スザンヌ・シマードのレビュー一覧
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ネタバレ1. 森とは調和の取れた全体的のこと(p73)
2. だがいったいキノコはなぜ木の根に水を渡してしまうのだろう?(p97)
3. 林業界は、苗床園で苗木を育てて植樹する方法を編み出したものの、木と協力関係にある菌根菌もまた育てる必要があるということを完全に失念していたのである。(p102)
4. 菌根菌がリンと水分を、植物がつくる糖と交換できるようになっていると書いてあった。土壌にリンが少ない乾燥した気候の土地で植物を助けるためだ(p112)
5. 人間よりももっと物静かで、包括的で、精神性の高いものを、私たちは軽んじ、無視したのである(p126)
6. そう、それは単純明快な考え方だった。競 -
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森に対する見方を変えてくれる本だ。著者のスザンヌ・シマードはカナダの森林学者で、森の木々はマザーツリーと呼ばれる古木を中心に根にからみついた菌糸のネットワークを通してつながっており、栄養や情報を送り合っていることを明らかにした。その研究を縦糸に、女性科学者ならではの苦闘や、妻として母としてそして乳がんサバイバーとしての人生を横糸に、美しく織り上げられたタペストリーのような書物だった。最後に、マザーツリーが衰え死んでゆくときに蓄えてきた栄養や情報を次の世代に渡すことを知った著者が、自分は何が出来るかを問う場面は感動的だ。森には人間と同じように知性があり、そこから多くのことを学ぶことが出来るという
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ネタバレ私は、木々が失われ行く田舎で育ったが、病院通いのために都会へ移り住んだ。そうしてーーいやずっとというべきだろうかーー「森へ行きたい、棲みたい」と強く願い続けている。
本書を手に取ったのは偶然と、訳者・三木直子さんのお名前に惹かれたためだ(三木さんは私の棚の一番上に常にある『植物と叡智の守り人』も訳されている)。5年以上あたためている物語のテーマが「森」で、片っ端から読んではいたけれど、これほど、「ああ、私が森を希求して、もがきながら得たいと思っていたのは、(スザンヌ・シマード(著者)の)このマッピングを知りたかったからだ」と思い得た本はない。
死にゆくトウヒの苗木に、「どうしてこんなことが起き -
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映画「アバター」のコンセプトとしても採用された、自然の木々が知性を持ち、互いに意思疎通し合う共生のメカニズムが実証されるまでの過程を記した一冊。
材木会社が伐採後の植樹に相次いで失敗するのを目の当たりにした著者は、農業のようにビジネス上の効率性を優先し、商品価値のある単一樹木の栽培のために、それ以外の草木を競合と見做して排除する政府の「自由生育政策」が、森の多様性を阻害しているのではないかと考え、伐採地でのプロジェクトを含む多くの実証実験により、森の木々が根に共生する菌類を介して、お互いに養分を融通し合っている事実を明らかにする。
研究結果をもとに発表した論文が、進化は競争のみがもたらすと -
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カナダ生まれの森林生態学者の自伝的な回想録でもあり、森林システムについての彼女の研究成果を紹介する一冊。
樹木と樹木は根や菌根菌類を通じてコミュニケーションを取り合って最適な生存戦略を森として採用してる。そのことに気づいてからそれを科学者として証明し、人々に理解してもらうまでの科学的に証明しにくいだろうテーマに科学的に正面から挑戦してきた彼女の人生は本当に尊敬に値する。
人間は自然の一部。自然が本来持っている知性を尊重し、耳を傾けることの重要性がよくわかる一冊。今後、TED動画や関連映画なども見てみたい。
内容はとてもおもしろいが、文章は少しだけ読み進めにくかった。 -
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話題になっていた本だと思うがその分厚さにかなり怯む。頁数は550ほど。辞書と同じくらいには分厚い。
で、読みはじめてみると、最初は(わたし的には)つまんなくて、読むの止めちゃおうかな、、、などと、逡巡している間に気付いたら面白くなってくるんだから不思議。
この本はシマードさんの自叙伝でありフィールドノートだ。彼女の生い立ちや家族のバックグラウンドの話が導入部分で、森と近接した暮らしから木への興味(発端の驚くべき発見がある)、何故どうして?の疑問を解決するために彼女は動き出す。女が外に出ていく時代じゃなかった昔に孤軍奮闘(実際には大いに助けてくれる人たちがいたけど)する状況もつぶさに記載され -
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森林を形成するのに最も重要なのは地下に広がる根と菌類のネットワークだった!というのを直感的に感じ取っていた著者が、既存の林業による伐採と生育を変えるために、森林が多様性のもとで協力しあいお互いを支え合っていることを科学的に証明しようと奮闘するノンフィクション。既存のやり方を守りたい政府や林業従事者との闘いであり、女性であるが故の嘲笑や障壁との闘いであり、著者自身の人生を記したものでもある。その分情緒たっぷりの表現も多くて、読んでいて辛い場面も多かった。が、この本が伝えたいことは自然とのつながりを意識して、実感として感じてみてねというのがまず大前提にあるのだろうから、自然と触れることでその美しさ
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森林の木々は、地中の根から菌根菌を通じて栄養や情報のやり取りをしている。それは、日本人ならば八百万や縁のようなアニミズム的な観点から納得できる話であろう。その常識に科学が追いついてきた。
森林生態学者である著者は、粘り強く森林内部の調査や実地での実証実験を繰り返すことで、「マザーツリー」と呼ばれる高齢大樹が自らの子孫や異種の草木、キノコや地衣類といった菌根菌を育てコントロールすることで、調和した森林空間を創造する実態を突き止めた。
そして、歴史上多くの時間を森林で過ごしてきた人間も、このマザーツリーの影響を受けている。太古からご神木と崇め、水や収穫物を得てきた先祖たちは直感的にその重要性を