あらすじ
欧米の新常識! マーケティングとITを繋ぎ
収益を最大化する専門チーム
●MOpsとは?
企業のマーケティングプロセスをシステムで統合・最適化する概念、役割のこと。施策を実行するフィールドマーケターとは異なり、最適なシステムの導入、マーケティングデータの分析、ダッシュボードの構築、プロジェクト管理、社内にそのプロセスを浸透させるなどの役割を持ちます。
このマーケティングテクノロジーの専門知識と分析力・実行力を要するMOps(マーケティングオペレーション)は、「マーケティングとITの架け橋」とも呼ばれ、欧米では6割を超える大手企業がこの専門チームを持つほど普及している概念です。
●進むマーケティングのDX化
多くの企業ではいわゆるマーケターが、広報からマーケティングオートメーションの運用、イベントの企画、Webサイトの管理まで、経験を生かして何でも行っているケースが見られますが、属人的なマーケティングでは組織にノウハウが蓄積されません。
そこで、施策の効果を最大化し、再現性を高めようと、マーケティングプロセスのDX化が進んできています。まさにそのプロセスの設計・運用・管理を担うブレーンがMOpsなのです。
本書では、そのMOpsの役割や体制づくりから、マーケティングに最適なツールの選定・運用プロセスの構築、リードの質を高めるデータマネジメント、人材確保の方法まで解説。
●著者陣について
グローバル標準のMOPsフレームワークを用いたコンサルティングや人材育成サービスを国内外に提供するゼロワングロースの著者陣が執筆。
著者の丸井達郎氏は、元マルケト(現アドビ)にて日本人ではじめてグローバルの戦略コンサルティングチームに所属し、プロセスマネジメントやマーケティング戦略の立案支援をして成功に導いてきたデジタルマーケティングのスペシャリスト。
また、共著者の廣崎依久氏はマルケトにてマーケティングインターン終了後、米国の大学院でマーケティングを学んだのち、実際にシリコンバレーのCouseraやシンガポールのMediaMathのシンガポール支社でフィールドマーケティング及びMOps業務に従事した経験を持つ。
[目次]
序章 マーケティングオペレーション(MOps)が注目されている理由
第1 章 MOpsの役割
第2 章 MOpsの体制づくり
第3 章 顧客価値を創造するオペレーションモデルの設計・運用
第4 章 成果を可視化するレベニュープロセスマネジメントの設計・運用
第5 章 業務を最適化する生産性ダッシュボードの設計・運用
第6 章 自社に最適なテクノロジー選定と構築
第7 章 MOpsの進化と展望
第8 章 MOpsリーダーズの実例インタビュー
※本電子書籍は同名出版物を底本として作成しました。記載内容は印刷出版当時のものです。
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Posted by ブクログ
マーケとしていままでやっていた業務に名前がついたイメージ。主婦の名もなき家事みたいなもんかな(違うか)
業務が可視化されることで整理できることも多々あるので、今後のマーケだけではなく営業含めて売り上げを立てていきたい人には参考になると思われる。
フルスタックのマーケターが必要な会社(特にスタートアップ)だとはまらないかも。
Posted by ブクログ
マーケティング分野の実業務において、データ利活用の運用、実装面でいかに実効性、継続性を持たせていくかの仕組み、運用という感じ。
自分が直接マーケティングに携わっていないのと、自社に比較して書かれていることのレベルがだいぶ高いので、こちらの実力不足のせいで理解しきれていない実感あり。
データマネジメント的な知見は共通するかと思ったが、やはりマーケティング分野独自の留意点が入り、少し期待とは違った。
Posted by ブクログ
教科書という表現がしっくり来る書籍だった。米国ではこのような組織があり、こういうツールがある。陥りやすいポイントはこれだから、気をつけるポイントはここです、といった感じ。どんなツールがあるかを知る意味で役に立った。
実際にMops組織が出来上がった状態から状況からの視点で書かれている印象。Mopsをこれから導入したい人で、導入に当たって予想される血生臭いリアルな声を聞きたい人にとっては物足りないかもしれない。
