加藤洋平のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「ティール組織」のベースにもなった理論モデルであり、社会のあらゆる事象を理解・整理するための枠組み(またはメタ理論)である「インテグラル理論」の概要を解説した入門書。
インテグラル理論は、縦軸に「個人」と「集団」、横軸に「内面」と「外面」を配した四象限で構成されており、例えば「個人の内面」は自己の意識であるのに対し、「個人の外面」は脳科学や生物学的領域であり、「集団の内面」には文化や文明が、「集団の外面」には社会制度や環境が位置づけられる。またそれぞれの象限ごとに、発達の段階である「レベル」、並行して発達する複数の領域(「ライン」)、レベルやラインごとに生じる意識の状態(「ステート」)、さらにはジェンダーなどの「タイプ」があり、これら5つの要素が重層構造として存在している。
本理論により、「科学vs宗教」や「保守vsリベラル」といった対立軸の本質と解決策が説明できるほか、フランシス・フクヤマやサミュエル・ハンティントンら著名な理論家の考えがどのように位置づけられるのか、あるいは本理論を応用することでビジネスや医療・教育にどのように生かせるのかを解説している。著者が強調するのは、偏りのない「全象限・全レベル」のアプローチであり、また発達の段階(レベル)を上がることは前段階を否定することではなく、むしろ包含して進む「入れ子構造」と捉え、各段階がもつ他の要素における「違い」を尊重しつつ、その中でも共通的な要素の探求を通じ、自己や自集団を超えてより「統合」された世界観を構築することであり、本理論はそのための「地図」になる可能性を秘めている。入門編とはいえ非常に多岐にわたる内容を一冊に凝縮しており、やや難解な記述や冗長な部分もなくはないが、読み応えのある良書。 -
Posted by ブクログ
一見、「英治出版」の本かと見まごうブックデザイン。
内容的にも、キーガンの「なぜ人と組織は変れないのか」(ITC=Immunity to Change)と関連性が高いもの。
世の中一般では、大人になると人間は変らない、新しいスキルは習得できないという固定観念があるが、キーガンは、大人でも「知性のレベル」は発達すると言う。
この考えは、とても勇気づけられるものだし、「大人の成長」にかかわることを最近は仕事にしているので、「便利な」考えである。
が、キーガンの本を読み進めると、大人の「知性レベル」なるものは、かならずしも世間一般でいう「知性」とは違いそう。
というわけで、もともとの表現を調べてみると、"mental complexity"というわけで、「心の複雑性」ですね〜。日本語的に「複雑性」はいいイメージではないけど、「心の成熟」みたいな感じなんでしょうね。
そういう感じなら、分かるのだが、では、普通の意味での「知性」とか、具体的なスキルって、大人になっても習得したりすることはできるのかという疑問をひそかにいただいていた。
という疑問に対して、フィッシャーという人の理論にもとづいて解説してくるのが、この本。
この本によると、キーガンは大人の「器」としての成長で、フィッシャーは「器」の中身のスキルのダイナミックな成長を扱っているらしい。
内容的にも、とてもコンパクトに分かりやすく書いてあるので、この分野でのわたしの知的欲求は満たされた。
また、マインドフルネス瞑想とか、内省、システム思考との関係性なども整理されていて便利。
しかしながら、スキルの習得は、高度のレベルになると、言語化、抽象化ということがポイントになってくるらしく、そういう面もあるかもだが、スキルや知識の種類によっては、より具体的/身体的なものが大事なものもあるのではないかなという素朴な疑問は残る。
たとえば、大人になっても、外国語とか、わたしの苦手な数学とかが、習得可能なのか、そうであれば、どういう学習法が効果的なのか、みたいなことに関する個人的な疑問はまだ解消せず。
「大人の成長」は、もう少し、研究テーマかな? -
Posted by ブクログ
理屈だけでは部下との人間関係は成立しない。
