廣崎依久のレビュー一覧

  • GTM(Go-To-Market)戦略の教科書 マーケティング・営業・CSを成長エンジンとして完全仕組み化する(MarkeZine BOOKS)

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    著者は、ゼロワングロースの丸井達郎氏(社長、元マルケト)と廣崎依久氏(取締役COO、元マルケト)。

    感想。とても良かった。備忘録もたくさん。実践的かつ、腹落ちする説明で、どんどん読み進める。楽しかった。


    備忘録。
    ・組織全体の成果最大化に向けて、個々の活動が最適化されただけではダメ。というか構造的な課題にぶつかる。課題の原因は「ターゲット定義の曖昧さ」にあるケースが多い。システムやKPIの前にここが大事。

    ・それを整理するためのアプローチ方法。①バリュークリエイション(誰に、なぜ、何を届けるのか)。データ等の根拠に基づいて、顧客を定義して、提供価値を明確にする。②GTMモーション(部門横断の実行計画)。定義した価値をどう届けるのか。プロセスを設計する。③GTMテックスタック(データとテクノロジーの仕組み)

    ・GTM(Go To Market)戦略とは、新たなサービスを市場に投入し、競合を排して顧客から選ばれ、継続的な関係を築いていくための、体系的な実行計画。価格設定、販売チャネル、バイヤージャーニー、市場戦略といった要素も内包。

    ・2021年ごろまでのゼロ金利・金融緩和時代は、資金調達がしやすいこともあり、とにかく成長最優先。どんなコストを払っても成長する考えが受け入れられていた。現在は金利上昇・資本コスト上昇・資金調達環境引き締めがあり環境が変わり、収益性と成長性のバランスが企業評価の判断軸になった。

    ・新規事業に必要なのは、フェーズごとに適した規模と方法で戦略を描き、実行結果を次の戦略に活かしていく循環。大企業でよくあるのは「片手間での取り組み」や「前者総動員での一発勝負型のローンチ」。正解は「段階的」という中間解。

    ・シリーズAの調達後に失速する企業の共通点で最も多いのは、売上優先で顧客価値の創出を疎かにしたケース。投資家へのポテンシャル説明を優先し、顧客を後回しにし、解約の波がやってくるパターン。
    次に多いのがPMFの誤認。顧客が喜んでいる、契約が増えている、などの表面情報だけでPMF達成と判断し、リソース増に踏み出して失敗するパターン。
    もう一つは、資金調達できたことだけをよりどころに、体制や戦略を整備する前にあるリソースを増強し、機能せずに崩壊するパターン。

    ・上記を提唱したハーバードビジネススクールのロベルジュ氏によれば「スケールはイベとではなくペースだ」と。行きにリソースを増やすのではなく、段階的に増やすんだと。

    ・GTM戦略で最初に固める問いは「誰の、どのような課題を、なぜ解決するのか」という極めて本質的なもの。この問いへの答えが曖昧だと、どれほど洗練されたプロセスやツールを導入しても、戦略と合わず、機能不全になる。

    ・特に重要なのは「ICP(ideal customer profile、理想的な顧客像)」。ICPが決まれば、ペインやプライシングが決まり、その結果提供価値やマーケティング方法が決まり、プロセスやテクノロジーが決まり、KPIが決まる。ICPが変わると全てが変わる。

    ・ICPは「会社」までではなく、「その会社の誰か」までこだわっていきたい。CTOなのか、営業担当者なのか。

    ・ICPの決め方。まずは精度7割程度で複数の候補を出そう。定性・定量的に候補を評価して3つくらいに絞り込もう。

    ・解決すべき課題は一つに絞らない方が良い。顧客の中では課題は複数の階層や要素が重なり合っているから。課題について、①課題の内容、②解決できない理由、⑧解決できなかった場合の問題点、の3点で整理しよう。

    ・ICPと顧客課題を整理したら、バリュープロポジションを決めよう。そのためには、先行してその課題の解決に取り組んでいる競合を分析して、自社のポジションを検討しよう。

    ・競合との差別化を検討する際に、多くの企業は機能や価格に絞って差別化ポイントを考えがち。成功している企業はサービスの利用体験そのものを差別化の軸に据えている。売るものではなく顧客体験からも差別化ポイントを設計する。

    ・バリュープロポジションの設計にあたっては、①自社が設計提供できる価値、②競合が提供できない/競合より優れている価値、③顧客が求めていること、の3点で整理するのが一般的。

    ・以上の、ICP、顧客課題、バリュープロポジション、つまり誰の・どんな課題を・どうやって解決するのかが定まらずに、流行りの営業プロセスとKPIだけ導入すると組織はパフォーマンスを最大化できない。例えば営業はKPI達成だけを意識して質の悪いリードも積み上げ、ソリューション部隊は営業があげてくるリードの質に不満を持つ。ソリューション部隊はKPIが売上高やコストコントロールならば、早く適当に仕事を仕上げて、カスタマーサクセス部隊に引き継ぐ。その結果運用フェーズで問題が勃発する、など。

    ・逆に、ICP・顧客課題・バリュープロポジションが固まれば、効果的な戦略を検討できる。インバウンド、アウトバウンド、パートナー活用、プロダクトプッシュ、コミュニティ主導型など、どれが適切かを効果的に検討できる。流行りのものをなんでもやると失敗する。例えばイベント型は、もはや競合が多すぎてしんどいとか。