Rev Operationsについても触れられていたが、語弊を恐れずに言えば、Rev Opsは昔の日本企業の営業(セールスではなく、広く対顧客のやりとりを包括的に見るスタイル) のように感じた。
Posted by ブクログ
◾️マーケティングの現場でシステムとデータを活用する専門職が存在する
欧米では「マーケット調査や施策結果の分析をしたうえで、マーケティング施策の企画をする」、「クリエイティブな発想を持ってコピーライティングや広告物を作成する」といった以前からあるマーケターの仕事と、「マーケティングの課題解決にクラウドシステムの仕様を理解し、最適なテクノロジーを導入する」、「収集されたビッグデータを分析し、レポート・ダッシュボードを構築する」といったデータやシステムの活用を推進する仕事は、同じマーケティング組織に属していても、別の部署でそれぞれ別のスキルを持った人材が専任しています。これらの仕事をマルチにこなせる人材など、ほとんど存在しないからです。
そして、このデータやシステムの活用を推進する仕事のことを「マーケティングオペレーション(Marketing Operations:略称MOps)」と呼んでいます。
◾️マーケティングオペレーションとは
「マーケティングオペレーション(以下MOps)」という言葉は、外資系やSaaS企業では馴染みがあるかもしれませんが、まだまだ日本全体では認知度の低い言葉です。マーケティング組織のデータやシステムの活用を推進するために、マーケティング活動の管理体制やプロセスの構築、そしてその運用を行う役割を指します。
MOpsチームはよく「マーケティングとITの架け橋」と呼ばれており、実際に施策を実施するマーケターとIT担当者の間に入り、業務を進めています。つまり、IT部門と共通言語で会話ができるくらいクラウドシステムやデータマネジメントの知識が必要とされ、従来のマーケターとは異なるスキルが求められるのです。
Marketing Ops ProfessionalというMOpsのコミュニティが米国で550人を対象に行った2022年の調査では80%以上の企業が専任のMOps担当・チームがいると回答しています。マーケティングに関するテクノロジーの数が年々指数関数的に増え、マーケティングチームが取り扱うデータが膨大になっている今、国内でもMOpsのニーズが認識され始めています。…
…MOpsチームはマーケティングチームに所属しますが、実際の施策の企画や運用などは行わず、システムやデータの管理、プロセスの管理・運用に徹底し、舞台裏からマーケターの生産性向上などをサポートします。その業務内容は大きく次の4つに分けることができます。
●自社に最適なマーケティングテクノロジーの選定・導入・管理・運用
マーケティングテクノロジーの選定と導入はMOpsの業務の中でも大変重要かつ難しいエリアです。これを効果的に行うには各ツールに関する知識など技術的な要件はもちろん、自社のマーケティングの現状や戦略、ロードマップなどのビジネス的な要作も理解する力が必要になります。
●プロセスの策定とベストプラクティスの集約
導入したツールを部門内で活用を進めるためにプロセスを策定することが必要です。社内での運用ルールを策定し、ノウハウを一元化することで全社的なテクノロジー活用を推進します。
●データマネジメントと分析
マーケティングチームが扱うデータは膨大になっています。他部門と連携し、マーケティングが収益に与えた影響を可視化するためには高度なデータマネジメントと分析スキルが求められます。DMPやBIツールの知識、そして分析に必要なRやPythonなどのプログラミングの知識が求められることもあります。
●マーケティングチームのテクノロジー教育
プロセスを決めてもチームメンバーがその通りに動いてくれなければ意味がありません。文書やセッションなどを通して正しいツールの使い方や社内のルールなどを伝えることもMOpsの大事な業務の1つです。
これらの代表的な業務内容からもMOpsの業務は従来のマーケターのスキルや知識とは少し離れた位置にあることがわかると思います。MOpsチームが支援するのは自社のマーケティングチームです。そのため、マーケターにとってMOpsチームは縁の下の力持ちであり、MOpsがいる環境での仕事に慣れた方はMOpsのないマーケティングチームには行きたくないと言う方もいるほどで、極めて重要な役割を担って
