加藤洋平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「成人発達理論による能力の成長」加藤洋平
知性発達科学とは、私達が持っている様々な知性や能力が、どのようなメカニズムで成長し、どのようなプロセスを辿りながら成長していくのいかを解明する学問。
私たちが生きていく過程というのは、人格的な成熟と能力の成長を絶えず行うプロセス。
私たちの知性は環境、文化、身体と相互作用するダイナミックな特徴を持つ。多様な要因に影響を受けながらダイナミックに成長していく。
能力の成長プロセスはハシゴや階段状ではなく、網の目のようなもの。停滞や退行を含みながら様々な能力が互いに関係し合いながら非線形に成長していく。
私たちが発揮するスキルは自分が注いできた時間と努力の結晶であると同時に、他者、文化、環境の恩恵によって生み出された結晶。
私たちの能力には多様な種類があるだけではなく、その習熟度に応じたレベルが存在している。
私たちの能力は環境依存性という特徴を持つ。環境とは状況と言い換える事ができ、私たちの能力の種類とレベルは置かれている状況に応じて変化する。
私たちの能力は、置かれている状況の種類や特性に左右されるため、能力を開発するためには取り巻く状況の種類や特性を見極める事が最初に求められる。
私たちの能力は課題依存性という特徴を持つ。課題の種類や性質が変わると、発揮する能力の種類やレベルが変わる。
私たちの能力は、特定の課題に対して発揮されるだけでなく、具体的な課題を通じてしか育まれない。
特徴が明確になった能力は伸ばしやすい。
私たちの能力は変動性を持っている。変動性とは、能力の種類やレベルのばらつきの事。変動性は置かれている状況や取り組む課題のみならず、私たち自身の感情状態や身体状態などによってもたらされる。
昨日できていた事が今日できないのは子供でも大人でも自然な現象。
変動性とは、学習や実践の中で意図的に発生する変化であり、ノイズとは学習や実践の中で不可避的に発生する変化。
変動性がなくなると成長が止まるので、実践に変動性をもたらすような工夫と揺さぶりが必要。
ノイズの特徴は、外部環境が生み出す自然なものであったり、私たちが無意識的に生み出すような変化。ノイズに自覚的になり、意識的に取り入れる事は変動性が確保された実践に繋がる。
先週1週間あるいはこれからの1週間、日々の生活の中での取り組みを「充実感」という一つの感情を通して観察してみる。その時、充実度の度合いを0から10で尺度化し、そのばらつき度合いを観察する。
全ての領域に適用可能な能力はない。
私たちの能力は、個別具体的な実践を意識的に取り込むことでしか向上しない。
状況や課題を考慮して、一つの能力を構成するサブ能力を特定していくことが能力開発の上で最初に求められること。
「最適レベル」とは他者からの支援によって発揮される自分の最大限の能力レベルのこと。「機能レベル」とは他者からの支援なしに発揮される自分の最大限の能力レベルのこと。「発達範囲」とは最適レベルと昨日レベルのギャップ。
私たちは年齢を重ねるごとに発達範囲が広がり、他者からの支援がより必要になる。より高度な能力を獲得する為には、他者からの支援に基づいて最適レベルを発揮していく実践を行うことが重要。
「マクロな成長」とは年単位、「メソな成長」とは月、週単位。「ミクロな成長」とは日、時、分、秒単位の成長の事。マクロな成長が起こるためにはメソな成長が必要であり、メソな成長が起こるためにはミクロな成長が必要になる。
私たちのいかなる能力も点、線、面、立体のサイクルで成長する。
私たちの能力はそれを構成する多様なサブ能力が生み出すネットワーク。
ダイナミックネットワーク理論は、私たちの能力がそれを構成する様々な能力の相互作用を通じて成長していく事を説明する。
能力が質的に成長するというのは、一つの能力が点、線、面、立体の成長サイクルを経て成長していく事。能力が量的に成長するというのは、一つ一つの能力を構成するネットワークが縦と横に拡大していく事。質的成長の中にも量的成長が見られ、量的成長の中にも質的成長が見られる。
