浅倉卓弥のレビュー一覧
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ネタバレ読み終わって、気づいたらなんだかとても元気が出た!(元気をもらった!)
読み始めた時点で結末がわかるような話なのに、そこに辿り着くまでに起こる様々な出来事やドラマ、気づきがあって、それが深いゆえにとても良かった。
ノーラは色々な可能性を実際に試したからこそ納得ができた。私たちにもそういう機会があれば良いのだろうが、そうはいかず今の人生がベストという実感がないからこそ、隣の芝生が青く見えがち。だけど、ノーラが気づいたように、私たちには自分の芝生を美しくできる可能性がちゃんとある。だから、今はそうは思えなくても、自分でつくっていったらいい。
と同時に、誰かの期待に応えるのをやめようと思っても、すでにそれは無意識すぎて、どの選択が他人軸で、自分軸なのか、簡単には判断できない時も多いよな〜と感じた。
人生にもやっている人、私の人生このままでいいのかな〜と思っている人に勧めたいと思った一冊。人生に暗闇があっても、それでいい。そう肯定できるだけで、少しは気が楽になる気がした。 -
購入済み
今、みんなに読んでほしい。
人生やり直せたらなとか、あの時に違う選択をしていたら、、って思うことは誰しもあるはず。
この本は、よくある、「タイムスリップして、過去の人生をやり直す」のではないところが斬新だし、考えさせられる。
考えさせられるけど、重くないし、説教臭くもない。
ぜひ、多くの人に読んでほしい作品です。
なお、英語の原書の方も読みましたが、翻訳でもしっかりニュアンスが伝わってくるので、翻訳でがっかりということもないです。 -
Posted by ブクログ
頼朝、大姫、頼家、実朝、そして公暁。それぞれの死にゆく姿が描かれている。
永井路子さんの小説とも違う、大河ドラマとも異なる、そんな解釈で、違和感なく吾妻鏡の隙間を埋めていく。
「されこうべ」の頼朝の最期は興味深く読むことができる。吾妻鏡には記述がなく史書も曖昧になっているところを髑髏と髭切りを使い幻想的に描かれている。この時代、生きている者と死んだものが入り混じる世界があったかもしれないと思わせる。
家康が真相を葬ったというストーリーも難なく受け入れられる。
「空蝉」の大姫、「双樹」の頼家、「黄蝶舞う」の実朝、そして「悲鬼(ひき)の娘」の公暁、それぞれの話がそれぞれの伏線になりオーバーラップしている。頼家、実朝、公暁の悲しみや苦しみが手に取るようにわかる。
幻想的という言葉では物足りない気がする。
あの時代の鎌倉は色々な怨念が渦巻いて、確かに生と死の間を彷徨うもののけが蠢いていたのかもしれない。
黄蝶の乱舞は作者の創作かと思えば、吾妻鏡に記述されているらしい。
怪奇的で幻想的な小説だが、特に違和感なくむしろそうだったかもしれないと思わせる。大河もそうだったが、史実の隙間をうまく想像し補強して物語が進んでいるためだろう。
大河ドラマを見た後なら、話も理解しやすく、ドラマと違った解釈もまた楽しめると思う。 -
Posted by ブクログ
四日間の奇蹟を読んで一気に惹かれてしまい、この本を購入。
歴史モノ…ちょっと苦手かな…と思っていたが歴史上の登場人物は高校までに習った人たちで、なんとなくどんなことをしたかはまだうっすらと記憶に残っていた。
動乱の世にタイムスリップしただけあって、上巻の途中からたくさん人が死んでいき恐ろしくて読むのをストップ。
しばらく経って、やっぱり続きが気になってしまい改めて栞を挟んであったページをめくりだした。
上下巻あるのでこれを読み終えてやっと半分。このあと下巻を一気読みして今感想を書いている。
評価はラストまで読んでの点数。
学生時代、日本史の授業を睡眠時間にしていた人にとっては登場人物が多くて厳しいかもしれない。幸い私は数学の授業がお昼寝タイムだったので問題なく読めた(笑)
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Posted by ブクログ
タイムトリップ平家物語 - 浅倉卓弥「君の名残を」★★★★★
すごく面白いです。平家物語を下敷きにしており、木曽義仲、源義経を中心に話が進みます。大河の「鎌倉殿」は源氏中心かと思いますが、本作は平家や朝廷も存分に登場します。ドラマの補足によいかもしれません。
行家と後醍醐上皇が貧乏神でこの2人がいたから運命が変わったし、時代が変わったのだなぁ。木曽義仲が好きになること間違いなし。
上下二段組で580ページもあるし時代劇なので、漢字も多く人生で一番読むのに時間がかかったかもしれないな。覚悟して読んでくだい。義仲の悲劇も平家の没落も義経の無念も読む価値のある作品だ!