    ・なお、部門間でSLAを交わす、というのもある意味とてもハッキリする。SLA‥サービスレベルに関する具体的な約束事。

    ・ベンチャーキャピタルの世界では、ARRが15億円を超えるまでは複数のマーケティングモーションを回すべきではない、という格言がある模様。大企業での新規事業は別だろうが。

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    2026年01月31日
  • GTM(Go-To-Market)戦略の教科書 マーケティング・営業・CSを成長エンジンとして完全仕組み化する(MarkeZine BOOKS)

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    新規事業にとって本当に必要なのは、まずフェーズごとに適した規模と方法で戦略を描き、プロセスを通じて得られた成果を戦略に還元していくという循環です。そうすることで、市場の変化に柔軟に対応しながら、成長の道筋を着実に固めていくことができます。このような考え方は理論にとどまるものではなく、実際に大企業の中で成果を上げている事例も存在します。彼らはプロセスを進めるたびに戦略を見直し、次の段階に必要な精度を少しずつ高めることで、長期的な成長を実現しています。


    「段階的」な市場展開という中間解
    市場展開で多くの企業が陥るのは、「片手間での取り組み」か、あるいは「全社総動
    員による一発勝負型のローンチ」という両極端のアプローチです。
    前者は、既存のリソースの10%や20%を割り当てて、「片手間」で新規事業を立ち上げようというアプローチです。これは大企業で時折見られるアプローチで、仮説険証や部門間の調整を十分に行わないまま市場投入され、ローンチ後に想定外の課題が次々と噴出し、対処が後手に回り、リソースの消費とモチベーションの低下を加速させます。
    さらに、初動で顧客体験が損なわれることでブランド頼が揺らぎ、再び市場投入を試みても巻き返しが難しくなります。こうして事業は立ち上げ期を乗り越えられず、組織内で「手はつけたが軌道には乗らなかった」案件として扱われてしまうようなケースが見られます。
    一方、後者の「総動員・一発勝負型」もまた危険です。これは、一定の人員・予が・チャネルを一気に投入することで絶対に勝ち抜くという覚悟をもとに行われる拠路です。市場シェア獲得のスピードは上がりますが、もし初期仮説が誤っていた場合、その損失は甚大です。後戻りが難しく、調整コストやブランド毀損リスクも高まります。特に顧客接点が複雑なB2B市場では、一度の失敗が次の商談機会を長期間失わせることもあります。
    前者を選択した場合は、後者のようなアプローチが必要だと議論され、後者のアプローチを実践してみると大きな損失が出たから今後は前者でやろうー。この両極端な選択では成功確率を上げることができません。
    では、どうすべきか。答えは「段階的」という中間解です。アイデアフェーズ、検証フェーズ、GTMフェーズというように、小規模での実証を通じて仮説の精度を高めながら、スコア化された基準に基づいて投入規模を広げていくアプローチです。

    先ほど例示したナスダック社はこの原則を徹底し、製品開発と検証を並行させる体制を確立しました。GTMチームがマーケティング・営業・CSを横断して戦略を主導し、次のように段階的導入フェーズを明文化しています。
    ♥ Pilot Launch (限定導入)
    検証可能な最小スケール(特定地域・特定ターゲット)で導入を実施。主に顧客の初期反
    応、利用継続率、フィードバック内容の取得に集中します。
    ② Prove Value (価値検証)
    顧客がどのような機能に価値を見出し、継続意向があるかを測定。製品仮説と実際の
    利用状況のギャップを明確化し、改善サイクルを開始します。
    ③ Prove GTM Fit (戦略整合性の検証)
    提供価値が異なる顧客層にも通用するか、営業活動の再現性があるか、チャネル策が適切に機能するかといった「GTM戦略としての有効性」を定基的に評価します。
    ④ Scale with Confidence(本格展開)
    以上3フェーズで定めた定量基準を満たした場合にのみ、広域展開を実施。営来人口の拡張やチャネル開拓、予算増強などの本格投資はこの段階で行われます。
    このステップ構成により、仮説検証の不足による市場投人失敗や全社的リソース投人
    後の後戻り不能といった構造的リスクを、早期段階で識別・回避しています。

    ■5項目の評価軸で投資判断する
    こうした段階的展開を支えるのが、GTM Lift Assessment と呼ばれる、製品投人における難易度評価モデルです。ナスダック社ではこのモデルを活用し、GTM活動に必要なリソース量、準備期間、組織的負荷(Li)をスコア化することで、製品ごとに最適な導入方法を判断しています

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    2026年01月26日
  • マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識

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    マーケとしていままでやっていた業務に名前がついたイメージ。主婦の名もなき家事みたいなもんかな(違うか)
    業務が可視化されることで整理できることも多々あるので、今後のマーケだけではなく営業含めて売り上げを立てていきたい人には参考になると思われる。
    フルスタックのマーケターが必要な会社(特にスタートアップ)だとはまらないかも。

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    2025年06月29日
  • GTM(Go-To-Market)戦略の教科書 マーケティング・営業・CSを成長エンジンとして完全仕組み化する(MarkeZine BOOKS)

