麻根重次のレビュー一覧
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ネタバレある日、クランは1000年の眠りから目覚めた。そしてそこには仲間の一人の遺体と、身元の知れない少年の遺体が…果たして誰が彼を殺したのか?そして1000年後の世界はいったいどうなっているのか。
1000年をまたいだ壮大なSFミステリー。コールドスリープの技術やそれこそ1000年後の世界がどうなっているかなんて想像もつかないから、この距離感で生存者の集落があるなら案外世界にはもっといそうだなと思ったり、一旦リセットされたとはいえ生き残りがいる以上は技術がそんなに死滅するのか?とかいろいろ世界自体には気になることあるけど過去と現在の展開は面白かった。とはいえ、読者には分かるけど登場人物たち自身に謎 -
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ネタバレ物語の2/3ほどは秘境冒険小説+プチミステリみたいな感じでワクワクしながら楽しく読んでいたが、研究所が千年間コールドスリープさせる理由が脆弱(なぜ千年?)だったり、千年後の世界が想像を超えるものでなかったりと節々に安っぽさはあった。ホワイに関してもたっぷりページを割いて、背景を掘り下げ、犯人の執念と狂気に説得力を持たせていたら…と惜しく思う。しかしながら、真相自体は紛れもなく一級品で、非常に優れた密室ミステリ。もし某1990年代の作品を読んでいなかったら凄まじい衝撃を受けて、さらに高い点数をつけていたと思う。この設定でクローンを使わなかったことも素晴らしい。
疫病神ながら予想しておくと、今年の -
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ネタバレ千年のフーダニットが非常に面白かったのでこちらもと思ったが、フーダニットに比べてこちらは非常に現実的。
ものすごく面白いわけではないが、かと言って退屈なわけでもなく、ともすれば自分の家庭にも起こるかもしれない事件が起きていてそういう意味では先が気になってどんどん読めてしまう。
トリックは冒頭で予想した通りで、やっぱりなという感じだったが、それでガッカリというわけでもなくむしろ明日は我が身と感じたことに対して慄いた。
タイトルの意味はラストでわかり、日常を平凡に生きていくのにも歩み続ける努力が必要というのも確かにその通りだが少々こじつけのような気もする。装丁が素晴らしいだけに勿体無いというか、装 -
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ネタバレ千年のコールドスリープから目覚めてみたら仲間のうちの一人が他殺体となっていた。
なんか・・・一応ミステリでもって特殊設定のそれだと思うんですが、どちらかというと千年後の世界のサバイバル的なもののほうが興味深くて・・・いやしかし千年は設定にしても長すぎじゃないですかね。さすがにちょっと想像つかない。なんか結構遺構みたいなものが残ってるけどそんなに残るものなんだろうか?1000年だよ?1000年。だって今から1000年前のものが(手を加えてない状態で)どれだけ残ってるんだろう?いやでもそんんなもんなのか?やっぱり想像つかないなあ。
そして殺人の真相なんですが・・・うーん・・・そこまでして自分が -
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ネタバレ松本市役所の市民相談室に勤務する六原あずさと刑事である夫の具樹の視点で語られる。
多重解決もので、次々と辻褄が合いそうな推理が出てくる。伏線が張り巡らされ、ミスリードに使用するものも含めて回収されている労作の印象。
ただ、残念ながら、主役の二人に思い入れがもてなかった。悪いわけではないので、好みの問題かな。上司もセクハラ探偵ものになるかと思えるほどのキャラではなかったし。
それから、初めの事件は真相に辿り着かないようにがんばって引っ張り回した感は拭えなかった。「密室殺人」じゃないよね、というのはすぐ思いつくことなのにあまり触れられていなかったから。
ドローンのミスリードも丁寧すぎる伏線の -
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第16回
ばらのまち福山ミステリー文学 新人賞受賞
市役所に勤める六原あずさと
刑事で夫の六原具樹を軸にして、
一つの事件の謎を解いていくミステリー。
二人が別々に関わっていたはずの案件が、
徐々に縒り合わさって行って、見事に
一つに繋がるところが爽快でした。
市役所の相談室に日々寄せられる
様々な市民の困りごとと、犯罪が絡んで
警察が捜査する事件が、実は同じ場所に
帰結しているところが練られていて面白かった。
登場人物のあずさが呟く、
〜平穏な日常を続けるためには努力が必要〜
という言葉には、常に当たり前に在るように
見えている事柄は一人ひとりの努力の上に
成り立っている、そんな -
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ネタバレ「赤の女王」とは、犯人のことであり、具樹やあずさのことであり、私のことである。(遠い目)
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この物語の面白いところに「しばらく探偵役がはっきりしない」というところがあったと思う。だから、キャラとしてたっているセクハラ公務員が推理を始めたときには、まさか、と思うのだけど、やはりそこは、現場感覚がないためか、見事に外してしまう。さらに、市役所に勤めているからこそ気付けるポイントも、刑事に持って行かれているのは、セクハラ発言のバチが当たったのではないかという気さえする。
一見無関係な事件が繋がってくるところはスッキリして、最後まで疑問を残さないスタイルは非常に好みだった。(ただ「悪臭