澁谷正子のレビュー一覧
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ネタバレ感動的で貴著な本である。
著者、スザンナ・キャラハンは本にある病気になった時24歳。
訳者のあとがきにあるように、本書の構成は、前半が著者の次第に悪化していく詳細な精神症状と、医師による相次ぐ誤診、診断が確定されない中どんどんと精神状態が悪くなっていくさまと困惑する周囲の記述は、ホラー小説を読むかのよう。
実は私は読む前から診断名を知っていたし、精神科医でもあるので、この前半は読み進めることが非常に辛かった。我が身を振り返っても、24歳という若さで幻覚・妄想が出て来た場合、統合失調症ないしは双極性障害と診断してしまう可能性は高い。あえて言えば、突然の発症、それまでの社会適応からして、『この -
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ネタバレ発表当時は珍しかった、自己免疫性疾患が突然発症した女性の、ご本人による回顧録。
こうした書物を読むときは、
・日本とは異なる保険診療/自由診療混合医療の国で起きた事である。
・書かれている内容は、現在また異なる基準で判定されたり、価値が変わったりすることがある。
の2点に気をつけながら読みます。
そして読み終えました。
不幸な偶然が3個積み重なった人と、幸運な偶然が3個積み重なった人の差に想いを馳せざるを得ません。著者は後者でした。
幸運その1.『ポスト』の正社員で、保険会社が診療費をカバーしてくれたこと。
幸運その2.両親も、恋人も、経済的に自立しており、著者を支える余裕があったこと。 -
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どこに向かうかわからない謎めいた書き出し。<本日午前十時五十二分 パリ>。知人女性に街角で呼び止められ動揺する主人公ケイト。そのケイトは、いろいろわけありであるらしいこと。
ストーリーは二年前にフェイドバック。ワシントンDCに暮らす夫婦が、夫の新しい事業のため、ルクセンブルクに移住することになる。ケイトは仕事を辞めねばならない。だが簡単に辞めることができるかどうか不安である。どんな仕事をしてきたのか、どこか意味ありげに語られる。文章の裏側に隠されている真実と、これから読者は無数に対面してゆかねばならない。あまり多いとは言えない登場人物たちの裏側に隠された真実や真実らしきものと到底信じられ -
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細かい描写が多いなぁと思ったらノンフィクションでした。冒頭から胸が痛む場面が続きますが、快復期に向かって主人公が本来の快活さを取り戻す過程はなかなかのカタルシスがあります。
登場人物たちも小説?と思われるほど魅力的。変わってしまった主人公の周りは、それでも家族愛に溢れていて胸を打ちます(私/家族が病に侵された時、彼らのように愛を以て接することはできると言い切れるでしょうか?)。まぁ快復期に現れる無神経な親戚や友人も印象的ですが。
病理を解明する専門医がいる一方で、(やむを得ないとはいえ)盆暗な町医者もいます。ノンフィフィクションだからこそ、良いですね。 -
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パリ、セーヌ河岸の露天の古書店から始まる物語。旅情をそそり、あわよくばレア本との出会いがあるかもって期待を込めたつかみは良し。
だったんだけど、事件が発生してからは、のはっきり言っちゃえば、ご都合主義で場当たり的が否めない。
主人公はテキサス出身の元FBI職員で今はアメリカ大使館の外交保安部長。頭は切れるわ、モテるわ、アクションはいけるわ。スーパーマンかい!
古書もあんまし重要なファクターでもないし。
ミステリ色よりもアクション、サスペンス性が強い。
でも、全体を通じて、パリ市内の描写はなかなかいい感じ。なので脳内映像がしやすいのでハリウッド映画を見たような印象。 -
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(No.14-17) ノンフィクションです。
内容紹介を、表紙裏から転載します。
『マンハッタンでひとり暮らしをする24歳の新聞記者スザンナが心身に変調をきたしたのは、ある朝突然のことだった。
最初は虫に噛まれたものと高をくくっていたところ、徐々に左腕がしびれそれが左半身に広がっていった。
同時に、仕事への意欲を失い、部屋の片付けさえ出来なくなる。幻視や幻聴を体験した末、口から泡を吹き、全身を痙攣させる激しい発作を起こすまでになる。
医師の見立てでは、精神障害ないしは神経疾患。てんかん、双極性障害、統合失調症の疑いをかけられるが、処方薬は全く効果が無く、検査でも原因を突き止められない。症 -
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ちょっとおどろおどろしさを感じる表紙写真でホラー小説か何かを想像してしまいそうだが、脳を侵すタイプの自己免疫疾患にかかった、ニューヨークポストの記者である著者の闘病記である。
著者が「映画『エクソシスト』の主人公の少女が私の症状とそっくり」と評しているのを読めばお分かりかと思うが、想像を絶するほどの壮絶な症状の連続に、よくぞご家族は諦めず寄り添い、徹底的に原因の追求まで辿り着いたものだと思う。この病気が解明されたあとの発病だったことも幸運だったとは思うが、当時、まだ医療関係者にさえあまり知られていない病気だっただけに、本当にラッキーだったのだろう。
また、壮絶な闘病のなか、周囲の人々が日記や -
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ネタバレニューヨークポストの記者が自身の体験を書いた体験記です。
著者は2009年に病気になるまでは、社交的で話し好きな有能な記者だった。しかし徐々に精神的におかしくなっていく。部屋にシラミがいるという確信が離れず、彼氏の部屋をあさったりし、徐々に仕事がうまく運ばなくなる。かかりつけ医や神経内科医へかかるが、異常なし。しかしついに痙攣発作を起こす。そしてニューヨーク大学に入院するが、その後幻覚などが出現し・・・
前半は謎解きのようなホラーミステリーのような感じ。後半は、疾患から立ち直っていく姿。自身とは何か?のような哲学的話もあり、疾患の解説も含まれています。
自身は、病気の間の記憶が曖昧のようで、様