加藤洋平のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ発達心理学の観点から大人の成長について、小説形式の対談で書かれていたのでとても読みやすかった。
個人的には、この考え方を聞いて今までの経験がこの5段階に分けられることがとてもしっくりきた。
過去に段階2にある人に対して、5段階目の視点でアドバイスをしてしまい、全く理解されていない経験をしたことがあったが、それもこういうことが理由なのだと理解できた。
それぞれの段階にあったアドバイスをしなければ、相手に伝わらないのはもっともなことで、これからの面談にとても役立ちそうな気がした。
<各段階の説明メモ>
① 具体的思考段階
② 利己的段階 道具主義的段階 人口の10%
白黒つけたがる二元論を好む
エンパシーの力が足りない
③他者依存段階、慣習段階 人口の70%
④自己主導段階 自己著述段階 20%未満
⑤自己変容段階 相互発達段階 -
Posted by ブクログ
人間成長について書かれた本。様々な発達段階理論を統合的にまとめる試みをしており、キーガンの理論・本などと比べると理解が難しい。
一方で、インテグラル理論の考え方自体には共感する部分も多く、最近自分自身でも感じていた「分化から統合」の考えとも似たものだったので、スッと頭に入ってきた。
内面(美)を成長させるには、文化(善)や社会システム・科学(真)が連関していることを認識し、同時に発達させる必要がある。言い換えると、内面だけの発達を志してもそこには限界があるということ。
また、自分がオレンジorグリーンの段階にいるためか、「全ての発達段階に意味があり、高次の発達段階の人々も、皆最初は低次の発達段階からスタートしている。大切なのは各発達段階を否定する(オレンジ)わけでも、そのままで良いとする(グリーン)わけでもなく、各発達段階が健全な発達スパイラルにある状態になることを支援すること」という考え方。
また数年後に読み返したい。
-
Posted by ブクログ
能力はどのようにして開花していくかを学術的アプローチによって体系化した本。
成長論がここまで言語化されている本は見たことがない。
○簡略まとめ
(1)能力開花はいろんなことをやること、やらせることが最も手っ取り早い
(2)「持論形成能力」をもつと成長が加速化する
イチローは「自分がなぜ打てたのかをすべて自分の言葉で説明することができる」と言っている。
大谷翔平のマンダラートや中村俊輔のサッカーノートなど、一流は絶対に持論を常に持ち、持論を磨きつづけている。
持論を持つひと、持論を形成できる人は、成長がはやい。
◯ダイナミックスキル理論とは
・ダイナミックスキル理論=わたしたちの能力がどのようなプロセスとメカニズムで成長していくのかの論理
・能力は網の目状の知的ネットワークを形成していくことで開発されていく。1つの領域だけではなく様々な知見が結びつくことで開花して成長となる
・例えば、長所を伸ばした後はサブ長所も活かすと、要因の融合につながる=能力開発につながる
→サブ能力の特定を行ってそれも伸ばすための試みも大事ということ
◯成長促進の根源は「持論形成力」
・言語化、アウトプット化される場面に到達すると安定して能力発揮できるようになる
・何故自分の能力が高まらないか?の理由は明白で「知識の圧倒的な欠落と、言語化の鍛錬不足」。
→成長したいと言ってる口ばかりのひとの100%に当てはまる。シンプルに勉強不足&アウトプット不足 -
Posted by ブクログ
"A Theory of Everything"の新訳。
大昔に大学に入って最初に興味をもったのが人類学。そこでは「文化相対主義」というのを習った。そして、レヴィ・ストロースの構造人類学を学び、クリフォード・ギアツの解釈人類学を学んだ。人類学のなかでは、この2人のスタンスは大きく違うものとされたが、「文化は違うだけで、いいとか、わるいとかそういうものではない」という思想においては共通のものであったと思う。
わたしにとって、「文化相対主義」とは、自文化中心主義のエゴにとらわれないこと、他の文化に対して謙虚な気持ちになること、文化の違いのなかから学び続けることを意味していた。
ところが、いわゆる解釈学とかポスト構造主義とか、社会構成主義などに対する批判として「相対主義」という言葉が否定的に使われているのを知って驚いた。
「相対主義」は、結局のところ、すべての価値の意味をなくし、ニヒリズムに陥る。あるいは、自分の価値観、自文化に独善的にひきこもるようになり、道徳的にも、社会的にも、国際政治的にも有害である、と。。。。
これと同じような議論が、卑近なところでは、職場のダイバーシティでも起きているのかも。
「違いを力に」とか言っているのだが、結局のところわがままがはびこってしまうんじゃないかというおそれ。
