あらすじ
大注目シリーズ第3弾!
いま世界のトップ企業が取り組む「GTM戦略」のすべて
「マーケティングが、営業現場を理解せずにリードを渡してくる」
「DXを進めたが、ツールが乱立して整理がつかない」
「データはあるのに、部門ごとに数字が違っていて議論にならない」
本書では、サイロ化しがちな「マーケティング」「営業」「CS(カスタマーサクセス)」を連携させるメソッドを徹底解説。
3つのステップをたどり、「戦略」「データ」「プロセス」を統合することで、「自分たちだけの勝ちパターン」がつくれる!
『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書』『レベニューオペレーション(RevOps)の教科書』に続く第3弾。
〈目次〉
序章 なぜ今、GTM戦略に取り組むべきなのか?
第1章 バリュークリエイション――顧客価値は何か
1-1 顧客像を正しく定義するために必要なこと
1-2 ICPを選定する
1-3 顧客が抱える課題を徹底的に理解する
1-4 顧客課題のインパクトを見極める
1-5 バリュープロポジションを決める
1-6 GTMプレイブックを作成する
第2章 GTMモーション――価値をどう届けるのか
2-1 GTMモーションの正しい設計が必要な理由
2-2 7種類のGTMモーション
2-3 (1)インバウンド主導型
2-4 (2)アウトバウンド主導型
2-5 (3)プロダクト主導型
2-6 (4)パートナー/エコシステム主導型
2-7 (5)イベント主導型
2-8 (6)コミュニティ主導型
2-9 (7)カスタマーサクセス主導型
2-10 ABMと購買グループ
2-11 AI主導型
2-12 GTMモーションを選定する方法
2-13 複数のGTMモーションを組み合わせた「ハイブリッド型」
2-14 部門間でSLAを交わす
第3章 GTMテックスタック――価値は正しく届けられているのか
3-1 なぜGTMテックスタックが重要なのか
3-2 GTMモーションに沿ったプロセスマネジメントを策定する
3-3 GTMモーションに沿った測定モデルを策定する
3-4 RevOpsを構築する
3-5 GTMテックスタックを常に進化させる体制づくり
3-6 GTM戦略の推進ロードマップ
第4章 GTM戦略を構築する3ステップのまとめ
第5章 GTMリーダーズへのインタビュー
※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。
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Posted by ブクログ
著者は、ゼロワングロースの丸井達郎氏(社長、元マルケト)と廣崎依久氏(取締役COO、元マルケト)。
感想。とても良かった。備忘録もたくさん。実践的かつ、腹落ちする説明で、どんどん読み進める。楽しかった。
備忘録。
・組織全体の成果最大化に向けて、個々の活動が最適化されただけではダメ。というか構造的な課題にぶつかる。課題の原因は「ターゲット定義の曖昧さ」にあるケースが多い。システムやKPIの前にここが大事。
・それを整理するためのアプローチ方法。①バリュークリエイション(誰に、なぜ、何を届けるのか)。データ等の根拠に基づいて、顧客を定義して、提供価値を明確にする。②GTMモーション(部門横断の実行計画)。定義した価値をどう届けるのか。プロセスを設計する。③GTMテックスタック(データとテクノロジーの仕組み)
・GTM(Go To Market)戦略とは、新たなサービスを市場に投入し、競合を排して顧客から選ばれ、継続的な関係を築いていくための、体系的な実行計画。価格設定、販売チャネル、バイヤージャーニー、市場戦略といった要素も内包。
・2021年ごろまでのゼロ金利・金融緩和時代は、資金調達がしやすいこともあり、とにかく成長最優先。どんなコストを払っても成長する考えが受け入れられていた。現在は金利上昇・資本コスト上昇・資金調達環境引き締めがあり環境が変わり、収益性と成長性のバランスが企業評価の判断軸になった。
