武田惇志のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この取材は2021年のことだ。
身元不明の女性の孤独死。
最近、孤独死が問題になっているとは言え、身元の分かるものをほとんど残さず、3千数百万円という大金を残し、「行旅死亡人」として官報に掲載されていた。
2人の記者が彼女の身元を明らかにしようと奔走するノンフィクションミステリー。
女性の旧姓が珍しかったこともあり、名前から追っていく。
そういうルポルタージュであるが、なかなか彼女の身元が分からない。
大金があつにも関わらず、お風呂もないような古いアパートに、なぜ隠れるように生きなければならなかったのか。
まさか工作員だったのか?
どれほど取材を尽くしても生前の姿を再現できるものではない。
ただ真相を追い始めてもなかなかではなかったが、細い線をどうにか辿って、「死者」について知ろうと思う。
死という揺るぎない事実の上に、かつてそこに確実に存在した生の輪郭を少しずつ拾い、結んでいく。
『それは、誰もが一度きりしかない人生の、そのかけがえのなさに触れることだ』
当時の実際の写真も差し込まれている。
それを見ていると実際、人と触れ合った跡が見える。なのに戸籍など残そうとしなかったのだろう。
とにかく気になって読む手が止まらなかった。
この記者たちの姿勢にも恐れ入った。 -
匿名
購入済み引き込まれました
物語の先が気になり一気に読んでしまいました。
ニュース記事見てとても気になっていたので購入して読んでみましたが人生について考えさせられ、死んでもなお、生きた証がのこされていることが素晴らしく感じました。 -
Posted by ブクログ
行旅死亡人として掲載された女性には、3400万という多額の現金が遺されていた。
「名前」は分かるのに、戸籍が消えている。
不可解な死の背景を、二人の記者が追っていくというルポルタージュ。
そういえば、私も行旅死亡人のホームページ?を見たことがあった気がする。
例えば、自分が住んでいる場所の近くで、亡くなって身元が明らかにならなかった人がいる、というのは、なんだか不思議なミステリーだと思う。
まして、このルポでは、部屋に遺されたものの少なさや、他者との関係の少なさと、手持ちの現金の多さというコントラストが印象的に書かれている。
それでも、たった一つの情報から細い糸を辿っていくことで、謎が解けるシーンに、なんだかゾッともする。
この話が記事になった時の反響は、この本を手に取った自分からすれば、想像に難くない。
人は固有の物語を持っているし、人は秘密を暴きたくなるものなのだと思う。 -
Posted by ブクログ
「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」という、耳慣れない言葉。
人知れず亡くなった身元不明の高齢女性。たまたま多額の現金を持っていたことから記者の目に留まり、記者たちの情熱によって、その人の生きざまや残された謎が少しずつ明らかになっていく。これはフィクションではなく、現実に起きた出来事だ。
誰もがいつか死ぬ。しかし、生きている間にはさまざまな人と出会い、さまざまな足跡を残している。それを丁寧にたどっていくと、人の心に響く物語になる。
誰にでも、厚みと深みのある人生の物語があるのだ。
そして、この作品は記者という仕事の大変さを実感させてくれる。わずかな手がかりを追い、人に会い、情報を確かめ、諦めずに取材を続ける。その積み重ねが、一人の人間の知られざる人生を浮かび上がらせる。二人の記者の仕事が無ければ、この人の物語りは人知れず消えてしまう。
人の人生を知ること。そして、それを誰かに伝えること。その意味を改めて考えさせられた。 -
Posted by ブクログ
★謎が解かれない魅力★3400万円を残して自宅で孤独死をした身元不明の女性。警察も、弁護士が依頼した探偵も身元を割り出せないなか、ふとしたきっかけで関心を持った通信社の記者2人が謎解きのように多くの人にあたりながら、誰なのかを探し当てる。
しかしその先で、その女性がなぜ周囲との付き合いを断っていたのか、なぜ12歳も若く年齢を偽っていたのか、なぜ尼崎市が職権で住民票を削除していたのか、なぜ労災年金の給付を自ら断ったのか、そしてなぜ多額の現金を金庫にしまい込んでいたのか、など謎は謎のまま解き明かせず終わる。在りし日の記憶を語れるのは、子供時代をともに過ごした人だけで、それも30代で止まる。残された写真から、40代とみられるかつての姿を生々しく目にできるだけに、小説ではないノンフィクションならではのもやもやした魅力がより深まる。
身元が分からず亡くなって行旅死亡人として官報に載るのは年600人あまりという。人知れずこの世を去る人はそんなにも多く、それぞれに歴史が埋もれている。
初報である共同通信の前後編の記事も読んだ。通信社の記事では事実関係をたどるだけだった。記事だけで終わらせず、書籍としてで探偵小説のように答えを探していく書きぶりとなり、ようやく日の目を見た。しかしコロナのあの時代の大阪で、こんな取材をしていた記者がいたとは。 -
Posted by ブクログ
一人の孤独死された行旅死亡人の高齢女性。
謎のある死亡状況から知るきっかけをもち、取材や調査を重ねていく二人のライターの取材ノンフィクションレポートです。
情報が少しずつ紐解かれていくたびに、人の足跡はどうしても残るのだなあという実感がありました。
自分自身、故郷や過去の学校、職場とわりと色々な場所を転々としながら年齢を重ねている方なので、自分の足跡を知る人が(時には増えつつも)少しずつ減っているという実感があります。
それもあるのか、
著者二人が探偵のように聞き込みをしたり、ネットの海を探したり、取材を重ねることで、一人の人間の足跡を見つけていくこと、そして身よりもないと思われていた人が、誰かに思い出されることになんだか安堵感がありました。
毎日のように出てくるネットなどの取材記事、その裏側の苦労を読めるという意味でも興味深かったです。 -
Posted by ブクログ
興味深く一瞬で読み終えてしまった
仕事柄行旅死亡人を取り扱うこともあったのでネットニュースに掲載された時から気になっていた
記者としては当たり前のことかもしれないが取材の仕方に執念を感じた
最初ただの官報の一掲載だったのものが、記者の取材を通して血の通ったものになり女性の生き様を感じることができた
行旅死亡人や身寄りのない方の葬祭は事務的に処理されてしまうものであるが、その一人一人には語り尽くせないほどの物語があり、その方々に関わってきた人々の物語もある
あくまでも女性の出自、人生を追っていくルポだったので仕方ないがただ欲張ると男性についてもっと深く知りたかった