多様性を尊重しようという立場は、「多様性はいやだ」という「違い」にどう対処すればいいのか?「ダイバーシティ推進はいいことである。意見の多様性もいいけど、タイバーシティ反対は許さない」ということなのか????などなど。
「インテグラル理論」は、そんなお悩みにアプローチするためのヒントを与えてくれるものかもしれない。
あと「ティール組織」を読んで、モヤモヤした人にもオススメしたい。
ウィルバーの本は難しいものが多い。これは本人が書いた入門書という位置付けだが、以前の翻訳「万物の理論」は結構難しかった記憶がある。それに対して、今回の訳は、読みやすく、なるほど「入門書」らしい。
「入門書」といっても、本質的なところがぎゅっと詰まっている感じで、とくに理論編の最初の3章くらいまでは、繰り返し読み直したい濃い内容。
「ティール組織」は面白いのだが、組織の進化段階を色で単純に仕分けするところに違和感があった。あと、いくらティールな組織が素敵でも、そこにたどり着くための道がよくわからなかった。ティール組織で実践されている取り組みをできるところからやってみましょう、というような話ではないんじゃなかろうか?という疑問。
「インテグラル理論」は、その辺のもやもやを理論的に整理してくれた。つまり進化のレベルは前のレベルを内包しているということ。
そして、すべての象限、レベル、ライン、ステート、タイプの組み合わせで物事をみて、その全てに働きかけるということ。
この本を読むと、自分自身がやっていることを含めて、身の回りに「あるある」だらけだ。
では、わたしが「インテグラル理論」に完全に納得したかというと、進化の概念のモヤモヤは微妙に残る。わたしのなかではグリーン的な価値観が根強く、横の多様性はwelcomeだが、縦の多様性は躊躇がのこるかな。
とくに進化や発達という概念が個人レベルだけでなく、組織や社会の発達度合いということになると、「文化相対主義」からスタートしているわたしはつい警戒してしまうわけだ。
方向性はなんとなくわかるのだが、なんかエッジが立つ。第1層と第2層の間の谷を前にして、ちょっと心理的な恐れもあるのかな?
ここの転換は、ウィルバーも3年間苦しんでうえで見出した答えということなので、わたしも腑に落ちるまでもう少しかかるのかもしれない。
その辺はもう少し考えてみたい。
でも、いいなと思ったのは、「さあ、みんなそろって、第2層に行きましょう!」みたいな話ではないこと。
社会の段階はたとえばグリーンでも、そこには、オレンジの人も、レッドの人もたくさんいるし、人間の個体の成長の多様なプロセスもあるので、そういう多様な人たちに応じたアプローチをしようということ。
取り組みもインテグラルなんだね。
なので、グリーンやオレンジ的な方法論、スキル、ツールも必要に応じて使えばいいということになるのかな?
ちなみに、インテグラル理論は、メタ理論なので、これを知ったからといって具体的になにかができるようになるのではない。より具体的な状況に対応するための具体的な理論なり、ツールなりを理解して使っていくことはやっぱり必要ということは、いうまでもない。 -
Posted by ブクログ
「なぜ部下とうまくいかないのか」加藤洋平
人間は、知識やスキルを獲得するだけではなく、質的な成長を継続的に実現しうる。
発達理論の世界では、各意識段階は固有の価値を持っている事を尊重する。
人は自分よりも上の意識段階を理解する事ができない。建物のそれぞれの階から見える景色は多様。
人間の意識の発達とは、曖昧さに対する耐久性の増加。
意識が成長することによって、人としての器の容量そのものが拡大していく。それに伴って人は多様な知識や経験をそこに蓄えていけるようになる。
意識段階の違いによって世界の見え方が異なっており、知識や経験の取り入れ方も違えば、各人固有の容器によって加工されたアウトプットも質的に異なるものになる。
意識の成長発達は一概に年齢によって決定されるわけではない。
人間を人間たらしめているのは、意味を構築する事。
人間の意識の成長発達は、主体から客体へ移行する連続的なプロセス。
ある意識段階から次の意識段階へ移行していくほど、客体化できる範囲が広がり、世界の捉え方が変化していく。
段階2の人は自分中心的な発想で動いているだけでなく、白黒はっきりさせるような二分法的な世界観を持っている。なので自分中心の視点から一歩離れた視点を取ってもらうような問いを投げること。
成人は一つの段階を少なくとも5-10年、あるいはそれ以上かけて成長していく。
適切な課題と支援を与えながら自らの力で成長してもらうこと。
強引な早期英才教育は、植物を育てる際に化学肥料を大量に与える事に等しい。
人には発達範囲があり、状況や文脈、体調、感情状態が変わると発達段階が上下動する。
段階2の人とのコミュニケーションで最も避けなければならない事は、相手が感情的になった時、それに対して感情的な反応をしてしまう事。相手が感情的な態度を示したら、自分の意識を下に下にさげる。
