【感想・ネタバレ】ネット怪談の民俗学のレビュー

あらすじ

空前のホラーブーム、その源流がここにある。
ネット怪談はどのように発生し、伝播するのか。きさらぎ駅、くねくね、リミナルスペース……ネット民たちを震え上がらせた怪異の数々を「共同構築」「異界」「オステンション(やってみた)」など民俗学の概念から精緻に分析、「恐怖」の最新形を明らかにする

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

学生時代2ちゃんねるのオカ板に出入りしてて長じて研究者になったらしい著者があまりに観測者として信頼が置け、大変面白かったです。黎明期から最新の流行までみっちり説明されていて、民俗学然だからなのか界隈の識者だからなのか非常に落ち着いた視点の語りが面白かった。

0
2025年02月02日

Posted by ブクログ

洒落怖やモキュメンタリーものに詳しい人ならほとんど聞いたことがあるだろう怪談が多いし(「リゾートバイト」とかとか懐かしすぎる)、『近畿地方のある場所について』やちょっと前に確かにTwitterでバズっていた冥婚の話まで手広く取り上げ、民俗学的な再構成を試みている。

その構成がうまくいっているかはちょっとよくわからないところもあったが、ここまで多岐にわたり今日も進化し続けているネット怪談(あるいは、インターネット)をテーマに取り上げたこと自体がすごい。ネット怪談/ホラーはずっと読んでいて今も追っている世代なのでめっちゃ面白かったです。

0
2025年01月10日

Posted by ブクログ

ブログや2ちゃんねる発のホラーを民俗学視点で考察。ネット怪談は類書があまりなく本書が1つの指針となる事は間違いありません。新書ですが巻末に出典が詳しく記述されている点も嬉しい。2ちゃんねるホラーや都市伝説に興味がある方はぜひとも読んで欲しい好著です。
民俗学の研究者である筆者は「コトリバコ」を卒論の題材にするくらいネット怪談に強い関心があり、周縁のホラーもかなり読み込んでいる事が分かります。私も一時期洒落怖の代表作はほぼ読み、2ちゃんの怖い話も大体を網羅していたつもりですが、その端緒は知らなかったため非常に楽しく読めました。

0
2024年12月14日

Posted by ブクログ

怖いもの見たさで読んだ!怖かった!中身は基本『これは創作ですが』的な前置きは基本あったけど
私も2ちゃんねるとか、掲示板から始まったネット怪談はまとめサイトとかでしか見たことがなかったので、知ってはいたけどその話が生まれたバックグラウンドとかは知らなかったから面白かった
怖がりなのでしばらく1人で暗いところ行くの怖い
back roomsが最近のミームなのは知らなかった

0
2024年11月29日

Posted by ブクログ

1990年代から2020年代の現在にかけてのインターネット上に流布する怪談=ネット怪談を民俗学的な立場から俯瞰的に総括した本。

民俗学に限った話ではないけれど、「怪談」を扱う場合、基本的に日本ローカルであったり、語りにしろ文書にしろ言葉に記されたもの偏重(精々取り上げられても漫画や映画ぐらい)という印象であったが、本書ではクリーピーパスタをはじめとした英語圏におけるネット怪談の現状や、「The Backrooms」やInstagramやTikTokで流布されているような奇妙で不気味な画像や動画といった伝統的な「怪談」とは異なる共有される「恐怖」イメージや、フィクションに出自を持ちながらネット上に拡散される過程でフィクションとそうでないものとの境界があやふやになってしまっているようなものまで取り上げられている話題は幅広く、出典を辿りにくいネットの情報にも関わらず調査は丁寧。現時点で「ネット怪談」を知る上でもっとも適した本であることは間違いない。

一つ気になったのはインターネット上の事象を民俗学が扱う場合の「語り手」の存在についてで、この本はとても良く調べてあるけれどあくまでそれはネット上に現れた情報の履歴や伝播についてであって、その情報をネットに上げた人物についてはほとんど触れられることがない。まぁ、匿名掲示板への投稿者など実際には特定不能だから仕方がないのだろうけど、従来の民俗学における「民話」や「伝承」の採集においてそれを誰が語ったのか、語り手の存在は大きい。しかし、従来の民俗学が相手にしてきたローカルな社会ではない、インターネットのような広大で不特定多数の匿名の誰かによって構成される世界において語られる話、作られる文化における「語り手」の存在とはどのような意味を持つのだろうか?