一般的にタイムトリップものはほんの数日ってことが多いのですが本作は数十年になります。もはや時代の一部です。
#引用
・歴史が前に進む時、置き去りにされた者は顧みられることもなく消えていかざるを得ない。
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再読!
やはり泣ける。10年ぐらい前に読んで、衝撃を受け、ストーリも覚えていましたが、再度読み直しました。
第1回「このミステリーがすごい!」大賞・金賞受賞作品。
本書は「このミス」シリーズを読み始めるきっかけになった作品ですが、正直、その後は「このミス」で素晴らしいと思える作品にはほとんど出会えませんでした。
ストーリとしては、脳に障害を負った少女千織。その少女を助けるために指を失ったピアニストの如月。山奥の診療所を千織のピアノを演奏するために訪問します。
その診療所で如月に好意をもっていた真理子と再会します。
しかし、ここで事故が発生。千織をかばった真理子は重体に。
そして、不思議な出来事が起こるといった鉄板のストーリ展開。
生きるということ
自分自身と向き合うということ
切なさ、辛さが伝わってきます。
そんな癒しと再生のファンタジーです。
後半はストーリがわかっていながらも心揺さぶられ、熱いものがこみ上げてきます。
さらに、本書で出てきたピアノ曲
「別れの曲」
「月光」
ストーリと曲がつながります。
これ、やっぱり映像で見てみたい。
とってもお勧め -
Posted by ブクログ
文春は本当にいい仕事をしますね…。
バイト直前の時間がない中、とりあえずで買ってみた本。
著者名に見覚えがあると思ったら、本棚の肥やしにしていた『君の名残を』が浮かんで、「あちゃ~」と思ったものの購入(一般には『四日間の奇蹟』を書いた人と言ったほうが通りがいいかも)。
いや~買うのをやめなくてよかった。
素晴らしかった。
基本的にミステリと歴史小説しか読まないけれども、いい、とてもいい。
家族(姉妹)+恋愛モノと、いうことで、純文学的作品は感傷的になりすぎるか独善的かはたまたすんごい痛いか。
でもこれは完璧です。
学者の姉とラジオDJの妹。
あらすじだけ見ると全く正反対の2人がぶつかりながら絆を深める物語と思いそうですが。
いい意味でキャラの個性が強くない、嬉しい裏切り。
ので、物語に集中でき、また『姉妹』と『女同士』であることがぎりぎりの力加減で引き合っている状況が過不足なく伝わってくる。
姉の目線で日々を追いながら、妹のDJトークとしてもう一つの目線で物語がすすむ。
姉の同級生であり、妹の恋人だった故人を挟んで、2人は向かい合うことになる。
「あれ、いつこんな展開になったんだっけ?」
と発端がわからないくらい、自然に物語りは核心に迫っていく。
姉は妹に彼を持っていかれた気分でいる。
そして妹は、死に際の彼の言葉から、彼は姉のことを好きだったのではないかと疑い、それを誰にも言えずにいた。もちろん誰も答えは知らないけれど。
彼の言葉の真意にすぐに気付いてしまう姉が切ない。
それはきっといつも彼女が周囲に言われてきて、そして母親の最後の言葉だったから。
ある点ではベタな展開と言えるけど、期待を裏切らない安心感もある。
別に特別感動的に書いてるわけじゃないのがいいのだ。
あー、姉妹ってこんな感じなのかな、と思いました。
もうこれは完全にツボでした。
下半期ベストかもしれません。
主人公2人はもちろん、脇役にも、エピソードにも全くの無駄がない。
今の私にとって全て最高のさじ加減。
長さもぴったり。
姉への恋愛エッセンスがもう少しあったらきっと完璧でしたが、これくらいでいい気もする。
自分でもなんでこんなに気に入ったかわからないけどこれはすごくいい。