ネットワークを構成する一つ一つのノード(能力)は、環境、課題、自分の状態などに応じてリアルタイムに収縮する。
アイデンティティの発達には、社会から課せられる適切な要求と自分の発達段階の差から生まれる適度な葛藤が必要。
能力の5つの成長法則
統合化、、複数の能力が結びつき、新たなレベル(点→線→面→立体)に移行する質的成長。長大な時間を要する。
複合化、、複数の能力が組み合わさってより高度な能力(点、線、面、立体の数が増える)になる量的成長
焦点化、、ある課題をこなす為に必要となる能力を即座に選び抜く。
代用化、、培った能力を他の状況や課題に対して応用させる。
差異化、、生物の細胞分裂。差異化と統合化は同時に起こる。能力が分化する事で質的に新しい能力が生み出される。
能力のレベルとは、質的差異の事。つまりその人が長大な時間と努力を注ぎ込んだ末に習得される能力の高さや深さ。安易な量的拡大思想は、現代社会の至る所で見受けられ、それは質的な差異を平面化させる暴力的な側面を持つ。
能力の成長プロセスは13のレベルと5つの階層構造を持つ。
1.反射階層、、、、幼児が眼前の積み木を見て口に入れるような無意識な反応。
2.感覚運動階層、、言葉を用いずに身体的な動作を生み出す。
3.表象階層、、、、個別具体的なものが眼前になくても言葉によってそれをイメージする。
4.抽象階層、、、、目には見えない抽象的な事柄を言葉によって扱う。
5.原理階層、、、、抽象的な様々な概念をさらに高度な概念や理論にまとめ上げる。まだほぼ存在しない。
上記5つの能力階層の一つ一つには、「点、線、面、立体」の成長サイクルが現れる。
点、、、単一要素段階
線、、、要素配置段階
面、、、システム構成段階
立体、、、メタシステム構成段階
フィッシャーの能力レベル
レベル6(単一表象)、、、事物の具体的な一つの側面を言葉によって捉える事ができる。このレベルは「点」としての段階であり、言語表現は「定義的」
レベル7(表象配置)、、、事物の具体的な特徴を一つ取り上げ、その特徴についてさらに一つの具体的な特性を説明する事ができる。このレベルは線としての段階であり、言語表現は「線形的」
レベル8(表象システム)、、ある事物を取り上げ、その事物の具体的な特徴を複数捉え、それらをまとめる事ができるようになる。このレベルは「面」としての段階であり、言語表現は「多面的」
レベル9(単一抽象)、、、事物の抽象的な一つの側面を言葉によって捉える事ができる。このレベルは「点」としての段階であり言語表現は「定義的」
レベル10(抽象配置)、、、事物の抽象的な特徴を一つ取り上げ、その特徴についてさらに一つの抽象的な特性を説明する事ができる。このレベルは「線」としての段階であり、言語表現は「線形的」
レベル11(抽象システム)、、、ある事物を取り上げ、その事物の抽象的な特徴を複数捉え、それらをまとめる事ができる。このレベルは「面」としての段階であり、言語表現は「多面的」。プロに求められる最低限のレベル。
レベル12(単一原理)、、、レベル11で作り上げた「面」をさらに複数個作り出し、それらを関連づけ、一段高次元の概念の中でそれらをまとめることができる。これまでの知識と経験を総動員して自分が伝えようとする意味に最も合致した新たな言葉を生み出す傾向がある。往々にしてそうした新たな言葉は一般には馴染みがない。だがその言葉の裏には知識や経験が結晶化され、極めて複雑な意味の体系(面)が含まれている。
「抽象的」という言葉の本質は「曖昧なもの」ではなく、全体像を把握する事。
現象の本質を捉える為にも要点を得る為にも抽象化能力は不可欠。
経営者が行う意思決定は、具体的な経営事象を観察し、それらの現象の本質を抽出する事を行いながら、複数の現象に潜む本質の関係性をもとにして一つの経営判断を下す事。
あるレベルの問題を解決する為には、それよりも一段上のレベルで思考ができなければならない。
抽象化とは一般化であり、一般化によって知識や経験に再現性がもたらされる。