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    これから新規事業のマーケティングに携わる人、もしくは自身の担当事業を振り返るには、思考の整理に役立つ。横文字、図解多用でいかにもっぽく書いてあるが内容は基礎的なものである。

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    2026年07月05日
  • マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識

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    マーケティングの生産性向上のためのデータ活用をいかに行うべきかの概論が解説された本。
    前職の実務の中で疑問を抱き改善に取り組みたいと感じていた分野だったので、MOpsと名前がついてすでに欧米では当たり前になっていることに感動した。
    マーケターが幸せに働くためにMOpsは必要な役割だと思う。現職ではぜひ実行に移したい。

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    2026年04月04日
  • レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)

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    RevOpsの教科書であって、営業やマーケティング、ザ・モデルの教科書ではないのですよね。前提知識が伴わないと、なかなか難解かもしれない。
    あとは、カタカナ語アレルギーがあると、厳しい。ところどころ日本語も、てにをはが微妙なので、さらによくわからなくなるところも。。。

    とはいえ、「RevOpsってなに?」から始めるRevOps系担当者がはじめに読む本としては、最適なんだと思う。というか、現時点でもほかになさそう…
    分からないところは分からないなりに、今後経験積めば分かるのかなぁとさらっと読み飛ばして、まずは大枠捉えるように意識して読みました。そういうところも教科書というタイトルは適切かも。

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    2026年03月01日
  • レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)

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    日本では類書の少ないRevOpsについての書籍。いわゆる「THE MODEL型」のインプリ。
    著者には豊富な知識と実績があり、テーマは魅力的で、根拠データも明確かつ具体的。しかし、如何せんイメージしにくい。XOpsは米国が数歩先行しているのでカタカナ英語だらけなのは良いのとして、文章でひたすら説明し、所々個別具体的過ぎて、フローとして捉えにくいものになってしまっているのが残念。図示をもう少し多用して欲しかった印象。
    また、TechではなくOpsなので仕方ないのだが、CROのキャリアや組織ストラクチャー、それらのKPIと活動の話題が主で、これだけだと自前で「さあ始めよう」はなかなか難しい。それらをどのようなソリューションで実現するのか具体的な組み合わせや活用事例などでの補足があると良かった。
    RevOpsという非常に魅力的なテーマで、Marketo社でキャリアを積んだ著者の知識も経験も豊富なので、次回作はより実践的な書籍を期待したい。

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    2025年09月12日
  • マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識

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    マーケティング分野の実業務において、データ利活用の運用、実装面でいかに実効性、継続性を持たせていくかの仕組み、運用という感じ。
    自分が直接マーケティングに携わっていないのと、自社に比較して書かれていることのレベルがだいぶ高いので、こちらの実力不足のせいで理解しきれていない実感あり。
    データマネジメント的な知見は共通するかと思ったが、やはりマーケティング分野独自の留意点が入り、少し期待とは違った。

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    2025年02月08日
  • マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識

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    教科書という表現がしっくり来る書籍だった。米国ではこのような組織があり、こういうツールがある。陥りやすいポイントはこれだから、気をつけるポイントはここです、といった感じ。どんなツールがあるかを知る意味で役に立った。

    実際にMops組織が出来上がった状態から状況からの視点で書かれている印象。Mopsをこれから導入したい人で、導入に当たって予想される血生臭いリアルな声を聞きたい人にとっては物足りないかもしれない。

    Rev Operationsについても触れられていたが、語弊を恐れずに言えば、Rev Opsは昔の日本企業の営業(セールスではなく、広く対顧客のやりとりを包括的に見るスタイル) のように感じた。

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    2025年01月21日
  • レベニューオペレーション(RevOps)の教科書 部門間のデータ連携を図り収益を最大化する米国発の新常識(MarkeZine BOOKS)

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    ▫️RevOpsの4つの役割
    ・オペレーションマネジメント
     オペレーションマネジメントは、レベニュープロセスの最適化と効率化を実現します。プロセス設計・標準化によって、レベニュー組織の業務効率を向上させ、人材・時間・コストなどを効率的に配分し、最大の効果を発揮できるように支援します。KPI目標を設定し定期的に評価やフィードバックをして、リソースやパフォーマンスを管理・改善します。

    ・レベニューイネーブルメント
    レベニューイネーブルメントは、収益向上のためにフィールド組織の能力を最大限に引き出します。GTM戦略やレベニュープロセスを踏まえて、レベニュー組織の各フィールド部門がシームレスに連携し顧客に価値提供できるように、トレーニングプログラムの開発、コーチング、コンテンツの提供・整備、テクノロジーの導入や利活用促進、インセンティブの設計などのトレーニングや育成全般を担います。また、フィールド組織が顧客とのコミュニケーションで活用できるコンテンツをGTM戦略と連動した形で作成・整備することで、一貫したメッセージで顧客に価値提供できます。フィールド組織が高い生産性で業務を遂行するための最適なテクノロジーの導入や活用支援、戦略上重要な活動に焦点を当てて行動できるようなインセンティブ設計をCRO(チーフレベニューオフィサー、最高レベニュー責任者、詳細は第2章1節)やファイナンス部門と連携して実施します。

