廣田龍平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2000年代、オカルト板やまとめサイトを深夜まで読み耽っていた当時が懐かしく思い出された。
著者は今後、ネット怪談の流れは因習系(コトリバコなど)から異世界系(バックルームなど)へと移行していくと見ている。
「恐怖の根源には自分は違うともの、自分の知らないものへの漠然とした不安や警戒があるとはよく言われることである。だが、そうした不安や警戒が、現実に存在する具体的な人々・集団や、それをモデルにした登場人物に直接向けられる怪談やホラー作品の体験談あるいは新作は、今後、ゆるやかに減っていくのではないかと思われる」
怪談索引、参考文献、注が充実。 -
Posted by ブクログ
新書でコンパクトながら読み応えのある一冊。
いわゆる怪談についての基礎的な話から、現在に流布している『怖い話』について手広く網羅されているので、ホラー関係についての総括として読んでも良いと思う。
とはいえ、私自身があまり詳しい人間ではないので、その分だけこの本にあげられている小話についてとても興味深く惹かれるものがあった。
また、学術書として大変誠意的に書かれていて、使われる語についての定義づけが丁寧で好感がもてる。また1980年代から2020年までのネットで流布している『こわい話』についての流れもわかりやすく書かれているので、自分の記憶と照らし合わせていくのもとても楽しかった。用語についてか -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近の出版業界で最も勢いがあるとされているジャンルはホラーである。また、それは出版業界に限らずインターネット、SNSでも大きく注目を集めている。その代表例としては雨穴さんや背筋さんが該当するだろう。彼ら以外にも、いわゆるモキュメンタリーホラーというジャンルが注目されている。モキュメンタリーとはドキュメンタリーのようなリアリティを持つフィクションである。そして本書はそういった現代のホラーのルーツや2024年までの変遷について民俗学の観点から迫ったものである。
先ほど民俗学の観点という言葉を用いたが、残念ながら私に民俗学の知識なんてほとんどなく、柳田國男という名前を知っている程度だが、本書は民俗 -
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きさらぎ駅、リアル、本当に危ない場所を見つけてしまった、などから果ては近年のホラー映画や小説などまで網羅し、この30年ほどの間ネットでホラーを見てきたものなら誰もが知っていると思われる、代表的な「ネット怪談」をいくつも取上げ、その成立の過程を具に追い、オステンション/逆行的オステンションなど、民俗学的見地から解剖した1冊。取り上げる対象が多いためか1件1件のボリュームは浅めだが、「この話知ってる!」という親近感が本書の面白さを底上げしている。著者は終盤で「リミナルスペース」の台頭流行を取り上げ、「ネット怪談はもはやナラティブ(物語)を必要としなくなった」と述べており、非常に興味深い分析だと感じ
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「俗信」とは何かというところから、一つの俗信に対して、これがどうして「俗信」になったのか。年代や、何がどう変遷して今の形になったのかの考察をしている。
驚いて印象に残っているのは、俗信ができる過程・姿勢は科学と同じということ。「なぜあそこの家は病人が絶えない?」と結果から原因を探す。原因を求める技術が追いついていなかっただけ。
また、俗信は科学技術が発達すればなくなるのではなく、生活の中に入り込んでくるという。例えば写真が普及すると「3人で写真に写ると真ん中の人が死ぬ」など。これは写真の技術が発達しなければ生まれなかった。
なるほど時代や文化によって形を変えていくものなんだなと思いながら思いだ -
Posted by ブクログ
ネタバレ懐かしいワードがいっぱい出てきてよかった、平成1桁ガチババアだからショート動画とかTikTokとか全く見ないのだけれど、そういう土壌でもあの頃と似たようなオカルトの隆盛があると知れてなんだかホッとした(?) 現代の差別意識やジェンダー観のアップデートに伴って怪談からもそういう要素が排されて(より無機質なものが面白がられて)いるの、なるほどという感じだ。
インターネット独自の文化のソースを調べるのってどんな分野であれ労力を要するが、本文で言及があった通り怪談やホラーは特に創作であっても人伝に聞いたとか転載したかのように書かれることが多いので、裏取りがマジで大変だろうな……。発刊がもう少し遅かっ -
Posted by ブクログ
ネット怪談がどのように生まれ、広まっていくかを、民族学的視点から書いているのだが、それはともかく──
初めて聞くネット怪談を一つ一つ読むだけでも充分面白い。
「きさらぎ駅」「犬鳴村」は映画のタイトルになっているから知っていたけど、それ以外は全然知らなかった(個人的には、「おつかれさま」は、誰かに言いたくなるほど心に残った)。
昨今話題の「ある近畿地方について」や、「TRICK」「光が死んだ夏」なんかも、ネット怪談の系統、とりわけ因習系怪談の側面があると感じた(「8番出口」に関しては、異世界系)。
心霊スポットから怪村、
そして異世界系、今後はAIなど、
ネット怪談の行く末がこれからどうな -
Posted by ブクログ
こういう題材の本待ってた‼︎
巻末の索引や参考文献、URLの量が筆者の研究に対する真摯な姿勢と熱意の証。
ネット怪談は投稿者の匙加減で情報量をコントロールされたり、共同で構築され続ける性質があるなど。普段この手の怪談に触れる度に感じていたものが言語化やカテゴライズされて、なんだか新鮮な気持ちで本書の内容に向き合うこととなった。
ネット怪談の歴史を振り返る中で、忘れていたあの番組や懐かしの怪談に出会ったり、ごく最近の作品にも言及していて驚いた。ジャンルや言葉の壁すら超えていて、兎に角研究対象が幅広い。
データだから紙媒体よりも元を辿りやすいと思い込んでいたが、ネット怪談も口承と同様に変容する -
Posted by ブクログ
かつて「洒落怖」を読み漁った人間として、ずっと読みたかった一冊。懐かしすぎる怪談のオンパレードに、よくぞまとめてくださった!と拍手を送りたいです。
筆者自身が1983年生まれで2ちゃんのオカルト板と共に育ってきただけあり、当時の空気感を味わった方ならではの豊かな解説に安心感を覚えました。「専ブラ」や「クソスレ」が当たり前に文中に出てくる新書、私は初めて読みました。
私自身は映像としての「怖い話」がどうにもダメで、そのくせ学級文庫に置いてあった「学校の怪談」シリーズなどは怖い怖いと言いながらよく読んでいた記憶があります(これも文中に登場して嬉しかった!)。
携帯電話を持つようになってからは、本 -
Posted by ブクログ
しまった!恐かった!(いや、そりゃそやろ!)
というわけで「民俗学」です
「民俗学」と言えば怪談ですよ
そして本書はネット上で生まれた怪異の数々”ネット怪談”を「民俗(民間伝承)」の一種としてとらえ、その生態系を描いています
との触れ込みなんで、まぁ考察メインでそんな恐くないと思って読み始めたんだけど…
そりゃあ紹介するわな
実際のネット怪談を紹介しながら、話進めるわな
そりゃそう
そしてどうしたって検索しちゃうよね
スマホあるもの
手を伸ばせばそこにスマホがあるもの
本書でも紹介された有名なネット怪談を挙げるので、興味ある強者は各々検索するがよい
「八尺様」「くねくね」「きさらぎ駅」