抽象化された知識や経験は教育可能なものとなる。
抽象化には再現性と教育可能性という特徴があるがゆえに、自分の知識や経験を抽象化し、持論を形成する事が大切。
能力が高まらない原因は、知識の圧倒的な欠落と言語化の鍛錬不足。
レベル12の人は博士課程並みの知識を持ち、博士課程並みの思考訓練を自らに課している。
レベル12に到達する為には、知識や経験を血肉化し、実践と言語化を通じて自分の知識や経験を絶えず検証していく事が求められる。
全ての元である「点」作りは、知識や経験に自分の言葉を当てる実践から始まる。
能力のレベルとは、思考の深さであり、それが高まる事により、これまで見えなかったものが見えるようになり、解決の糸口が見つけられなかった問題の解決策を発見できる。
思考能力のレベルが高度化するとは、扱える情報量の拡大であり、そのように拡張した情報を実際の現場の中で活用する実践力が高度化する事を意味する。
能力には位置エネルギーがあり、能力が高度になればなるほど発揮される実践力が高まる。
能力には次元があり、次元の拡張は情報量の増大を意味し、これまでの情報を一段高い次元で活用する事ができるようになる。
レベル11以下の人は情報を熱心に収集する情報の消費者。11以上の人は自らの知識と経験をもとにして、新たに情報を作り出す事に熱心な情報の生産者。
人はどのレベルにいたとしても一見高度な言葉を発する事ができるので、「何が語られているのか?」を見るのではなく、「何がどのような意味でどのように語られているのか?」を見る事が発話内容ではなく発話構造に着目する意味。
発話内容と発話構造の混同は、一見高度に思える語彙が盲目的に信奉され、それらの言葉が持つ深層的な意味を理解しない状態でそれらの言葉が社会で表面的に広く用いられるようになる危険性があり、また、本物と偽物を見分ける事をさらに難しくしてしまう。発話内容と発話構造の違いを見極める目を獲得する第一歩として発達理論の枠組みを学習する事。
<後半>
既存の能力開発の考え方や方法に潜んでいる問題点
・変動性の無視、、、意味の不明瞭な単調な実践はモチベーションを下げるだけでなく、能力開発にほぼ意味がない。
・生態学的妥当性の無視、、、生態学妥当性とは、練習と実際の現場の乖離具合。研修が実際の現場とどのような繋がりを持っているのかを絶えず考え、妥当性の高い研修を提供する事。
・各々には、多様な能力領域があり、それぞれに独自のレベルが存在し、それらは多様なプロセスを経て成長していくという考え方が浸透していない事。客観的なアセスメントが必要であり、その結果に基づいた、さらなる成長を支援するプログラムが必要。
ニューウェルの三角形
人、環境、課題の制約条件(保持する能力の種類とレベル、状況の性質、課題の種類とレベル)を考慮し、それらの相互作用を考えながら能力開発をする。
ピンクノイズとは1/fゆらぎやバッハの音楽。
能力開発に変動性は不可避であり、変動性と安定性が最適なバランスにあるピンクノイズを意識する事。
実践者が変動性の激しいホワイトノイズを発していれば安定性を高める介入が、安定性が強いブラウンノイズを発していれば変動性を高める介入が有効。
成長支援をする者は、人、環境、課題のそれぞれに変動性がある事を理解し、どこの変動性を上げ下げすればよいのかと判断する事。
能力が停滞する時期や退行する時期は成長に必要な熟成期間である。
小さい頃に無理に能力を伸ばす事を強制された場合、20歳を過ぎるあたりで成長が止まる現象をピアジェ効果と言う。
高度な能力レベルに近づくほど、成長速度は遅くなる。
最近接発達領域とは、他者からの支援があった場合に1人ではできないことができる事に変わる領域。
能力が成長すればするほど1人で成し遂げられる事が増える一方で、より高度な課題と向き合わざるを得なくなるため、1人では成し遂げられない事も増えていく。その為、他者の支援を受けながら能力を開発していく事が重要になる。
支援を求める勇気と与える勇気が重要。
成長支援の肝は、「できない」事を適切な支援のもとに与え続ける事。
