浅倉卓弥のレビュー一覧
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頼朝、大姫、頼家、実朝、そして公暁。それぞれの死にゆく姿が描かれている。
永井路子さんの小説とも違う、大河ドラマとも異なる、そんな解釈で、違和感なく吾妻鏡の隙間を埋めていく。
「されこうべ」の頼朝の最期は興味深く読むことができる。吾妻鏡には記述がなく史書も曖昧になっているところを髑髏と髭切りを使い幻想的に描かれている。この時代、生きている者と死んだものが入り混じる世界があったかもしれないと思わせる。
家康が真相を葬ったというストーリーも難なく受け入れられる。
「空蝉」の大姫、「双樹」の頼家、「黄蝶舞う」の実朝、そして「悲鬼(ひき)の娘」の公暁、それぞれの話がそれぞれの伏線になりオーバーラップし -
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四日間の奇蹟を読んで一気に惹かれてしまい、この本を購入。
歴史モノ…ちょっと苦手かな…と思っていたが歴史上の登場人物は高校までに習った人たちで、なんとなくどんなことをしたかはまだうっすらと記憶に残っていた。
動乱の世にタイムスリップしただけあって、上巻の途中からたくさん人が死んでいき恐ろしくて読むのをストップ。
しばらく経って、やっぱり続きが気になってしまい改めて栞を挟んであったページをめくりだした。
上下巻あるのでこれを読み終えてやっと半分。このあと下巻を一気読みして今感想を書いている。
評価はラストまで読んでの点数。
学生時代、日本史の授業を睡眠時間にしていた人にとっては登場人物が多く -
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タイムトリップ平家物語 - 浅倉卓弥「君の名残を」★★★★★
すごく面白いです。平家物語を下敷きにしており、木曽義仲、源義経を中心に話が進みます。大河の「鎌倉殿」は源氏中心かと思いますが、本作は平家や朝廷も存分に登場します。ドラマの補足によいかもしれません。
行家と後醍醐上皇が貧乏神でこの2人がいたから運命が変わったし、時代が変わったのだなぁ。木曽義仲が好きになること間違いなし。
上下二段組で580ページもあるし時代劇なので、漢字も多く人生で一番読むのに時間がかかったかもしれないな。覚悟して読んでくだい。義仲の悲劇も平家の没落も義経の無念も読む価値のある作品だ!
一般的にタイムトリップものは -
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再読!
やはり泣ける。10年ぐらい前に読んで、衝撃を受け、ストーリも覚えていましたが、再度読み直しました。
第1回「このミステリーがすごい!」大賞・金賞受賞作品。
本書は「このミス」シリーズを読み始めるきっかけになった作品ですが、正直、その後は「このミス」で素晴らしいと思える作品にはほとんど出会えませんでした。
ストーリとしては、脳に障害を負った少女千織。その少女を助けるために指を失ったピアニストの如月。山奥の診療所を千織のピアノを演奏するために訪問します。
その診療所で如月に好意をもっていた真理子と再会します。
しかし、ここで事故が発生。千織をかばった真理子は重体に。
そして、不思議な出来 -
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文春は本当にいい仕事をしますね…。
バイト直前の時間がない中、とりあえずで買ってみた本。
著者名に見覚えがあると思ったら、本棚の肥やしにしていた『君の名残を』が浮かんで、「あちゃ~」と思ったものの購入(一般には『四日間の奇蹟』を書いた人と言ったほうが通りがいいかも)。
いや~買うのをやめなくてよかった。
素晴らしかった。
基本的にミステリと歴史小説しか読まないけれども、いい、とてもいい。
家族(姉妹)+恋愛モノと、いうことで、純文学的作品は感傷的になりすぎるか独善的かはたまたすんごい痛いか。
でもこれは完璧です。
学者の姉とラジオDJの妹。
あらすじだけ見ると全く正反 -
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浅倉卓弥さんの作品は作者が札幌市生まれのせいかもしれませんが、札幌が舞台になることが多く、この「北緯四十三度の神話」も舞台は札幌になっています(札幌って北緯四十三度に位置するんですね)。
そして、作品全体に漂っているのは白く寒い札幌の冬を思わせるような、透明感があります。ただ綺麗なだけではなく人間の孤独や葛藤も丁寧に描かれています。
物語の主人公は札幌に住む地元の大学の研究室で働いている姉の菜穂子と、地元のローカルラジオ局でパーソナリティを勤めている妹の和貴子の二人。
両親との死別、和貴子が東京の大学に進学したため別離、その後帰郷した和貴子は姉菜穂子の元同級生と婚約、そしてその婚約者の事 -
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一冊の本をきっかけに、たどり着ける〈本屋〉があります。世界のどこともわからぬ場所にある、買っていない宝くじが当たるような奇蹟の〈本屋〉を訪れた人たちは、そこで自身の人生のターニングポイントとなった記憶と向き合うことになります。……というのが本作、それぞれの章に作品のテーマと絡み合う一冊の本が選ばれていて、その作品の歴史的な背景が差し込まれているのも特徴的。静謐な文章で綴られた物語は、〈書物〉と〈想像〉に想いを馳せながら、幕を閉じていきます。
ということで、『四日間の奇蹟』や『雪の夜話』、『君の名残を』など一読忘れがたい余韻を残す作品が多い著者の久し振りの新刊(たぶん小説の新刊は十年以上振 -
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ネタバレ同じ本の同じ箇所を、同じ季節の同じ日の、
同じ時刻に読むこと。それもよく晴れた春の日の、満開の桜の樹の下で。
そんな奇跡が起きる確率はどれくらいなのだろうか。
後悔や悲しみを和らげたり、先に進むための暖かな時間を過ごすことができる場所。
望んで行くことはできず、奇跡が起きた時にだけ訪れることができる「咲良」。
『コーヒーが冷めないうちに』あたりが好きな人はこの物語も気になるのでは…!と思いました。
梢枝の母はなぜ少女の姿でそこにいたのでしょうか。コバコはどうやって本を選んでいるのか。梢枝の父がそう物語に書くとわかっていたのでしょうか。気になりました。
また、外国でも刊行されるとのことですが、そ -
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古市憲寿さんが2023年だったかな?おすすめ本に挙げられていた一冊。
BTSメンバーも読まれたそうです。
きっと多くの人が考えたことがある「たられば」の物語。
「あのときこうしていれば」「違う選択をしていたら」
生きていれば、そんな後悔は日常的に感じるものだと思います。
大きなものから小さなものまで、気にし始めたらキリがないくらい。
スーパースターになっていたかも?
オリンピック選手になっていたかも?
そんな夢物語のような人生を体験して、そこで何を思い何を考えるのか。
自分だけど自分じゃない人生を生きて、最後にノーラが選ぶ道。
感じ方は人それぞれだと思うけど、人生に後悔がある人のは、一