・新規事業に必要なのは、フェーズごとに適した規模と方法で戦略を描き、実行結果を次の戦略に活かしていく循環。大企業でよくあるのは「片手間での取り組み」や「前者総動員での一発勝負型のローンチ」。正解は「段階的」という中間解。
・シリーズAの調達後に失速する企業の共通点で最も多いのは、売上優先で顧客価値の創出を疎かにしたケース。投資家へのポテンシャル説明を優先し、顧客を後回しにし、解約の波がやってくるパターン。
次に多いのがPMFの誤認。顧客が喜んでいる、契約が増えている、などの表面情報だけでPMF達成と判断し、リソース増に踏み出して失敗するパターン。
もう一つは、資金調達できたことだけをよりどころに、体制や戦略を整備する前にあるリソースを増強し、機能せずに崩壊するパターン。
・上記を提唱したハーバードビジネススクールのロベルジュ氏によれば「スケールはイベとではなくペースだ」と。行きにリソースを増やすのではなく、段階的に増やすんだと。
・GTM戦略で最初に固める問いは「誰の、どのような課題を、なぜ解決するのか」という極めて本質的なもの。この問いへの答えが曖昧だと、どれほど洗練されたプロセスやツールを導入しても、戦略と合わず、機能不全になる。
・特に重要なのは「ICP(ideal customer profile、理想的な顧客像)」。ICPが決まれば、ペインやプライシングが決まり、その結果提供価値やマーケティング方法が決まり、プロセスやテクノロジーが決まり、KPIが決まる。ICPが変わると全てが変わる。
・ICPは「会社」までではなく、「その会社の誰か」までこだわっていきたい。CTOなのか、営業担当者なのか。
・ICPの決め方。まずは精度7割程度で複数の候補を出そう。定性・定量的に候補を評価して3つくらいに絞り込もう。
・解決すべき課題は一つに絞らない方が良い。顧客の中では課題は複数の階層や要素が重なり合っているから。課題について、①課題の内容、②解決できない理由、⑧解決できなかった場合の問題点、の3点で整理しよう。
・ICPと顧客課題を整理したら、バリュープロポジションを決めよう。そのためには、先行してその課題の解決に取り組んでいる競合を分析して、自社のポジションを検討しよう。
・競合との差別化を検討する際に、多くの企業は機能や価格に絞って差別化ポイントを考えがち。成功している企業はサービスの利用体験そのものを差別化の軸に据えている。売るものではなく顧客体験からも差別化ポイントを設計する。
・バリュープロポジションの設計にあたっては、①自社が設計提供できる価値、②競合が提供できない/競合より優れている価値、③顧客が求めていること、の3点で整理するのが一般的。
・以上の、ICP、顧客課題、バリュープロポジション、つまり誰の・どんな課題を・どうやって解決するのかが定まらずに、流行りの営業プロセスとKPIだけ導入すると組織はパフォーマンスを最大化できない。例えば営業はKPI達成だけを意識して質の悪いリードも積み上げ、ソリューション部隊は営業があげてくるリードの質に不満を持つ。ソリューション部隊はKPIが売上高やコストコントロールならば、早く適当に仕事を仕上げて、カスタマーサクセス部隊に引き継ぐ。その結果運用フェーズで問題が勃発する、など。
・逆に、ICP・顧客課題・バリュープロポジションが固まれば、効果的な戦略を検討できる。インバウンド、アウトバウンド、パートナー活用、プロダクトプッシュ、コミュニティ主導型など、どれが適切かを効果的に検討できる。流行りのものをなんでもやると失敗する。例えばイベント型は、もはや競合が多すぎてしんどいとか。
・なお、部門間でSLAを交わす、というのもある意味とてもハッキリする。SLA‥サービスレベルに関する具体的な約束事。
・ベンチャーキャピタルの世界では、ARRが15億円を超えるまでは複数のマーケティングモーションを回すべきではない、という格言がある模様。大企業での新規事業は別だろうが。
Posted by ブクログ