「やればできる」から「やればできた」へ支援する。
「つまり?」と問う事は、相手に本質を考えさせ、一段高い視点から説明内容を眺める素晴らしい機会を与えている。
「例えば?」と問う事は、相手にその説明内容の具体例を考えさせる事を促すため、一つ下の能力レベルで物事を考えさせる事になり、その能力の土台をより確固としたものにする支援となる。
直接的、間接的スキャフォールディングは、成長プロセスを歩む足取りを確固としたものにする為の支援を指す。口頭で実践のコツや作業手順を伝える間接的スキャフォールディングでも直接的と同じくらい効果がある。
マインドフルネス瞑想の目的は毎日を深く生きる事であり、多く生きる事ではない。量的な成長ではなく、質的な成長。
瞑想が自己目的化し、現実世界の状況と課題から切り離されていては質的な成長は起こらない。
能力を高めていく際に重要なのは、実践を長きにわたって継続させていく事。(1万時間の法則)
フロー状態の作り方
難し過ぎず簡単過ぎない課題に一定時間取り組む。
能力の成長に必要な三要素
1.適切な支援の存在
2.能力レベルと課題レベルの均衡
3.変動性と安定性の均衡
リフレクションとは、自分の体験や経験を振り返り、そこに自分なりの意味づけを行い、新たな行動指針や考え方を形作っていく実践の事。能力は具体的な課題を通じて得られた体験を経験に変えていく過程の中で高まる。
真のリフレクションは、過去の経験を思い出すだけでなく、自分の経験をより高い次元でまとめあげる新しい言葉を自分で生み出す事。
自分独自の経験を真に掴まなければ成長の歩みは進まない。
自分の言葉を見つけようとする試みと、自分の言葉を紡ぎ出していく試みが極めて重要。
経験を抽象化する事によって、再現性のある持論が形成されていき、それを新たな経験と照らし合わせながら持論を磨いていく作業を継続する事により、経験が真の意味で「深化」していく。その経験の深化が、私たち自身の進化。
発達心理学におけるシステム思考とは、システムを眺めるのではなく、概念的なシステムを構築していく思考の事。創造的思考方法。レベル11で初めて可能となる。
自分の問いが新たな経験を開き、その経験がさらなる成長に導く。その成長がさらなる問いを開く。このサイクルが生涯を通じた成長。
人間の成長の三要素は「人、環境、課題」
人間関係がもたらす適度な揺らぎは、成長にとって不可欠なもの。そうした揺らぎと向き合いながら生きていくことこそが他者を通じた一生涯の成長プロセス。
成長とは、人、環境、文化、時期の相互作用が織りなす賜物。 -
Posted by ブクログ
凄く面白かった。
能力を効率的に成長させる為になにが必要なのかを教えてくれる。
一つの能力についての
点➡︎線➡︎面➡︎立体を考える。
点で何が出来て何が出来ないか。
線で何が出来て何が出来ないか。
面で何が出来て何が出来ないか。
立体で何が出来て何が出来ないか。
・自分の現在地(能力レベル)を知ることによって、さらなる成長に必要なステップや方法が見えてくる。
「成長のグラフ」
私たちの能力は、はしご状や階段状に成長するのではなく、停滞や退行を含みながら非線形的に成長して行く。
#成人発達理論
上がったり下がったりしながらを繰り返しながら少しずつ上がっていく感じね。これを知るとモチベーションの継続がしやすくなる。
【フロー状態にするコツ】
自分にとって難し過ぎず、簡単過ぎない課題に一定時間取り組むと、快感作用がある「フロー状態」になれる。
ただし実践上は、今の自分にとって「少し簡単」だと思える事を習慣化、そこから徐々に負荷をかけるとフロー状態が発生しやすい。
#加藤洋平
#駿太メモ
「点、線、面、立体を考える」
知識とは「点」、その知識を自分の経験と結び付ける事を「線」、その結び付けた物を応用する事を「面」と言った感じ。
その応用した物を組み合わせていくと「立体」になっていくイメージ。
#駿太メモ
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Posted by ブクログ
doingよりbeing