◾️シリコンバレーのカルチャーに触れて感じたこと
1.戦略よりも戦術に時間をかける
マーケティング戦略を練ることはもちろんですが、戦術設計に時間をかけてディスカッションすることに大きな特徴がありました。
…
成功ケースからベストプラクティスを抽出するのはもちろんのこと、予測したROIを出せずに失敗したケースでは使用したチャネルが原因なのか、予算が原因な のか、それともそもそもROIが見込めない施策だったのか、徹底的に検証するのです。これを繰り返していくことで施策データが蓄積し、地域や対象業種業態、製品サービス、そして施策タイプごとのノウハウが確立されていきます。
当たり前のような話に聞こえますが、このようにデータドリブンな意思決定プロセスでマーケティング戦術を熟考できている組織は残念ながら多くありません。そして、これらの過去データは施策担当者の頭の中にとどまるのではなく、全社に共有されるため、ノウハウや知識が組織に吸収されてマーケティング戦略および戦術がどんどん洗練されていく仕組みになっているのです。
2.緻密なマーケティング計画とカレンダー
「欧米人は大雑把だ」というステレオタイプな考え方を持つ傾向にありますが、実際のマーケティング現場では非常に計画的に緻密なマーケティングを実現しています。最低でも半年先、もしくは1年先までのマーケティングカレンダーが決まっているのが当たり前なのです。
このカレンダーは「6月にXという展示会に出展する」や「9月にYに関するウェビナーを開催する」などの粗い粒度のものではなく、「9月X週目のウェビナー集客用ランディングページ作成を7月Y週目にリードタイム3日間で完成させる」や「月X週目の自社イベントのMAプログラム作成を7月X週にリードタイム1日間で完成させる」など、各施策を実現するのに必要なアクションアイテムレベルに落とし込んだものであり、これら全てが半年から1年先までプロジェクト管理ツールに登録されている状態なのです。
このレベルで先々まで計画できる、ということはプロセスが確立していることを意味しています。組織的にマーケティングプロセスを運用すると過去データから目標達成までに必要なマーケティング活動量や施策数が見えているため、それを必要工数に落とし込んだ計画が立てられるのです。そのため、月半ばにして「今月の新規リード数が足りない!」と急いでウェビナーを開催したり、広告を打ったりという「とりあえずやる施策」は全くありませんでした。緻密に考えられ、データドリブンに意思決定したマーケティング計画の中でチーム全体、そして会社全体が動いているため、もしも期待した通りの結果が出なかったとしても、その理由を突き詰めてそこから学ぶという姿勢が徹底されているのです。
3.意思決定能力を育てるキャリアパス
これまで属人的なマーケティング運用から組織的なマーケティングに移行する利点を紹介してきました。しかし、実際にその環境下で仕事することで見えた弱点もあります。それはプロセスが確立され各チームメンバーの業務も全てツール上で管理されることで、タスクを担当する実務者にとって機械的な作業に感じたり、クリエイティビティを発揮したりする場面が限られるようになることです。
だからこそ、実務の現場ではエントリーレベルの方にEメール施策やイベント運営など細かいタスクが出やすいプロジェクトで経験を積んでもらい、マネージャーレベルクラスに昇進した後に予算分配をどうするか、どのイベントに出資するべきかなど、データをもとに自分の意思決定を下せるようにキャリアパスと役割分担が明確に分けられているのです。CMOやダイレクトレポートを抱えるポジションでは定期的に現場からフィードバックをもらうことが重要になるでしょう。
…2020年のガートナー社のレポートによると、…デジタルIQスコアの高い企業では、ポイントソリューションが占める割合が大きいことがわかりました。統合に工数はかかるものの、ツールの複雑化が進み専門性が高まる中、リーダー企業はプロダクトスイートで固めるのではなく各領域のツールをうまく組み合わせることで自社に最適で柔軟なテクノロジースタックを構築しているのです。