小沼理のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「はじめに」を読んで、まさに「あぁ、わかる」と思ってしまい、とても気になっていた本
著者の性的指向はもちろんこの本を読む上で切り離せないのだけど、異性愛者の女性であるわたしが読んでも「わたしも知っている感情だな」と思う心の揺れをたくさん見つけた
その「わたしも知っている感情だな」と「わたしには知り得ない葛藤があるのだろう」が読書中ずっと混ざり合ってて、まさに、共感と距離感の練習や
どうか、この本のセクシュアリティの部分だけが一人歩きして伝わってしまいませんように
それはすごくもったいないことです
自分の価値観や感情の「揺れ」の部分を人と話すことってあまりない うまく言葉にして話せないしわ -
Posted by ブクログ
ネタバレ2020年からの3年間は、ゆっくりと、でも確実に日本が良くない方へと向かっているような実感を国民に芽生えさせたと思う。そんな3年間の一部を筆者が日記として綴った本。
当時の自分は何をしていただろうか、と重ねながら読む部分もあったし、(自分も当事者なので)差別される側としての気持ちに共感できるところもあった。何より良かったのが、筆者の普段の生活や考えなどのパーソナルな部分に触れられたことだと思う。日記を読むということは本棚を見たり音楽の趣味を知ったりするのと同じように、その人のことを知れているような気がして楽しい。
以下、好きだった本文。
「世界が最悪の方にどんどん向かっているようで鬱々とし -
Posted by ブクログ
誰かの日記は自分とは異なる現実や日常であって、それを読むことはそこには書かれていない自分のそれらの輪郭も浮かび上がるような気がする。そこには他者がいて、その人の人生がある、ということはなにか救いのようなやわらかな光のような暖かさを感じる。
パートーナーや家族のことが書かれている日記には嫉妬ではないけど、羨ましさもある。それは自分が一人暮らしが長いからなんだろう。
日記は過去のことしかないから、当時感じていた著者の気持ちや考えが読むと今に孵化するように読み手の中に入ってきて、少し混ざる。時間軸がいくつもある、そんな多様性や多幸感があるように思えるからページが少なくなってくると少し寂しくなった。 -
Posted by ブクログ
わかるかも、と思うことがよくあることを悩んでいて、分かるわけないのにそんなふうに言われるのも、言うのも嫌でモヤモヤしていた頃に出会った本。
自分より少し年上の人もそんなふうに揺れながら考えて生きているということが、私を少しホッとさせた。自分もこの揺れる気持ちを持ちながら過ごしてもいいんだなとか、そんなふうに思えた。
東京レインボープライドの話が印象的だった。商業化されすぎていること、スポンサー企業のブースがずっと活動している団体よりも大きいことなど、自分も参加したことがある手前、そう思わせている一因だったのかも。
だからどうするとかそういうわけではないけど、そういうふうに思っている人がいること -
Posted by ブクログ
1992年生まれのゲイ男性のライターである著者の2020年から2022年にかけての日記を集成。コロナ禍や東京オリンピック、安倍元首相銃撃事件などで揺れる時期の日々の生活や思いを綴る。
自分も日々生きている足跡を残すという意味で日記はつけるようにしているが、他人の日記をじっくりと読むというのは今回が初めてで新鮮な体験だった。この時期、自分は何をしていたかなと重ね合わせながら、著者の日々の暮らしや思考に没入していく感じで、とても面白く読み進めた。
著者には共感する部分も、自分はそうは思わないかなと感じる部分もあったが、自分自身や社会に対して誠実に向き合っている人だなという印象を持った。日々の出来事 -
Posted by ブクログ
私はおそらく普通より共感力が高い人間で、若いころはとくに、そういう性質により心が苦しくなることも多々あった。
歳を重ねるごとに「自分と他人のあいだにきちんと境界線を引くこと」を心がけるようになったけれど、元々の性質はそんなに変わっていないと思う。
でも、共感する、ということについて深く考えたことはそんなになかった、と本書を読んで思った。自然発生的に起こってしまうもの、と捉えていたからだ。
女性はとくに共感だけで数時間話せてしまうようなところがあるけれど、「わかるわかる」と言いながら、その「わかる」について深掘りすることはほぼない。
著者の小沼さんはLGBTQのQにあたる、「クィア」に属するセ -
Posted by ブクログ
表紙とタイトルだけで本書を手に取ったので、想像していなかった内容に戸惑いました。
普段気にもしていなかったけれど、自分が圧倒的に大多数側に分類されること、それでも日常で自分と異なる立場の人に対する差別的な態度に接すると自然に怒りが湧いてくるのだけれど、それはここでいう「わかる」には、到底当てはまるものではないのだと思う、そういうことを考えたりしました。
自然に書かれている単語や表現にも分からないことが多くて検索しながら読みました。
こんなにも知らないのは、きっとそれらにこれまで触れてきても気づかずに通り過ぎてきたからで、それが「無関心」ということなのだと思いました。
ではどう考えればいいの -
Posted by ブクログ
例によって予約はしてあったものの時間がたっていて何の本か覚えていない。
読み始めて、なんで30前後の人の日記に付き合わなくてはいけないのか、と思う。
「恋人」と食事をして、、、なんて書いてあって、違和感を持つ。
「セッション22」「LIFE」「オーバーザサン」に、自分と同じ傾向を感じる。
コロナ、五輪等への発言も。痔ろう、肛門周囲膿瘍になったことも!
ある瞬間に、著者が同性愛者であることがわかる。「恋人」のこと。
そしてややあって、著者が男、つまりゲイであることがわかる。
そういうことだったか。
ゲイの立場から社会を見る青年のコラムだったのだ。
同性愛者に厳しすぎる日本社 -
Posted by ブクログ
コロナ禍始まった頃から、2022年8月頃までの著者の日記。
タイトルに惹かれて読み始めて、コロナ禍こんなんだったなあとか思い出しつつ、コロナ禍に対する著者目線を感じつつ興味深く読んでました。
なんですが、著者がLGBTQの活動をされているということが結構書かれていて、なかなか一人の行動で世の中を変えていくのは難しいものだなあという感想を抱くとともに、自分はあまり今の政治に対して税金高いなあとか思うことはあっても、それほど暮らしにくいと思ったことはなく、政治に関心がないのだなあと気づかされたりもした。
料理の描写もたくさん出てくるんですが、野菜しっかりとっててえらいなあと思ったり、ライターという