人の存在が与える影響というのは、日々実感している。職場で話しやすい雰囲気が生まれるか、殺伐とした雰囲気にらなるか。その日の上司によって変わることがある。
殺伐とする時の上司が何か悪いことをしているわけではないけど、少なからず周りに影響をもたらしている。
そう言ったあり方について、勉強になる一冊だった。
自分の言動の起点に立つこと。
ついつい余計な一言が出てしまった時なんかには、言い過ぎてしまったと後悔することもある。そういう時には必ずその発言の起点を考える習慣をつけていこう。
それが、本著を読んだ私の第一歩だと思った。
まだ、私のコアな願いはわからないが、起点と向き合い続けることで、コアな願いを探し続けようと思う。 -
Posted by ブクログ
成人発達心理学をコーチング視点でまとめた一冊。
本の読み方としては、加藤洋平氏がまとめて書いてくれている通り、まとめから読んでみると良い。そして、各章を読んでいる時もまとめに戻ると思考が整理されてくる。
インテグラル理論や成人発達心理学を読んだ事がある人は6章から読むと良い。それ以前はそれらのまとめを書いているので、必要のない方は読み飛ばしても問題がない。
各章に発達段階に併せたアプローチ方法が書いてある。コーチングを含めて人材育成に携わる方はこの本を参考にアプローチしていくと良いと思った。
知識での関わり→関係性や共感→その人のあり方がクライアントに癒しや影響を与える
コーチ側も生涯をかけて発達や進化をし続ける必要があると心を新たにさせてもらえる本であった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【この本をどう読んだか】
本書は、エゴとコアという軸でリーダーシップと成人発達を描く一冊として、自分の関心(意識の変容、親子関係、トランス体験)と強く共鳴した。本の構成としては物語パートと理論パートが組み合わさっているが、自分にとって価値が高かったのは、「物語で揺れを感じたうえで、章末の解説で発達理論として整理し直す」という往復運動そのものだった。
【物語パートから受け取ったもの】
物語部分は、冗長に感じる箇所もあった一方で、「揺さぶられている最中の人間」がどう考え、どう身動きが取れなくなっていくかを、かなり生々しく見せてくれる。特に、管理職の不在によって主人公が半ば強制的にリーダー役を引き受けざるをえない場面には、トランス的な強烈体験としての「役割の押し付け」がよく出ていた。それを読みながら、自分自身の過去の職場体験や、クライアントが「気づき」に至る手前の混乱状態を思い出し、「あの揺れは、こういう構造だったのかもしれない」と後から言語化できた感覚がある。
【エゴとコアの読み替え】
この本を通じて、自分の中で整理し直されたのは、「うまくやる」ことと「よく在る」ことの違いだった。親の期待値に合わせて生きようとする感覚や、「正解の大人」に追いつこうとする感覚は、自分にとって長く当たり前のものだった。それをこの本は、エゴのパターンとして責めるのではなく、「そこを一度通らないと見えてこない景色がある」として扱っているように感じた。そのうえで、「正解を取りに行く」モードから、「自分の価値観や願いを出していく」モードへと重心を移すことをコアと呼んでいる。このラベル付けは、自分の経験の整理にも、コーチとしての対話にも、そのまま使えると感じた。
【親子関係から見えたこと】
読み進めるうちに、自然と自分の親子関係を重ねて考える時間が長くなった。子どもの頃、物心ついたときにはすでに「ある程度こなれた親」になっていた両親を、「最初から完成していた存在」として知覚していた可能性がある。その結果、「大人は最初からできている」「自分も早くそちら側に行かなくては」という前提が、自分の中の正解志向や完璧主義を支えてきたのではないか、と感じた。さらに、親の側もまた揺れながら変わっていく存在なのだと、後になってから気づく経験が、二段階目のパラダイムシフトになっている。この二重の気づきと、本書のエゴ→コアという流れは、互いに照らし合う関係にある。