0
2024年11月20日

Posted by ブクログ

面白い。30代前後のいわゆるインターネット老人界隈にはぶっ刺さる本。かつて見てきたネット怪談やホラーコンテンツを民俗学における文脈で読み解いていく本であり、以下にここ最近のネットやSNSの発達が人類社会において劇的な変化だったかと認識する同時に、ホラーを追い求める人々の姿勢は変わらないことをしれた。ある種 20年代までのネットホラー大全本的な趣もあり、手元においておきたい一冊。

0
2024年11月16日

Posted by ブクログ

ネット怪談について、民俗学的視点から研究・解説している本。

くねくね、きさらぎ駅、リアルなど、まとめサイトでネット怪談に親しんでいた世代で、懐かしい話題も多く、またそういった怪談が生まれた経緯や起源をしることができてとても興味深かった。洒落怖のような文化が廃れていって寂しく感じてもいたが、形を変え現代のネット文化にも脈々と受け継がれているというのも目から鱗。

0
2024年11月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

くねくね、きさらぎ駅、コトリバコといった題材が、どのように育まれて語り手不詳の"怪談"となったかを民俗学の用語で分析する。キーワードは「共同構築」と「オステンション(やってみた)」、そして「再媒介化」。これらが論じられる1章・4章・6章が特に面白かった。
まとめサイトや切り抜き動画による再媒介化で出自に関する文脈が消去されかえってフィクション性が失われる(本当にあったことかもしれないと思ってしまう)という指摘はなるほどと思ったし、そうやってネット怪談がデータベース化していくことで不安が閾値に到達した人たちの存在も、今のネットホラーブーム(明確な語り手があるナラティブなもの)が支持されている要因なのかなと思った。

0
2024年11月03日

Posted by ブクログ

コトリバコ、くねくね、きさらぎ駅などに代表されるネット怪談の変遷を民俗学の観点からまとめられた本。歴史と構造を知ると学びが多くてもっと楽しめる。

0
2025年04月05日

Posted by ブクログ

ネット怪談と一括りにされていても、その発生や作成のされかたにより色々な区分ができるとのこと。

こういうジャンルはネタなのかマジなのか、その狭間を楽しむものなのかなと思っていたが、海外ではたった1枚の写真で事件も起きてしまうほど、熱狂的に信じてしまう人たちも出てきたという(スレンダーマン)。

初出の情報から転載やまとめ、実際に「やってみた」「行ってみた」などを経て話が端折られたり追加されたりして作られていったネット怪談。
2ちゃんねるの文字情報だけの時代から写真、配信の時代になり、“内輪のみんなで作り上げ楽しむもの”から“幅広く商業主義的に”に変わってきたような印象を持った(実際色々なネット怪談が書籍化、映像化されている)。

0
2025年04月01日

Posted by ブクログ

八尺様やリゾートバイト、コトリバコを読んで村の因習という世界観に惹かれ、洒落怖を読み込み、怖い話も元々好きで民俗学に行き着き、今もYouTubeや TikTokでバックルームやリミナルスペース動画を見ている自分にとって、それを学術的に民俗学として考察する本書は自分にピッタリ!タイトルを見て購入を決意
村の因習話はともすると田舎の差別になる…それはなんとなくわかる。物語として面白く読むのはいいけど、実際に探して、村人に会った!みたいな動画には不快感を感じていたから…。
それが本当かどうかではなく、それを本当(かもしれない)と思い語り継がれることがポイントで、民俗学上では「世間話」という。
ネット怪談は一つの話を聞いて、別の人が詳細を投稿したり自分も見たと話したりして共同構築されそれが「世間話」になるという過程に特徴がある。
具体例をたくさん挙げられていて、久しぶりに洒落怖を読んだし、参考文献も読みたいものがたくさん見つかった。

0
2025年03月18日

Posted by ブクログ

ネット社会における噂話や伝承の構築を順序だてて説明している本。割とおもろかった。 大体知ってたり、初耳だったり、特に海外のネットホラーの類。

0
2025年03月07日

Posted by ブクログ

ホラーに魅せられた者の一人として実に興味深いところばかり扱ってくれて嬉しかったし、面白く読めた。
誰でも簡単に発信できるようになった時代だからこその楽しさがあるし、様々な物語を見つけられる機会も増えた。そうした見知らぬ一つ一つに光を当てて考察しているのが面白い。

0
2025年02月12日

Posted by ブクログ

メモ

インターネット上での共同構築 画像、実況

アメリカ民俗学における「伝説」概念
・常に生成され続けるもの
・未完
・オステンション(〜してみた)

インターネットの叙述
ネタを本当らしくしようとするとよりネタっぽくもなる→ネタも事実も多くの要素から構築される
ネタかマジかの境界線は薄い
不信の念の停止

怪談 伝説のサブジャンル
・体験談 体験者をたどれる
一人称、扇状的→淡々とした文章、体験者の話を報告者として書く実話怪談
・うわさ たどれない
都市伝説、学校の怪談

ネット怪談 
体験談が多い、怪異の理由づけ、地元の解説役
出典の情報が失われてうわさに変化するものもある

アーカイブが簡単なため話のパターンが見抜かれやすい→陳腐化、ネット怪談の衰退
     →商業化、著者名のあるネットホラー

データベースとナラティブは天敵
データベースは世界を項目化するがそこにつながりを見出すことはない→ナラティブがない

現代のアナログホラーの怖さとは
アナログデータはアーカイブ化されない
→アーカイブ化されないものの不穏さ
アーカイブ化されてない過去(異界のようなもの?)から不意に現代に侵入してくる恐怖

