八木雄二のレビュー一覧
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「ただ一人」生きる思想
(和書)2012年08月27日 22:02
2004 筑摩書房 八木 雄二
ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスの個別化原理について書かれているのですが、かなり良い内容です。この本は一読の価値ありなので皆さん読んでみてください。
何回か読まなければ頭には定着しないだろうとおもうけれど、基本的な理念は僕自身と矛盾しないように感じてこういった本があること、そしてその存在を知ることができたことを幸運に感じたいと思います。
ヨハネス・ドゥンス・スコトゥスさんについてはハンナ・アーレントさんの『精神の生活』という本で取り上げられていたと思うけど、そちらもなかなか素晴らしい内容で -
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中世のアルプス以北の森の中を開拓した修道士。町の半数は修道士だったのでは。
童貞は結婚に勝る。童貞を捧げることで神は報酬をくれる。現世では知識、死後は天国を。知的好奇心旺盛な若者は修道士になることを選んでしまう。
修道士は天使のように生きる。ただしキューピッドはローマ神話の悪魔の一種。肉欲。
武力では領土の独立しか果たさないが、宗教によって統一が果たされる。天使のような、神に仕える平和の戦士。
形而上学と神学のセット。
(現代でもスピリチュアル系の人は中世神学の感覚なのではないか?)
アンセルムスの神の証明でも最終的に、存在するから存在するという同語反復となる。しかし神学は、信仰の世界 -
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[時去れど今なおの輝き]その分野が重要であろうことは頭で理解しつつも、多くの日本人にとってなかなか手が出ないヨーロッパ中世期の哲学。現在の考え方と中世のそれとはどのように異なるのか、そして中世の哲学は神と世界をどのように理解していたのかを探る一冊です。著者は、西欧中世哲学を専門とする一方、日本思想についても詳しい八木雄二。
中世哲学の世界に入る前に、その世界に入るための頭作りをしっかりとしてくれるところが魅力的。現在の一般的な考え方からはおよそ理解できないであろう世界観を、懇切丁寧に比較や例示を用いて説明してくれています。「中世」と「哲学」という言葉が2つ並んだだけで(自分もそうなんですが -
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中世の神学と哲学とについて初歩的な事柄から教えてくれる。
三位一体、新プラトニズム、アリストテレス形而上学、普遍論争、神の存在証明など
キリスト教独特の概念を、繰り返し別の言葉で説明してくれる。
時として日本人の考え方との対比を出してくれたりもする。
神への信仰が西洋の哲学的土壌を生み出したのだなと感じさせる。
神学は存在そのものや眼前で起きる事象に対して、
神にまつわるなんらかの理由付けを模索することに徹底しており、
その理由付けの批判と発展によって近代哲学や近代科学を生み出した。
また、個人主義は神と一個人との対峙の中で生まれる思想であったことを改めて知った。 -
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[ 内容 ]
宇宙の真理を数学的手法で求めたパルメニデス、対象化されざる「自己」の真理を求めたソクラテス。
哲学の始源に見いだされる二つの道は、時に離れ、時にもつれあい、西洋哲学の流れを紡いでいった。
それはいまもアクチュアルな問いを発し続ける…。
歴史の霧のなかから、人間の思想のドラマが立ち現れる。
独自の観点からの西洋古典古代哲学入門。
[ 目次 ]
その1 パルメニデスとソクラテス
その2 プラトンとクセノフォンが語るソクラテス
その3 プラトンとアカデメイア
その4 アリストテレス
その5 エピクロスとストア学派
その6 新プラトン主義とアウグスティヌス
[ POP ]
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Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「個で生きる」というと、すぐにヨーロッパ近代の個人主義が連想される。
しかし、そもそも「個人主義」という考えは、どんな発想のもとに作り上げられてきたのだろうか。
本書では、ヨーロッパ個人主義の源流を、古代ギリシアと、キリスト教、そして、中世スコラ哲学の内に再発見し、その思想の底にあるものを洗い出すことによって、そこから現代日本人が、この不安な社会の中で生きていくためのヒントを探り出す。
「孤立」を恐れることなく、また、そこに逃げ込むこともなく、しかも、「ただ一人でも生きられる精神」の可能性を問う一冊。
[ 目次 ]
序章 個人主義を考える意義
第1章 個の現実と個の思想(個であ