発達理論には様々な段階モデルがあり、マズローは人間の欲求に焦点を当て、キーガンは人間の世界認識方法に焦点を当てた。
大企業には、組織階層の上の者が知らず知らずのうちに、階層の下の者に対して抑圧するような見えないメカニズムが生み出されていたり、階層の下の者が上の者に意見をしにくいメカニズムが生み出されている。
社会は段階3の人たちが大量に生み出される事を望んでいるので、段階3から逸脱するような人たちを抑圧する傾向にある。その為、段階3を乗り越えていくのは相当過酷なプロセスになる。
人間の成長は曖昧なものを受け入れいていくことによって初めて成し遂げられる。
段階3は権威主義的段階。段階4は権威超越的段階。
段階4は、既存の情報を鵜呑みにするのではなく、自分の頭でそれらを咀嚼し、自分なりに意味を再構築していくという、これまでとは異なった新たな意味を生み出していけるような知性が求められる。
既存の物の見方や権威の主張に対して疑いの目を持って、それらを超克していけるだけの意識の器が必要。
段階4の振る舞いは、単なる欲求に従った利己的なものというよりも、心の内側にあるより高度な規範に基づいている。
社会や組織の声に盲従するのではなく、内発的な問いを自ら発せられる事が、自律的な自己を確立する事に不可欠。
段階4は自分の価値体系に縛られるという限界を持つ。
プロフェッショナル人財とは、単になにかの専門家を意味するのではなく、主体的自律的に行動できる個人のこと。
水平的な成長とは、知識やスキルの獲得、垂直的な成長とは、意識の器の拡大、認識の枠組みの変化を表す。
段階5の要素が芽生えてくると、他者の存在は自分の成長に不可欠であるという認識が生まれてくる。
水平的な成長とはPCのソフトを増やす行為、垂直的な成長とは、PCのOSそのものを変えていくこと。
他者の成長に関わる者自身の発達段階は、支援の質と効果に極めて大きな影響を与える。
垂直的な成長は意識段階の低いコーチからでは起こらない。
既存の価値観を乗り越えていく為に必要な事は、異質なものに触れる事。
人間の成長発達は葛藤を乗り越えていくプロセス。
段階5に近づきつつある人は、自分の性格や個性、さらには自分の歴史までも客観的に捉えることができ、それらが自分を超えた世界の中で脈々と形成されていったことを的確に認識できる。
驚きが小さな自己の殻を破っていくきっかけになる。
生涯続く学びそのものが自分の人生になる。
段階5の人は、他者との共同は異なる認識の枠組みを理解する素晴らしい機会であると認識する。他者との協同を通じて自分自身と他者をより良く理解する為に、自分の価値体系や認識の枠組みの限界を頻繁に曝け出そうとする。
段階5に到達してはじめて人と組織の永続的な成長を促し、人と組織を導いてくれる真のリーダーになる。
段階5の人は優れたシステム思考を持つ。相反する事から逃げずに対極にあるものを統合させるような働きかけができる。
段階5の人は、他者の発達段階を見極める直感力が研ぎ澄まされているだけでなく、他者がどれくらい発達可能性を秘めているのかもわかってしまうような感性を持っている。
発達段階が高度になっていくにつれ、必ずしも生きる事が楽になったり人生が良くなったりするとは言えない。どの段階でも必ず固有の課題を乗り越える事が要求される。
意識の成長が進めば進むほど、自分が保持する過去の成功や社会的な地位名誉などはちっぽけなもに過ぎず、自分という人間は宇宙における一粒の砂のような存在にすぎないという明確な認識を獲得していく。
自律的な人材が増え、組織が活性化する事によって、新たな価値を創出する土壌が生まれてくる事を「組織の生産性の向上」と呼ぶ。
キーガンの5つの発達段階
段階1:具体的思考段階
具体的な事物を頭に思い浮かべて思考する事はできるが、形のない抽象的な概念は扱えない。幼少期。
段階2:道具主義的段階(利己的段階)成人人口の10%
極めて自己中心的な認識の枠組みを持つ。自分の欲求を満たす事に焦点が当てられており、他者をその達成の道具とみなす。他者の感情や思考を理解する事が困難。他者の視点も考慮し始めると段階3への移行サイン。
段階3:他者依存段階(慣習的段階)成人人口の70%
組織や集団の従属し、自らの意思決定基準を持たず他者に依存する形で意思決定する。
段階4:自己主導段階 成人人口の約20%
自分なりの価値観や意思決定基準を設け、自律的に行動する。自己成長に強い関心があったり、自分の意見を明確に主張する。
段階5:自己変容・相互発達段階 成人人口の1%未満。
自分の価値観や意見にとらわれる事なく、多様な価値観・意見などを汲み取りながら的確に意思決定ができる。他者の成長にベクトルが向かう。他者が成長する事により、自らも成長するという認識を持ち、他者と価値観や意見を共有しあいながらコミュニケーションを図る。