木藤潮香のレビュー一覧
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突然病魔は少女の体から運動機能を奪っていく。わずか5年ほどで歩くことはおろかの字を書くことも出来なくなってしまう。その5年後にはその命をも奪ってしまった。「1リットルの涙」は文字を欠くことのできた5年間の少女の日記。「いのちのハードル」は少女とともに闘った母の手記。日記の中に「学校には養護があっても、養護の社会がないんだから」とあった。県立高校で将来を夢見ていた亜也チャンは障害が進み養護学校に転校を余儀なくなる。何とかこのまま普通に高校生活を送りたいと望み苦悩の末に決断し転校した養護学校もその1年後には「卒業したくない・・・私には次の光がみえないから・・・一人っぽっちになりたくない・・・」と思
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「脊髄小脳変性症」という、現在ではまだ不治の病である病気と闘った木藤亜也さんの母親・潮香さんの手記。亜也さんが自分で書くことができなくなってからの様子なども記されている。
亜也さん自身の日記「1リットルの涙」を読んだだけではわからない事実がたくさんあった。それは、周りの人間が亜也さん自身に余計な心配をさせないようにしようとする配慮が成功していたということでもあるだろう。病気と闘う娘を支える側としての配慮、苦悩、葛藤・・・。病院選びや家政婦さん選びにここまで神経を使い苦労されているとは、こんな経験をしたことがないものからは想像もできない。日に日に悪くなっていく身体に恐怖や失望を感じながらも -
Posted by ブクログ
平成元年(1989年)に出版された、木藤亜也さんのお母さんが娘の一生を振り返った手記。
本人の日記は恐怖と絶望と希望が渦巻いていて感情だけが伝わってきたが、「母の手記」からは生活の変化が具体的に書かれていて、状況とそのときの感情がつかみやすかった。
どんどん機能しなくなっていく自分の身体、考える能力はあるのにそれを表現できず、人に伝えられないもどかしさ。想像するだけで怖い、と感じた。
亜也さんのように、したいことができない人がいる。
私は社会に対して何ができるだろう。自分は無力だと考える時もあるけれど、歩ける私にはたくさんの道が開けている。