【リーダーシップと「期待値ゲーム」】
本書を読みながら、自分の中で強く言語化されたのが、「親の期待値ゲーム」とリーダーシップの関係だった。親の期待に自分を合わせることを「得点を稼ぐゲーム」として覚えてしまうと、自分の視点や価値観を他者に差し出すことよりも、「採点者にどう見られるか」のほうが優先されるようになる。それはまさに、他者依存のリーダー像だ。この本が描くコアリーダーは、そのゲームから降りて、「自分の見立てを差し出し、それに共感が集まることに価値を置く人」として描かれている。その対比は、自分自身のふるまいを振り返る鏡としても、エグゼクティブ・コーチングのテーマ設定としても、かなり役立つ。
【この本の位置づけ】
最終的に、この本は自分にとって「成人発達理論の入門書」というより、「自分とクライアントの内面で起きている“エゴ/コアの揺れ”を一緒に眺めるための物語的ツール」として位置づいた。物語でダイナミクスを感じ、解説パートで段階理論として整理し、自分の親子関係やリーダーとしての経験に引き寄せて考える。その三つを行き来できたことで、単に「良い本を読んだ」という以上に、自分の中の前提そのものを少しずつ書き換えていくプロセスに触れられたように感じている。 -
Posted by ブクログ
スキル、専門性を磨くことが強く叫ばれる昨今において、本当に求められる成長とは何かを投げかけてくれる。タイトルにはちょっと拒否反応もあるし、対話形式が少しライトなものにしてる感はあるが、内容自体に対する個人的共感はかなり大きかった。
筆者の言うところの"垂直的な成長"についてもっと目を向けていかないと、表層的なまやかしに惑わされ、人も組織もどんどん沈んでいってしまうのでは。。。というこのところの懸念に符合するものだった。
自分も含め、日頃周囲のメンバーの中にもこれ当てはまるなぁと感じる部分もあり、コミュニケーションのヒントにもなる。
理論自体はだいぶわかりやすく書かれているので、もう少し深い理解を得られるような関連書籍も読んでみたい。 -
Posted by ブクログ
リーダーシップの獲得方法を成人発達理論から説明した良書。リーダーシップとは、影響力であること、影響力は誰しも持っている以上、リーダーシップは誰もが備えているものであることを出発点にしていることが面白い。誰しも持っているリーダーシップの中でも、目指すべきものとして、「コアリーダー」が提唱されている。自分の願い=理念に基づいて行動できる人である。つまり、リーダーシップとは自分自身の表現である。そのために、自分の願いに自覚的になることが重要であることが主張されている。何か型にはめたリーダーシップではなく、自己分析を重要視する本書は、周囲に合わせて「良い人」「正しい人」であろうとする自分にとって、自分らしくあるためのヒントを見出すことができる機会を与えてくれた。
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Posted by ブクログ
、 リーダーシップとは影響力
影響力はだれにでもある
役職や肩書は関係ない
そこにいるだけでその人に合わせて行動をし、
発言を選ぶなど他者を動かす力が働く
その人の在り方=影響力の大きさを決める
ひとは状況を心のレンズを通してみる
→評価指標にあわせてみる
→自分の成功体験のみをよしとする など
外的要因でその人への評価や存在の捉え方が変わる
↑は必ず起きるので、
自身がそう判断していることを自覚することが大切
人は保身をする生き物
自分を守るために人の評価にレンズをかけることもある
自分が保身をしているのか、
どんな感情でいるのかをメタ認知するには
相手の感情を知る知見が必要
また丁寧に新しい経験を積むこと
知見が増えれば自身の感情も客観視できて
俯瞰的に眺めることができる
=心の余裕、慌てふためかない、感情に飲み込まれない
物事を鵜呑みにしてはいけない
自分で考える
本当にいいなと思えるのか、それからやる
一つの仕事に対して、一つの工夫、気配りを乗せる
不必要な人はいない