新刊なので、見かけたらぜひ。
この本はゆっくり読んでみてください。 -
Posted by ブクログ
浅倉卓弥さんの作品は作者が札幌市生まれのせいかもしれませんが、札幌が舞台になることが多く、この「北緯四十三度の神話」も舞台は札幌になっています(札幌って北緯四十三度に位置するんですね)。
そして、作品全体に漂っているのは白く寒い札幌の冬を思わせるような、透明感があります。ただ綺麗なだけではなく人間の孤独や葛藤も丁寧に描かれています。
物語の主人公は札幌に住む地元の大学の研究室で働いている姉の菜穂子と、地元のローカルラジオ局でパーソナリティを勤めている妹の和貴子の二人。
両親との死別、和貴子が東京の大学に進学したため別離、その後帰郷した和貴子は姉菜穂子の元同級生と婚約、そしてその婚約者の事故死と二人を悲しい出来事が襲います。
本来ならがここで姉妹が手に手を取って傷を癒しあうという展開になるのですが、本作の前半では姉妹がそれぞれに気を使いつつも、相手を本当の意味で「許す」ことができず、心に葛藤を覚えながら暮らしていく様が描かれていきます。
特にキーになるのが亡くなってしまった「元同級生」の存在。その彼を表立って争ったことはないものの、彼を巡る「女の感情」が二人を素直な気持ちさせずに内側、内側に誘っています。。。
しかも姉は冷静でありながらどちらかと言えば「陰鬱」に考えてしまう所があり、逆に妹は感情をどんどんと表に出して「発散」しているという対照的なところがあります(本質的な部分ではちょっと違うのですが、、、)
また、その感情の起伏の書き方がとても丁寧に描かれていて、感情移入とは少し違ったものですがどんどんと物語の世界に引き込まれています。
後半、和貴子が拘りに拘っていた「言葉」の真相が明らかになった場面では、亡くなった元同級生だけではなく、姉の愛情が一気に溢れ出てくるような印象があって、予想外に感動してしまいました(電車じゃなかったら泣いてたかも^^)
エピローグも含めて、秀逸な感動ストーリーに仕上がっているので、ミステリーとかサスペンスばかり読んでいる自分にはグッとささりました。
<余談>
自分は3人兄弟の長男だったので、兄弟、姉妹であっても、、というよりも子供のころからずっと一緒だった分、思春期や作品にあるような数年離れてしまった後の「変化」に対応できない(大きな変化よりも小さな変化のほうがよりインパクトは大きい)ということはよくわかります。 -
Posted by ブクログ
「もしもあの時、違う選択をしていたら?」
そう問われたら、どう答えるでしょうか。
『ミッドナイト・ライブラリー』の主人公ノーラのように、「あの時、別の決断をしていたら、もっと良い人生があったのではないか」と後悔の念が心をよぎることがあると思います。今の人生は、無数の選択肢の積み重ねでできているからこそ、選ばなかった方の道が輝いて見えることもあります。
けれど、本を読み進めるうちに気づかされました。今の人生が最高に幸せで、一点の曇りもないかと言われれば、そうではないかもしれません。もっとこうなれば、ああなればという願いは尽きません。でも、それはどんな人生を選んだとしても、きっとつきまとうものなのだと。
「あり得たかもしれない別の人生」は、体験していないからこそ美しく見える、いわば幻想にすぎないのではないか。
本書の中で、心に深く刻まれた一節があります。
「大事なのは、君が何を見ているかではない。何が見えているかだ」
このソローの言葉が示すように、人生の価値を決めるのは客観的な事実(どの道を選んだか)ではなく、その状況をどう解釈し、何を感じ取るかという「心の眼」なのだと思います。
読み終えて、目の前にある「今の人生」が、とっても愛おしくなりました。