    ・RevTechマネジメント
     RevTechマネジメントは、フィールド組織が効果的に連携し、データを活用するためのテクノロジーの導入、統合、維持管理を担います。テクノロジーの導入においては、GTM戦略の実現に向けて効果的なテクノロジーを選定し、そのテクノロジーの能力を最大限発揮できるように構築やワークフローの自動化、他システムとの統合をします。自動化に適した領域や、新技術の活用領域を特定し、より効率的で合理的なオペレーションに進化させることも期待されています。

    ・データマネジメント・インサイト
     データマネジメント・インサイトは、CROやフィールド組織にビジネス判断をサポートする情報を収集し提供します。各部門や顧客から収集したデータを整理し一元的に管理し、定量的な分析と定性的な分析の両方を行い、トレンドやパターンを見つけ出します。分析結果をレポートとしてまとめ、各関係者に戦略や施策を提案し、データにもとづく意思決定を促します。


     これについては、第8章のレベニューリーダーズインタビューでOpenprise(オープンプライズ)のCEOであるエド・キング氏もデータのバイアスについて興味深い話をしています。それぞれのフィールド部門配下のオペレーション部門では、所属する部門に忖度したデータを提示していることが多く、そのバイアスがかかったデータを正として経営判断は実施できません。各部門の主張としては正しく見えても、レベニュープロセス全体を通して見ると正しいものかわからないのです。例えば、マーケティング活動のデータを扱うMOpsでは、キャンペーンの効果を説明する際に、ある特定のキャンペーンの成功を際立たせるようなデータを提示したり、営業活動に関するデータを扱うSalesOpsでは、フォーキャスト(業績予測)を誇張して実際の状況よりも収益を大きく見込めるかのようなデータを提示してしまったりします。


     俯瞰してレベニュープロセス全体を捉えるのに必要な経験を持っているCMOやRevOpsはCROに適任であると著者は考えます。顧客を知り、全体視点で捉え、短期的視点と中長期的視点でデータを読み解き戦略的に考えられれば、必ずしも営業部門での成功体験が必須であるわけではないということです。フォーブスのインタピューの中でラタネ・コナント氏は次のように語っています。
    「6senseと同規模以上の企業での経験があり、営業、ポストセールス、顧客、パートナー、プロフェッショナルサービスを熟知し、サービス組織を構築できる人を見つける必要があった。(中略)でも、最終的に取締役会が私を支持したのは、私が誰よりも顧客のことを理解しているからだと思う」
     CROへのキャリアパスは一律ではありませんが、レベニュー組織の各分野での豊富な経験、戦略的思考、リーダーシップ、変化への適応力や革新性、テクノロジーやデジタルのリテラシー、そして顧客中心に考えられるマインドセットなどバランス良く兼ね備えているCROは組織全体の持続的な収益成長を牽引できるでしょう。


    ■アカウントベースドレベニュー(ABR)戦略
     BtoBビジネスに関わる方であれば、すでにアカウントベースドマーケティング(ABM)に取り組んでいる、あるいは所属している会社としてはすでに取り組んでいると思います。ABMは、特定のアカウント(企業や組織)をターゲットにしたマーケティング戦略です。マーケティングと営業が連携し、特定の戦略的アカウントに対して、その企業のニーズにあったメッセージングでパーソナライズされたマーケティングキャンペーンを実施します。特に新規顧客の獲得や、特定の大手顧客の関心を引くことが目的です。
     ABRは、ABMのコンセプトを拡張し、収益を最大化するために、マーケティング、営業、カスタマーサクセス、プロダクトチームが一体となって特定のアカウントに対する戦略を展開するアブローチです。マーケティングのみならず、営業、カスタマーサクセス、プロダクトチームなど、複数の部門が協力してアカウントに対して協働します。長期的な顧客関係の構築を重視し、新規顧客の獲得から、契約の更新、アップセルやクロスセルなど、顧客ライフサイクル全体を通じて収益の最大化を目指します。


     つまり、組織のデジタル化に伴いさまざまな部署において収集、分析、加工、保存するデータが膨大になり、必要に駆られてさまざまなオペレーションチームが生まれる中、組織全体でオペレーション体制を整える重要性が明確となり、これら組織全体の流れをBigOps(Big Operations)と呼ぶようになったのです(図3-1)。そして各オべレーションを支える多くのテクノロジーが誕生し続けています。
     事実、テクノロジーツールの発展が著しいマーケティング領域では2024年現在、1万4106のテクノロジーが存在する※と言われています。顧客とのタッチポイントの多くがデジタルに移った今、これらのツールを使いこなすことはもちろん、抽出したデータを通して顧客を理解する必要性が高まっています。そして収益創出に責任を持つ部門では特に密接に連携しながらデータを適切に管理、保管、活用する仕組みをつくり、顧客理解および収益創出のためのオペレーションモデルが必要となり、レベニュー組織とRevOpsが誕生したのです。