相互コミュニケーション、相手の特徴を掴む事が部下と自分の成長を促進させる。
その為に発達心理学の知識は必要になると思う。
この本で意識レベルという「人の器に近いもの」の存在を知った。
5段階あるらしく、上の成長させるには垂直型成長が必要になるとの事。
垂直型(思考、仕事の視野など)の成長を促す事ができるのは
自分より意識レベルの高い人だけ。
意識レベルの低い人は教育を任されても水平型(業務知識、専門知識など)成長しか促す事しかできない。
優秀と言われてる社員の下に新人を配属させる企業が多い
のは主に垂直型成長を促す事が目的だと思った。
任されない人は、意識レベルが低いと思われてるのかも
しれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ部下育成本かと思いきや、どちらかというと「発達心理学」なるものをビジネスに応用、これを物語形式で説明した作品、という所でしょうか。
当理論に基づき、「人は死ぬまで成長する」「人の成長には段階がある」と主張し、その成長段階にあった手助けをしてあげることで、相手(部下)は成長する、という建付けのようです。
・・・
まあ、何つうか。総論は賛成なんです。
私だって窓際のくせにこうやってシコシコ本を読んでいるのは自分の成長を信じているからですよ。また、視野の広さや成長にも段階があるのは分かります。マズロー云々みたいのが本書でも言及されていますが、まあ理解できます。
ただね、実際・実務ではどうかと。
相手がどの段階にあるかの判断とかは、結構難しい気もします。そして適切にリードするというのもこれまた難しい技術なのではと思います。まあ理論家の仕事は理論の構築で、現実での適用は実務家ヨロ、みたいなのも分かります。
とはいえ、やはりある程度(というかもう少し突っ込んだ)適用へのガイダンスがあるといいなあ、と思います。
・・・
あと、人の成長レベルの話ではあるのですが、読んでいるうちに組織と人の関係も気になりました。
例えば、第二段階の部下は「自己中心的」。こういう部下には「問いかけをする」「他者の視点を与える」みたいな話がありました。これはこれで、まあ、確かに、という話なのです。
でもでも。上司、本部、あるいは経営者の皆さん、あなた達は現場の視点を持っていますか、と。「他者の視点」持っていますか?と問いたくなります。一例だと大企業、サラリーマン社長の年次の挨拶。
ものの本とかには、(経営者が抱く)Visonがあり、Mission Statementがあり、それに関連するKPIを策定し、KPIを達成することで最終的にVisionに近づこう、とまあ、カスケードされるんだと思います。
でもうちの会社とかの偉い人の話を聞いていても全く響かないんです。私が不感症かもしれませんが、社長、本当に会社をどうしたいんですか? と問いただしたくなります。
…話が逸れましたが、組織の建付けや不条理を意識してしまうと、私や部下の成長云々もそうだけど、会社の上層部も他者(現場)の視点も理解して欲しい、ついでに言うと自分がどうしたいかをより具体的に(相手が理解できる形で)喋ってくれよ、と思ってしまうのでした。
大分逸れてしまって済みません。
・・・
ということで、発達心理学のビジネスへの応用の話でした。
理論の大枠をストーリー形式で理解するという事では良かったと思います。 -
Posted by ブクログ
主任になった1年目の何をすれば良いのかわからずあたふたした時期を思い出す。
急に周囲が言いたいことを要求してきた。
それをどうにか応えることができれば部署はよくなると思っていた。
この本の【成人意識の発達理論】でいうところの他者依存段階なんだろう。
まさに八方美人であり、嫌われたくないという意識がとても強いのだから。
この本を読んでまず自分の本当に求めていることはなんなのかいうことを改めて考える機会となった。
理念に立つリーダー。
自分の行動一つ一つに
これは「エゴ」なのか「コア」を意識していきたい。
嫌われてもいいという揺るぎない理念を自分でいかに作れるか守れるかいうことが今後の自分の課題。