武田惇志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現実にあったことなんだよな、実際に生きていた人間の話なんだよな、と思うと読み進めるほどしんどくなってしまったというか、この人の人生に興味を持っている、つまりおもしろがっている自分が嫌になってしまった。
18ページに書かれている「亡くなった方は個人情報保護法の関係もなく、守秘義務も発生しない」という事実に救われる反面、死んでしまったらそういうセンシティブさはなくなるのだ、という恐怖もある。
でも名誉毀損的な書き方じゃなかったし、むしろ敬意があった。最後の「沖宗千津子さん。あなたに一目、会ってみたかった。」という誠意が全てだと思う。
私は一人暮らしのこの部屋で死んだら何日後に発見されるのだろうか -
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Posted by ブクログ
私も職場で官報を見てたので「行旅死亡人」の欄は不謹慎ながら興味深いと思って見てました。
人知れず亡くなる人ってこんなにいるんだな、と。
それもあるし、こんなでっかい帯にビッシリ推薦文が書いてあるし、めっちゃ期待膨らませてしまった。
たまたま官報で見つけたある行旅死亡人に引っかかった著者。記者である強みをフル稼働して真相に迫っていきます。
亡くなった状況に謎が多くて初っ端から引き込まれたのはそうなんですが、うーん…
広げた風呂敷をそっとたたんで「人生いろいろでした〜おわり〜」みたいな。そこは読む前から予想できてた。「物語」ってその事だったのかな。
ひねくれ者の私には、「ウケそう!」って調べ始めて -
Posted by ブクログ
身元の分からない死亡人のことを行旅死亡人と言うのだと初めて知りました(一年間に600〜700人もいるというのがびっくりでした)。
尼崎のとあるアパートで亡くなった行旅死亡人の女性は、右手の指が全部欠損し住民登録もなく、金庫に3000万以上の現金を持っていました。
謎だらけの女性の身元を新聞記者である2人が探っていくドキュメンタリーです。
全国に100人ほどしかいない沖宗という珍しい名字から行旅死亡人の身元に辿り着くのですが、記者の方の執念と地道な聞き込みで、警察も探偵も辿り着けなかった身元をつきとめたのは本当にすごいなぁと思います。
結局高額の現金の謎が分からないままだったのは残念でしたが、 -
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Posted by ブクログ
ノンフィクションではあるのだけど、、この本に漂う独特な雰囲気をどう表現して良いのか迷っていたら、高橋ユキの「つけびの村」に似てると思った。記者が限界集落のような慣れない土地にまで足を運び、謎を探っていく様子をハラハラしながら追体験できる内容。小説のような大きな展開や謎解きミステリーのような後味スッキリ感はないけど、本作の醍醐味はそこではないと思う(逆にそれを求めるとモヤモヤが残ると思った)
事件ものノンフィクションのように大きな出来事はないけど、だからこそ謎が多い。ノンフィクションの醍醐味は分かりやすい展開ではなく、むしろ人間って奥が深くて難しいなあと考えさせてくれる部分だと思っているので、 -