     従来CDPはデータを格納するストレージ機能がついていました。しかしこれでは図3-7のようにデータウェアハウスとCDPは2つのSource of Truth (SOT)が存在する状態になってしまいます。さらにCDP内のデータを介さなければ、他のアプリケーションとの連携やデータ連携ができない状態でした。
     しかし、近年注目されるコンポーザブルCDP(Composable Customer Data Platform)は違った仕様を持っています。コンポーザブルCDPは、既存のクラウドデータウェアハウスを活用した状態で、データ収集やストレージ、データモデリングといった各コンポーネントを最適なツールで組み立て可能な状態にできます。これにより、SSOTはデータウェアハウスに統合され、必要なアプリケーションとの連携が非常に簡単な状態を作り上げます。データウェアハウスからCRMや広告システムといったような各種アプリケーションに統合する際はHightouchのような製品を使い、データを簡単に連携するリバースETLの機能を使うケースも多いです(図3-8)。つまり、既存のデータウェアハウスに蓄積されたデータの分散を防ぎ、統合を維持したまま、必要なアプリケーションにデータを連携できるのです。
     このような背景からレベニュー組織では図3-9のように部門を横断したCDWやCDPを置き、それぞれの部署で中心的に使われているアプリケーションを直接つなげたり、ETLを介してデータを一元管理したりすること、そして縦割り組織用にデザインされたパッケージツールをそのまま使うのではなく、部門横断的に必要な機能を集め、いわゆるコンポーザブルアーキテクチャのアプローチをとる動きが欧米で見られています。特に、急速に変化するテクノロジーランドスケープに柔軟に対応できるよう、コンポーザブルアーキテクチャへと移行する組織は増加しており、注目が集まっています。
     興味深いことに、ガートナーが企業のデジタルIQを調べた調査では、デジタルを活用できている上位の企業、GeniusとGifted企業はそのほかに比べてCDWにデータを保管しているケースが多く、CDWとCDPを併用していることがわかります(図3-10)。
     別に新しい取り組みではない、と思う方もいらっしゃるかもしれません。事実、これまでも多くの企業でIT部門が主導になりマスターデータ管理やデータウェアハウスプロジェクトを行ってきましたし、正直なところ、目的はこれと大きく違うところはありません。
     唯一の違いはこれまでこれらのプロジェクトにおいてレベニュー組織が主導権を持っていなかったことです。よりビジネスに直結した形でシステムを構築することに注目が集まっているのです。また、IT部門が推進してきたプロジェクトの多くはこれまで、活用前のデータ段階で停滞してしまっています。データの統合を行ううえではデータの品質管理が大変重要ですが、これを行わなかったためにせっかくシステムを構築しても使い物にならなかったり、根本的なアプローチが間違っていたりする浄することにケースが大変多いのです。
     また、このコンポーザビリティの高いシステムの構築方法が正解かどうかはまだ議論の余地があります。マネジメントプロセスの設計方法、セキュリティとコンプライアンスのリスク、複数のベンダーが入ることによる脆弱性の増加、テクノロジーベンダー間で、誰が問題のオーナーなのかが不明になるリスクなど、課題もあるため、安易にコンボーザビリティを高めるだけではいけません。
     このようなさまざまな理由から、部門横断的に顧客像を可視化できるようなデータ基盤を構築することに成功した企業はまだ多くありません。レベニュー組織が急速に成長を続けている今、これからも注目されることでしょう。

    ▫️レベニューオペレーティングモデル
     Go-To-Market戦略
     RevOpsはビジネス目標達成に向けて、GTM戦略の立案、レベニューの組織デザインやステークホルダー管理、リソースの優先度の決定、それにもとづいたレベニューモデルの構築を行います。多くの組織でこれらの意思決定は各部門のリーダーの意見も聞きながら、CROが中心となって行います。これらはレベニュー組織全体で方向性や戦略を確認するための「RevOpsプレイブック」として文書化されてレベニュー組織に共有されることが多く、必要に応じて随時アップデートがかけられます。

    ■オペレーションマネジメント
    ・プロセス
     RevOpsはレベニュープロセス全体のデザイン、管理、運用、そしてそのパフォーマンスに責任を負っています。そのためマーケティング、営業、カスタマーサクセスを通した一貫の流れの中で評価するべき中間指標やマイルストーン(MQLやSQL、商談ステージなど)の定義決めやそれらの間でハンドオフする際のSLAの策定や管理といったレベニュープロセス全体に責任を持ちます。
    ・ワークフロー
     これらの複雑で大量のプロセスをスムーズに動かすためには自動化されたワークフローや一部マニュアルのワークフローを設計する必要があります。これらの作成や管理・運用、そしてワークフロー間の停滞がないかなどを確認することもRevOpsの費任となります。

    ■レベニューイネーブルメント
     レベニュー組織のフィールド部門が戦略を実現し、高い生産性で顧客に価値提供するために、システムとプロセスのトレーニングや育成、コンテンツの提供、イネーブルメントテクノロジーの選定や活用促進、インセンティブ設計を実施します。

    ■RevTechマネジメント
     レベニュー組織全体の業務効率化を実現し、スムーズにプロセスを進めるためのテクノロジースタックのデザインや構築、管理、運用を行います。組織の規模によってはすべてのツールをRevOpsで管理するケースもあれば、横軸でパフォーマンスを計測できるような基盤(データ、ワークフロー、分析・レポーティングなど)のみをRevOpsで整え、その上にのせる各部門で使うポイントソリューションは各部門で管理するケースもあります。