新規事業にとって本当に必要なのは、まずフェーズごとに適した規模と方法で戦略を描き、プロセスを通じて得られた成果を戦略に還元していくという循環です。そうすることで、市場の変化に柔軟に対応しながら、成長の道筋を着実に固めていくことができます。このような考え方は理論にとどまるものではなく、実際に大企業の中で成果を上げている事例も存在します。彼らはプロセスを進めるたびに戦略を見直し、次の段階に必要な精度を少しずつ高めることで、長期的な成長を実現しています。
「段階的」な市場展開という中間解
市場展開で多くの企業が陥るのは、「片手間での取り組み」か、あるいは「全社総動
員による一発勝負型のローンチ」という両極端のアプローチです。
前者は、既存のリソースの10%や20%を割り当てて、「片手間」で新規事業を立ち上げようというアプローチです。これは大企業で時折見られるアプローチで、仮説険証や部門間の調整を十分に行わないまま市場投入され、ローンチ後に想定外の課題が次々と噴出し、対処が後手に回り、リソースの消費とモチベーションの低下を加速させます。
さらに、初動で顧客体験が損なわれることでブランド頼が揺らぎ、再び市場投入を試みても巻き返しが難しくなります。こうして事業は立ち上げ期を乗り越えられず、組織内で「手はつけたが軌道には乗らなかった」案件として扱われてしまうようなケースが見られます。
一方、後者の「総動員・一発勝負型」もまた危険です。これは、一定の人員・予が・チャネルを一気に投入することで絶対に勝ち抜くという覚悟をもとに行われる拠路です。市場シェア獲得のスピードは上がりますが、もし初期仮説が誤っていた場合、その損失は甚大です。後戻りが難しく、調整コストやブランド毀損リスクも高まります。特に顧客接点が複雑なB2B市場では、一度の失敗が次の商談機会を長期間失わせることもあります。
前者を選択した場合は、後者のようなアプローチが必要だと議論され、後者のアプローチを実践してみると大きな損失が出たから今後は前者でやろうー。この両極端な選択では成功確率を上げることができません。
では、どうすべきか。答えは「段階的」という中間解です。アイデアフェーズ、検証フェーズ、GTMフェーズというように、小規模での実証を通じて仮説の精度を高めながら、スコア化された基準に基づいて投入規模を広げていくアプローチです。
先ほど例示したナスダック社はこの原則を徹底し、製品開発と検証を並行させる体制を確立しました。GTMチームがマーケティング・営業・CSを横断して戦略を主導し、次のように段階的導入フェーズを明文化しています。
♥ Pilot Launch (限定導入)
検証可能な最小スケール(特定地域・特定ターゲット)で導入を実施。主に顧客の初期反
応、利用継続率、フィードバック内容の取得に集中します。
② Prove Value (価値検証)
顧客がどのような機能に価値を見出し、継続意向があるかを測定。製品仮説と実際の
利用状況のギャップを明確化し、改善サイクルを開始します。
③ Prove GTM Fit (戦略整合性の検証)
提供価値が異なる顧客層にも通用するか、営業活動の再現性があるか、チャネル策が適切に機能するかといった「GTM戦略としての有効性」を定基的に評価します。
④ Scale with Confidence(本格展開)
以上3フェーズで定めた定量基準を満たした場合にのみ、広域展開を実施。営来人口の拡張やチャネル開拓、予算増強などの本格投資はこの段階で行われます。
このステップ構成により、仮説検証の不足による市場投人失敗や全社的リソース投人
後の後戻り不能といった構造的リスクを、早期段階で識別・回避しています。
■5項目の評価軸で投資判断する
こうした段階的展開を支えるのが、GTM Lift Assessment と呼ばれる、製品投人における難易度評価モデルです。ナスダック社ではこのモデルを活用し、GTM活動に必要なリソース量、準備期間、組織的負荷(Li)をスコア化することで、製品ごとに最適な導入方法を判断しています