浅倉卓弥のレビュー一覧
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ずっと気になっていた、平家物語ベースのタイムスリップもの。大河ドラマのお陰で?ようやく復刊。読む前はよくあるファンタジー系恋愛・青春小説をイメージしていたが、これが思いのほか本格的な歴史小説にもなっていて、重みのある内容。しかも序盤から畳み掛けるような展開。いつの間にかどっぷりハマっていた。ミステリーとしても秀逸。過去に跳ばされた友恵(巴)と義仲の出会い、武蔵(弁慶)の試練、志郎(義時)の出自、そして黒幕?文覚(盛遠)の悲恋などどれも読み応えあった。いよいよ歴史が大きく動く下巻。数々の名場面が如何に描かれるのか、現在とどう繋がるのか、3人の運命の行方は…。
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すれ違う姉妹がゆっくりと関係を修復していく物語。
「相手を理解する」というよりも、「相手を鏡として自分を理解し受け入れる」過程がメインなのが興味深く、同世代の女性として共感できる部分も大きかったです。
浅倉さんの文章はいつも繊細で優しく、すっと心にしみこみます。この作品では人に対して羨ましさや憎らしさを感じてしまうその気持ちが綺麗に言葉にあらわされていて、大人になる前に抱えてきた表現できなかった気持ちが今更ながら理解できた気がしました。
北海道出身の自分には、ひとつひとつ丁寧な雪の描写にも魅力を感じました。
(浅倉さんは札幌出身と聞いて納得でした) -
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指を失ったピアニストの青年と脳に障害を持つ女の子。
診療所を訪れたふたりに起こった奇蹟。2002年の作品とあるので、昔の作品なのですね。
途中、東野圭吾の秘密を連想しながら読み勧めましたが、不覚にも、最後の方は泣いてしまいました。
最後の方になって、診療所の設立に尽力した人にあるひとの名前があがった時は優しい気持ちになれました。
必要とされる人が突然いなくなる悲しみ。家族のいる人に限らず、誰もがそうかもしれないですが、きっと耐え難いものがあるかもしれません。でも逆に言えば誰かのために生きられた証だと思うから、自分もその時が来たら、そうありたいなと感じました。 -
Posted by ブクログ
桜色の美しい表紙に惹かれてページを捲る。
不思議な本屋に導かれるように扉を開けると少女と三毛猫が迎えてくれる。
どうしても気になっていたこと…
聞けなかったこと、聞き逃していたことを今になって考えてしまい思い出の本を開いてみる。
こうしたかった…もっと話したかったことが思い出され、猫の声に導かれて行った先には本屋なのか、喫茶店なのか…
持っていた本について少女に聞かされているうちに…不思議な体験をする。
確かめたいと思ってた場面のなかに入り込んで、懐かしいひとときを体験する。
本が繋いでくれる縁。
桜が咲き誇る時季にだけ開くその扉。
この不思議な時間、必要なのかも…。