    ▫️RevOpsが見ていくデータ
    ・RevOps
     RevOpsはマーケティング、営業、カスタマーサービスを統合し、全体の収益性を最大化することを目指します。そのため、次の指標をトラッキングします。

    ●総売上(Total Revenue): 企業全体のレベニューを測定する
    ●顧客獲得コスト (Customer Acquisition Cost, CAC): 新しい顧客を獲得するためにかかる平均コスト
    ●ライフタイムバリュー (Customer Lifetime Value, CLTV): 1人の顧客から生涯にわたって得られる平均収益
    ●売上成長率(Revenue Growth Rate): 特定の期間における収益の増加率
    ● マーケティング効率比 (Marketing Efficiency Ratio, MER): 獲得した新規収益に対するマーケティング費用の比率
    ●セールスサイクルの長さ (Sales Cycle Length) : リードが最初に接触してから契約が 成立するまでの平均期間
    ●クロスセル・アップセル率(Cross-Sell and Upsell Rate) : 既存の顧客に対する追加販売や上位製品の販売率
    ●チャーン率(Churn Rate):一定期間内に契約を解約する顧客の割合

    • MOps
     MOps はマーケティング活動の効果と効率を測定するため、次の指標などをトラッキングします。
    ●リードジェネレーション (Lead Generation): 獲得したリードの数と質
    ●リードコンバージョン率 (Lead Conversion Rate) : リードが実際に顧客になる割合
    ●マーケティングROー (Return on Investment): マーケティング活動に対する投資収益率
    ●マーケティング貢献割合 (Marketing Influence) : 商談や受注に対するマーケティング貢献の割合
    ●Webサイトトラフィック (Website Traffic): Webサイトへの訪問者数
    ●エンゲージメント率 (Engagement Rate): コンテンツやキャンペーンに対するオーディエンスの反応
    ●キャンペーン効果 (Campaign Effectiveness) : 各キャンペーンの成功度を示す指標 (例:クリック率、開封率、コンバージョン率)

    • SalesOps
     Sales Ops はセールスプロセスの効率化とパフォーマンス向上を目指し、次の指標をトラッキングします。
    ●セールスパイプラインの価値(Sales Pipeline Value): 現在のセールスパイプラインにある全ての商談の合計価値
    ●パイプラインのカバレッジ(Sales Pipeline Coverage): 目標に対するパイプラインの割合
    ●パイプライン進行率(Pipeline Velocity): セールスパイプラインがどれくらい早く進むかを示す指標
    ●フォーキャスト精度 (Forecast Accuracy): 収益予測の精度を測定し、予算策定や戦略計画の信頼性を評価するための指標
    ●目標達成率(Quota Attainment): 営業が設定された目標を達成する割合
    ●受注率(Win Rate): 提案した商談のうち、成約に至った割合
    ●営業活動量(Sales Activity Volume): ㄇール数、ミーティング数、デモ実施数などの営業活動量
    ●成約までのリードタイム (Lead Time to Close): リードがセールスファネルを通過するのにかかる時間

    • CSOps
     CSOps は顧客満足度と維持率の向上を目指し、次の指標をトラッキングします。
    ●顧客満足度(Customer Satisfaction, CSAT) : 顧客の満足度を測る指標
    ●ネットブロモータースコア (Net Promoter Score, NPS): 顧客がどれだけその企業を他人に推薦するかの指標
    ●リテンション率(Retention Rate) : 顧客が契約を継続する割合
    ●拡張レート(Expansion Rate): 既存顧客が新しい製品やサービスを追加購入する割合
    ●サポートチケットの解決時間 (Support Ticket Resolution Time):顧客サポートチケットが解決されるまでの平均時間
    ●顾客健全度スコア (Customer Health Score): 顧客がどれだけ企業のサービスを活用しているかを示す総合指標


    ▫️レベニューイネーブルメントとは
     セールスイネーブルメントは、日本でも徐々に浸透してきている考え方で、営業部門の生産性を向上し、より多くの取引を成立させるために必要なリソースを提供する戦略的なアプローチやそれを担う部門を指します。必要なリソースには、トレーニングやコーチング、コンテンツ、ツール、プロセスの整備が含まれます。
     セールスイネーブルメントは営業組織に焦点をあてた取り組みである一方、レベニューイネーブルメントはレベニュープロセス全体の生産性向上を目的としています。つまり、営業に対して実施しているイネーブルメントを個別の部門に対して同様に実施するというサイロ化された取り組みの延長線上ではありません。レベニュー組織の全部門のポジションの採用、オンボーディング、継続的なトレーニングやコーチング、役割ごとに必要なサポートを提供します。ただし、すべてのレベニュー組織に均等にリソースを割り当てるのではなく、GTM戦略を踏まえて実施する必要があり、顧客と直接対峙する部門の中でもレベニューインパクトの大きいエリアに焦点をあてるなど適切なリソースの配分の検討は必要です。
     ガートナーによると「2026年までにイネーブルメント部門の60%が、顧客と接しレベニューを生み出すすべての役割をイネーブルメントするミッションを負う」と言われています。顧客の購買行動が営業からの情報収集に高い比重で依存していた時代から進化し、購買プロセスが複雑化する現代において、営業部門だけを支援していても売上拡大への貢献という本来のミッションを果たすことが難しくなっているためです。実際に、営業や営業マネージャー、インサイドセールスに加えて、カスタマーサクセス、パートナーセールスやマーケティングなど他のレベニュー組織への支援も開始しているイネーブルメント部門も増えてきています。
     RevOpsが取り組むプロセスやテクノロジーの最適化を浸透させ定着に導くためにもレベニューイネーブルメントは重要であり、欧米ではこのイネーブルメントの組織をRevOps配下に設置することが一般的になりつつあります。仮に部門が違ったとしても、同じ目的を持つこの2つの役割が戦略と連動して協力できる組織体制であることが重要です。RevOpsの目的である持続的成長を実現していくためには、レベニューイネーブルメントは組織の収益を最大化するために不可欠な要素です。


