ニー・ヴォのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「塩と運命の皇后」に続く待ってましたの第二弾。中編が二編収録されていて、ファンタジー度と言うか、“物語”度がぐっと増しているように感じる(「塩と運命の皇后」が物足りないというわけじゃなく)。
特に表題の「歌う丘の聖職者」は、青春であったり、友情であったり、小さい時の思い出だったり、相棒のヤツガシラ(鳥の形態をしている)=オールモスト・ブリリアントとの関係性だったり、主人公のチーのバックボーンと共に、物語自体の世界観が興醒めにならない程度のいい塩梅で垣間見え、物語の可能性が広がったように思う(今後も含めて)。
また、ふとした一言が、多くの示唆や意味を含んでいるのも読んでいて楽しい。決して涙を流し -
Posted by ブクログ
ネタバレ二篇のうち、一篇目「塩と運命の皇后」は、幻想文学的でわたしには少々難解だった。聖職者チーと記録する鳥や、老女ラビット、その所有する思い出を纏った小物の数々から語り出されていくひとつなぎの話たち、その中で語られる皇后ーーパーツは魅力的なのだが、どうも好きになれそうにないような味で、これが賞を取るならヒューゴー賞も寝ぼけたものだと思ってしまった。しかし、二篇目「虎が山から下りるとき」は三姉妹の虎とチー、スーウィー、古代象の緊迫感、語られ、次第につよくただされていく物語に、ぞくぞくした読書の楽しみを思い出させてもらった。物語の注にもあったので書いてしまうが、雌虎と学者の卵の女学生の恋、スーウィーがチ
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Posted by ブクログ
ファンタジー世界のなかで語られる伝承や伝説を聞き取るという、入れ子構造のような濃密なファンタジー作品集。
舞台となる現在の時系列のファンタジーの世界観ですら全容が語られていないのに、さらにその世界のなかの伝承や伝説にフォーカスを当てます。
書く側からするとかなりの想像力と強固な世界観が必要となる作品に違いない。
それなのに作品の世界観に破綻を感じることもなく、自然と話に入っていけました。
何気ないふうに物語は展開していくけど、実はこれって相当すごいことをしている作品なのではないかと思います。しかも中・短編のページ数で……
収録作品は2編。追放された皇女の伝説をかつての侍女が語る表題作と、