仮に出来が悪い人でも何か組織にとって
その人がいることが正解なのかもしれない
彼が活きるには、彼を取り巻く周りが
どう関わり合えば成長に繋がるのか考える
自己犠牲こそが自分勝手
自己犠牲=自分の居場所を作るための保身
犠牲にすれば丸く収まることはなく
八つ当たりや暴飲暴食、自身の心を壊すなど
保存しているはずなのに周囲、自身を傷つける身勝手な行動になっている
現実を雑に捉えない
現実に起きていると思い込んでいることの9割は自分の勝手な解釈、1割だけが真実。
その真実にだけ対応すること。
本当に事実なのか、俯瞰して現実をみること
誰かの正義で生きることは
自分の評価を守るための保身
人の心は打たない
どうせ正義を貫くなら自分の心の通った正義を貫くべき
行動をするときにその選択が
自身の恐れから、保身から来ているものではないかと疑う
そうなのであれば、恐れがなかったときに
自分はどのような選択をするか問いかける
ただ、その選択には責任が伴うため、
責任を取るのが怖いという思考になる
その怖いを乗り越えて、
やってよかった、と思える実感を増やすことが大切
小さいことからコツコツ選択する
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Posted by ブクログ
仕事における自己成長を通じてリーダーシップを学ぶ過程を、ひとつのケーススタディとして物語形式でまとめた一冊。途中に成人発達理論に基づいた解説が添えられている。
仕事でリーダーになるため、どうしたらいいかの情報収集として読み始めた。リーダーシップに関する本だが、社会人としての自己成長のプロセスを解説しているため、リーダー候補のみならず働く人全員に広く勧められると感じた。
もしこの成人発達理論を現実の私に当てはめたならば、この物語の主人公のように一直線には成長しないだろうなと思った。自分の欲望に忠実な自分と、組織の歯車として依存する自分との間を何度も行き来する内に、そのどちらでもない自分の理念に基づいて行動する自分に気付くような気がする。
余談だが、登場人物のうちの一人である「桃井さん」が、女優の桃井かおりとして頭の中で再現された。キャラクターのモデルだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ印象に残った点
★自己欺瞞:正義のラッピング
★★自己犠牲的に一人で抱え込むのは自分勝手。保身。3種類の排気ガス:弱者・親しい人への八つ当たり、別にはけ口(暴飲等)、心身こわす。
・八方美人は他者依存段階。他人の気持ちや考えを考慮に入れながらも、それらに飲まれずに自分の気持ちを大切にすることが大事。
★大事だと思う相手に合わせる時、自分に恐れが存在し影響している。本音と本心、鎧を脱ぐ。
★自分に正直に生きるのは、責任を伴う。故に、怖い。
★★願いを握りしめ、ヘドロに突っ込む。
★★プライベートも大切にしてほしい。仕事を追いかける側に立てる。そうすると楽しい。 -
Posted by ブクログ
本のタイトルが素敵。職場で女性がリーダーになっていく課程が小説仕立てで描かれている。
ピンク表紙じゃなかったらもっと売れていたと思う名著。
○リーダーシップと成長の4段階
・リーダーシップとは影響力(周囲を巻き込んでリードする)のことであり、4つの成長段階が存在する。
・他者への影響力を考えることはよくあるが、リーダーシップを育てるのであれば、自分の影響力の成長をリードすると考える。自分の影響力の起点に自覚的になることが肝要。
・「自分らしいリーダーシップ」には、人として成熟することも必要不可欠。人間的成熟とは視野の広さ、知識の幅である。
第一段階「エゴリーダー」
・他者のことは、自己の欲求を満たすための道具・手段と捉えている。
・弱肉強食の価値観が強い。
・「自分の思いを押し通す推進力」「はっきりと発言する力」「譲らない強い意志」を養える。
次のプロセスに進むには、「他者から見た自分の姿を認識できる」「自分の行動や考えかたの起点が、保身なのか否か」を見極めたり、変化を知る必要がある。
