北條文緒のレビュー一覧

  • ナチ 本の略奪

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    本を焼いたのは知られているが占領地でユダヤの本を片端から集めていたのは知られていまぜんでした。
    その奇妙な性癖についての本です。

    善悪からはちょっと身を引いて書いています。

    集められた本が今どうなっているのかを同時にレポートした書き方がすぐれています。

    また、ナチスのユダヤ人差別の「思想」がどのようにして起こっていったかがくわしくわかりやすく書かれています。
    ユダヤ人差別がナチス、ドイツだけの問題ではなかったことが、ナチスの蛮に世界が震撼した理由なのだとわかります。
    ユダヤ人への差別を持っていない日本人がひどいというのと性質が違うのです。

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    2024年01月20日
  • ナチ 本の略奪

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     本年の春にテッサロニキを訪れたとき、この地はアリストテレスやアレクサンドロス大王ゆかりのギリシア第二の都市と称揚されるわりには荒廃した印象が拭えず、不思議な思いがしたものであった。ところが図らずも本書には、そのよってきたる原因が記されていた。
     第二次世界大戦でナチスの占領されるまでは、テッサロニキは過去何百年も世界最大のユダヤ人都市であった。つまりユダヤ人がマジョリティであり、そのもとで文化、経済が花咲く唯一の都市だったのである。第二次世界大戦勃発の時点でユダヤ人は5万を数えたが、この大戦を生き延びたユダヤ人はわずか2~3000人だったそうである。ナチスはユダヤ人を虐殺しただけでなく、ユダ

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    2019年09月15日
  • 猫の王国

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    文章に若さを感じる。
    それは、昨今の若者言葉を使って若ぶっているとか、若さに媚びているとかいうのではない。
    おそらく、ご自分の40年前の若さをもう一度追体験することに成功しているのだろう。

    そして、確かに歩まれてきた40年もまた同時に感じる。

    一見かけ離れているかのような、猫たちにまつわる3編と40年前留学したボストンを訪れる2編であるが、互いが互いの外伝のようとも言える。

    猫たちとの日常を綴るエッセーは、留学から帰って後の筆者の家庭や大学人としての苦闘を立体的に描くし、『小次郎がいい』で小次郎の喪失が描かれた後に読むから、『シーギー』が一層哀切を帯びる。

    ことばをもたない猫が世界を切

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    2013年05月30日
  • 猫の王国

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    ネタバレ

    猫を飼ったことがあっても、仔猫を保健所に持っていく(つまり、殺処分する)ことに抵抗なかったんだな、と新鮮な驚きがあった。

    時代背景もあるのだろうけれど、屋根裏で死なれても困るし、増えても困るし、野良猫に手を焼いていた、という理由があるにせよ、猫飼いにも色々な人がいるのだなと。

    同じ人が、自分の飼い猫には深い愛情を示すところが興味深い。年齢や状況にもよるだろうけれど、「うちの子」と「よその子」は、こんなに違うものなのか。

    私の周囲には、どちらにも優しい、親切な猫飼いさんが多く、猫エッセイを書く人も同様の印象があったが、皆さん、本音を書かないだけなのかも知れない。

    猫の話よりも、「ボストン

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    2014年09月04日
  • 猫の王国

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    猫を題材にした小説、でも、エッセイでも、読むときはいつでもどきどきする。
    話の筋とは関係なく、突然道路へ飛び出して車に引かれちゃうんじゃないかとか、変な物を飲み込んで窒息死しちゃんじゃないかとか
    著者が「小次郎」をボストンに連れて行ったのにもどきどきした。
    でも別れは突然くる。こんなに身構えていたのに、やっぱりきてしまった、、、。
    著者は女性の英文学のまさにパイオニア。父と同い年なのにびっくり。この方の歩んできた道は、女性研究者の軌跡のようですね。
    その道のりにそっと猫たちの存在。
    やっぱり私たちは彼らに癒されているのです。

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    2012年02月22日
  • 翻訳と異文化――原作との〈ずれ〉が語るもの

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    未読 翻訳するにはバックグラウンドとなる文化(自分以外の文化と言う意味で他文化=異文化)を知っておく必要が。
    ゆっくりじっくり読みたい。

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    2009年10月04日