0
2025年01月20日

Posted by ブクログ

著者いわく1990年代末~2020年代前半までの約四半世紀ぶんの日のんのネット怪談の大まかな見取り図を提示することを目的として書かれた本。目的の通り日本におけるネット怪談の流れやその時々におけるネット怪談の主流となったテーマやその要因などの論考がある。インターネットのたとえば掲示板や2ちゃんねる、まとめブログ、Twitterなどのツールの変遷やそれによって可能になったことと照らし合わせながらまとめているところもわかりやすかったし、一時期ネット怪談を読むのにハマっていた身としてもあーそうだった!と懐かしい気持ちになった。また1点気になったのは第四章の再媒介化もしくはネット怪談の衰退(創作発表の場の変化)に関わることだと思うのだが、たとえば二次創作のアイテムとしてネット怪談が使われているというのは著者の廣田龍平氏はどういう分類をするのだろうと考えた。私はアニメや漫画の二次創作をよく見るけどpixivでキャラクターがきさらぎ駅に巻き込まれる話もあり、しかも創作のかたちもちゃんねる系というテンプレートがあって2ちゃんねるみたいにスレッドでやりとりしているかたちと小説が組み合わせたようなかたちになっている。こういうかたちを著者の廣田龍平氏は知っており、そのうえで特に特筆するようなことがなくてスルーしたのかそもそも彼の観測外だったのかはわからないが、どういう分類になるのかは聞いてみたい

0
2025年01月15日

Posted by ブクログ

楽しめる媒体はどんどん使っていけば良い、とは思うんだけど、ネットでエンタメってのが自分には馴染まない。当然、本書で取り上げられるスレッドや動画は、どれもが初見のものばかり。でも、モキュメンタリー形式のホラーが隆盛を極める昨今、その走りとしてのネット怪談の存在は興味深い。出来れば本で読みたいとは思ってしまうけど、気になった怪談は結構あった。さて。

0
2025年01月07日

Posted by ブクログ

都市伝説ではなく、「ネット怪談」なのはなぜだろうと思ってよみましたが、なるほどなるほどと納得する内容。
著者と同世代なので、取り上げられているネット怪談はどれも身近なものだったけれど、それがもはや昔話となったことで「ネット怪談」として学術的に分析される段階に入ったのかと思うと感慨深い。
日常に潜む非日常を恐れるのが人の常だけども、令和に生きる私たちの日常は、すでにネットの中にまで広がっているのだと思いました。

0
2024年12月30日

Posted by ブクログ

YouTubeやTikTok発の怪談(あるいはホラー)は知らないものも多く興味深かった。
古くはBBSや個人サイト、2ちゃんねるのオカルト板から最近ではTwitter(現X)や動画サイトまで、海外(特にアメリカ)の流行も踏まえながら変遷が説明されていて読み物としても面白い。実際いくつか、知らない怪談については読んだり動画を見たりした。
元々は怪談的なものが多かったインターネット上の「こわい話」がだんだんとホラーにシフトしていっているという点や、因習村的な(ある種の田舎を何が起こってもおかしくない空間としてシステム化している物語)ものが飽きられているような指摘も、インターネットを長年眺めている感覚と合致するものがある。
とはいえ過去も現代も要素や流行は変われども、不特定多数の人々が参加してインターネット上のこわい話、奇妙な話は作られていく。ネット怪談は、インターネットという広大な空間に住む人々の「民俗」のひとつなのかも。

0
2024年12月15日

Posted by ブクログ

『もはや恐怖にナラティブは必要ない』という一文が印象的だった。なんとなく感じていた事ではあるけど、ネットにおける怪談の移り変わりの後に読むと確かな実感がある。
曖昧さによってリアリティが強化される一方、創作らしさ(「くねくね」のオチみたいな)はカットされていってるというか、恐怖の‘’手触り”だけを具現化していくというか。
私はどっちも好きだけど、より怖いのは今どきのやつ。恐怖って鮮度があるからそりゃそうか。

0
2024年11月27日

Posted by ブクログ

ネットの黎明期からの主に匿名で語られてきた怪談の累積など。後半のメディアを使ったホラーコンテンツについてはよく知らないので参考になった。そして、参考にページ数をかなり割いてるように、紙のメディアと蓄積されていくネットのコンテンツの相性の悪さが非常なよくわかる本でもある。ウェブでやる事だよなこれは。

0
2025年01月27日

Posted by ブクログ

2024-10-29
2ちゃんもニコ生もライトユーザーなので、取り上げられている事象はほぼ後追いで知った。リアタイだったのはバックルームくらいかな。
その背景より成立過程に注目した論考が面白い。思えば子供の頃の口裂け女や花子さんも似たような過程を経て成立したように思う。学校の授業で「お化けはいないポスター」を書いたりしたなあ。
ネットの発達により、その広さと速さが爆上がりしたのは確か。

0
2024年10月29日

「雑学・エンタメ」ランキング