かりを覚えていたが、本書はこのモヤモヤをキレイに晴らしてくれた。全くもってアルゴリズムそのものだが、私たちの感情や行動は他人や周りの環境に何らか影響を与え、それがまた自分にも影響を与えるすごい複雑系なのだと。
だから、この世の全てはXだからYになるという単純な話ではなく、どこかに予測不可能な偶然性が常にひそんでいる。自己啓発のような人間の努力はもちろん大切だが、偶然性や複雑系によりアウトプットが変わっ -
Posted by ブクログ
【感想】
トランプやプーチンのような人間がリーダーになってしまう理由を進化論や人類学、心理学などを使って検証し、エピソードも豊富で面白く読める。納得感はあるが、そもそも権力者が「ダークトライアド(マキャベリズム、ナルシシズム、サイコパシー)なので対策を実行するのは難しい(著者も十分認識していると思うが)。
【目次】
第1章 序--権力はなぜ腐敗するのか?
第2章 権力の進化史
第3章 権力に引き寄せられる人たち
第4章 権力を与えられがちな人たち
第5章 なぜサイコパスが権力を握るのか?
第6章 悪いのは制度か、それとも人か?
第7章 権力が腐敗するように見える理由
第8章 権力は現に腐敗す -
Posted by ブクログ
ネタバレ【「偶然」はどのようにあなたをつくるのか】 ブライアン・クラース 著
「万事は理由があって起こる」という収束性と、「物事は単に起こる」という偶発性との大きく二分類を比較し、後者に力点を置いた本です。
冒頭、具体例として原爆投下の事例を紹介します。かつて京都を訪れた米国人夫婦がその美しさに魅了され、その後、夫が原爆投下チームに配属。チームでは一番打撃の大きいと思われる京都への投下計画がなされるなか、京都に魅了された彼が強硬に反対して広島・小倉などへと変更。広島投下後、小倉への投下は当日雲が多くて「標的」が確認できず、長崎への投下に急遽変更。「もし」この夫妻が京都を訪問していなければ、「も -
Posted by ブクログ
平等だった人類
幼児は不正を嫌う?
戦争あるいは農業により階級社会が生まれた?
昔ながらのやり方「経路依存性」 QWERTYのアプローチ を打破する
1.腐敗しやすい人は権力に引き付けられる 多くの応募者から探し腐敗した人を除く
2.ランダムに権力を獲得すると謙虚に 競争で獲得すると傲慢に
3.人事異動 ピーターの法則 人は自分が無能であるレべルまで昇進する→停滞→腐敗
4.失敗も成功も プロセスを検証する 人は成果を良く見せようとする
5.権力を持つ人に責任を思い出させる
6.親身になるべき イノベーションが心理的距離を拡大 →距離を縮める
7.監視(神判)による善良
8.支配する -
Posted by ブクログ
ネタバレ解決策もいろいろ提示されているけれど、
まずサイコパスの方々にどう対処するか、それを真剣に組み込んだ人事制度だったり、選任制度がいるに違いない。いくつかのレッスン・対策は、サイコパスには効きそうもなかったりするので。
でも、大きな権力が集中する政治家トップや起業家・企業のトップなど、人事制度には無縁の人たちこそ難しい。
だから任期があったり、市場で淘汰されたりするのが大事だともいえるけど、
それが機能しているとは言えない。
誰が鳴りたいと思うか、そのポストにつきたいと思うか、という点でも、
すでになっている人から影響を受けるだろうから、
なかなか変わらないという状況もあるのかもし