ニッコロ・マキアヴェッリのレビュー一覧
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どのパラダイムで読むかによって、
内容の捉え方が180度変わってしまう。
その価値観の優先順位として最も上位に来るのが
「いかにリアルであるか」。
一見冷徹、無慈悲とも思えるその文章には
人の上に立つ者への覚悟を促すことと捉えられる。
またその逆として、その冷酷さに対する静かな反逆とも捉えられる。
リアルである、ということに関して、
それが「正論」であるという訳ではない。
ある意味それは見解であり、ある意味それは事象なのである。
一見「べき論」的な文章展開をしてはいるが、
基本その「べき」に対しての歴史的な傾向および見解が含まれる。
人間が平等ではないという見地もまた、彼のいう「リアル -
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君主のことを自分のことより優先する側近を置く
選ばれた者だけを情報源として信用する
自分の行動と能力を頼みとする
改革は強引に実行する
君主の鑑とは:敵から身を守り、味方をつくり、武力あるいは策略によって新たな領地を制圧し、国民に愛されると同時に怖れられ、兵士の信望と敬意を集め、自分にとって害となりうる者を滅ぼし、古い社会制度を改め、冷酷でありながらも愛され、寛大かつ鷹揚で、言うことをきかない軍隊をつぶして新しい軍隊をつくり、諸国の君主たちが快く協力する一方で、攻撃することを躊躇するような関係を築く者こそ、君主の鑑である。
災いは芽のうちに見つける
余計な技術を学ばない -
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狐のような狡猾さと獅子のような獰猛さを以て統治せよ、といったフレーズで議論を巻き起こしたと言われる本。まぁ一つのフレーズが一人歩きして印象を代表してしまうことはこの本に限らずいくつもあるだろうけど、ご多聞に漏れずこれも言うほど過激ではないと思う。表面上穏やかなだけな人を「優しい人」と呼ぶ種類の人間にとっては、過激と捉えられるだろうが。
全部で20数章にわたって著者が仕える君主に対して上梓する君主足るものこうすべき、といったことが書かれている。様々な事象を持ち出すのはよいことだが、それぞれのケースについて知らないとあまりピンと来ないどころか、どっちが味方だかわからないというようなことにもなって非 -
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【文章】
とても読み易い
【ハマり】
★★★・・
【共感度】
★★★・・
【気付き】
★★★・・
・誠実で親切に見えるようにする
実情はどうであれ
・協力者の動機を考える
今後の振る舞いにあたりをつける
・叩くときは徹底的に叩きのめす
復讐の芽は残さず摘む
・運がくれるのは好機だけ
組織の長はメンバーから畏怖される存在になるべきである。
ただし、恨みや憎しみを買うような事をしてはいけない。恨みや憎しみは、組織内部に不満分子を生む原因になる。
組織をまとめるための一つの手段として、恐怖を利用する事は、所属する組織を自由に変える事ができる現代においては、あまり有効な策とは思えな -
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世界史をほとんど知らないので、今一つ具体的事例がピンと来なかったが、抽象度の高い記載は、君主をリーダーや経営者に置き換えて読むと、十分現代にも通じる。(当たり前だが。)
内容的には、韓非子に通じるように感じた。韓非子よりずっとコンパクトだけど。
「心の訓練についてみるに、君主は歴史を読み、その中で偉人達の行動を考察しなければならず、戦争において彼らがどのように行動したかを知り、勝因と敗因とを検討して後者を回避したり前者を模倣したりできなければならない。そしてこれら偉人達も彼ら以前に称賛と栄光を体現していた人物を模倣し、その者の立ち居振舞を座右の銘としたのであった。」
「恐れられるよりも愛される -
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マキアヴェッリの『君主論』は「目的のためには手段を選ばず」というマキャベリズムを説いた書として長年批判されてきたものであるが、マキアヴェッリが本書を著した時代背景を踏まえると、大分異なる捉え方のできる著作である。
マキアヴェッリが活躍したルネサンス末期、16世紀初頭のイタリアは小国に分裂し、互いに領土を奪い合い、かつ大国フランスやスペインからも領地と財産を狙われる戦乱の時代で、マキアヴェッリは弱小国フィレンツェ共和国の官僚として外敵の脅威にさらされ続けた。
そして、他国の様々な権力者について見聞きしたことから学んだ君主のあるべき姿をまとめ、自国の君主メディチ家の小ロレンツォに献呈したものが『君 -
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どのみち協働は避けられないのであれは、リーダ、フォロワのいずれの立場であったとしても統治の本質は理解すべきであり、本書はヨーロッパという様々な国を例に幾つかのパターンと比較によりその本質を暴く本である。
何らかのヒトのまとまりで協働する場合、その統治について過去の経験を得るための本である。現在や日本という土地にいると気づきにくい観点も含め広く論じられている。
統治される側からすれば、自らをより有利な環境に置きたくなるのは当然であり、その判定はかなり本能的になりがちである。その本人の資質も当然関与するだろうが、他者との関係性などの環境要因が大きいと改めて思った。
本書では、トルコ、フランスの統治 -
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最近のマイテーマ「戦争・戦略論」の自主課題図書。
もーっとえげつない権謀術数論かと思いましたが、思ったより、普通。
暗黙の了解を敢えて文章にしました的な。
まあ、その時代にそれをしたことに意義があるのでしょうけれど。
さすがに今の時代にそぐわないと思われるありますが(1513年の作品ですから…約500年前?)むしろ今でも十分通用する指摘もいっぱい。
個人的に16章~19章、23章、25章はなるほどと思わされた。
あくまで「上に立つ者」として、だけど。
私には無理だ。
しかしこの本を書いたマキアヴェリ自身が当時の政治情勢・君主に翻弄される人生を送ったのは皮肉であること。