ジュリアーノ・ダ・エンポリのレビュー一覧
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昔ながらの政治をニュートン政治学、今の政治を量子政治学とし、SNSの存在が量子政治学を可能にしたという。
量子政治学とは要するに分子(個人)1つ1つの挙動の傾向をコントロールするということだ。生活が苦しい人には「あなたはがんばっているのに税金を無駄遣いする政治家や、働きもせずに生活保護を受けている怠け者のせいですよ」、言葉が通じない外国人が街中に増えて不安を覚えてる人には「奴らはスパイで日本を食い物にしている」といったデマを吹き込む。
昔はそのような個別のダイレクトメールのような活動はできなかったが、今はビッグデータやSNSの情報を握り、AIを活用することで可能になった。
もはや真実は人 -
Posted by ブクログ
ロシアのウクライナ侵攻の1年前に書かれたという本書は、皇帝(ツァーリ) プーチンが何をしようとしているのかを彼の側近であったクレムリンの魔術師スルコフ(作中ではヴァディム•バラノフ)に語らせる。エリツィン政権時代に築いた巨万の富をもとに政治的影響力を強めるオリガルヒや独立政治家が逮捕され、会社を奪われ悲惨な状態に堕とされる様や、全体主義の恐怖支配へ突き進む様が事実に重ねて描かれる。
オリガルヒの一人でイギリスに亡命し自殺?したボリス・ベレゾフスキーはプーチンについてこう語る。「彼は決してやめないだろう。彼のような人間はやめることができない。これが一つめの掟だ。執念深く続け、すでにうまくいってい -
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一般的に言葉は経験の表現装置で経験のない未来の事象を従来の言葉で考え表すのは難しく、感性で直感するのがせいぜいだ。
思想体系を創造する天才は別として。
1529年から34年、スペインのエルナン・コルテスの一団がメキシコのアステカ帝国に上陸した時、帝国のモクテマス2世の「そのことの意味のわからなさ、蒙昧振り」を今のIN、SNSやAIの急激な浸透に対する先進各国の首脳陣の「何が起こっているかわからない狼狽振り」に見立てる。
ITプラットフォーマーを征服者(コンキスタドール)になぞらえて、各国の指導者を技術と時代から取り残された亡国の帝王とする、喩えである。
パリ政治学院で政治学を教える元フィレ