    ■入力が不正確だと正しい判断はできない
     マーケティングアトリビューション、フォーキャストマネジメント、顧客エンゲージメントツールなど、世の中にはすばらしいサービスが増えてきています。
     しかし、大きな組織でよく見られる大きな誤りの1つは、高価なツールを導入さえすれば既存のテクノロジーに統合され、これまで自社で得ていた情報よりも優れた情報を出力してくれると思い込むことです。実際にこれを実現するには、データの重複排除、統合、関連オブジェクトの紐づけなど、データ管理ツールに十分投資し、関連するすべてのツール間でデータが完全に統合されている必要があります。これには多くの時間とスキルが必要ですが、正しいインサイトを得るためには必要不可欠です。広告費やWebの行動データなど、企業と個人のデータを関連付ける方法が備わっていないマーケティング分析ツールを利用すると(特に高価なものを使っていれば)結果的にコストが無駄になります。
     また、CRMの活用度も重要です。システムが使いにくかったり(検証ルールが多すぎたり、フィールドが散在していたり、プロセスフローが不便だったり)、管理職がCRMの利用を徹底していなかったり、報酬体系にCRMの利用を求める要素がなかったりすると、CRMの利用率は低くなります。機械学習を活用した高価な売上フォーキャストツールを導入しても、営業部門がCRMに正しくデータを入力しなければ価値を発揮しません。

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    2024年10月07日
  • マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識

    Posted by ブクログ

    ◾️マーケティングの現場でシステムとデータを活用する専門職が存在する
     欧米では「マーケット調査や施策結果の分析をしたうえで、マーケティング施策の企画をする」、「クリエイティブな発想を持ってコピーライティングや広告物を作成する」といった以前からあるマーケターの仕事と、「マーケティングの課題解決にクラウドシステムの仕様を理解し、最適なテクノロジーを導入する」、「収集されたビッグデータを分析し、レポート・ダッシュボードを構築する」といったデータやシステムの活用を推進する仕事は、同じマーケティング組織に属していても、別の部署でそれぞれ別のスキルを持った人材が専任しています。これらの仕事をマルチにこなせる人材など、ほとんど存在しないからです。
     そして、このデータやシステムの活用を推進する仕事のことを「マーケティングオペレーション(Marketing Operations:略称MOps)」と呼んでいます。


    ◾️マーケティングオペレーションとは
     「マーケティングオペレーション(以下MOps)」という言葉は、外資系やSaaS企業では馴染みがあるかもしれませんが、まだまだ日本全体では認知度の低い言葉です。マーケティング組織のデータやシステムの活用を推進するために、マーケティング活動の管理体制やプロセスの構築、そしてその運用を行う役割を指します。
     MOpsチームはよく「マーケティングとITの架け橋」と呼ばれており、実際に施策を実施するマーケターとIT担当者の間に入り、業務を進めています。つまり、IT部門と共通言語で会話ができるくらいクラウドシステムやデータマネジメントの知識が必要とされ、従来のマーケターとは異なるスキルが求められるのです。
     Marketing Ops ProfessionalというMOpsのコミュニティが米国で550人を対象に行った2022年の調査では80%以上の企業が専任のMOps担当・チームがいると回答しています。マーケティングに関するテクノロジーの数が年々指数関数的に増え、マーケティングチームが取り扱うデータが膨大になっている今、国内でもMOpsのニーズが認識され始めています。…
     …MOpsチームはマーケティングチームに所属しますが、実際の施策の企画や運用などは行わず、システムやデータの管理、プロセスの管理・運用に徹底し、舞台裏からマーケターの生産性向上などをサポートします。その業務内容は大きく次の4つに分けることができます。
    ●自社に最適なマーケティングテクノロジーの選定・導入・管理・運用
     マーケティングテクノロジーの選定と導入はMOpsの業務の中でも大変重要かつ難しいエリアです。これを効果的に行うには各ツールに関する知識など技術的な要件はもちろん、自社のマーケティングの現状や戦略、ロードマップなどのビジネス的な要作も理解する力が必要になります。
    ●プロセスの策定とベストプラクティスの集約
     導入したツールを部門内で活用を進めるためにプロセスを策定することが必要です。社内での運用ルールを策定し、ノウハウを一元化することで全社的なテクノロジー活用を推進します。
    ●データマネジメントと分析
     マーケティングチームが扱うデータは膨大になっています。他部門と連携し、マーケティングが収益に与えた影響を可視化するためには高度なデータマネジメントと分析スキルが求められます。DMPやBIツールの知識、そして分析に必要なRやPythonなどのプログラミングの知識が求められることもあります。
    ●マーケティングチームのテクノロジー教育
     プロセスを決めてもチームメンバーがその通りに動いてくれなければ意味がありません。文書やセッションなどを通して正しいツールの使い方や社内のルールなどを伝えることもMOpsの大事な業務の1つです。

