山本冴里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
日本語教師の著者の言葉に対する想いが伝わってきてとても興味深く読んだ。
本書を読むきっかけは、私自身も日本語教員になったことである。同じ生業を持つ人の考え方を知りたかったのと、教え方の参考になるかもと思い読んだ。結論としては、もし彼女が日本語教師でなくとも、私は彼女のエッセイを面白く読んだだろうということ。言葉との向き合い方は日本語教師なればこそなのかもしれないが、その人となりに魅かれた。感受性が豊かで、人の気持ちに敏感なのだろうと思う。そして、好奇心も旺盛だ。本書の一節「自分がそこで使われる言葉をほぼ完全に理解し、自分の言葉も理解されるだろうという前提に立てる場所で過ごす時間ばかりが長くなると、時々、息苦しくて、この時の夢と似た気持ちになる。一方、学んだことのない言葉が使われる場所で過ごすことは不便で不安で、でも、時々、もっと自由だ」(p143)。その境地は理解できないが、著者の人となりをよく表しているのではないかと思う。世界を少しだけいつもと違う角度で眺められた気がする。素敵な風に吹かれた気分だ。 -
Posted by ブクログ
日本語教師になることに興味があって、この本に辿り着きました。
面白い。想像以上に面白いと一気読み。
それぞれの国に、それぞれの言葉があること、それはその国の文化でもあり、その国が成り立ってきた歴史でもある。そこに国民性が現れる。
愛を伝える言葉で、プロポーズに日本では『同じ墓に入って』日本では当たり前に受け取られるだろうけど、他の国人からは、奇妙だったり、ありえない驚きの表現となる。
私たちが普通に使っている言葉だけど、やっぱり言葉は文化。
世界の色々な場所に訪れ、そこの文化に触れ、その国の言語を知る。こんな経験をしている筆者が羨ましいなぁ。
英語だけでいいいじゃん!って
違う違う、全然違うよー -
Posted by ブクログ
知らない言語について、“全く知らない”から、“なんとなくわかるかも”に変わった。英語はもっとわかるようになりたいと常日頃思いながら、それ以外の言語に普段触れることさえなかったが、身近な言葉を他言語で表現てしくれて、わかりやすく並べて書いてくれているから、意外とわかる...!に変わった。もちろん全然理解できないのは変わりないが、ハードルはかなり低くなった。一度読んだだけで、中国語で曜日の表現は、もう覚えてしまった。今の時代の言語学習は、まずはAIに頼ってしまうと思うけど、この本通り、習得目標について調べたり考えたりしていると、楽しみながら言語学習できてしまいそう。英語学習のモチベにも繋がるし、英語以外の言語に興味が出たら、本書の8週間の言語学習の旅に出たい。
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Posted by ブクログ
本書は、二つの異なる授業実践を通して、「自分にとっての新たな言語をどのように学ぶべきか」を具体的に示してくれる一冊である。
第一部では、複数の言語学習者に共通する課題が提示され、自律的に学ぶための授業実践が紹介される。課題の配置はよく練られており、8週間という限られた期間で集中的に取り組むべき事項が効果的に組み込まれている。
第二部では、その学びを下支えするように、学習者自身が言語の規則を発見していく形式の授業が紹介される。言語学オリンピックを思わせるような内容で、言葉の仕組みに気づく力を育てる手法として非常に興味深い。
第三部では、著者が出会った具体的なエピソードがいくつか紹介され、そこでも言葉への気づきを促す姿勢が一貫して示されている。
本書全体を通して、言語学習とは、学習者が自ら仮説を立て、検証していくプロセスであるという著者の信念が伝わってくる。その姿勢を楽しんでいる著者の様子は、読者に勇気と刺激を与えるだろう。暗記中心の学習を好む人には遠回りに見えるかもしれないが、「急がば回れ」という言葉が示すように、学習を長く続けるうえで本当に大切なものが何かを教えてくれる一冊である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ副題的に添えられた「日本語教師の旅と記憶」に惹かれて読んでみたもの。
前半、日本語教師として接してきた外国人とのやりとりが面白おかしく描かれている。10年以上前だが、漫画であった『日本人の知らない日本語』(2009)を彷彿させる。
「ニコラ」という自分の名前に「笑良」と当て字をしたり、勝手に「眠気覚ました」と動詞化するなど、
「ちょっと日本語母語話者(ネイティブスピーカー)には考えられないルール破り」
と著者も記すように、まさに、”日本人の知らない日本語“のオンパレードだ。
本書は、「ぜんぶ英語でいいじゃない」という乱暴な意見への積年の反論であり、複言語能力の意義を訴え続けてきた著者の思いに溢れている。多様性と、昨今、はやりの言葉で片づけることも、それこそ、多様性を欠く気がしてはばかられる。もっと、いろんな言語、その言語を生み出したバラエティに富む思考で、考えたくなる。
意中の相手に思いを告げることばが、中国では「おまえは俺の髄液だ」と言い、日本語ではと訊かれた著者が「おなじ墓に入ってくれないか」と答え、まわりの外国人から、「それはないだろう」と非難を浴びるクダリも実に面白い。
漫画で日本語に親しんできたフランス人が、「待っておれ!」(マンガ「NARUTO」のセリフ)と発するなど、こうした逸話は、おそらく枚挙に暇ないことだろう。
やはり、文化や言語は、多様性に富んでいるほうが面白いし、それを知ることで人生が豊かになる。 -
Posted by ブクログ
作者の言葉への興味や熱意が伝わってくるエッセイ。亡くなった妻の最期の言葉を知りたいと日本語を学び始めたおじいさんの話が印象的だった。
21歳、友人との中国旅行。初日に腹痛で昏睡したにも関わらず、友人と別れてまでも奥地を目指す作者の強さには驚いたが
「新たな言語やその言語が使われている文化と、いちど本式に関係を結んでしまったら、もうその後の人生は、無関係では過ぎていかない。」
という言葉はよくわかる。人や本に置き換えたらよりよくわかる。三章で出てきたソリダーノッシュや秘密警察の意味がきちんと理解できなかったから、私はいつかふとした時にドイツの本を手に取ると思う。日本語で言えば「縁がある」だ。
作者は、言葉の縁がたくさんあるんだろうな。