澁谷正子のレビュー一覧
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ネタバレ悪魔にとりつかれる映画エクソシスト。実は類似の例が世界各地にあるそうです。ひきつけを起こす、手を奇妙な形に曲げる白目をむく、妄想にかられる・かと思うと正常に戻る。そしてこうした急激な変化と正常との間と行き交う。
実は私の近しい人間(義弟の彼女)にこのような症状が出ました。物忘れが増え始め、ぼーっとしていることが増え、そしてある日突然意味不明なことをしゃべりはじめ、ひきつけを起こし、卒倒しました。錯乱の末階段から転げ落ち、前歯を一本折り、そのまま救急搬送されました。その後意識を戻ったものの彼氏のことも家族のことも認知せず、うめき声をあげるだけ。
たまたま起きたのが旧暦のお盆の時期であったため(華僑の人たちはこれをゴーストシーズンといい、死者と生者と世界がつながると言われている)、家族は”この子は悪魔にとりつかれた”と思ったそうです。私がお見舞いに行ったときにも、虚ろな目でブルブルと震え、私のことも認識せず、私のことも見ているのか見ていないのかもわからずウーっとうなるばかりでした。
本書は、上記のような症状を示す抗NMDA受容体自己免疫性脳炎という極めて珍しい病気にかかり、幸運にも生還した女性による、世界でも症例の少ない奇病についての手記です。自己の顛末を”他人から聞き取り”、一部自分の当時の記憶を取り混ぜつつ自分に起こったことを明らかにしています。
この病気は、一見統合失調症らしく見えるため、精神科的アプローチを施されることが多いようですが、実際にはいわば脳でアレルギー反応が起こっている状態であり、これにより精神錯乱状態が起こされているようです。
本書にも書かれている通り、うちの義弟の彼女にも大きな腫瘍が片方の卵巣に見つかり、この腫瘍を摘出したところ快方に向かい、約半年後には大分普通の生活ができるようにはなりました。
この本の価値は、ひとえに、このような一見”悪魔憑き”のように誤って取り扱われてしまい適切な処置が施されない可能性のなる病気の存在、そしてその症状と治療の過程を知らしめ、そして誤診を防ぐという点にあると思います。その点では迷妄を科学へと連れ戻す非常に意義あるドキュメンタリーかと。
他方、筆者が若いからなのか、あるいは翻訳の問題か、筆致がやや幼いというか自意識過剰気味で、その点が少し読んでいてゲンナリしました。
精神を急に病んでしまった方が周囲にいる方、唯脳論を信じる方、リアルエクソシストについて知りたい方というのはおすすめできる本かと思います。 -
Posted by ブクログ
セーヌ川のほとりで古書店を営むマックスが拉致された。
その客である在仏米国大使館の外交保安部長ヒューゴーが現場を目撃したところから、謎解きが始まる。
そこにマックスの旧友で元CIA職員のトムや、美人記者クラウディアが協力し、犯罪組織を追い詰める。
クラウディアの父で、謎めいたルシヨン伯爵やらなにやらが関わり、話が複雑になっていく。
イギリスからアメリカに移住したという著者が気になって本書を買ってみた。
ただ、正直言って、あまり物語に入り込めない感じだった。
古書が出てくるだけに、いくぶん文化的な香りはするけれど、なにか日曜の昼下がりにテレビでやっている、あまり売れなかったアメリカ映画を見ているようで...。 -
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パリを舞台にした惜しい感じのミステリ。面白くなかったわけじゃないしセリフも小気味よかったけれど主人公の設定が出来すぎていたり、上司が物分かり良すぎたり、ジョーカー役の親友がなぜパリに現れ手助けしてくれたのか最後まで読んでも良くわからなかったり、ヒーローとヒロインの出会い方も雑というか説得力がなかったり、全体的に惜しい!っというように感じられました。二時間しかない映画ならともかく、小説なのでもう少し読み込ませて欲しかった。とはいえ、これが初めての小説らしいので、デビュー作らしからぬ巧さがあり、逆にそれが物足りなさを呼んだのかもしれません。
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Posted by ブクログ
ネタバレNMDA脳炎の闘病記。
2005年に症候群として発表され、2007年にNMDA受容体に対する自己免疫がその原因として特定されたばかりの病気。著者が発症したのが2009年で、テラトーマもなかったことを考え合わせると、発症したのはともかくとして、その後の経過はかなり幸運なものだったといえるだろう。
新聞記者だそうだが、文章は特にこなれていないし、NMDA脳炎についての記載は自身でも消化不良なのでは、と思わせる内容なので、一般的な読み物としてはやや難が多い。NMDA受容体は海馬に特に多いため、記憶の錯誤などの症状が起こりやすいというのは納得。
かつて野口英世が分裂病と診断されている者の一部に進行麻痺が含まれていることを示したように、現代の精神医学で統合失調症と診断されている者の中にこうした自己免疫性疾患の者が含まれているのだろうか?国内にも推定1000例以上はいる、とされているようだし、その比率が0.01%だとしても適切な診断・治療が施されずに統合失調症として放置されているのであれば多すぎるだろう。