     これらの代表的な業務内容からもMOpsの業務は従来のマーケターのスキルや知識とは少し離れた位置にあることがわかると思います。MOpsチームが支援するのは自社のマーケティングチームです。そのため、マーケターにとってMOpsチームは縁の下の力持ちであり、MOpsがいる環境での仕事に慣れた方はMOpsのないマーケティングチームには行きたくないと言う方もいるほどで、極めて重要な役割を担って


    ◾️シリコンバレーのカルチャーに触れて感じたこと
    1.戦略よりも戦術に時間をかける
     マーケティング戦略を練ることはもちろんですが、戦術設計に時間をかけてディスカッションすることに大きな特徴がありました。
     …
     成功ケースからベストプラクティスを抽出するのはもちろんのこと、予測したROIを出せずに失敗したケースでは使用したチャネルが原因なのか、予算が原因な のか、それともそもそもROIが見込めない施策だったのか、徹底的に検証するのです。これを繰り返していくことで施策データが蓄積し、地域や対象業種業態、製品サービス、そして施策タイプごとのノウハウが確立されていきます。
     当たり前のような話に聞こえますが、このようにデータドリブンな意思決定プロセスでマーケティング戦術を熟考できている組織は残念ながら多くありません。そして、これらの過去データは施策担当者の頭の中にとどまるのではなく、全社に共有されるため、ノウハウや知識が組織に吸収されてマーケティング戦略および戦術がどんどん洗練されていく仕組みになっているのです。

    2.緻密なマーケティング計画とカレンダー
    「欧米人は大雑把だ」というステレオタイプな考え方を持つ傾向にありますが、実際のマーケティング現場では非常に計画的に緻密なマーケティングを実現しています。最低でも半年先、もしくは1年先までのマーケティングカレンダーが決まっているのが当たり前なのです。
     このカレンダーは「6月にXという展示会に出展する」や「9月にYに関するウェビナーを開催する」などの粗い粒度のものではなく、「9月X週目のウェビナー集客用ランディングページ作成を7月Y週目にリードタイム3日間で完成させる」や「月X週目の自社イベントのMAプログラム作成を7月X週にリードタイム1日間で完成させる」など、各施策を実現するのに必要なアクションアイテムレベルに落とし込んだものであり、これら全てが半年から1年先までプロジェクト管理ツールに登録されている状態なのです。
     このレベルで先々まで計画できる、ということはプロセスが確立していることを意味しています。組織的にマーケティングプロセスを運用すると過去データから目標達成までに必要なマーケティング活動量や施策数が見えているため、それを必要工数に落とし込んだ計画が立てられるのです。そのため、月半ばにして「今月の新規リード数が足りない!」と急いでウェビナーを開催したり、広告を打ったりという「とりあえずやる施策」は全くありませんでした。緻密に考えられ、データドリブンに意思決定したマーケティング計画の中でチーム全体、そして会社全体が動いているため、もしも期待した通りの結果が出なかったとしても、その理由を突き詰めてそこから学ぶという姿勢が徹底されているのです。

    3.意思決定能力を育てるキャリアパス
     これまで属人的なマーケティング運用から組織的なマーケティングに移行する利点を紹介してきました。しかし、実際にその環境下で仕事することで見えた弱点もあります。それはプロセスが確立され各チームメンバーの業務も全てツール上で管理されることで、タスクを担当する実務者にとって機械的な作業に感じたり、クリエイティビティを発揮したりする場面が限られるようになることです。
     だからこそ、実務の現場ではエントリーレベルの方にEメール施策やイベント運営など細かいタスクが出やすいプロジェクトで経験を積んでもらい、マネージャーレベルクラスに昇進した後に予算分配をどうするか、どのイベントに出資するべきかなど、データをもとに自分の意思決定を下せるようにキャリアパスと役割分担が明確に分けられているのです。CMOやダイレクトレポートを抱えるポジションでは定期的に現場からフィードバックをもらうことが重要になるでしょう。


    …2020年のガートナー社のレポートによると、…デジタルIQスコアの高い企業では、ポイントソリューションが占める割合が大きいことがわかりました。統合に工数はかかるものの、ツールの複雑化が進み専門性が高まる中、リーダー企業はプロダクトスイートで固めるのではなく各領域のツールをうまく組み合わせることで自社に最適で柔軟なテクノロジースタックを構築しているのです。

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    2024年07月14日
  • マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識

    Posted by ブクログ

    流行り言葉なので一旦、内容の把握として。
    ・マーケティングシステムを構築&デリバリしていこうという話
    ・toBとtoCでガラッと変わる印象だが、一旦toB想定で書かれてる感じ
    ・リードマネジメントの話が多めに割かれてる

    キーワードを作れた切り口としての良さが1番のポイント。中身はいわるゆるデータドリブンマーケティングというやつで昔からあったものという印象。※悪い意味ではない。それだけ大事だし浸透してないということ。

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    2024年02月09日