【感想・ネタバレ】ネット怪談の民俗学のレビュー

あらすじ

空前のホラーブーム、その源流がここにある。
ネット怪談はどのように発生し、伝播するのか。きさらぎ駅、くねくね、リミナルスペース……ネット民たちを震え上がらせた怪異の数々を「共同構築」「異界」「オステンション(やってみた)」など民俗学の概念から精緻に分析、「恐怖」の最新形を明らかにする

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最近の出版業界で最も勢いがあるとされているジャンルはホラーである。また、それは出版業界に限らずインターネット、SNSでも大きく注目を集めている。その代表例としては雨穴さんや背筋さんが該当するだろう。彼ら以外にも、いわゆるモキュメンタリーホラーというジャンルが注目されている。モキュメンタリーとはドキュメンタリーのようなリアリティを持つフィクションである。そして本書はそういった現代のホラーのルーツや2024年までの変遷について民俗学の観点から迫ったものである。

先ほど民俗学の観点という言葉を用いたが、残念ながら私に民俗学の知識なんてほとんどなく、柳田國男という名前を知っている程度だが、本書は民俗学の専門用語はあまり用いられず、仮に使われたとしてもその意味について解説がなされている。また、ネット怪談の知識がない人にも、話の中で大きく取り上げられているものや怪談のタイトルが分かるような仕組みになっておりとても読みやすかった。

本書では、オステンション(やってみた)という、肝試しなど噂の現場に実際に訪れてみる行為に対し、その逆をいく逆行的オステンションがインターネット上で行われていると述べられている。逆行的オステンションとは、特定の画像や写真に対して、人がその写真についての物語を後付けするものである。本書の中では、スレンダーマンが例として用いられていた。そして、衝撃的なことにこの逆行的オステンションが進むことで、文字がデータとして残るインターネットという媒体でありながら、本来のネット発の創作という文言が失われるという事が行われているというのだ。そして文言が失われた事でスレンダーマンのように事件も起こってしまったというのも衝撃だった。

この本では終盤に2020年代のホラーの流行についても述べられている。TikTokやYouTubeの縦型スライド動画の流行により、逆行的オステンションが行われなくなり、物語を持たない写真のみのホラーが発展している。そういった写真には不穏さや不気味さがや懐かしさなどの答えのない異質なものを味わうホラーが生まれている。それは、普段TikTokなどを使わない私としては衝撃的な事実であった。

本全体を通して、民俗学という特定の地域の風習を取り扱う学問なのにアメリカなどの他国の怪談が出てくるのはかなりグローバルなものを感じた。本書で語られているが、ネット怪談について語られている論文などは多くないという。ネット怪談においては、民俗学という観点だけでなく、グローバルな視点でも取り扱う必要があるのではないかと個人的に思った。

きさらぎ駅やくねくね、マンデラ効果や検索してはいけない言葉、バックルームなどの定番を取り扱う一方で、日本のインターネットを語る上で欠かすことのできない淫夢についても少ないながら記述がある点が個人的に好印象だ。
また、民俗学的観点からの考察だけでなく、ネットホラー史を辿れることがこの本の素晴らしい点の一つである。ネット怪談が好きな人は買って損はないと思う。また、ネット文化が大好きな身としては、こういった本が出てくれてとても嬉しいので、今後こういった本が増えて欲しい。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

懐かしいワードがいっぱい出てきてよかった、平成1桁ガチババアだからショート動画とかTikTokとか全く見ないのだけれど、そういう土壌でもあの頃と似たようなオカルトの隆盛があると知れてなんだかホッとした(?) 現代の差別意識やジェンダー観のアップデートに伴って怪談からもそういう要素が排されて(より無機質なものが面白がられて)いるの、なるほどという感じだ。

インターネット独自の文化のソースを調べるのってどんな分野であれ労力を要するが、本文で言及があった通り怪談やホラーは特に創作であっても人伝に聞いたとか転載したかのように書かれることが多いので、裏取りがマジで大変だろうな……。発刊がもう少し遅かったら都市伝説解体センターなんかも触れられていそうだ。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『ネット会談の民族学』を読んで、どのようにしてネット上の怖い話が広まっていったのかがとても分かりやすくまとめられていると感じた。作者が不明なまま別の人が話を引き継いだり、スレッドでの会話がそのまま物語として発展していくという構造はとても興味深かった。普段なんとなく読んでいるネットの怖い話にも、こうした「語りの連鎖」や人々の関わりがあるのだと知り、ネット文化の奥深さを改めて感じた。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

多少、小難しいが、「ネットの怖い話」の知識がつく。

あと、突然、「ジェフ・ザ・キラー」の画像が載ってる箇所があるので(P200)、ページめくる時は注意!(笑

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2025年10月07日

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