第二段階「八方美人」
・他者のことを、自己イメージを形成するために必要なものと捉えられるようになっている。周囲に依存して、自己イメージを形成させようとしている。
・コミュニティを重視する価値観が強い。
・「空気を読む力」「角が立たない言動」「他者の気持ち・思考パターン推察する力」を養える。
次のプロセスに進むには、「後ろ向きな執着(誤解、錯覚、嫉妬、恨み、嫌い)」を捨て、
「他者の気持ちを考慮しつつ、呑み込まれないよう自分の考えをアウトプットする」「事実と意見を分けて思い込みを無くす」「和よりも強行を選び、それでも和を瓦解させない」ように変化していかないといけない。
第三段階「コアリーダー」
・他者のことを、協力者、同僚・仲間だと捉えられるようになっている。視野が広く客観的であり、トンネル視野にならない。
・自己を信頼しつつ、他者を協力者にして前に進む価値観が強い。決して1人では進まない。
・「独自の価値体系=理念」「考えを言語化する力」「全体最適の視点」「巻き込み力」を養うことができる。
次のプロセスに進むには、「自分が損するのは良い、価値を認められなくても良い」という人格を獲得しつつ、常に新しい自己に出会う努力を行わなければいけない。
また、孤独を孤独と受け止めず、万人の支えを理解できる必要がある。
第4段階「超コアリーダー」
・他者のことを、自己の変容に貢献するものと捉えられるようになっている。相容れない価値観、思想の違う人との出会いを喜び、自己発展に受け入れられる。
・個と全体の可能性を最大限引き出す価値観が強い。
・「その瞬間瞬間と共にいる力」「常に目の前の人と出会い直す力」、何よりも個人の強みに紐づいた影響力で人を動かせるようになっている。
誰かの正しさではなく、自分の正しさを持つ。そのうえで周囲に正しさを認めてもらえる徳を積み続ける。
○その他
・多くのリーダーはコアリーダーになれずに終わるため、自認させ、変化を促進したい。
・エゴリーダーを変化させとうとすると持論で自分を正当化させるため、何度も諭す必要がある。
・当著から、リーダーシップには四段階があり、自身を一段階目だと認識させるのが良い。
「他者から見た自分の姿を認識できる」「自分の行動や考えかたの起点が保身なのか否か」「後ろ向きな執着(誤解、錯覚、嫉妬、恨み、嫌い)は捨てられているのか」
・「合理性よりも合目的性」を重視できるようになり、「自分がこの発言をすることで、誰がどんな感情を抱きそうか」を推察できるようになるとコアリーダーになれた証拠。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ■ひとことで言うと?
自己探求を続け、自己の「器」を成長させ続けよ
■キーポイント
- 発達段階
- 他者主導(利他→依存)→自己主導→自己超越(相互発達)
- 人としての「器」の容量が大きくなる
- さまざまな曖昧さを受容できるようになる
- 成長の2つの軸
- 水平的成長:スキル拡充
- 垂直的成長:自己深化
- 透明な自己認識
- 「自己の成長=他者の成長」と感じられる段階
- 自己成長のためには他者の成長が必要不可欠
- 「器」を大きくするために
- 異質なものに触れる→既存の価値観の破壊
- 内発的な問い(自己探求)の継続 -
Posted by ブクログ
ネタバレストーリーに沿って自分自身のリーダーシップを考えることができる。
よくある「漫画でわかる〇〇」の物語小説版のようなものでしょうか。
抽象的なリーダーシップとは
ただそこにいるだけで発してしまう存在感、雰囲気。
良いリーダーに視野を広くする方法は2つ
・いつも自分の状態を俯瞰でみること
・丁寧に枠の外の体験を積むこと
正しいリーダーになるな、理念あるリーダーになれ。
自分の願い、missionを持ったリーダーになること。
仕事を通じて何をしたいのか。
コアな願いとリーダー
損得の壁、孤独の壁、アイデンティティの壁
損しても良い、嫌われてもいい、無価値でもいいと受け入れること、、
それでもコアを追い続けることで本当の自分自身になれる。