間宮改衣のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
とても幸せな読書体験だった。
ページ自体が少なく、2時間もかからずに読み終わってしまったけど物語の雰囲気が本当に好きだった。
一昔前のセカイ系の雰囲気が一番近い。
ただ著者が若手の方なのもあって今時の文章で読ませてくれるのは新鮮だった。
終末の前の黄昏時のような穏やかな時間がずっと続いていく感じ。
基本的には主人公の独白がおだやかに淡々と続く。
この本の好き嫌いが最大に別れそうなのは、全3章のうち2章が主人公の独白でほぼひらがな表記なこと。
最初読みにくいのは嫌だなと思ったが、慣れると全く気になることはなかった。
アルジャーノンはずっと慣れなかったが、本作では全く気になることなく、むしろ世 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読みきったものは☆5にするという自分のルールで、高評価にしたのですが正直に言って(私には)面白くなりませんでした。
どこかで面白くなるだろうと期待し読み進めましたが、残り半分を切ったあたりで、これは読んでから罵倒するタイプの読書だと割り切りました。
「ゆう合手じゅつ」を受けて老いない体を得た女性が語る家族史です。
テーマに虐待、尊厳死、気候変動、身体性、人工知能、身内との恋愛など扱ってますが、どれも効果的に働いていません。知識として得た情報をもとに書いた、表面的なものに感じました。主人公の視点が幼く、しかもあらゆる出来事をなんだかんだ「わからない」と受け入れる(または放置する)ので、深みもな -
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老いない身体を手に入れた女性が語る彼女の人生。彼女の交友関係は非常に狭く、百年に及ぶ歳月の中で唯一関わりがあるのは彼女の父親、兄のこうにいちゃんと二人の姉まりねえちゃんとさやねえちゃん、そして甥のシンちゃんだけ。本書はそんな彼女が紡ぐ彼女の家族史です。
設定もあって、ほぼひらがな表記で進行します。読みづらくて、取っ付きにくい印象があるのですが、次第に慣れてくると、彼女の不思議な人柄とすこし奇妙な家族関係に惹き込まれます。彼女は決して多くを語るわけではないのですが、僅かな語りの断片から、父親や兄妹、姉妹との関係、それぞれの人柄を想像できるのは不思議な感じです。そして、物語は終盤、彼女がその人生 -
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昔からあまりSF作品は読んだ記憶が無かったのですが、事前情報も何も無くなぜか読み始めました。
なので冒頭からどこまでこの読みにくさは続いていくのか!と…
高校生の時に読んだアルジャーノンを思い出したりして、妙なタイミングでエモーショナルな感じになったりもしました。
話すことが大好きで、壊滅的な家庭環境の中で育った「わたし」が融合手術なる手術を受け不死を手にした先にある未来。
途中世界が広がるのかと思ったら、余計に狭い世界に入り込む感じが何とも言えない感情に押しつぶされそうでした。
私は家族史と言う言葉を使う事はないと思いますが、家族やこれからの私達について、凄く考えるきっかけをくれた作品でした -
Posted by ブクログ
ネタバレ過去に端を発する苦しみを消去して幸せに生きるか、苦しみを(向き合うのではなく)見つめながら幸せに生きようとするか...
人生における「幸せ」って何かわからないね〜
何となく幸せについて、以下で考えてみる。
幸せっていろいろな場面で感じられる。例えば、人間らしく生きることが幸せとか、争いのない平和な日常が幸せとか、愛する人と共に生きることが幸せとか、趣味に没頭する瞬間が幸せとか、人の役に立てて幸せとか...
でも、どれも幸せではない瞬間があるはずなのに、そのことは言及しない。当たり前だけど、人間らしく生きて不幸せに感じることはあるし、日常の中で不幸せに感じることはあるし、愛する人といても不 -
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ネタバレ2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに提案されたことだった。
ほぼひらがなで書かれた文章で最初はとても読みにくかったけど、話に引き込まれ、読み終えてすぐにもう一度読み直した。主人公の事をもっと知りたくて。
淡々と書かれた文章。ずっとずっと底無しの孤独の中で生きてきて、いつしか感情が麻痺してしまったのかな。
絶望の中で生きてきたのにこの子は優しい心を失わなかった。使う言葉もすごく丁寧。
気づいたんだけど、この子は -
Posted by ブクログ
ネタバレわたしはおとうさんの強い勧めで「融合手術」を受けて25歳のまま永遠に老化しない体を手に入れる。 家族と恋人が死に絶えたあと人生と家族を振り返り「家族史」を書く。
わたしが書く、おしゃべりをするような、それでいて、どこか湿気のない乾燥した「家族史」によって、わたしの家族について、わたしの環境について、恋人のしんちゃんについて、知るたびにどんどん引き込まれていきました。
人を愛することや、幸せや、過去と向き合うことなどが、不思議な角度で、しかも深く、心に刺さる話でした。
じんせいでたったひとつでいいから、わたしはまちがってなかったっておもうことがしたいな。
I need to know th