西川伸一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
6人の論客が日本の問題点を明らかにする。
275ページの新書に6つの論文。
1人40-50ページと短い文章だが、
その中に鋭い視点を見た。
一番鋭いと思ったのは中島岳志氏。
「保守とリベラル」という対立軸に、新しい視点をもたらした。
「リベラルとパターナル」がそれ。
パターナルとは、家父長的、権威主義的。
そこにリスクの社会化、リスクの個人化という軸を合わせ、
4象限で自民党の政策の変遷を分析する。
田中大平のころの自民党はリスクの社会化+リベラルだった、
それが小泉で個人化、リベラルとなり、
安倍で個人化、パターナルとなったと。
自民は時代とともに鵺のように変遷していると。
ちなみに「民主党」は社会化・リベラルだったと。
さらに中島氏は社会化・リベラルが好ましいとしている。
私もかなあ。。
以前は自己責任!と思っていたが、生まれ育った環境など運が大きすぎる現在、
社会化が大事だと思っている。パターナルなどもってのほか。
お次はお馴染み神保哲生さん。
政府に食いつくべきマスコミが、官僚になりそこなった偏差値エリートの
おりこうさんばかりになると、素直に言うことを聴いてしまう。まずい、と。
記者クラブ、クロスオーナーシップは論外と。
独立系メディア、ビデオニュースドットコムを自ら立ち上げた神保氏だから言えることば。
そして流石波頭さん。
法人税を下げ、消費税を上げ、消費を冷やしてしまった日本。
企業は法人税が下がって生まれた利益を配当で海外にばらまいてしまった。
結果需要は伸びず、負のスパイラルに陥ってしまったと。
ここからは私の意見。
百歩譲って安定財源の消費税を確保させるとして、
何で所得税を下げないのか。数式を変えるだけで、所得税減税は可能。
消費税をとっているのだからそれでよいではないか。
税収上振れが何年も続いているという無策。
財務省はそれで喜んでいるのかもしれないが、国民はどんどん疲弊する。
減税を歌えば「財源は?」と問うくせに、
政治家が五輪だ万博だといえば、どこからともなく出てくる予算。
それも当初予算より増えてもスルー。
バカすぎる。
AI本格稼働で労働力が賄えるようになれば、
ベーシックインカムを国民に与えることが現実的になる、
というものも2人からあった。
それを真剣に考えられる時代になってきたが、、
基礎控除の引き上げや選択的夫婦別姓すら決められない機能不全の国会に
それを求めるのは無理な気がする、、、
ピンチだよなア日本
第1章 歴史に学ぶ日本の再興(磯田道史)
第2章 生成AI:38億年目の創発(西川伸一)
第3章 わが国の今とこれからの方向性~経済からのスコープ~(波頭亮)
第4章 現代日本の政治思想(中島岳志)
第5章 日本のメディアの構造問題(神保哲生)
第6章 夢見るAI(島田雅彦) -
Posted by ブクログ
朝ドラ「虎に翼」に登場する松山ケンイチ演じる桂場のモデルと噂される石田和外。
実際の人柄は大部異なる印象だが、ドラマでは陰険で神経質な感じだが実は甘党でヒロインたちにも一定の理解を示すが、実物は一見豪放磊落な細かいことに捕らわれないが内面政敵には執拗にこだわるタイプだったようだ。
ドラマでも描かれる帝人事件をモデルとした裁判(水中月影の如し)の裁判官としての判断や戦後誕生した家庭裁判所に対する思い入れは後世でも評価される点だろう。
また裁判所が戦後、2流の役所としての評価(三権分立の司法権を担うにも拘らず)から脱するために裁判所の独立を国会(政治家)や法務行政から司法行政を通じて守ったことは評価される面もあっただろうが、それ以上に司法の独立の中核である裁判官の独立を踏みにじり、現代の裁判所の役割を後退させたこと、人権救済機関としての役割を十分に果たしていない現実に我が国の司法権の未熟さを痛感する。
それが裁判をしない裁判官(司法行政に特化)に由来したのであれば、修正していかなければならない。
そんな判事が最高裁判事になっても人権感覚を発揮できるとは思えないからだ。
最高裁判事として人権救済の観点化から注目に値する判決が乏しいのもその証左だろう。
その例外として八海事件を取り上げているようだが。
それ以上に問題なのは八幡製鉄政治献金事件で大企業の政治献金を合法とする判断が民主主義を遅滞させることになった方が国益に反するものと感じる。
日本が1960年~1970年代にかけて若者を中心とした政治の季節(左翼運動の高まり)を背景として、時の政府に逆流するような判決や訴訟指揮をとる裁判官たちの出現で司法の危機が叫ばれた(明治憲法の残滓のような既成勢力から見れば当然)時代に、最高裁長官となって益々人権に抑制的なシステムを構築し人事権や監督で抑圧したことは「長沼ナイキ訴訟」をめぐる「平賀書簡」問題、青法協参加の裁判官に対する締め付け(ブルーパージ)に詳しい。
更にリベラルな判決の流れを止めるため、保守派の裁判官を後退時に送り込みリベラルな判決を覆す構成に寄与した流れはまるでアメリカ最高裁におけるDトランプの戦略の先駆のようだ。
この流れで都教組事件判決(石田も関与した)から全農林警職法事件の判決での公務員の労働権に対する逆転となったことは鮮烈だ。
翻って日本における司法の歴史は、米国流の憲法を導入しつつ、明治憲法に毒された人間らが運用してきた。
これを本来の人権感覚に根差す裁判が行われるには過去を省察することが肝要であり、本書もその一助となることが期待される。